2010/05/28(金) - 14:12
木曜日の昼下がり、選手たちがスタート地点にやってきた。第18ステージの距離は140kmと短く、スタート時間がかなり遅めの13時55分に設定された。気になるのは頭上に広がる灰色の雲。最終日のヴェローナに向かって、天候は下り坂。最後の最後まで天候に振り回されるジロになりそうな予感がする。
山間の小さな温泉地をスタート
しばらく好天続きだったイタリアだが、どうも天気が思わしくない方向に動いている。ちょうど選手たちが出走サインに向かう頃に雨が降り始め、スタート後しばらくすると本降りになった。選手たちは慌ててチームバスに戻り、スタッフからジャケットを受け取る。
この日のスタート地点は北イタリア・トレント近くの「レヴィコ・テルメ」。名前の通り温泉地だが、その地名を知っていた日本人なんてほとんどいないはず。
ジロ・デ・イタリアの通過は、観光地の紹介に一役も二役も買っている。特にスタート地点やゴール地点をホストすれば、その名を世界に発信することが出来る。今回もテルミニッロやモンテ・ゾンコラン、プラン・デ・コロネスがスキー場であることを発信済み。少しは集客に力添え出来た?
観光地がジロの招致に躍起になるのは当然。国際的な露出度の高いツール・ド・フランスだとなおさら。日本にもこの流れを持ち込みたい。
さて、前日に逃げた新城幸也(Bboxブイグテレコム)はこの日も遅めに出走サインに登場。MCはイタリア人選手と同等、もしくはそれより大きなボリュームでユキヤを紹介する。すでにイタリアでの知名度は抜群だ。
レースは驚くほど平穏なスタートで、10km地点の撮影ポイント通過時点で集団は一つのまま。自分でも集団内で走れるほどのスローペースで目の前を通過して行った。
久々の大都市で今年最後のスプリント
ゴール地点ブレシアは人口19万人の地方都市。郊外の街を合わせた都市圏の人口は120万人で、ミラノ、ローマ、ナポリ、トリノに次ぐイタリア第5の都市だ。位置関係的にはミラノとヴェローナの中間。古くから産業都市として栄えて来た。
ここ数ステージはスキー場や山中の温泉地がゴール地点だったので、山奥から麓の街に降りて来た気分。久々に味わう都会の喧噪にクラクラしながら、遠すぎるプレスセンターを無視してゴール地点に向かった。
以前も書いたが、ジロに帯同するフォトグラファーやジャーナリストの数が、最終週にかけて倍増している。南イタリアではフォトグラファーの列がスカスカだったのに、今ではゴール写真のポジション取りが激しくなる一方。
ゴール撮影に慣れていない地方新聞のカメラマンが周りを見ずに動き回るので困ったもの。この日はコンパクトデジカメを構えた記者がひょっこりと前に出て来たおかげで、グライペルのガッツポーズを逃してしまった。ま、言い訳なんですけどね。
「今日は逃げはお休み」という宣言通り、集団内で一日を過ごしたユキヤ。しかしボネのアシスト後、しっかりとスプリントに絡んでいた。前から見ると、眉間だけ赤いスペシャルカラーのサングラスがかなり目立つ。前日に逃げて13位に入った選手が、翌日のスプリントで13位に入るとは予想していなかった。
悪天候の場合はガヴィア峠をパス?
いよいよジロ・デ・イタリアは最終山岳決戦を迎える。とにかく第19ステージ&第20ステージはグランツール随一の厳しさ。ガゼッタ紙はイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)とカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の一騎打ちを大々的に取り上げている。
現在総合争いにおいてバッソはエヴァンスを32秒リード。しかし最終日の個人タイムトライアルでエヴァンスがタイムを挽回することを考えると、バッソは山岳でリードを広げておく必要がある。リクイガスは積極的に攻撃を仕掛けてくるだろう。
なお、今年のチーマ・コッピは、第20ステージのガヴィア峠(標高2618m)。しかし天候の悪化が予想されているため、ガヴィア峠をスキップする可能性が出て来たとガゼッタ紙は伝えている。何しろガヴィア山頂には未だに数メートルの積雪が残り、選手たちは雪の壁を縫うように走ることになるという。
さらにレース通過時の予想気温は4度。降雪の可能性や、気温が氷点下まで下がるという報道もある。今年は比較的勾配の緩い北側からガヴィア峠を上るため、勾配のキツイ南側のダウンヒルはかなりテクニカル。雨が降ればなおさら。雪が降ればもうどうしようもない(クルマも!)。
悪天候によってガヴィア峠をスキップした場合、迂回路としてモルティローロ峠が再び登場する予定。今年のツールが2日連続で名物のトゥールマレー峠を通過するように、ジロも2日連続で名物峠を通過するかも?
とにかく2010年のジロは最終章。ユキヤの「完走」を懸けた闘いにも注目したい。
text&photo:Kei Tsuji
山間の小さな温泉地をスタート
しばらく好天続きだったイタリアだが、どうも天気が思わしくない方向に動いている。ちょうど選手たちが出走サインに向かう頃に雨が降り始め、スタート後しばらくすると本降りになった。選手たちは慌ててチームバスに戻り、スタッフからジャケットを受け取る。
この日のスタート地点は北イタリア・トレント近くの「レヴィコ・テルメ」。名前の通り温泉地だが、その地名を知っていた日本人なんてほとんどいないはず。
ジロ・デ・イタリアの通過は、観光地の紹介に一役も二役も買っている。特にスタート地点やゴール地点をホストすれば、その名を世界に発信することが出来る。今回もテルミニッロやモンテ・ゾンコラン、プラン・デ・コロネスがスキー場であることを発信済み。少しは集客に力添え出来た?
観光地がジロの招致に躍起になるのは当然。国際的な露出度の高いツール・ド・フランスだとなおさら。日本にもこの流れを持ち込みたい。
さて、前日に逃げた新城幸也(Bboxブイグテレコム)はこの日も遅めに出走サインに登場。MCはイタリア人選手と同等、もしくはそれより大きなボリュームでユキヤを紹介する。すでにイタリアでの知名度は抜群だ。
レースは驚くほど平穏なスタートで、10km地点の撮影ポイント通過時点で集団は一つのまま。自分でも集団内で走れるほどのスローペースで目の前を通過して行った。
久々の大都市で今年最後のスプリント
ゴール地点ブレシアは人口19万人の地方都市。郊外の街を合わせた都市圏の人口は120万人で、ミラノ、ローマ、ナポリ、トリノに次ぐイタリア第5の都市だ。位置関係的にはミラノとヴェローナの中間。古くから産業都市として栄えて来た。
ここ数ステージはスキー場や山中の温泉地がゴール地点だったので、山奥から麓の街に降りて来た気分。久々に味わう都会の喧噪にクラクラしながら、遠すぎるプレスセンターを無視してゴール地点に向かった。
以前も書いたが、ジロに帯同するフォトグラファーやジャーナリストの数が、最終週にかけて倍増している。南イタリアではフォトグラファーの列がスカスカだったのに、今ではゴール写真のポジション取りが激しくなる一方。
ゴール撮影に慣れていない地方新聞のカメラマンが周りを見ずに動き回るので困ったもの。この日はコンパクトデジカメを構えた記者がひょっこりと前に出て来たおかげで、グライペルのガッツポーズを逃してしまった。ま、言い訳なんですけどね。
「今日は逃げはお休み」という宣言通り、集団内で一日を過ごしたユキヤ。しかしボネのアシスト後、しっかりとスプリントに絡んでいた。前から見ると、眉間だけ赤いスペシャルカラーのサングラスがかなり目立つ。前日に逃げて13位に入った選手が、翌日のスプリントで13位に入るとは予想していなかった。
悪天候の場合はガヴィア峠をパス?
いよいよジロ・デ・イタリアは最終山岳決戦を迎える。とにかく第19ステージ&第20ステージはグランツール随一の厳しさ。ガゼッタ紙はイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)とカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)の一騎打ちを大々的に取り上げている。
現在総合争いにおいてバッソはエヴァンスを32秒リード。しかし最終日の個人タイムトライアルでエヴァンスがタイムを挽回することを考えると、バッソは山岳でリードを広げておく必要がある。リクイガスは積極的に攻撃を仕掛けてくるだろう。
なお、今年のチーマ・コッピは、第20ステージのガヴィア峠(標高2618m)。しかし天候の悪化が予想されているため、ガヴィア峠をスキップする可能性が出て来たとガゼッタ紙は伝えている。何しろガヴィア山頂には未だに数メートルの積雪が残り、選手たちは雪の壁を縫うように走ることになるという。
さらにレース通過時の予想気温は4度。降雪の可能性や、気温が氷点下まで下がるという報道もある。今年は比較的勾配の緩い北側からガヴィア峠を上るため、勾配のキツイ南側のダウンヒルはかなりテクニカル。雨が降ればなおさら。雪が降ればもうどうしようもない(クルマも!)。
悪天候によってガヴィア峠をスキップした場合、迂回路としてモルティローロ峠が再び登場する予定。今年のツールが2日連続で名物のトゥールマレー峠を通過するように、ジロも2日連続で名物峠を通過するかも?
とにかく2010年のジロは最終章。ユキヤの「完走」を懸けた闘いにも注目したい。
text&photo:Kei Tsuji
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