2020/10/11(日) - 13:18
5年連続世界王者のニノ・シューター(スイス)が序盤から遅れたMTB世界選手権男子エリートレース。先行するライバルを序盤で捉え、独走体制を築き上げたヨルダン・サルー(フランス)が初のアルカンシエルを射止めた。
スタートラップ1周回と、超スリッピーなダウンヒル区間を含むメインコースを6周、合計22.5kmで争われたMTBクロスカントリー世界一決定戦。大ベテランのマヌエル・フミック(ドイツ)を除く89名が、気温10°Cの中一斉スタートダッシュをかけた。
1週間前のUCIワールドカップにおいて、ショートトラックとクロスカントリーレースで勝利した絶好調ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル)がミスでポジションを落とす中、鋭いダッシュを決めたのはオランダ王者のミラン・ファーダー。この日U23とエリートの女子レースで連勝しているフランスは、ヨルダン・サルーとティトゥアン・カロッドの2人を追走グループに送り込んだ。
若手選手が躍進する中、ここまで5年連続でアルカンシエルを守り抜いてきたニノ・シューター(スイス)は不調に苦しむこととなる。ゼッケン1を付けるシューターは最前列からスタートしたものの、序盤のミスでポジションを落とす苦しい走りを強いられた。8度の世界王者であり、現五輪王者であり、ワールドカップ通算32勝、昨年ワールドカップで総合優勝を挙げている絶対的王者のシューターは、この日は最終的に9位でフィニッシュ。「どこに問題があるのかまだ把握できていないけれど、きっとこの場所に戻ってくる」と言うシューターの遅れは、クロスカントリー界の世代交代を強く匂わせた。
カロッドを切り離し、1周目にファーダーをキャッチしたサルーは、すぐさま登り区間でアタック。女子エリートで勝利したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)と同じ「序盤からなるべく速いペースを刻み、スムーズに走り通すことを考えていた」という作戦で走るサルーは加速1発でファーダーを突き放し、独走体制に持ち込んだ。
どこか落ち着かない走りのファーダーは2番手で粘っていたものの、3周目の下り区間で2度落車したことでペースを大きく崩してしまう。1週間前のワールドカップで抱えた胃腸トラブルを案じベストを着用して走るマティアス・フルッキガー(スイス)やアヴァンチーニ、ルカ・ブライドット(イタリア)、カロッドの3番手グループに捕まってもリズムは戻らなかった。
また、この後ろを走っていたフランス代表の一角ステファン・テンピエールは下り区間で激しく落車しDNF。下りでリードを稼ぐフルッキガーが2番手グループをリードをしつつ周回を減らしていたが、アヴァンチーニは残り2周回のピットまで遠い場所でパンクし大きく遅れてしまう。サルーの1分後方で、「体調を崩していたのでどれだけ走れるか分からなかったけれど、間違いなくコースは僕向きだった」と言うフルッキガーは何度も2番手グループから飛び出す走りをみせた。
落ち着いた走りを最後まで維持し続けたサルーは、2番手フルッキガーに45秒差をつけてフィニッシュラインに到達。ノートラブルで走り抜いたバイクをフィニッシュラインで高々と掲げ、チーム代表のジュリアン・アブサロンと抱き合った。
「自分のレースに集中しきっていた。信じられないよ。言葉がない。世界チャンピオンになってしまった。今どんな言葉を発したらいいかさえ分からない。ただただインクレディブルだ。僕を信じ続けれくれたチームとコーチ、家族、フランス競技連盟に感謝したい」と話すサルーは、アブサロンが率いるチームで力をつけ、今年フランスチャンピオンに輝いていた1992年生まれの27歳。世界選手権エリートカテゴリーの初表彰台で初優勝という躍進を見せている。
銀メダル争いはカロッドを引き離したフルッキガーに軍配し、ブライドットが4番手。その後方を走っていたマキシム・マロット(フランス)は最終周回にパンクし、フィニッシュラインでオンドレイ・シンク(チェコ)に交わされ6位に沈んでいる。
サルーの勝利によって、フランスチームは世界選手権4日目を完全制圧。ここまでの通算メダル獲得数において金メダル5、銀1、銅1と他国を圧倒する結果となった。
本日の世界選手権最終日はダウンヒルの男女ジュニアレースと男女エリートレースが開催される。
スタートラップ1周回と、超スリッピーなダウンヒル区間を含むメインコースを6周、合計22.5kmで争われたMTBクロスカントリー世界一決定戦。大ベテランのマヌエル・フミック(ドイツ)を除く89名が、気温10°Cの中一斉スタートダッシュをかけた。
1週間前のUCIワールドカップにおいて、ショートトラックとクロスカントリーレースで勝利した絶好調ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル)がミスでポジションを落とす中、鋭いダッシュを決めたのはオランダ王者のミラン・ファーダー。この日U23とエリートの女子レースで連勝しているフランスは、ヨルダン・サルーとティトゥアン・カロッドの2人を追走グループに送り込んだ。
若手選手が躍進する中、ここまで5年連続でアルカンシエルを守り抜いてきたニノ・シューター(スイス)は不調に苦しむこととなる。ゼッケン1を付けるシューターは最前列からスタートしたものの、序盤のミスでポジションを落とす苦しい走りを強いられた。8度の世界王者であり、現五輪王者であり、ワールドカップ通算32勝、昨年ワールドカップで総合優勝を挙げている絶対的王者のシューターは、この日は最終的に9位でフィニッシュ。「どこに問題があるのかまだ把握できていないけれど、きっとこの場所に戻ってくる」と言うシューターの遅れは、クロスカントリー界の世代交代を強く匂わせた。
カロッドを切り離し、1周目にファーダーをキャッチしたサルーは、すぐさま登り区間でアタック。女子エリートで勝利したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)と同じ「序盤からなるべく速いペースを刻み、スムーズに走り通すことを考えていた」という作戦で走るサルーは加速1発でファーダーを突き放し、独走体制に持ち込んだ。
どこか落ち着かない走りのファーダーは2番手で粘っていたものの、3周目の下り区間で2度落車したことでペースを大きく崩してしまう。1週間前のワールドカップで抱えた胃腸トラブルを案じベストを着用して走るマティアス・フルッキガー(スイス)やアヴァンチーニ、ルカ・ブライドット(イタリア)、カロッドの3番手グループに捕まってもリズムは戻らなかった。
また、この後ろを走っていたフランス代表の一角ステファン・テンピエールは下り区間で激しく落車しDNF。下りでリードを稼ぐフルッキガーが2番手グループをリードをしつつ周回を減らしていたが、アヴァンチーニは残り2周回のピットまで遠い場所でパンクし大きく遅れてしまう。サルーの1分後方で、「体調を崩していたのでどれだけ走れるか分からなかったけれど、間違いなくコースは僕向きだった」と言うフルッキガーは何度も2番手グループから飛び出す走りをみせた。
落ち着いた走りを最後まで維持し続けたサルーは、2番手フルッキガーに45秒差をつけてフィニッシュラインに到達。ノートラブルで走り抜いたバイクをフィニッシュラインで高々と掲げ、チーム代表のジュリアン・アブサロンと抱き合った。
「自分のレースに集中しきっていた。信じられないよ。言葉がない。世界チャンピオンになってしまった。今どんな言葉を発したらいいかさえ分からない。ただただインクレディブルだ。僕を信じ続けれくれたチームとコーチ、家族、フランス競技連盟に感謝したい」と話すサルーは、アブサロンが率いるチームで力をつけ、今年フランスチャンピオンに輝いていた1992年生まれの27歳。世界選手権エリートカテゴリーの初表彰台で初優勝という躍進を見せている。
銀メダル争いはカロッドを引き離したフルッキガーに軍配し、ブライドットが4番手。その後方を走っていたマキシム・マロット(フランス)は最終周回にパンクし、フィニッシュラインでオンドレイ・シンク(チェコ)に交わされ6位に沈んでいる。
サルーの勝利によって、フランスチームは世界選手権4日目を完全制圧。ここまでの通算メダル獲得数において金メダル5、銀1、銅1と他国を圧倒する結果となった。
本日の世界選手権最終日はダウンヒルの男女ジュニアレースと男女エリートレースが開催される。
MTB世界選手権2020 XCO男子エリート結果
1位 | ヨルダン・サルー(フランス) | 1:25:37 |
2位 | マティアス・フルッキガー(スイス) | 0:45 |
3位 | ティトゥアン・カロッド(フランス) | 0:55 |
4位 | ルカ・ブライドット(イタリア) | 1:23 |
5位 | オンドレイ・シンク(チェコ) | 1:37 |
6位 | マキシム・マロット(フランス) | |
7位 | フィリッポ・コロンボ(スイス) | 2:12 |
8位 | ナディル・コッレダーニ(イタリア) | 2:29 |
9位 | ニノ・シューター(スイス) | 2:33 |
10位 | ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル) | 2:49 |
text:So Isobe
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