2020/09/14(月) - 14:11
9月12日から13日の2日間に渡り、福島県の泉崎国際サイクルスタジアムで「2020全日本学生トラック自転車競技大会」が開催された。今年度初となる大学生のトラック公式戦の模様をレポートする。
1周333.3m、最大バンク角38度の泉崎国際サイクルスタジアム photo:Satoru Kato
「2020全日本学生トラック自転車競技大会」は、当初6月に予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて延期され、この時期の開催となった。大学生の全国大会と言えば「大学対抗選手権(=インカレ)」が挙げられるが、団体戦のインカレに対し、個人戦の位置付けとなる大会。そのため、チームスプリントやチームパーシュートのような団体種目は行われず、個人種目が中心となる。
日本学生自転車競技連盟が主催するトラック種目の大会としては、今年3月に「全日本学生TRS第6戦 小田原3月ラウンド」が開催されているが、4月以降の新年度になってからはこの大会が初の公式戦となる。
会場は1周333.3mの屋外トラックをもつ泉崎国際サイクルスタジアム。昨年のインカレの会場となった長野県松本市の美鈴湖自転車競技場とほぼ同じ周長だが、最大バンク角は美鈴湖の36度に対して38度。2度の違いとは言え、見た目は美鈴湖よりも急角度に感じる。
入口では全ての入場者が検温を受ける photo:Satoru Kato
受付に備えられた消毒用アルコール photo:Satoru Kato
他の大会と同様に、会場入り口での検温、会場内でのマスク着用義務付けなど、新型コロナウィルス 感染拡大防止策を取っての開催となった。また、宿泊を伴う部活の遠征を禁じている大学もあることから、通常なら予選と決勝を2日間に分ける種目を1日で行うなど、日帰りでも参加できるスケジュールが組まれた。
1日目 大雨によりタイム系種目のみに変更
初日は大雨が予想されたため、当初予定されていたスクラッチとポイントレース、タンデムスプリントは中止され、全てタイムトライアル種目に変更されて行われた。午前中に一時走路が乾いた時間帯があったものの、雨で濡れた走路は「ストレートでも滑る」という感想が聞かれるほどだった。
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「2020全日本学生トラック自転車競技大会」は、当初6月に予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて延期され、この時期の開催となった。大学生の全国大会と言えば「大学対抗選手権(=インカレ)」が挙げられるが、団体戦のインカレに対し、個人戦の位置付けとなる大会。そのため、チームスプリントやチームパーシュートのような団体種目は行われず、個人種目が中心となる。
日本学生自転車競技連盟が主催するトラック種目の大会としては、今年3月に「全日本学生TRS第6戦 小田原3月ラウンド」が開催されているが、4月以降の新年度になってからはこの大会が初の公式戦となる。
会場は1周333.3mの屋外トラックをもつ泉崎国際サイクルスタジアム。昨年のインカレの会場となった長野県松本市の美鈴湖自転車競技場とほぼ同じ周長だが、最大バンク角は美鈴湖の36度に対して38度。2度の違いとは言え、見た目は美鈴湖よりも急角度に感じる。
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他の大会と同様に、会場入り口での検温、会場内でのマスク着用義務付けなど、新型コロナウィルス 感染拡大防止策を取っての開催となった。また、宿泊を伴う部活の遠征を禁じている大学もあることから、通常なら予選と決勝を2日間に分ける種目を1日で行うなど、日帰りでも参加できるスケジュールが組まれた。
1日目 大雨によりタイム系種目のみに変更
初日は大雨が予想されたため、当初予定されていたスクラッチとポイントレース、タンデムスプリントは中止され、全てタイムトライアル種目に変更されて行われた。午前中に一時走路が乾いた時間帯があったものの、雨で濡れた走路は「ストレートでも滑る」という感想が聞かれるほどだった。
■タンデム1kmタイムトライアル
男子タンデム1kmタイムトライアル 1位 中央大学(東矢・保田) photo:Satoru Kato
男子タンデム1kmタイムトライアル 2位 早稲田大学(安倍・川村) photo:Satoru Kato
男子タンデム1kmタイムトライアル 3位 日本大学(三浦・林) photo:Satoru Kato
大学の自転車競技の特色でもある「タンデム」は、雨のためスプリントから1kmタイムトライアルに変更して行われた。急遽変更によりスタートから苦戦するチームが多い中、中央大学が優勝した。
中央大学・東矢桂吾 コメント
「雨で滑りやすくなっていて滅茶苦茶怖かったです。前に走ったチームが滑って転んでいたので、とりあえず安全に行くことを心がけました。来月は競輪学校の試験を受けるのですが、インカレ(※)がその1週間前になるので、出るか出ないかはまだ決まっていないです。出るなら優勝を目指したいので、この1ヶ月は両立してやっていきたいです」
中央大学・保田浩輔コメント
「タンデムでは初めての1kmタイムトライアルで、ゼロスタートも初めてだったのですが、特に最初は2人の息を合わせないと進まないので、そこを意識して走りました。今年度初の公式戦でしたが、観客がいなかったので気分的に上げづらかったです。この大会で来月のインカレ(※)のメンバーが決まるのですが、自分の出る種目で全力で頑張りたいです」
※今年は「全日本大学自転車競技大会」の名称で開催(後述)
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大学の自転車競技の特色でもある「タンデム」は、雨のためスプリントから1kmタイムトライアルに変更して行われた。急遽変更によりスタートから苦戦するチームが多い中、中央大学が優勝した。
中央大学・東矢桂吾 コメント
「雨で滑りやすくなっていて滅茶苦茶怖かったです。前に走ったチームが滑って転んでいたので、とりあえず安全に行くことを心がけました。来月は競輪学校の試験を受けるのですが、インカレ(※)がその1週間前になるので、出るか出ないかはまだ決まっていないです。出るなら優勝を目指したいので、この1ヶ月は両立してやっていきたいです」
中央大学・保田浩輔コメント
「タンデムでは初めての1kmタイムトライアルで、ゼロスタートも初めてだったのですが、特に最初は2人の息を合わせないと進まないので、そこを意識して走りました。今年度初の公式戦でしたが、観客がいなかったので気分的に上げづらかったです。この大会で来月のインカレ(※)のメンバーが決まるのですが、自分の出る種目で全力で頑張りたいです」
※今年は「全日本大学自転車競技大会」の名称で開催(後述)
男子・タンデム1kmタイムトライアル
1位 | 中央大学(東矢桂吾・保田浩輔) | 1分6秒59 |
2位 | 早稲田大学(安倍大成・川村峻輝) | 1分7秒25 |
3位 | 日本大学(三浦生誠・林佳宗依) | 1分8秒63 |
■男子1kmタイムトライアル・女子500mタイムトライアル
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この種目には、中止となった男子スクラッチと男女ポイントレースに出場予定だった選手の振替え出走が認められて行われた。一時的に走路が乾いたタイミングで行われたこともあり、男子1kmタイムトライアルでは村田祐樹(日本体育大学)が1分3秒台、女子500mタイムトライアルでは松井優佳(同志社大学)が37秒台の好タイムを出した。
男子1km・女子500m タイムトライアル 結果
男子・1km | 女子・500m | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 村田祐樹(日本体育大学) | 1分3秒260 | 松井優佳(同志社大学) | 37秒45 |
2位 | 福田健太(中央大学) | 1分4秒140 | 松本詩乃(日本体育大学) | 37秒80 |
3位 | 安倍大成(早稲田大学) | 1分5秒940 | 中村愛花(日本体育大学) | 38秒03 |
■男女インディヴィデュアル・パーシュート
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この種目も、中止となった男子スクラッチ 、男女ポイントレースに出場予定の選手の振替え出走が認められた。再び雨が降り始めて慎重な走りをする選手が多い中、男子は安達光伸(朝日大学)が昨年のインカレ予選2位に相当する好タイムをマーク。女子は中村愛花(日本体育大学)が3分55秒台を出して優勝した。
インディヴィデュアル・パーシュート 結果
男子・4km | 女子・3km | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 安達光伸(朝日大学) | 4分33秒80 | 中村愛花(日本体育大学) | 3分55秒67 |
2位 | 松﨑広太(法政大学) | 4分36秒88 | 菅原朱音(八戸学院大学) | 3分57秒07 |
3位 | 關根論容(日本体育大学) | 4分40秒13 | 太郎田水桜(法政大学) | 4分3秒45 |
2日目 スプリント男女予選で新記録が誕生
2日目午前中は青空が見えるほどとなったものの、午後から天気の急変が予想されていたため、午後からの種目は時間を繰り上げて行われた。そのため予定よりも1時間ほど早く終了し、幸いにもレース中に雨が降ることは無かった。
■スプリント
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男子は、予選の200mフライングタイムトライアルで、手動計測の学連新記録となる9秒72を出した中野慎詞(早稲田大学)が塩島嵩一郎(明治大学)と決勝で対戦。2本連取して優勝した。
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女子は、予選で手動計測の大会記録となる11秒57を出した松井優佳(同志社大学)が、この種目のインカレチャンピオンである松本詩乃(日本体育大学)を決勝で下して優勝。前日の500mタイムトライアルと合わせて2勝を挙げた。
松井優佳コメント
「今年は大学の授業が全てオンラインなので、母校のある鹿児島県で自分より格上の選手達と実践的なトレーニングをしてきました。自己ベストも更新出来ていたので、それが発揮出来たので良かったです。しっかり練習してきたので久しぶりの大会という感触はなく、いつも通りに走れたのが良かったと思います。
500mTTをメインにやってきたので、来月のインカレ(※)で500mTTが無くなってしまったのが残念なのですが、苦手意識のあったスプリントが今回思ったよりもうまく走れたので、来月に向けて改めて練習を頑張りたいと思っています」
※今年は「全日本大学自転車競技大会」の名称で開催(後述)
スプリント 結果(タイムは予選時)
男子 | 女子 | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 中野慎詞(早稲田大学) | 9秒72(学連新・手動) | 松井優佳(同志社大学) | 11秒570(大会新・手動) |
2位 | 塩島嵩一郎(明治大学) | 10秒20(予選6位) | 松本詩乃(日本体育大学) | 11秒630(予選2位) |
3位 | 治田知也(日本大学) | 10秒16(予選5位) | 阿部セラ(法政大学) | 12秒040(予選3位) |
4位 | 真鍋智寛(鹿屋体育大学) | 10秒04(予選2位) | 中富尚子(京都産業大学) | 12秒190(予選4位) |
男子ケイリン決勝 結果
1位 | 東矢桂吾(中央大学) | 10秒77 |
2位 | 中原航大(法政大学) | |
3位 | 森田一郎(朝日大学) | |
4位 | 出口謙一郎(朝日大学) | |
5位 | 市田龍生都(中央大学) | |
6位 | 保田浩輔(中央大学) |
■男子マディソン
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レース中盤から日本大学の2チームと早稲田大学が先頭集団を形成し、後続に半周以上の差をつけて周回。日本大学の2チームが交互に1位通過を繰り返してポイントを重ね、終盤には第2集団を周回遅れにする。最後は日本大学同士の勝負となり、1位フィニッシュした兒島直樹・高橋舜組が優勝。佐藤健・生野優翔組が2位となり、日本大学が1位・2位を独占した。
マディソン 結果
1位 | 日本大学(兒島直樹・高橋舜) | 38p |
2位 | 日本大学(佐藤健・生野優翔) | 29p |
3位 | 早稲田大学(小野寛斗・河野翔輝) | 16p |
「全日本大学自転車競技大会」を10月に開催「インカレ」の呼称は使わず
今年は、「インカレ」改め「全日本大学自転車競技大会(以下全日本大学大会)」が、 10月10日と11日にトラック種目、10月17日にロードレースが行われる。「インカレ」の名前を使わないのは、コロナ禍によりオンライン講義が続く大学が多く、宿泊を伴う遠征を禁じるなど部活が制限されている大学もあることを考慮したため。トラック種目は3日間かけるところを、オリンピック種目に絞って2日間開催としている。
今大会は、前週に行われた「全日本学生個人ロードレース大会(群馬CSCで開催)」とあわせ、全日本大学大会の1ヶ月前となるこの時期に調整・確認のための大会でもある。一方で、今大会初日に行われた種目は全日本大学大会では行われないため、今年唯一の公式戦となりそうだ。
今後の見通しについて、日本学生自転車競技連盟の松倉理事長は、「新型コロナウィルスの騒動が収束に向かうにはまだ時間がかかると思われ、来年も今年と同様な方法での開催を検討していかねばならないだろう」と語る。
今大会と同日程で、インターハイの代替大会となる「2020JCSPAジュニアサイクルスポーツ大会 全国大会」が、京都向日町競輪場で開催された。高校生や大学生の目標となる大会が、どんな形であれ開催され続けることを願いたい。
text&photo:Satoru Kato
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