別府史之(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)が出場した第108回シュヘルデプライスでカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利。斜行によって落車を引き起こした2着パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)には降格処分が下った。
スコーテンの周回コースを10周回する、174kmで争われた第108回シュヘルデプライス photo:CorVos
本来であればロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜日に開催されるセミクラシックレース「シュヘルデプライス(UCI1.Pro)」が、COVID-19における変則カレンダーの中、ロンドを目前に控えた10月14日(水)に開催された。
今年で開催108回目を迎える伝統ある一戦であり、ロンド(1913年初開催)よりも歴史が古いフランドル最古のロードレースは今年、コースもアントワープ近郊のスコーテンを発着する17.4kmの周回コースを10周回する合計174kmへと変更されている。難しい登りを含まないスプリンター向けレイアウトは共通であり、今年は15のワールドチームを含む合計25チームが顔を揃えた。
回復途中にある直近2年間の優勝者ファビオ・ヤコブセン(オランダ)の代役として、3連覇を目指すドゥクーニンク・クイックステップはサム・ベネット(アイルランド)をエースに据えた。パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)といった面々がラインナップ。NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスは今季最終戦のラインナップに別府史之を加えた。
去就が注目される2011年大会覇者マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)が再び逃げる photo:CorVos
ヘント覇者のマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)は脚の違和感で途中リタイア photo:CorVos
パリ〜トゥール覇者カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ)は落車リタイア photo:CorVos
運河沿いの平坦コースを駆け抜ける photo:CorVos
スタート直後から繰り広げられたアタック合戦の末に抜け出したのは、日曜日のヘント〜ウェヴェルヘムフィニッシュ後に引退を匂わせる発言をし、話題を呼んだ2011年大会覇者マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)やミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)、ドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)といった8名。「ありがとうカヴ」の路上ペイントが書かれたコース上を、1分半のタイム差を有して逃げ続けた。
この日、ヘント〜ウェヴェルヘムで勝利したばかりのピーダスンは走行中ハムストリングに違和感を覚えたため、ロンドに向け大事をとるべく途中リタイア。同じく先週日曜日に開催されたパリ〜トゥール覇者カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ)は落車リタイアを強いられている。
残り35km地点で先頭グループ内のカヴェンディッシュは遅れ、ニュートラルモトから拍手を受けながら、補給地点のスタッフとタッチを交わしながら集団に飲み込まれていく。UCIレース通算146勝を誇る、35歳となったカヴェンディッシュの今後については今日現在発表されていない。
メイン集団を牽引するマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
逃げ集団内から独走に持ち込んだピョートル・ハヴィック(オランダ、リワル・レディーネス サイクリングチーム) photo:CorVos
ボーラ・ハンスグローエやUAEチームエミレーツ、ドゥクーニンク・クイックステップといったスプリンターチームが本格的なペースアップを図ると、逃げ集団とのタイム差は見る間に縮まっていく。先頭からはラスト1周突入のフィニッシュラインを通過したタイミングで19歳のルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)とピョートル・ハヴィック(オランダ、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が最後の抵抗を見せたものの残り10kmを切って引き戻されている。
残り2kmまではベネットを引き連れたドゥクーニンク・クイックステップがリードしていたが、勢いを増すボーラ・ハンスグローエやロット・スーダルを抑えることができずに優位を失ってしまう。どのチームも組織的なリードアウトトレインを組めないまま、クリストフに導かれたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)の加速でスプリント勝負が始まった。
落車が起きる中、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が先頭に立つ photo:CorVos
アッカーマンの追走を許さず突き進むカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
遅れを取り戻そうとしたアッカーマンの斜行で前輪を取られたアウグスト・イェンセン(ノルウェー、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が激しく落車するのを尻目に、フィリプセンを軽々抜き去ったユアンが先頭に立つ。混沌とした集団スプリントで、ユアンの爆発力は群を抜いていた。
低い体勢で誰も寄せ付けずにフィニッシュラインまで踏み抜いたユアンが、フランドルのセミクラシックレースで初出場初勝利。「すごく調子が良かった。思っていたよりも早いタイミングで踏み始めたけれど、誰も僕に追いついてこれなかった。チームが素晴らしい働きをしてくれたおかげでスプリント前ですら危険はなかったんだ。落車はリプレイで見ただけ。ああいったことを避けるために前方での位置取りが大切で、チームは今日素晴らしい走りで助けてくれたんだ。こういったベルギーのクラシックレースで勝つことは初めてだから本当に嬉しい。ベルギーチームにとって重要な勝利を収めることができてとてもハッピーだ」とユアンは話している。
落車に巻き込まれたピエール・バルビエ(フランス、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)たち photo:CorVos
アッカーマンと接触したアウグスト・イェンセン(ノルウェー、リワル・レディーネス サイクリングチーム)。幸い骨折は無かった photo:CorVos
トロフィーを掲げるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
アッカーマンは2着でフィニッシュしたものの、落車を引き起こしたとして先頭グループ最下位の21位降格処分が決定する。これによってニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)が2位、ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)が3位へと繰り上がっている。
落車にはイヴァン・ガルシア(スペイン、バーレーン・マクラーレン)やピエール・バルビエ(フランス、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)が巻き込まれたが、ボーラ・ハンスグローエのステフェン・ラドチラ監督は「明らかな誤判断であり、スプリントで良くあるレースアクシデントだ」と降格処分に対して反論している。

本来であればロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜日に開催されるセミクラシックレース「シュヘルデプライス(UCI1.Pro)」が、COVID-19における変則カレンダーの中、ロンドを目前に控えた10月14日(水)に開催された。
今年で開催108回目を迎える伝統ある一戦であり、ロンド(1913年初開催)よりも歴史が古いフランドル最古のロードレースは今年、コースもアントワープ近郊のスコーテンを発着する17.4kmの周回コースを10周回する合計174kmへと変更されている。難しい登りを含まないスプリンター向けレイアウトは共通であり、今年は15のワールドチームを含む合計25チームが顔を揃えた。
回復途中にある直近2年間の優勝者ファビオ・ヤコブセン(オランダ)の代役として、3連覇を目指すドゥクーニンク・クイックステップはサム・ベネット(アイルランド)をエースに据えた。パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)といった面々がラインナップ。NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスは今季最終戦のラインナップに別府史之を加えた。




スタート直後から繰り広げられたアタック合戦の末に抜け出したのは、日曜日のヘント〜ウェヴェルヘムフィニッシュ後に引退を匂わせる発言をし、話題を呼んだ2011年大会覇者マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)やミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)、ドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)といった8名。「ありがとうカヴ」の路上ペイントが書かれたコース上を、1分半のタイム差を有して逃げ続けた。
この日、ヘント〜ウェヴェルヘムで勝利したばかりのピーダスンは走行中ハムストリングに違和感を覚えたため、ロンドに向け大事をとるべく途中リタイア。同じく先週日曜日に開催されたパリ〜トゥール覇者カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ)は落車リタイアを強いられている。
残り35km地点で先頭グループ内のカヴェンディッシュは遅れ、ニュートラルモトから拍手を受けながら、補給地点のスタッフとタッチを交わしながら集団に飲み込まれていく。UCIレース通算146勝を誇る、35歳となったカヴェンディッシュの今後については今日現在発表されていない。


ボーラ・ハンスグローエやUAEチームエミレーツ、ドゥクーニンク・クイックステップといったスプリンターチームが本格的なペースアップを図ると、逃げ集団とのタイム差は見る間に縮まっていく。先頭からはラスト1周突入のフィニッシュラインを通過したタイミングで19歳のルイス・アスキー(イギリス、グルパマFDJ)とピョートル・ハヴィック(オランダ、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が最後の抵抗を見せたものの残り10kmを切って引き戻されている。
残り2kmまではベネットを引き連れたドゥクーニンク・クイックステップがリードしていたが、勢いを増すボーラ・ハンスグローエやロット・スーダルを抑えることができずに優位を失ってしまう。どのチームも組織的なリードアウトトレインを組めないまま、クリストフに導かれたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)の加速でスプリント勝負が始まった。


遅れを取り戻そうとしたアッカーマンの斜行で前輪を取られたアウグスト・イェンセン(ノルウェー、リワル・レディーネス サイクリングチーム)が激しく落車するのを尻目に、フィリプセンを軽々抜き去ったユアンが先頭に立つ。混沌とした集団スプリントで、ユアンの爆発力は群を抜いていた。
低い体勢で誰も寄せ付けずにフィニッシュラインまで踏み抜いたユアンが、フランドルのセミクラシックレースで初出場初勝利。「すごく調子が良かった。思っていたよりも早いタイミングで踏み始めたけれど、誰も僕に追いついてこれなかった。チームが素晴らしい働きをしてくれたおかげでスプリント前ですら危険はなかったんだ。落車はリプレイで見ただけ。ああいったことを避けるために前方での位置取りが大切で、チームは今日素晴らしい走りで助けてくれたんだ。こういったベルギーのクラシックレースで勝つことは初めてだから本当に嬉しい。ベルギーチームにとって重要な勝利を収めることができてとてもハッピーだ」とユアンは話している。



アッカーマンは2着でフィニッシュしたものの、落車を引き起こしたとして先頭グループ最下位の21位降格処分が決定する。これによってニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー)が2位、ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)が3位へと繰り上がっている。
落車にはイヴァン・ガルシア(スペイン、バーレーン・マクラーレン)やピエール・バルビエ(フランス、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)が巻き込まれたが、ボーラ・ハンスグローエのステフェン・ラドチラ監督は「明らかな誤判断であり、スプリントで良くあるレースアクシデントだ」と降格処分に対して反論している。
シュヘルデプライス2020
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 3:34:38 |
2位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタル・ディレクトエネルジー) | |
3位 | ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) | |
4位 | ティム・メルリエ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
5位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | アモリ・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
7位 | アーヴィッド・デクレイン(オランダ、リワル・レディーネス サイクリングチーム) | |
8位 | サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
9位 | イタマル・アインホルン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション) | |
10位 | ロマン・カーディス(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
21位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
84位 | 別府史之(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) | 0:30 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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