総合上位陣の脚色が顕になるも大きな動きには繋がらなかったブエルタ第12ステージ。超級山岳アングリル峠を制したカーシーをはじめ、積極的な走りも及ばなかったマス、カラパスにマイヨロホと10秒を失ったログリッチなどのコメントを紹介します。



ステージ優勝&総合3位 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)

残り2.1km地点でアタックし、独走に持ち込んだヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)残り2.1km地点でアタックし、独走に持ち込んだヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)
勝利という夢が叶った。どんなレースであろうとプロでの勝利は夢のようだ。しかしこれはグランツール、特にこの伝説級の登りであげた勝利だ。これ以上の勝利はない。言葉が見つからないよ。

来週はエキサイティングなレースになりそうだ。特に観ている人にとって望んでいるような展開になるだろう。接戦で迎えるタイムトライアル。すべての走りが勝負につながる。

ステージ優勝を果たし、総合3位まで上げたヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)ステージ優勝を果たし、総合3位まで上げたヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) (c)EF Pro Cycling


ステージ2位&総合9位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)

アングリルがタフで急勾配であることは知っていたが、この登りで自分自身に何が出来るかは分からなかった。とてもハードな一日だったが、チームは再び素晴らしい働きをしてくれた。最後に向け力を蓄えることができたのはチームメイトのおかげだ。感謝したい。トップ選手たちのいる先頭集団についていけたこと、また優勝を争えたことに満足している。

全員が最大限の力で登っていた。そして僕も力の限りペダルを踏んだ。この登りでは自分のリズムで走らなければらないことは分かっていたし、それがうまく行った。登りの最終区間では前の選手につき、飛び出すタイミングを窺っていた。アングリルのような登りでは、あらゆる動きを計算に入れなければならない。なぜならそれがすべて結果に表れるからだ。

アタックに反応することができ、マスとカラパスの2人に追いつくことができた。だがカーシーが飛び出し、彼を捕まえることはできなかった。でも今日の自分の走りには満足している。日に日に調子が上向いている。だから最終週にはもっと良い結果が欲しい。

ステージ2位に食い込んだアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)ステージ2位に食い込んだアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ) (c)Astana Pro Team


ステージ3位&新人賞&総合5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 

スペインのファンに、モビスターのファンに、そしてチームに対し謝罪したい。チームは今回も素晴らしかったのだが、最後にもう一度アタックする力がなかった。ステージを通しての走りには満足している。だが僕たちは勝利を目指していたので、結果には満足していない。僕とチームのモチベーションは高く、このような難しいステージで勝利を狙える脚があった。でも彼らに勝利を届けることはできなかった。

だが、彼らに喜びを与えられるチャンスはあと1週間残っている。明日は休息日だ。できる限り長く睡眠を取りたいのだが、ガリシア州までの長い移動時間が待っている。月曜にタイムトライアルのコースを確認し、ベストを尽くせるよう試走を最大限に活かし、このブエルタを戦い続けていきたい。長い平坦区間とエサロの登りが、タイム差を大きく広げる可能性がある。

総合上位勢の中で真っ先に仕掛けたエンリク・マス(スペイン、モビスター)総合上位勢の中で真っ先に仕掛けたエンリク・マス(スペイン、モビスター)


ステージ4位&マイヨロホ リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

調子の善し悪しが選手を振り分ける登りになった。(選手たちは)昨日でかなりの力を使っていたし、今日はとても厳しいステージだった。2017年のことを思い出したが、今日のレースも素晴らしかった。最後にアタックを試みたのだが、マスとカーシーも狙っていたので自分のペースで走り続け、その結果(ログリッチに対し)10秒のアドバンテージを得ることができた。僕たちにとって素晴らしい結果だ。タイムトライアルでもベストを尽くし、トップを守りたい。

マイヨロホを再び着用できてとても嬉しいよ。僕自身にとっても、チームにとっても、また僕たちがやってきたことに対しても良い結果だ。

リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)は首位浮上を叶えるも10秒差に留まったリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)は首位浮上を叶えるも10秒差に留まった


ステージ5位&ポイント賞&総合2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

スプリンターの自分には厳しすぎる登りだった(笑)。ベストな日ではなかったが、結果に不満はない。総合順位でまだ良い位置につけているので、それには満足している。もちろんタイムを失うよりも稼ぎたかったが仕方がない。チームはとても強く、素晴らしかった。全員がハイレベルの走りを見せていた。

セップ(クス)には申し訳ない気持ちがある。彼は間違いなくステージ優勝を狙えていただろうからね。でも最後数kmに及ぶ彼のサポートには感謝している。彼がいなければもっとタイムを失っていただろう。まずは休息日を楽しみ、その後に来るタイムトライアルに向けて集中していきたい。このブエルタで総合優勝するために僕たちは持っているすべてを注ぎ続ける。3週目は何が起きても不思議じゃない。

遅れを最小限に留めたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)遅れを最小限に留めたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) (c)CorVos


ステージ6位&総合4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)

アングリルはレースと言うよりもタイムトライアルに近い。ベダルを思いっ切り踏み込むだけだからね。そして頂上でその結果がわかる。頂上付近の最も勾配が急な区間までは調子が良かった。しかし、そこからはそれ以上強くペダルを踏み込む力がなかった。レッドゾーンに入りたくなかったので、自分のスピードを保っていたんだ。

ベストを尽くしたので、今日の結果には満足しなければならないだろう。もしブエルタ開幕前に「2回目の休息日をトップと35秒差で迎える」と言われたら、手放しで喜んでいただろう。火曜日に良いタイムトライアルができるよう、明日はリラックスして回復に努めたい。

精鋭集団で走るダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)精鋭集団で走るダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)


山岳賞 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)

第一の目標は山岳ポイントを獲得し、ライバルたちを阻止することだった。この点においては今日のレースは完全に成功したと言える。だが、最後の登りでの結果は別だ。ステージ勝利に関しては、逃げ集団にはそれほどタイム差がつかなかったため、(勝利という)幻想や希望は抱かなかった。タフで実りの多い1週間の締めくくりとしては、良い一日になった。



ジョナサン・ヴォーターズGM(EFプロサイクリング)

今日のヒュー(カーシー)の勝利を一言で表すならば、「グリット(根性)」だ。クレイジーなほど急勾配の登り区間で、彼の体力が困難な状況にあったことは明らかだった。だが彼は先頭食らいつくため懸命に戦っていた。あのアタックには痛みが伴ったはずだ。仕掛けるタイミングは見事で、彼には勝負を決めるグリットがあった。そして我々が目指す表彰台(総合3位)に再び返り咲いた。最終週に向けて興奮が止まらない。

text:Sotaro Arakawa

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