今年92回目を迎えた伝統の一戦、ジロ・デッラ・トスカーナに新城幸也(バーレーン・マクラーレン)と入部正太朗(NTTプロサイクリング)が出場。新城の牽引によって集団スプリントに持ち込まれ、超ロングスプリントを繰り出したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が圧勝した。
スタートを待つ新城幸也(バーレーン・マクラーレン) photo:CorVos
トスカーナ出身のパオロ・ベッティーニがマイクを携えて登場 photo:CorVos
この日終盤にアタックを仕掛けるジャコポ・モスカ(イタリア、イタリアナショナルチーム) photo:CorVos
ジロ・デッラ・トスカーナ2020 コースマップ (c)www.girodellatoscana.com9月16日(水)に開催されたジロ・デッラ・トスカーナ(UCI1.1)は、その名の通りイタリア中部のトスカーナ州を舞台にしたワンデーレース。1940〜1950年代にプロ選手として活躍し、後年はイタリア代表チームの監督を務めたアルフレード・マルティニ氏(2014年逝去)の名を冠した平坦レースで、翌日開催のコッパ・サバティーニ(UCI1.Pro)と同主催者によって開催されている。
1923年に初開催され今年92回目を迎えた歴史ある大会には、先月30日のポワトゥーシャラント以来ピレネー山脈で高地トレーニングを積み好調という新城幸也(バーレーン・マクラーレン)と、全日本王者の入部正太朗(NTTプロサイクリング)が出場。昨年の全日本選手権で1位と2位を分け合った二人のほか、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)といった有力スプリンターがスタートラインに並んだ。
終盤に入ってコナー・ブラウン(ニュージーランド、NTTプロサイクリング)やクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)、マティアス・イェルゲンセン(デンマーク、モビスター)らが入った逃げとの差が1分を割り込むと、メイン集団からは絶え間なく抜け出しが掛かった。ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)とジャコポ・モスカ(イタリア、イタリアナショナルチーム)、マウロ・フィネット(イタリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)といったメンバーが逃げ集団を捉えてスプリンターチームの出方をうかがった。
残り10kmを過ぎると序盤からの逃げメンバーと集団を抜け出したメンバーが合流し、15名近くが逃げるシーンも見られたものの、メイン集団では新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が力強い牽引を行って逃げグループを引き戻す。フィニッシュまで8.2km地点で「グルッポ・コンパット」した後もアタックが続いたが、新城などスプリンターチームの牽引役を担う選手たちが冷静に対処。猛烈なペースによって、集団が一列棒状に引き伸ばされた状態で最終ストレートへと突入した。
超ロングスプリントで勝利したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
ニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル)がフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)やブアニを引き連れてリードアウトを行ったが、残り500mを割り込んだタイミングで猛加速したのはガビリアだった。「トラブルを避けるためにやや後方に位置取っていた時、早めのスプリントで仕掛けるチャンスを見出した」と振り返るガビリアがトップスピードで先行。奇襲を食らったライバル勢はパニックに陥った。
負けを悟ったブアニは踏み止め、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)やロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が遅れて加速するもUAEチームエミレーツの今季25勝目を目指して突き進むガビリアとの差は縮まらない。400m以上を踏み抜いたガビリアがフィニッシュライン上で大きく手を広げた。
「いつだってゼッケンを付ければトライして勝ちたいという気持ちになる。ティレーノ(〜アドリアティコ)では何度かミスをしてしまったが、そこからリカバリーしてチームと共に良い走りができた。早いタイミングでのスプリントだったけれど、大きなリードを稼ぐことができ、幸い誰一人として僕を追い抜くことはできなかった」と、今一度最強スプリンターの一人であることを証明したガビリアは余裕のコメントを残している。
またこの日、重要局面で集団を引き倒した新城は先頭集団内の52位でフィニッシュし、入部はレースを途中で降りることに。
新城はチームユキヤ通信にて「2週間振りのレースでどうなるか、ワクワクしてた。バッタリンがチームリーダーでスプリントの可能性が大きいが、集団が割れる事もある。と言うことで、どちらでも対応出来るように走ろうと思っていた。逃げのメンバーが強くてそれを追いかける為に、集団はどんどん加速していった。自分の調子は疲れがまだ残っているのか、フレッシュな脚が足りなかったかな。集団からは遅れないが、自分からアタックするなど動く事が出来なかった。残り15kmに15人ほどを逃がしてしまい、3チームで必死なって追いかけたが、エンジンかかるのが遅い日だった。今日はちょっと不発だったが、明日は良くなっているでしょう」と語る。
入部はシクロワイアードに対して「今回は新城さんと同じレースでしたが、レース中もお話する事が出来て嬉しかったです。新城さんは自チームの為に凄い仕事量をこなしておられました。僕は自チームに対して正直十分な仕事はこなせていません。とにかく1つ1つ改善して次のレースに繋げていくしかありません。明日もチームの為に一生懸命頑張ります」とコメントを残している。




1923年に初開催され今年92回目を迎えた歴史ある大会には、先月30日のポワトゥーシャラント以来ピレネー山脈で高地トレーニングを積み好調という新城幸也(バーレーン・マクラーレン)と、全日本王者の入部正太朗(NTTプロサイクリング)が出場。昨年の全日本選手権で1位と2位を分け合った二人のほか、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)といった有力スプリンターがスタートラインに並んだ。
終盤に入ってコナー・ブラウン(ニュージーランド、NTTプロサイクリング)やクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)、マティアス・イェルゲンセン(デンマーク、モビスター)らが入った逃げとの差が1分を割り込むと、メイン集団からは絶え間なく抜け出しが掛かった。ジャンニ・モスコン(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)とジャコポ・モスカ(イタリア、イタリアナショナルチーム)、マウロ・フィネット(イタリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)といったメンバーが逃げ集団を捉えてスプリンターチームの出方をうかがった。
残り10kmを過ぎると序盤からの逃げメンバーと集団を抜け出したメンバーが合流し、15名近くが逃げるシーンも見られたものの、メイン集団では新城幸也(バーレーン・マクラーレン)が力強い牽引を行って逃げグループを引き戻す。フィニッシュまで8.2km地点で「グルッポ・コンパット」した後もアタックが続いたが、新城などスプリンターチームの牽引役を担う選手たちが冷静に対処。猛烈なペースによって、集団が一列棒状に引き伸ばされた状態で最終ストレートへと突入した。

ニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル)がフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)やブアニを引き連れてリードアウトを行ったが、残り500mを割り込んだタイミングで猛加速したのはガビリアだった。「トラブルを避けるためにやや後方に位置取っていた時、早めのスプリントで仕掛けるチャンスを見出した」と振り返るガビリアがトップスピードで先行。奇襲を食らったライバル勢はパニックに陥った。
負けを悟ったブアニは踏み止め、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)やロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が遅れて加速するもUAEチームエミレーツの今季25勝目を目指して突き進むガビリアとの差は縮まらない。400m以上を踏み抜いたガビリアがフィニッシュライン上で大きく手を広げた。
「いつだってゼッケンを付ければトライして勝ちたいという気持ちになる。ティレーノ(〜アドリアティコ)では何度かミスをしてしまったが、そこからリカバリーしてチームと共に良い走りができた。早いタイミングでのスプリントだったけれど、大きなリードを稼ぐことができ、幸い誰一人として僕を追い抜くことはできなかった」と、今一度最強スプリンターの一人であることを証明したガビリアは余裕のコメントを残している。
またこの日、重要局面で集団を引き倒した新城は先頭集団内の52位でフィニッシュし、入部はレースを途中で降りることに。
新城はチームユキヤ通信にて「2週間振りのレースでどうなるか、ワクワクしてた。バッタリンがチームリーダーでスプリントの可能性が大きいが、集団が割れる事もある。と言うことで、どちらでも対応出来るように走ろうと思っていた。逃げのメンバーが強くてそれを追いかける為に、集団はどんどん加速していった。自分の調子は疲れがまだ残っているのか、フレッシュな脚が足りなかったかな。集団からは遅れないが、自分からアタックするなど動く事が出来なかった。残り15kmに15人ほどを逃がしてしまい、3チームで必死なって追いかけたが、エンジンかかるのが遅い日だった。今日はちょっと不発だったが、明日は良くなっているでしょう」と語る。
入部はシクロワイアードに対して「今回は新城さんと同じレースでしたが、レース中もお話する事が出来て嬉しかったです。新城さんは自チームの為に凄い仕事量をこなしておられました。僕は自チームに対して正直十分な仕事はこなせていません。とにかく1つ1つ改善して次のレースに繋げていくしかありません。明日もチームの為に一生懸命頑張ります」とコメントを残している。
ジロ・デッラ・トスカーナ2020結果
1位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 4:14:36 |
2位 | ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)) | |
4位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス) | |
5位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、スイスナショナルチーム) | |
6位 | ルーカ・パチオーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
7位 | ユルゲン・ルーランツ(ベルギー、モビスター) | |
8位 | フロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
9位 | アンドレア・パスクァロン(イタリア、サーカス・ワンティゴベール) | |
10位 | イメリオ・チーマ(イタリア、ガスプロム・ルスヴェロ) | |
52位 | 新城幸也(バーレーン・マクラーレン) | |
DNF | 入部正太朗(NTTプロサイクリング) | - |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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