2020/10/12(月) - 17:07
優勝候補たちが次々と泥に飲まれる予測不能のダウンヒル世界選手権でリース・ウィルソン(イギリス)が初勝利。4連覇を目指した最終走者ロイック・ブルーニ(フランス)も落車に終わった。
昨年の世界選手権から数えること400日。オーストリア、レオガングで5日間に渡り開催されてきたMTB世界選手権の最終日に、ダウンヒル世界ナンバーワンを決める4レース(男女ジュニアレース、男女エリートレース)を迎えた。
E-MTBレースとチームリレーが行われた雨と泥の世界選手権初日から暫く好天が続いていたものの、ここにきてザルツブルグ州の山岳地帯は再び黒い雨雲に覆われた。降り続いた雨が再びコースの泥を緩ませ、林間セクションにリムが完全に埋まる泥区間が出現するなど、ラインを選ぶこともままならない超ハードコンディションのもとレーススケジュールが進行した。
ワンミスが命取りになる、超スリッピーな泥レース。スタートヒルに雪と寒風吹きすさぶ男子エリートレースで完璧な走りを披露したのはリース・ウィルソン(イギリス)だった。ウィルソンは誰もが手を焼く切り株セクションや深い轍が刻まれた林間セクションをスムーズにこなし、全ての中間計測ポイントでトップタイムを刻んでいく。フィニッシュではそれまでホットシートを守ったジャック・モワール(オーストラリア)を7.633秒上回った。
後方スタートの有力選手たちは次々と泥の餌食となり、超マッドコンディションの2011年シャンペリー大会で圧倒的な走りを披露した2016、2011年世界王者ダニー・ハート(イギリス)も12秒遅れの13位がやっと。2013、2012年世界王者グレッグ・ミナー(南アフリカ)やアーロン・グイン(アメリカ)もチャンスを逃した。
最後から2番目に出走したトロイ・ブロスナン(オーストラリア)は第3中間計測でトップに浮上したが、その直後泥に前輪を滑らせてクラッシュ。最終走者であり、2015年に初のアルカンシエルを獲得し、2017年以降3年連続世界タイトルを守ってきたロイック・ブルーニ(フランス)もまた、深い泥に沈むこととなる。
黄金のヘルメットで4連覇に挑んだブルーニは出だしこそ僅かに遅れながら拮抗したタイムを出していたが、林間セクションでのイージーミスでスリップダウン。この瞬間、普段トレックファクトリーレーシングの一員として走るウィルソンの世界王座獲得が決まった。
「ウェットでもドライでも対応する準備はできていた。勝つためにこの世界選手権に臨んだけれど、まさか本当に勝てるとは思っていなかったよ。信じられない。(イギリス人選手がトップ10に3人入り)この週末は僕らイギリス人選手が素晴らしいテクニックの持ち主だということが証明されたと思う。暫くフランスがアルカンシエルを維持してきたけれど、僕たちは国として一級の力があることを示せた」と、予測不可能の泥レースを制したウィルソンは話している。母国開催の世界選手権でデヴィッド・トラマー(オーストリア)が2位銀メダルを獲得し、3位銅メダルはレミ・ティリオン(フランス)の元に渡った。
予選日にトップタイムを叩き出した地元オーストリアのヴァレンティーナ・ホールが試走で足首骨折という波乱が起きた女子エリートレースを制したのは、隣国スイスのカミーユ・バランシュだった。
「今まで経験してきた中で最高にタフなレース。安全策を取って冷静に進めたことが勝因になった」と言うバランシュは、ミリアム・ニコル(フランス)との接戦を制して初のアルカンシエル獲得。3位にはモニカ・フラストニク(スロベニア)が入った。
昨年の世界選手権から数えること400日。オーストリア、レオガングで5日間に渡り開催されてきたMTB世界選手権の最終日に、ダウンヒル世界ナンバーワンを決める4レース(男女ジュニアレース、男女エリートレース)を迎えた。
E-MTBレースとチームリレーが行われた雨と泥の世界選手権初日から暫く好天が続いていたものの、ここにきてザルツブルグ州の山岳地帯は再び黒い雨雲に覆われた。降り続いた雨が再びコースの泥を緩ませ、林間セクションにリムが完全に埋まる泥区間が出現するなど、ラインを選ぶこともままならない超ハードコンディションのもとレーススケジュールが進行した。
ワンミスが命取りになる、超スリッピーな泥レース。スタートヒルに雪と寒風吹きすさぶ男子エリートレースで完璧な走りを披露したのはリース・ウィルソン(イギリス)だった。ウィルソンは誰もが手を焼く切り株セクションや深い轍が刻まれた林間セクションをスムーズにこなし、全ての中間計測ポイントでトップタイムを刻んでいく。フィニッシュではそれまでホットシートを守ったジャック・モワール(オーストラリア)を7.633秒上回った。
後方スタートの有力選手たちは次々と泥の餌食となり、超マッドコンディションの2011年シャンペリー大会で圧倒的な走りを披露した2016、2011年世界王者ダニー・ハート(イギリス)も12秒遅れの13位がやっと。2013、2012年世界王者グレッグ・ミナー(南アフリカ)やアーロン・グイン(アメリカ)もチャンスを逃した。
最後から2番目に出走したトロイ・ブロスナン(オーストラリア)は第3中間計測でトップに浮上したが、その直後泥に前輪を滑らせてクラッシュ。最終走者であり、2015年に初のアルカンシエルを獲得し、2017年以降3年連続世界タイトルを守ってきたロイック・ブルーニ(フランス)もまた、深い泥に沈むこととなる。
黄金のヘルメットで4連覇に挑んだブルーニは出だしこそ僅かに遅れながら拮抗したタイムを出していたが、林間セクションでのイージーミスでスリップダウン。この瞬間、普段トレックファクトリーレーシングの一員として走るウィルソンの世界王座獲得が決まった。
「ウェットでもドライでも対応する準備はできていた。勝つためにこの世界選手権に臨んだけれど、まさか本当に勝てるとは思っていなかったよ。信じられない。(イギリス人選手がトップ10に3人入り)この週末は僕らイギリス人選手が素晴らしいテクニックの持ち主だということが証明されたと思う。暫くフランスがアルカンシエルを維持してきたけれど、僕たちは国として一級の力があることを示せた」と、予測不可能の泥レースを制したウィルソンは話している。母国開催の世界選手権でデヴィッド・トラマー(オーストリア)が2位銀メダルを獲得し、3位銅メダルはレミ・ティリオン(フランス)の元に渡った。
予選日にトップタイムを叩き出した地元オーストリアのヴァレンティーナ・ホールが試走で足首骨折という波乱が起きた女子エリートレースを制したのは、隣国スイスのカミーユ・バランシュだった。
「今まで経験してきた中で最高にタフなレース。安全策を取って冷静に進めたことが勝因になった」と言うバランシュは、ミリアム・ニコル(フランス)との接戦を制して初のアルカンシエル獲得。3位にはモニカ・フラストニク(スロベニア)が入った。
MTB世界選手権2020 DH男子エリート結果
1位 | リース・ウィルソン(イギリス) | 3:51.243 |
2位 | デヴィッド・トラマー(オーストリア) | 3.197 |
3位 | レミ・ティリオン(フランス) | 5.953 |
4位 | マーク・ウォレス(カナダ) | 6.655 |
5位 | ベルナルド・カー(イギリス) | 7.203 |
6位 | ジャック・モワール(オーストラリア) | 7.633 |
7位 | グレッグ・ウィリアムソン(イギリス) | 8.067 |
8位 | トロイ・ブロスナン(オーストラリア) | 8.268 |
9位 | ヨハネス・フィッシュバッハ(ドイツ) | 10.185 |
10位 | ロリス・ヴェルジエ(フランス) | 10.618 |
MTB世界選手権2020 DH女子エリート結果
1位 | カミーユ・バランシュ(スイス) | 5:08.426 |
2位 | ミリアム・ニコル(フランス) | 3.130 |
3位 | モニカ・フラストニク(スロベニア) | 16.966 |
4位 | トレイシー・ハンナ(オーストラリア) | 20.012 |
5位 | ミカイラ・パートン(イギリス) | 23.164 |
6位 | ラファエラ・リッチャー(ドイツ) | 31.092 |
7位 | ニナ・ホフマン(ドイツ) | 31.483 |
8位 | ノガ・コレム(イスラエル) | 31.976 |
9位 | マリーヌ・カビルー(フランス) | 33.133 |
10位 | サンドラ・ルベサム(ドイツ) | 1:05.093 |
MTB世界選手権2020 DH男子ジュニア結果
1位 | オシーン・オカラガン(アイルランド) | 4:02.142 |
2位 | ダニエル・スラック(イギリス) | 2.141 |
3位 | ジェームズ・エリオット(イギリス) | 10.705 |
MTB世界選手権2020 DH女子ジュニア結果
1位 | ロリーヌ・シャパーズ(フランス) | 5:41.502 |
2位 | ソフィー・ゴトール(オーストリア) | 46.809 |
3位 | レオナ・ピエリーニ(フランス) | 53.812 |
text:So Isobe
photo:UCI
photo:UCI
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