アンドラのパル・アリンサルで開催されたUCI MTBワールドカップ。アンドラに住むトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)が今季最初で最後のMTBレースに出場して圧勝した。

アンドラで開催されたワールドカップ。今年はコース変更によって、よりダイナミックなレースが繰り広げられた photo:UCI

XCC女子:アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)がスプリント勝利 photo:UCI 
XCC男子:波に乗るルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング)が勝利 photo:UCI
アンドラのパル・アリンサルで開催されたUCI MTBワールドカップ。ヨーロッパで1週間前に開催されたナショナル選手権を経て、再びトップ選手たちが顔を揃えた。
MTBレースはスキーリゾート地で開催されるのが常だが、ピレネー山脈の高地に位置するパル・アリンサルは誰にとっても厳しい場所。1周あたり160mに及ぶ標高差と、数々のクラッシュやパンクにつながるテクニカルな下りが選手たちを苦しめた。
女子エリート:パンクと落車を乗り越えたマクスウェルが独走勝利
女子エリートレースを制したのは、W杯ランキング首位を走るサマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム)だった。

トラブルを乗り越えて勝利したサマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム) photo:UCI
序盤にはロアナ・ルコント(フランス、BMCファクトリーレーシング)がロックガーデンで落車してルコントはDNF。勢い良く先頭を走っていたマクスウェルは後輪パンクと2度の落車によって合計47秒を失ったものの、追撃の勢いが止まることはなかった。
その間にアタックモードに入った世界女王のプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)だったが、やはりロックガーデンで落車してメカトラブルを誘発。ジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン、キャニオン・CLLCTV)やアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)がバトルを繰り広げる先頭グループに、淡々と追走したマクスウェルが合流。最終周回の登坂区間で一気にリードを奪い取った。

XCO女子エリート表彰台 photo:UCI
今シーズンブレイク中のマクスウェルが今季W杯2勝目を獲得。「パンクと2度のクラッシュがたった5秒ほどの間に起きた。パニックになって順位を落としてしまうような日になるだろうと思った。でも私はファイターだから、ただ気持ちを切り替えて、ライバルたちを一人ずつ打ち負かしていった」と語るマクスウェルがW杯ポイントランキングで更にリード。2位はケラー、3位は追走で脚を使い切ったリスヴェッズだった。
男子エリート:今季MTB初参戦、ピドコックが圧勝
男子エリートの注目は、なんといってもトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)の参戦だ。アルデンヌクラシックとジロ・デ・イタリアに参戦し、レッドブルのダウンヒルチャレンジなどを経て、居住するアンドラでのMTBワールドカップに戻ってきた。

圧勝したトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) photo:UCI
五輪覇者の証であるゴールドジャージに身を包んだピドコック。4列目スタートというビハインドを一気にひっくり返し、オープニングラップでは14位に上がり、2周目には第2グループを追い抜き、3周目には先頭をひた走っていたルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング)に合流。3番手以降を突き放しながら暫くランデブーを続けたものの、短い登坂区間でピドコックが爆発的なアタックを仕掛けた。
1週間前にフランスナショナルチャンピオンに輝き、土曜日のショートトラックを制して波に乗るマルタンは引き離されながらも粘り強く追走していたが、全8周回中の6周目にリアパンクでピットイン。さらにメカニックのミスが連発して決定的な遅れを喫してしまった。
最終周回突入時点で、マルタンに47秒差をつけたピドコックが、第二の故郷のファンの前で危なげなく独走勝利。マルタンは21秒差まで追い上げて2位だった。

ニノ・シューター(スイス、スコット・スラム)は7位で復調の兆し photo:UCI 
2位でフィニッシュしたルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング) photo:UCI

XCO男子エリート表彰台 photo:UCI
「ようやく地元で勝てて本当に嬉しいよ。ここは決して簡単なコースじゃない。レース経験不足のせいで、タイヤに空気を入れ過ぎてしまった。でも、パンクもトラブルもなかったので、それがプラスに働いたように思う。良いスタートが切れるか不安だったし、もし4列目から後退していたら、かなりキツいレースになったと思う」とピドコックは言う。「この高地でレースをするのは誰にとっても大変なこと。もう今年はMTBレースを走らないと思う。来年はもう少しレースに出場したいと思っているよ」と加えている。



アンドラのパル・アリンサルで開催されたUCI MTBワールドカップ。ヨーロッパで1週間前に開催されたナショナル選手権を経て、再びトップ選手たちが顔を揃えた。
MTBレースはスキーリゾート地で開催されるのが常だが、ピレネー山脈の高地に位置するパル・アリンサルは誰にとっても厳しい場所。1周あたり160mに及ぶ標高差と、数々のクラッシュやパンクにつながるテクニカルな下りが選手たちを苦しめた。
女子エリート:パンクと落車を乗り越えたマクスウェルが独走勝利
女子エリートレースを制したのは、W杯ランキング首位を走るサマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム)だった。

序盤にはロアナ・ルコント(フランス、BMCファクトリーレーシング)がロックガーデンで落車してルコントはDNF。勢い良く先頭を走っていたマクスウェルは後輪パンクと2度の落車によって合計47秒を失ったものの、追撃の勢いが止まることはなかった。
その間にアタックモードに入った世界女王のプック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)だったが、やはりロックガーデンで落車してメカトラブルを誘発。ジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン、キャニオン・CLLCTV)やアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)がバトルを繰り広げる先頭グループに、淡々と追走したマクスウェルが合流。最終周回の登坂区間で一気にリードを奪い取った。

今シーズンブレイク中のマクスウェルが今季W杯2勝目を獲得。「パンクと2度のクラッシュがたった5秒ほどの間に起きた。パニックになって順位を落としてしまうような日になるだろうと思った。でも私はファイターだから、ただ気持ちを切り替えて、ライバルたちを一人ずつ打ち負かしていった」と語るマクスウェルがW杯ポイントランキングで更にリード。2位はケラー、3位は追走で脚を使い切ったリスヴェッズだった。
男子エリート:今季MTB初参戦、ピドコックが圧勝
男子エリートの注目は、なんといってもトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)の参戦だ。アルデンヌクラシックとジロ・デ・イタリアに参戦し、レッドブルのダウンヒルチャレンジなどを経て、居住するアンドラでのMTBワールドカップに戻ってきた。

五輪覇者の証であるゴールドジャージに身を包んだピドコック。4列目スタートというビハインドを一気にひっくり返し、オープニングラップでは14位に上がり、2周目には第2グループを追い抜き、3周目には先頭をひた走っていたルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング)に合流。3番手以降を突き放しながら暫くランデブーを続けたものの、短い登坂区間でピドコックが爆発的なアタックを仕掛けた。
1週間前にフランスナショナルチャンピオンに輝き、土曜日のショートトラックを制して波に乗るマルタンは引き離されながらも粘り強く追走していたが、全8周回中の6周目にリアパンクでピットイン。さらにメカニックのミスが連発して決定的な遅れを喫してしまった。
最終周回突入時点で、マルタンに47秒差をつけたピドコックが、第二の故郷のファンの前で危なげなく独走勝利。マルタンは21秒差まで追い上げて2位だった。



「ようやく地元で勝てて本当に嬉しいよ。ここは決して簡単なコースじゃない。レース経験不足のせいで、タイヤに空気を入れ過ぎてしまった。でも、パンクもトラブルもなかったので、それがプラスに働いたように思う。良いスタートが切れるか不安だったし、もし4列目から後退していたら、かなりキツいレースになったと思う」とピドコックは言う。「この高地でレースをするのは誰にとっても大変なこと。もう今年はMTBレースを走らないと思う。来年はもう少しレースに出場したいと思っているよ」と加えている。
UCI MTBワールドカップ2025 第11戦 XCO女子エリート結果
1位 | サマラ・マクスウェル(ニュージーランド、デカトロン・フォードレーシングチーム) | 1:25:31 |
2位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | 1:25:40 |
3位 | ジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン、キャニオン・CLLCTV) | 1:25:46 |
4位 | マルティナ・ベルタ(イタリア、オリジンレーシングディヴィジョン) | 1:25:57 |
5位 | ニコール・コラー(スイス、ゴーストファクトリーレーシング) | 1:26:36 |
UCI MTBワールドカップ2025 第11戦 XCO男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | 1:20:30 |
2位 | ルカ・マルタン(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング) | 1:20:51 |
3位 | チャーリー・アルドリッジ(イギリス、キャノンデールファクトリーレーシング) | 1:21:22 |
4位 | マティス・アザロ(フランス、オリジンレーシングディヴィジョン) | 1:21:34 |
5位 | ルカ・ブライド(イタリア、ウィリエール・ヴィットリアファクトリーチーム) | 1:21:46 |
text:So Isobe
photo:UCI
photo:UCI
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