2020/09/26(土) - 01:27
9月25日、イモラサーキットにイタリア国歌「マメーリの賛歌」が響き渡った。ロード世界選手権2日目に開催された男子エリート個人タイムトライアルでフィリッポ・ガンナ(イタリア)が初優勝。ワウト・ファンアールト(ベルギー)とシュテファン・キュング(スイス)が表彰台に上っている。
強風が吹き付けるイモラの31.7km平坦コース
イモラサーキットから南西に向かい、計測ポイント(14.9km地点)が置かれたボルゴトッシニャーノの街で折り返してUターンし、北東に向かってイモラサーキットに帰着する31.7kmコースは前日の女子エリートと共通。巡航区間も長く、獲得標高差200mの平坦コースで高速バトルが繰り広げられることが予想された。
1994年の初開催以来、平均して45km程度の距離が行われることが多く、50kmを超える距離も珍しくない(2013年のフィレンツェ大会は57.9km)男子エリート個人タイムトライアルにおいて、31.7kmという距離はかなり短い。2017年のベルゲン大会の距離は今回よりも短い31kmだったが、終盤にかけて長さ3.4km/平均9.1%の登りが設定されていたため難易度は異なる。
この日も往路が向かい風で復路が追い風というコンディションに変わりないが、風は目に見えて前日よりも強く、風速40km/h前後の南西の風がコンスタントに吹き付けた。最高速が75km/hに達する高速走行に対応するため、多くの選手が58Tのチェーンリングを装着してレースに挑んでいる。
イネオス・グレナディアーズの3人が前半から快走
スタートリストに名前を連ねたのは、38カ国から集まった57名の選手たち。2014年にシリア内戦をきっかけに母国を逃れ、難民としてスイスに住んで6年目を迎えるアフマッド・ワイス(シリア)が第一走者として14時30分に最初にスタート台を駆け下りた。UCIワールドサイクリングセンサーのサポートを受け、IOCの難民五輪選手団の一員として東京五輪出場を目指す29歳のワイスは4年連続の出場となる(55位フィニッシュ)。
登り基調&向かい風を終えた計測ポイント(14.9km地点)で、イネオス・グレナディアーズがトップスリーを独占した。平均スピード49.438km/hで前半区間を駆け抜けたフィリッポ・ガンナ(イタリア)がトップタイムで折り返し、21秒遅れでディフェンディングチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア)が、36秒差でジロ・デ・イタリア総合優勝を狙うゲラント・トーマス(イギリス)が続く。下り基調&追い風の後半区間で3名ともにタイムを落としてしまうが、ガンナだけはトップを維持し続けた。
強風が吹き付けるイモラの31.7km平坦コース
イモラサーキットから南西に向かい、計測ポイント(14.9km地点)が置かれたボルゴトッシニャーノの街で折り返してUターンし、北東に向かってイモラサーキットに帰着する31.7kmコースは前日の女子エリートと共通。巡航区間も長く、獲得標高差200mの平坦コースで高速バトルが繰り広げられることが予想された。
1994年の初開催以来、平均して45km程度の距離が行われることが多く、50kmを超える距離も珍しくない(2013年のフィレンツェ大会は57.9km)男子エリート個人タイムトライアルにおいて、31.7kmという距離はかなり短い。2017年のベルゲン大会の距離は今回よりも短い31kmだったが、終盤にかけて長さ3.4km/平均9.1%の登りが設定されていたため難易度は異なる。
この日も往路が向かい風で復路が追い風というコンディションに変わりないが、風は目に見えて前日よりも強く、風速40km/h前後の南西の風がコンスタントに吹き付けた。最高速が75km/hに達する高速走行に対応するため、多くの選手が58Tのチェーンリングを装着してレースに挑んでいる。
イネオス・グレナディアーズの3人が前半から快走
スタートリストに名前を連ねたのは、38カ国から集まった57名の選手たち。2014年にシリア内戦をきっかけに母国を逃れ、難民としてスイスに住んで6年目を迎えるアフマッド・ワイス(シリア)が第一走者として14時30分に最初にスタート台を駆け下りた。UCIワールドサイクリングセンサーのサポートを受け、IOCの難民五輪選手団の一員として東京五輪出場を目指す29歳のワイスは4年連続の出場となる(55位フィニッシュ)。
登り基調&向かい風を終えた計測ポイント(14.9km地点)で、イネオス・グレナディアーズがトップスリーを独占した。平均スピード49.438km/hで前半区間を駆け抜けたフィリッポ・ガンナ(イタリア)がトップタイムで折り返し、21秒遅れでディフェンディングチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア)が、36秒差でジロ・デ・イタリア総合優勝を狙うゲラント・トーマス(イギリス)が続く。下り基調&追い風の後半区間で3名ともにタイムを落としてしまうが、ガンナだけはトップを維持し続けた。
前半区間:スタート(0km地点)〜計測ポイント(14.9km地点)走行タイム
順位 | 名前 | タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) | 0:18:05 | 49.438 |
2位 | ローハン・デニス(オーストラリア) | 0:00:21 | 48.499 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス) | 0:00:36 | 47.850 |
4位 | シュテファン・キュング(スイス) | 0:00:42 | 47.595 |
5位 | トム・デュムラン(オランダ) | 0:00:46 | 47.427 |
6位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:00:46 | 47.427 |
7位 | レミ・カヴァニャ(フランス) | 0:00:52 | 47.177 |
8位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | 0:00:53 | 47.135 |
9位 | アレックス・ドーセット(イギリス) | 0:00:59 | 46.888 |
10位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク) | 0:01:00 | 46.847 |
後半区間:計測ポイント(14.9km地点)〜フィニッシュ(31.7km地点)走行タイム
順位 | 名前 | タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) | 0:17:28 | 57.710 |
2位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク) | 0:00:07 | 57.327 |
3位 | シュテファン・キュング(スイス) | 0:00:08 | 57.273 |
4位 | レミ・カヴァニャ(フランス) | 0:00:16 | 56.842 |
5位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド) | 0:00:17 | 56.789 |
6位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) | 0:00:18 | 56.735 |
7位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア) | 0:00:20 | 56.629 |
8位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | 0:00:20 | 56.629 |
9位 | ゲラント・トーマス(イギリス) | 0:00:22 | 56.523 |
10位 | アレックス・ドーセット(イギリス) | 0:00:27 | 56.260 |
イタリアに初の個人タイムトライアル世界タイトルをもたらしたガンナ
「ジロではマリアローザ候補のトーマスをサポートする。だから今日はリスクを冒さなかった」というガンナが後半区間7位のタイムでまとめ、35分54秒のトップタイムで優勝。平均スピードが上がりにくい風のコンディションの中を、ガンナは52.981km/hで駆け抜けた。
世界選手権のトラック個人追い抜きで4分1秒934の世界記録を叩き出して優勝し、直前のティレーノ〜アドリアティコでは最終個人タイムトライアルを制しているガンナ。1年前の2019年ヨークシャー大会で3位に入った大柄なTTスペシャリスト(身長193cm/体重76kg)が、男女合わせてイタリア初となる個人タイムトライアルの世界タイトルを獲得した。
「イタリアチームとイネオス・グレナディアーズのスタッフ全員に感謝したい。夢が叶った気分だ」と、表彰台の頂上でイタリア国旗を眺めたガンナ。個人追い抜きで4回世界チャンピオンに輝いているガンナにとって、アルカンシェル獲得はトラック競技を含めて5枚目となる。
ガンナは8日後に開幕するジロ・デ・イタリアでグランツールデビューを飾る。大会初日には超高速レースが予想される下り基調&短距離の個人タイムトライアルが設定されており、当然アルカンシェルを着てのステージ優勝を狙う。期待を隠せないイタリアメディアの質問に対して、「アルカンシェルを着て走って、そしてマリアローザを獲得するのは大きな夢だよ」とガンナは笑って答えた。
「真のオールラウンダー」ファンアールトが2位
「前半にタイムを失ってしまったものの、後半にかけて力が残っていたので挽回できた」と語るのは、前半区間を6位のタイムで終えながら、後半区間を最速タイムで駆け抜けて2位に食い込んだワウト・ファンアールト(ベルギー)。ガンナよりも20秒早いタイムで後半区間を駆け抜けたが、ガンナには27秒届かなかった。ファンアールトのSTRAVAログを見ると、後半にかけて常に65km/h前後のスピードで踏んでいる。
ツール・ド・フランスのほぼ全てのステージで忙しくアシストの任務を果たし、さらにステージ2勝を飾ったファンアールトが世界選手権個人タイムトライアル初の表彰台。2日後のロードレースでもダークホースとなる。
3位に入ったのは「(グルパマFDJのエースである)ティボー・ピノが総合争いから脱落したこともあって、この世界選手権に集中するためにツールを早めに離脱させてもらった」と語るシュテファン・キュング(スイス)。2019年ヨークシャー大会のロードレースでは3位に入っているが、ヨーロッパTTチャンピオンのキュングにとっても世界選手権個人タイムトライアルの表彰台は初となる。
トーマスとデニスのイネオスコンビが最終的に4位と5位に入り、後半区間で挽回したカスパー・アスグリーン(デンマーク)とレミ・カヴァニャ(フランス)のドゥクーニンクコンビが6位と7位。アワーレコーダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)が8位、チームスポンサー外の黒塗りバイク(スペシャライズド)に乗ったアレックス・ドーセット(イギリス)が9位、レース中盤にオーバーランで落車しかけたトム・デュムラン(オランダ)が10位に。
2年連続ノルウェー選手権個人タイムトライアルでUCIワールドチームライダーを蹴散らして優勝し、来季サンウェブ入りが決まっている21歳アンドレアス・レクヌスン(ノルウェー)が13位。2017年から3年連続U23カテゴリーで世界チャンピオンに輝いている21歳ミッケル・ビョーグ(デンマーク)が17位に入っている。
ロード世界選手権2020男子エリート個人タイムトライアル結果
text&photo:Kei Tsuji in Imola, Italy
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