2020/10/18(日) - 14:21
本日10月18日、ベルギーのフランドル地方を舞台に第104回ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)が開催される。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)、世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エレガント・クイックステップ)らが揃い踏みする決戦をプレビュー。
短縮コースに急坂が17カ所登場 今年はどの坂で勝負がかかる?
「モニュメント」と呼ばれる世界五大ワンデークラシックの中でも、ひと際大きな存在感を見せるのが「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)。1913年に初開催され、長年ベルギー北部のフランドル地方で愛され続けてきた大会は、今年新型コロナウイルスの感染拡大を受けながら、半年遅れで第104回大会の開催に漕ぎ着けている。
フランス語名の「ツール・デ・フランドル」と呼ばれることもあるが、現地フラマン語(オランダ語)に準じると「ロンド・ファン・フラーンデレン」。フランドル地方最大のロードレースであり、そのステータスは「世界一」であると言える。特に今年はパリ〜ルーベが中止に追い込まれたため、石畳クラシックを得意とする選手たちの狙いはこのロンドに集中している。
自転車競技熱が高いフランドル地方で開催されるだけに、沿道には熱狂的なファンが詰めかけ、頭上にはフランドルの象徴である(ベルギー全体の象徴ではない)フレミッシュライオンが描かれたイエローフラッグが翻る。だがしかし、パンデミックを避けるべく主催者は今年#FlandrienAtHomeというハッシュタグを用いてTV観戦を推奨。同様の理由で公式HPにコース情報は一切掲載されていない。
ロンド・ファン・フラーンデレンがそれだけ高いステータスを誇っている理由、それは他のクラシックレースには見られない過酷なコース設定だ。テクニカルかつ細い農道を駆け抜け、断続的に登場する石畳坂に挑む。今年は過密スケジュールを加味してコースが244kmに短縮され、さらに象徴的な石畳登坂ミュール・カペルミュールが消えているが、急坂の数は17を維持。コッペンベルグ、シュテインビークドリシュ、ターインベルグ、クルイスベルグ、オウデ・クワレモント、そしてパテルベルグという毎年決定的な動きを生み出す勝負ところの組み合わせは変わらない。
同日開催される女子レースも昨年より20km短い136kmとされているが、ターインベルグ、クルイスベルグ、オウデ・クワレモント、そしてパテルベルグという終盤のレイアウトは男子レースと共通。平均40km/hで進んだ場合のフィニッシュ予想は17時24分(日本時間午前1時24分)だ。
現地の天気予報は晴れ時々曇り。最高気温は15度、風もほぼ無しと概ね良好だ。ドライコンディションの過酷なコース上で、有力勢による激しい勝負が繰り広げられるだろう。
短縮コースに急坂が17カ所登場 今年はどの坂で勝負がかかる?
「モニュメント」と呼ばれる世界五大ワンデークラシックの中でも、ひと際大きな存在感を見せるのが「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)。1913年に初開催され、長年ベルギー北部のフランドル地方で愛され続けてきた大会は、今年新型コロナウイルスの感染拡大を受けながら、半年遅れで第104回大会の開催に漕ぎ着けている。
フランス語名の「ツール・デ・フランドル」と呼ばれることもあるが、現地フラマン語(オランダ語)に準じると「ロンド・ファン・フラーンデレン」。フランドル地方最大のロードレースであり、そのステータスは「世界一」であると言える。特に今年はパリ〜ルーベが中止に追い込まれたため、石畳クラシックを得意とする選手たちの狙いはこのロンドに集中している。
自転車競技熱が高いフランドル地方で開催されるだけに、沿道には熱狂的なファンが詰めかけ、頭上にはフランドルの象徴である(ベルギー全体の象徴ではない)フレミッシュライオンが描かれたイエローフラッグが翻る。だがしかし、パンデミックを避けるべく主催者は今年#FlandrienAtHomeというハッシュタグを用いてTV観戦を推奨。同様の理由で公式HPにコース情報は一切掲載されていない。
ロンド・ファン・フラーンデレンがそれだけ高いステータスを誇っている理由、それは他のクラシックレースには見られない過酷なコース設定だ。テクニカルかつ細い農道を駆け抜け、断続的に登場する石畳坂に挑む。今年は過密スケジュールを加味してコースが244kmに短縮され、さらに象徴的な石畳登坂ミュール・カペルミュールが消えているが、急坂の数は17を維持。コッペンベルグ、シュテインビークドリシュ、ターインベルグ、クルイスベルグ、オウデ・クワレモント、そしてパテルベルグという毎年決定的な動きを生み出す勝負ところの組み合わせは変わらない。
同日開催される女子レースも昨年より20km短い136kmとされているが、ターインベルグ、クルイスベルグ、オウデ・クワレモント、そしてパテルベルグという終盤のレイアウトは男子レースと共通。平均40km/hで進んだ場合のフィニッシュ予想は17時24分(日本時間午前1時24分)だ。
現地の天気予報は晴れ時々曇り。最高気温は15度、風もほぼ無しと概ね良好だ。ドライコンディションの過酷なコース上で、有力勢による激しい勝負が繰り広げられるだろう。
登場する17カ所の急坂
区間 | 地点 | 名称 | 路面 | 平均勾配 | 最大勾配 | 長さ |
1 | 101km | カッテンベルグ | 石畳 | 6% | 11% | 800m |
2 | 120km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4% | 11.6% | 2200m |
3 | 131km | コルテケール | 舗装 | 6.4% | 17.1% | 1000m |
4 | 138km | エイケンベルグ | 石畳 | 5.2% | 10% | 1200m |
5 | 141km | ウォルヴェンベルグ | 石畳 | 7.9 | 17.3% | 645m |
6 | 150km | レベルグ | 舗装 | 4.20% | 13.8% | 950m |
7 | 154km | ベレンドリース | 舗装 | 7% | 12.3% | 940m |
8 | 160km | ファルケンブルグ | 舗装 | 8.1% | 12.3% | 540m |
9 | 173km | カナリーベルグ | 舗装 | 7.7% | 14.% | 000m |
10 | 189km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4% | 11.6% | 2200m |
11 | 192km | パテルベルグ | 石畳 | 12.9% | 20.3% | 360m |
12 | 199km | コッペンベルグ | 石畳 | 11.6% | 22% | 600m |
13 | 204km | シュテインビークドリシュ | 石畳 | 5.3% | 6.7% | 700m |
14 | 207km | ターインベルグ | 石畳 | 6.6% | 15.8% | 530m |
15 | 217km | クルイスベルグ | 石畳 | 5% | 9% | 2500m |
16 | 227km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4% | 11.6% | 2200m |
17 | 230km | パテルベルグ | 石畳 | 12.9% | 20.3% | 360m |
ファンデルプールとファンアールトの再戦に注目 ウルフパックのエースはアラフィリップ
なんといっても注目は、1週間前の前哨戦ヘント〜ウェヴェルヘムで互いをライバル視し勝負を捨てることとなったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)の二人だろう。
ミラノ〜サンレモを制したファンアールトは、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで落車しDNSを余儀なくされたグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)無き母国ベルギー勢期待の星。初出場2018年に9位、昨年は14位と表彰台を逃しているファンアールトは、ツール・ド・フランスでタッグを組んだアムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー)やマイク・テウニッセン(オランダ)といったメンバーを引き連れて今季モニュメント2勝目を目指す。
ヘントフィニッシュ後、ファンアールトの口撃を避けたオランダ王者ファンデルプールは2年連続2度目の出場だ。昨年はレース途中に前輪破損で落車したが、そこから長時間追い上げる走りで4位。アルペシン・フェニックスはセカンドディビジョンながらワールドチームに匹敵するチーム力を備えており、それはヘントでも証明済みだ。
パトリック・ルフェーブルGM率いる「ウルフパック(狼の群れ)」ドゥクーニンク・クイックステップは、2003年のチーム設立以降ロンドを7回制覇している。窓やドアなどを手掛けるメインスポンサー、ドゥクーニンク社の新商品にちなみ「エレガント・クイックステップ」としてロンドに参加する常勝チームの主導権を握るのはリエージュ5位(降格)、ブラバンツペイル優勝と波に乗る世界王者のジュリアン・アラフィリップ(フランス)。
ロンドデビューとなる28歳の脇を固めるのは昨年2位のカスパー・アスグリーン(デンマーク)やイヴ・ランパールト(ベルギー)、ゼネク・スティバル(チェコ)といった、他チームであればエースを張れるクラシックスペシャリストたちだ。
昨年大会の後半17kmを独走して初優勝を遂げたアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFプロサイクリング)はヘントで精鋭グループに入った末に4位。コンディションを上げるディフェンディングチャンピオンはセップ・ファンマルクやイェンス・クークレール(共にベルギー)、セバスティアン・ラングフェルド(オランダ)といった心強いメンバーと共に連覇を目指す。
CCCチームは不出場となったファンアーフェルマートの代わりにマッテオ・トレンティン(イタリア)がエースナンバーを付ける。ヘント優勝者マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)はジャスパー・ストゥイヴェンやエドワード・トゥーンス(共にベルギー)を伴って出場するが、水曜日のシュヘルデプライスでハムストリングに違和感を覚えたためリタイアしており、コンディションにはやや疑問符がつく。
ヘント14位のオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル)は初出場のロマン・バルデ(フランス)を伴って出場。2015年に5位に入ったティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)もベルギーレースで好成績を残したい。ロッロ・スーダルはティム・ウェレンス(ベルギー)とジョン・デゲンコルプ(ドイツ)の2枚看板を揃えてきた。
世界選手権4位、フレーシュ6位、リエージュ10位とツール明けのビッグレースで安定した成績を残すミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)はそろそろ表彰台が欲しいところ。ヘントで脚を見せたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)や、2015年優勝・昨年3位のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)、2018年覇者ニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)の走りにも注目したい。引退が噂されているマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)もスタートリストに名を連ねている。
text:So Isobe
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