2020/10/02(金) - 15:54
イタリア半島を北上し、アペニン山脈やドロミテ山塊、アルプス山脈が連続して登場するジロ・デ・イタリア。積雪が予想されるステルヴィオ峠やアニェッロ峠を攻略し、ミラノの個人タイムトライアルで締め括られる後半ステージをプレビューします。
10月15日(木)第12ステージ → コースマップ
チェゼナティコ〜チェゼナティコ 204km ☆☆☆☆
毎年1万人以上の参加者を集める「グランフォンド・ノヴェコッリ」のコースをほぼそのまま辿る1日。チェゼナティコを発着する204kmコースには「ノヴェコッリ」という名前の通りアペニン山脈の峠が9つ組み込まれており(そのうち5つがカテゴリー山岳)、ステージの獲得標高差は3,840mに達する。平野部を走る序盤と終盤を除いて平坦区間は限りなく少ない。
登場する5つの山岳はいずれもカテゴリー3〜4級だが、最大勾配が12〜14%に達する登りが連続し、下りも急勾配で、しかも全体的に道が細い。中盤の3級山岳バルボットの最大勾配は17%。スプリンターが太刀打ちできるステージではないため、大逃げを狙うアタッカーたちが序盤から飛び出すだろう。逃げ屋が故マルコ・パンターニの故郷チェゼナティコでステージ優勝の栄冠を掴むことになりそうだ。
10月16日(金)第13ステージ → コースマップ
チェルヴィア〜モンセリーチェ 192km ☆☆
エミリア=ロマーニャ州のチェルヴィアからヴェネト州のモンセリーチェまで192km北上。ポー川が作り出した広大な平野を走る前半150kmは一つとして起伏がない。しかしフィニッシュまで34kmを切ったところで丘陵地帯「コッリ・エウガネイ」にレースは入っていく。そこに待ち構えるのが4級山岳ロッコーロ(全長4.1km・平均8.3%・最大20%)と4級山岳カラオーネ(全長2.1km・平均9.8%)だ。
最後の4級山岳カラオーネからフィニッシュまでは16km。2連続山岳を越えてフィニッシュするレイアウトはミラノ〜サンレモに似通っているが、平均勾配が4%前後しかないチプレッサ&ポッジオの組み合わせよりもロッコーロ&カラオーネの組み合わせの方がずっと難易度は高い。つまり勝負に絡むことができるスプリンターの数はかなり限定されるだろう。頂上手前1kmの平均勾配が13%を超える4級山岳ロッコーロで逃げ切りに向けたアタックがかかるはずだ。
10月17日(土)第14ステージ → コースマップ
コネリアーノ〜ヴァルドッビアーデネ 34.1km(個人TT)☆☆☆☆
今大会2回目の個人タイムトライアルはワインの一大産地を走る。コース全長は34.1kmで、主催者はトップタイムが43分前後(平均スピード47km/h前後)になると想定している。2015年大会の第14ステージ59.4km個人タイムトライアルの後半部分をほぼそのまま走るレイアウトだ。
近年ジロに度々登場する4級山岳ムーロ・ディ・カ・デル・ポッジオ(全長1.1km・平均12.3%・最大19%)を7km地点でこなすと、発泡酒プロセッコを生み出すワイン畑を横目にヴァルドッビアーデネまで。残り1kmを切ってからテクニカルな下り連続コーナーをこなして、最後は5%の登り勾配を踏んでフィニッシュを迎える。TTスペシャリストたちの活躍はもちろん、ここでリードを奪っておきたいオールラウンダーたちの力走に注目したい。
10月18日(日)第15ステージ → コースマップ
バーゼアエレアリヴォルト〜ピアンカヴァッロ 185km(山頂)☆☆☆☆
ジロ史上初めてレースがリボルト空軍基地をスタートする。イタリア空軍が誇る曲技飛行隊「フレッチェ・トリコローリ」が拠点を置く空港の滑走路をスタートし、そこからフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の山岳地帯へ。2級山岳キアンズタン(全長10.6km・平均5.4%)、2級山岳フォルチェッラ・ディ・モンテレスト(全長7.4km・平均7.5%)、2級山岳フォルチェッラ・ディ・パーラマルザーナ(全長13.3km・平均4.4%)を立て続けにクリアする。
最後に待つのが1級山岳ピアンカヴァッロ(全長14.5km・平均7.8%・最大14%)。2週目の最後、閉幕まで1週間を残したタイミングでの山頂フィニッシュだけに、前半から10%弱の勾配を淡々と刻むこの登りで本命がマリアローザを狙ってくるだろう。なお、2017年大会の第19ステージのフィニッシュ地点として登場した際にはトム・デュムラン(オランダ)が失速してマリアローザを失っている。
10月19日(月)休息日
10月20日(火)第16ステージ → コースマップ
ウーディネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ 229km ☆☆☆☆
山頂フィニッシュでもなければ、標高1,000mを超える山岳も登場しない。それでも難易度4つ星である理由は、3級山岳モンテ・ディ・ラゴーニャ(全長2.8km・平均10.4%・最大16%)が含まれた周回コースにある。ステージ後半にかけて選手たちはサンダニエーレ・デル・フリウリを起点にした全長27kmの周回コースを2周回半。急勾配の3級山岳を3回登ることになる。
さらに残り1kmを切ってから最大勾配20%の激坂が登場。急勾配区間を残り700mでクリアし、そこからさらに7%ほどの登りをこなしてようやくフィニッシュを迎える。アルデンヌクラシックやティレーノ〜アドリアティコの丘陵ステージのようなアップダウンコースはパンチャー向き。総合順位を落としてしまったクライマーたちも挽回のために攻撃を仕掛けてくるだろう。翌日から難易度5つ星の難関山岳ステージが続くが、この日も決して最後まで決して気を抜くことができない。
10月21日(水)第17ステージ → コースマップ
バッサノデルグラッパ〜マドンナ・ディ・カンピリオ 203km(山頂)☆☆☆☆☆
ドロミテの山々が選手たちの前に立ちはだかる。バッサノデルグラッパをスタートする203kmコースに登場するのは4つのカテゴリー山岳。まずは1級山岳フォルチェッラ・ヴァルボーナ(全長21.9km・平均6.6%)を越えて山岳地帯に足を踏み入れると、そこから1級山岳モンテ・ボンドーネ(全長20.2km・平均6.8%)と3級山岳デュローネ峠(全長10.4km・平均6%)を立て続けにクリアする。
最後はトレンティーノ=アルトアディジェ州のレンデナ渓谷を駆け上がり、1級山岳マドンナ・ディ・カンピリオ(全長12.5km・平均5.7%)にフィニッシュ。決して険しい山岳ではないため、タイムを奪いたい選手は中盤の1級山岳モンテ・ボンドーネ辺りから動いてくるだろう。1級山岳マドンナ・ディ・カンピリオがジロに登場するのは5年ぶり3度目。1999年に初登場した際にはマリアローザを着るマルコ・パンターニが勝利したものの、その後の血液検査でヘマトクリット値の規定値をオーバーしたためパンターニはマリアローザを着ながらレースを去っている。
10月22日(木)第18ステージ → コースマップ
ピンツォーロ〜ラーギ・ディ・カンカノ 207km(山頂)☆☆☆☆☆
果たして10月下旬に標高2,758mの峠を越えることができるのだろうか。ピンツォーロから2級山岳カンポ・カルロマーニョと1級山岳カストリン峠(全長8.8km・平均9.1%)を越えて、目指すはチーマコッピ(大会最高地点)に指定されたステルヴィオ峠(全長24.7km・平均7.5%)だ。
東側から延々と続くスイッチバックをこなして頂上にたどり着くと、休むまもなく高低差1,500mをダウンヒル。ジロ初登場となる1級山岳ラーギ・ディ・カンカノ(全長8.7km・平均6.8%)を駆け上がり、残り1.9km地点でピークを迎えてからカンカノ湖の畔でフィニッシュを迎える。21箇所のヘアピンコーナーがあるラーギ・ディ・カンカノは別名「ミニチュア・ラルプデュエズ」。マリアローザ争いにおける重要なステージになることは間違いないが、9月下旬の時点で積雪によってステルヴィオ峠は白銀の世界と化している。ステルヴィオ峠が通行止めとなった場合は南側からラーギ・ディ・カンカノを目指すコースに変更されると見られる。
10月23日(金)第19ステージ → コースマップ
モルベーニョ〜アスティ 253km ☆
巨大な山岳ステージに挟まれた、真っ平らな今大会最長ステージ。山岳地帯を離れた一行は、大都市ミラノの近郊を駆け抜け、スプマンテの産地アスティを目指す。ロンバルディア州からピエモンテ州まで、ロンバルディア平原を走るステージに起伏はない。(風が吹かなければ)マリアローザ候補たちにとって束の間の休息日となる。
スプリンターチームは激しくポジションを争いながら残り800mからの2連続コーナーをこなし、アスティのフィニッシュラインに向かってエーススプリンターを解き放つ。最終日に個人タイムトライアルが設定されているため、この日がスプリンターのラストチャンス。マリアチクラミーノ争いもほぼここで決する。
10月24日(土)第20ステージ → コースマップ
アルバ〜セストリエーレ 198km(山頂)☆☆☆☆☆
最終日前日に主催者は獲得標高差5,000mのタッポーネ(クイーンステージ)を持ってきた。198kmコースにはアルプス山脈を代表する4つの峠が組み込まれており、まずは標高2,744mの1級山岳アニェッロ峠(全長21.3km・平均6.8%)に向かって延々と登っていく。2016年大会第19ステージでマリアローザを着るステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が雪壁に衝突して落車したこのアニェッロ峠を越えるとそこはフランス。ツール・ド・フランスでもお馴染みの1級山岳イゾアール峠(全長14.2km・平均7.1%)が次に待ち構えている。
ブリアンソンの街から2級山岳モンジュネーヴルを登り切ってイタリアに戻り、最後は1級山岳セストリエーレ(全長11.4km・平均5.9%)にフィニッシュする。第18ステージと同様に積雪によるコース変更の可能性が残されているが、いずれにしてもクライマーたちにとっては最後の活躍の場であり、総合成績に再びシャッフルがかかるだろう。
10月25日(日)第21ステージ → コースマップ
チェルヌスコ・スル・ナヴィリオ〜ミラノ 15.7km(個人TT)☆☆
ジロ最終日は個人タイムトライアルもしくは平坦ステージ。2020年の第103回大会はミラノ中心部のドゥオーモ前にフィニッシュする15.7kmの個人タイムトライアルが設定された。ど平坦のコースで、ビッグギアを踏む大柄なTTスペシャリストたちがステージ優勝を争うことになりそうだ。
過去の最終日ミラノ個人タイムトライアルの結果を見ると、2012年はライダー・ヘシェダル(カナダ)がホアキン・ロドリゲス(スペイン)を逆転して総合優勝、2017年はトム・デュムラン(オランダ)がナイロ・キンタナ(コロンビア)を逆転して総合優勝。つまり最終日にマリアローザが入れ替わる可能性は決して低くない。晩秋のミラノでマリアローザを受け取るのは果たして誰か。同日フランスではパリ〜ルーベが、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージのトゥールマレー峠山頂フィニッシュが行われる。
text:Kei Tsuji
10月15日(木)第12ステージ → コースマップ
チェゼナティコ〜チェゼナティコ 204km ☆☆☆☆
毎年1万人以上の参加者を集める「グランフォンド・ノヴェコッリ」のコースをほぼそのまま辿る1日。チェゼナティコを発着する204kmコースには「ノヴェコッリ」という名前の通りアペニン山脈の峠が9つ組み込まれており(そのうち5つがカテゴリー山岳)、ステージの獲得標高差は3,840mに達する。平野部を走る序盤と終盤を除いて平坦区間は限りなく少ない。
登場する5つの山岳はいずれもカテゴリー3〜4級だが、最大勾配が12〜14%に達する登りが連続し、下りも急勾配で、しかも全体的に道が細い。中盤の3級山岳バルボットの最大勾配は17%。スプリンターが太刀打ちできるステージではないため、大逃げを狙うアタッカーたちが序盤から飛び出すだろう。逃げ屋が故マルコ・パンターニの故郷チェゼナティコでステージ優勝の栄冠を掴むことになりそうだ。
10月16日(金)第13ステージ → コースマップ
チェルヴィア〜モンセリーチェ 192km ☆☆
エミリア=ロマーニャ州のチェルヴィアからヴェネト州のモンセリーチェまで192km北上。ポー川が作り出した広大な平野を走る前半150kmは一つとして起伏がない。しかしフィニッシュまで34kmを切ったところで丘陵地帯「コッリ・エウガネイ」にレースは入っていく。そこに待ち構えるのが4級山岳ロッコーロ(全長4.1km・平均8.3%・最大20%)と4級山岳カラオーネ(全長2.1km・平均9.8%)だ。
最後の4級山岳カラオーネからフィニッシュまでは16km。2連続山岳を越えてフィニッシュするレイアウトはミラノ〜サンレモに似通っているが、平均勾配が4%前後しかないチプレッサ&ポッジオの組み合わせよりもロッコーロ&カラオーネの組み合わせの方がずっと難易度は高い。つまり勝負に絡むことができるスプリンターの数はかなり限定されるだろう。頂上手前1kmの平均勾配が13%を超える4級山岳ロッコーロで逃げ切りに向けたアタックがかかるはずだ。
10月17日(土)第14ステージ → コースマップ
コネリアーノ〜ヴァルドッビアーデネ 34.1km(個人TT)☆☆☆☆
今大会2回目の個人タイムトライアルはワインの一大産地を走る。コース全長は34.1kmで、主催者はトップタイムが43分前後(平均スピード47km/h前後)になると想定している。2015年大会の第14ステージ59.4km個人タイムトライアルの後半部分をほぼそのまま走るレイアウトだ。
近年ジロに度々登場する4級山岳ムーロ・ディ・カ・デル・ポッジオ(全長1.1km・平均12.3%・最大19%)を7km地点でこなすと、発泡酒プロセッコを生み出すワイン畑を横目にヴァルドッビアーデネまで。残り1kmを切ってからテクニカルな下り連続コーナーをこなして、最後は5%の登り勾配を踏んでフィニッシュを迎える。TTスペシャリストたちの活躍はもちろん、ここでリードを奪っておきたいオールラウンダーたちの力走に注目したい。
10月18日(日)第15ステージ → コースマップ
バーゼアエレアリヴォルト〜ピアンカヴァッロ 185km(山頂)☆☆☆☆
ジロ史上初めてレースがリボルト空軍基地をスタートする。イタリア空軍が誇る曲技飛行隊「フレッチェ・トリコローリ」が拠点を置く空港の滑走路をスタートし、そこからフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の山岳地帯へ。2級山岳キアンズタン(全長10.6km・平均5.4%)、2級山岳フォルチェッラ・ディ・モンテレスト(全長7.4km・平均7.5%)、2級山岳フォルチェッラ・ディ・パーラマルザーナ(全長13.3km・平均4.4%)を立て続けにクリアする。
最後に待つのが1級山岳ピアンカヴァッロ(全長14.5km・平均7.8%・最大14%)。2週目の最後、閉幕まで1週間を残したタイミングでの山頂フィニッシュだけに、前半から10%弱の勾配を淡々と刻むこの登りで本命がマリアローザを狙ってくるだろう。なお、2017年大会の第19ステージのフィニッシュ地点として登場した際にはトム・デュムラン(オランダ)が失速してマリアローザを失っている。
10月19日(月)休息日
10月20日(火)第16ステージ → コースマップ
ウーディネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ 229km ☆☆☆☆
山頂フィニッシュでもなければ、標高1,000mを超える山岳も登場しない。それでも難易度4つ星である理由は、3級山岳モンテ・ディ・ラゴーニャ(全長2.8km・平均10.4%・最大16%)が含まれた周回コースにある。ステージ後半にかけて選手たちはサンダニエーレ・デル・フリウリを起点にした全長27kmの周回コースを2周回半。急勾配の3級山岳を3回登ることになる。
さらに残り1kmを切ってから最大勾配20%の激坂が登場。急勾配区間を残り700mでクリアし、そこからさらに7%ほどの登りをこなしてようやくフィニッシュを迎える。アルデンヌクラシックやティレーノ〜アドリアティコの丘陵ステージのようなアップダウンコースはパンチャー向き。総合順位を落としてしまったクライマーたちも挽回のために攻撃を仕掛けてくるだろう。翌日から難易度5つ星の難関山岳ステージが続くが、この日も決して最後まで決して気を抜くことができない。
10月21日(水)第17ステージ → コースマップ
バッサノデルグラッパ〜マドンナ・ディ・カンピリオ 203km(山頂)☆☆☆☆☆
ドロミテの山々が選手たちの前に立ちはだかる。バッサノデルグラッパをスタートする203kmコースに登場するのは4つのカテゴリー山岳。まずは1級山岳フォルチェッラ・ヴァルボーナ(全長21.9km・平均6.6%)を越えて山岳地帯に足を踏み入れると、そこから1級山岳モンテ・ボンドーネ(全長20.2km・平均6.8%)と3級山岳デュローネ峠(全長10.4km・平均6%)を立て続けにクリアする。
最後はトレンティーノ=アルトアディジェ州のレンデナ渓谷を駆け上がり、1級山岳マドンナ・ディ・カンピリオ(全長12.5km・平均5.7%)にフィニッシュ。決して険しい山岳ではないため、タイムを奪いたい選手は中盤の1級山岳モンテ・ボンドーネ辺りから動いてくるだろう。1級山岳マドンナ・ディ・カンピリオがジロに登場するのは5年ぶり3度目。1999年に初登場した際にはマリアローザを着るマルコ・パンターニが勝利したものの、その後の血液検査でヘマトクリット値の規定値をオーバーしたためパンターニはマリアローザを着ながらレースを去っている。
10月22日(木)第18ステージ → コースマップ
ピンツォーロ〜ラーギ・ディ・カンカノ 207km(山頂)☆☆☆☆☆
果たして10月下旬に標高2,758mの峠を越えることができるのだろうか。ピンツォーロから2級山岳カンポ・カルロマーニョと1級山岳カストリン峠(全長8.8km・平均9.1%)を越えて、目指すはチーマコッピ(大会最高地点)に指定されたステルヴィオ峠(全長24.7km・平均7.5%)だ。
東側から延々と続くスイッチバックをこなして頂上にたどり着くと、休むまもなく高低差1,500mをダウンヒル。ジロ初登場となる1級山岳ラーギ・ディ・カンカノ(全長8.7km・平均6.8%)を駆け上がり、残り1.9km地点でピークを迎えてからカンカノ湖の畔でフィニッシュを迎える。21箇所のヘアピンコーナーがあるラーギ・ディ・カンカノは別名「ミニチュア・ラルプデュエズ」。マリアローザ争いにおける重要なステージになることは間違いないが、9月下旬の時点で積雪によってステルヴィオ峠は白銀の世界と化している。ステルヴィオ峠が通行止めとなった場合は南側からラーギ・ディ・カンカノを目指すコースに変更されると見られる。
10月23日(金)第19ステージ → コースマップ
モルベーニョ〜アスティ 253km ☆
巨大な山岳ステージに挟まれた、真っ平らな今大会最長ステージ。山岳地帯を離れた一行は、大都市ミラノの近郊を駆け抜け、スプマンテの産地アスティを目指す。ロンバルディア州からピエモンテ州まで、ロンバルディア平原を走るステージに起伏はない。(風が吹かなければ)マリアローザ候補たちにとって束の間の休息日となる。
スプリンターチームは激しくポジションを争いながら残り800mからの2連続コーナーをこなし、アスティのフィニッシュラインに向かってエーススプリンターを解き放つ。最終日に個人タイムトライアルが設定されているため、この日がスプリンターのラストチャンス。マリアチクラミーノ争いもほぼここで決する。
10月24日(土)第20ステージ → コースマップ
アルバ〜セストリエーレ 198km(山頂)☆☆☆☆☆
最終日前日に主催者は獲得標高差5,000mのタッポーネ(クイーンステージ)を持ってきた。198kmコースにはアルプス山脈を代表する4つの峠が組み込まれており、まずは標高2,744mの1級山岳アニェッロ峠(全長21.3km・平均6.8%)に向かって延々と登っていく。2016年大会第19ステージでマリアローザを着るステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が雪壁に衝突して落車したこのアニェッロ峠を越えるとそこはフランス。ツール・ド・フランスでもお馴染みの1級山岳イゾアール峠(全長14.2km・平均7.1%)が次に待ち構えている。
ブリアンソンの街から2級山岳モンジュネーヴルを登り切ってイタリアに戻り、最後は1級山岳セストリエーレ(全長11.4km・平均5.9%)にフィニッシュする。第18ステージと同様に積雪によるコース変更の可能性が残されているが、いずれにしてもクライマーたちにとっては最後の活躍の場であり、総合成績に再びシャッフルがかかるだろう。
10月25日(日)第21ステージ → コースマップ
チェルヌスコ・スル・ナヴィリオ〜ミラノ 15.7km(個人TT)☆☆
ジロ最終日は個人タイムトライアルもしくは平坦ステージ。2020年の第103回大会はミラノ中心部のドゥオーモ前にフィニッシュする15.7kmの個人タイムトライアルが設定された。ど平坦のコースで、ビッグギアを踏む大柄なTTスペシャリストたちがステージ優勝を争うことになりそうだ。
過去の最終日ミラノ個人タイムトライアルの結果を見ると、2012年はライダー・ヘシェダル(カナダ)がホアキン・ロドリゲス(スペイン)を逆転して総合優勝、2017年はトム・デュムラン(オランダ)がナイロ・キンタナ(コロンビア)を逆転して総合優勝。つまり最終日にマリアローザが入れ替わる可能性は決して低くない。晩秋のミラノでマリアローザを受け取るのは果たして誰か。同日フランスではパリ〜ルーベが、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージのトゥールマレー峠山頂フィニッシュが行われる。
text:Kei Tsuji
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