2020/08/16(日) - 10:25
逃げグループ内のステージ争いとメイン集団内の総合争いが並行して行われたクリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージ。ベテラン勢を退けた23歳レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)が逃げ切り勝利を飾り、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)は落車しながらも総合首位を守った。
前半から1級山岳を含む峠が連発するクリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージの獲得標高差は4,200m。難関山岳コースの後半には、残り50kmを切ってから標高1,723mの超級山岳モンテ・ド・ビザンヌ(距離12.4km/平均8.2%)と2級山岳メジェーヴ(距離7.4km/平均4.7%)が登場する。
最終日を前にしたこの山岳バトル第4ラウンドの舞台に、2019年ツール・ド・フランス覇者エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)は現れなかった。総合7位につけていたベルナルは背中の痛みによりこのツール前哨戦を早めに切り上げ、ツール本戦に向けて療養。これによりチームイネオスの総合エースは総合18位のパヴェル・シヴァコフ(ロシア)にスイッチした。
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)のファーストアタックで始まったレースは、最終的に15人の逃げグループが先行する形で前半の連続1級山岳を越えていく。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス)といった強豪揃いの逃げの中で、山岳ポイントを連取したダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)はチームメイトのダヴィデ・フォルモロ(イタリア)から山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功している。
ユンボ・ヴィスマが牽引する3〜4分遅れのメイン集団では前半から落車が多発した。まずは29km地点で総合3位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)や総合17位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が落車し、それぞれリタイアを余儀なくされる。同じく落車に巻き込まれた総合2位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)はレースを続行。続いて82km地点で落車したイエロージャージのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は身体の各所に打撲や擦過傷を負いながらもレースを継続した。
この日最大の難所である超級山岳モンテ・ド・ビザンヌに差し掛かった時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は3分40秒。アタックによってスピードの上げ下げを繰り返しながらここで逃げグループは8人(アラフィリップ、デラクルス、マスナダ、エリッソンド、クフィアトコフスキ、ヘイグ、ケムナ、ヒルシ)に絞られる。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは5分21秒遅れのケムナ。無理に逃げグループを捕まえる必要のない(タイム差が5分以内であれば逃げ切られても問題ない)ユンボ・ヴィスマに代わってバーレーン・マクラーレンがペースアップを試み、頂上手前でシヴァコフらがアタックした結果、メイン集団は8人に絞られた状態で標高1,723mの頂上に達した。逃げグループが約39分00秒(VAM1,530)かけてこなした超級山岳モンテ・ド・ビザンヌを、メイン集団は約36分50秒(VAM1,640)でクリアしている。
タイム差が1分30秒にまで縮まった逃げグループ吸収も時間の問題と思われたが、その後の下り区間でバーレーン・マクラーレンが攻撃の手を緩めたためメイン集団はペースダウン。登りで遅れていたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)らが復帰し、30人ほどに人数を増やしたメイン集団は再びユンボ・ヴィスマのコントロール下に置かれる。逃げグループとのタイム差は再び広がり、先頭8人の逃げ切りが決まった。
最後の2級山岳メジェーヴに入ってすぐ飛び出したケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)にデラクルスとケムナが追いつき、そこから若いケムナが踏んでいく。出遅れたアラフィリップやクフィアトコフスキは挽回することができず、追いすがるデラクルスに41秒差をつけたケムナがステージ優勝を飾った。
落車の影響を感じさせない走りを見せたピノとログリッチを先頭にメイン集団は3分01秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
タイムトライアルも得意とするドイツ期待の若手オールラウンダーがプロ初勝利。今年サンウェブからボーラ・ハンスグローエに移籍したケムナは、2017年ロード世界選手権U23ロードレースで2位に入り、初出場した2019年ツール・ド・フランスの第15ステージ6位、第18ステージ4位(総合40位)。体重65kgのケムナは超級山岳モンテ・ド・ビザンヌを平均出力350Wで踏み、残り3km地点からフィニッシュまで6分10秒間にわたって平均377Wを出力している。
「クリテリウム・デュ・ドーフィネという大舞台でプロ初勝利を飾ることができて本当に嬉しい。今日は元々エム(落車リタイアしたブッフマン)を前で待つ作戦だったんだ。最後から2つ目の登り(超級山岳モンテ・ド・ビザンヌ)でアタックする彼をアシストする予定だった。彼の怪我の回復を願うとともに、今はこの勝利を祝福したい」。この日の活躍によりケムナは総合14位に浮上。今後はドイツ選手権とツール・ド・フランスへの出場を予定している。
ログリッチは落車による怪我を負いながらも総合リードをキープ。ユンボ・ヴィスマのグリシャ・ニアマン監督は「酷い落車だったが幸いプリモシュは力強い走りで問題なくフィニッシュした。今夜怪我の様子を見て翌朝判断を下したい」とコメントしている。ログリッチはピノから14秒のリードをもって最終ステージに挑むことになった。
前半から1級山岳を含む峠が連発するクリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージの獲得標高差は4,200m。難関山岳コースの後半には、残り50kmを切ってから標高1,723mの超級山岳モンテ・ド・ビザンヌ(距離12.4km/平均8.2%)と2級山岳メジェーヴ(距離7.4km/平均4.7%)が登場する。
最終日を前にしたこの山岳バトル第4ラウンドの舞台に、2019年ツール・ド・フランス覇者エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)は現れなかった。総合7位につけていたベルナルは背中の痛みによりこのツール前哨戦を早めに切り上げ、ツール本戦に向けて療養。これによりチームイネオスの総合エースは総合18位のパヴェル・シヴァコフ(ロシア)にスイッチした。
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)のファーストアタックで始まったレースは、最終的に15人の逃げグループが先行する形で前半の連続1級山岳を越えていく。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス)といった強豪揃いの逃げの中で、山岳ポイントを連取したダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)はチームメイトのダヴィデ・フォルモロ(イタリア)から山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功している。
ユンボ・ヴィスマが牽引する3〜4分遅れのメイン集団では前半から落車が多発した。まずは29km地点で総合3位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)や総合17位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が落車し、それぞれリタイアを余儀なくされる。同じく落車に巻き込まれた総合2位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)はレースを続行。続いて82km地点で落車したイエロージャージのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は身体の各所に打撲や擦過傷を負いながらもレースを継続した。
この日最大の難所である超級山岳モンテ・ド・ビザンヌに差し掛かった時点で逃げグループとメイン集団のタイム差は3分40秒。アタックによってスピードの上げ下げを繰り返しながらここで逃げグループは8人(アラフィリップ、デラクルス、マスナダ、エリッソンド、クフィアトコフスキ、ヘイグ、ケムナ、ヒルシ)に絞られる。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのは5分21秒遅れのケムナ。無理に逃げグループを捕まえる必要のない(タイム差が5分以内であれば逃げ切られても問題ない)ユンボ・ヴィスマに代わってバーレーン・マクラーレンがペースアップを試み、頂上手前でシヴァコフらがアタックした結果、メイン集団は8人に絞られた状態で標高1,723mの頂上に達した。逃げグループが約39分00秒(VAM1,530)かけてこなした超級山岳モンテ・ド・ビザンヌを、メイン集団は約36分50秒(VAM1,640)でクリアしている。
タイム差が1分30秒にまで縮まった逃げグループ吸収も時間の問題と思われたが、その後の下り区間でバーレーン・マクラーレンが攻撃の手を緩めたためメイン集団はペースダウン。登りで遅れていたリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)らが復帰し、30人ほどに人数を増やしたメイン集団は再びユンボ・ヴィスマのコントロール下に置かれる。逃げグループとのタイム差は再び広がり、先頭8人の逃げ切りが決まった。
最後の2級山岳メジェーヴに入ってすぐ飛び出したケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)にデラクルスとケムナが追いつき、そこから若いケムナが踏んでいく。出遅れたアラフィリップやクフィアトコフスキは挽回することができず、追いすがるデラクルスに41秒差をつけたケムナがステージ優勝を飾った。
落車の影響を感じさせない走りを見せたピノとログリッチを先頭にメイン集団は3分01秒遅れでフィニッシュにたどり着いている。
タイムトライアルも得意とするドイツ期待の若手オールラウンダーがプロ初勝利。今年サンウェブからボーラ・ハンスグローエに移籍したケムナは、2017年ロード世界選手権U23ロードレースで2位に入り、初出場した2019年ツール・ド・フランスの第15ステージ6位、第18ステージ4位(総合40位)。体重65kgのケムナは超級山岳モンテ・ド・ビザンヌを平均出力350Wで踏み、残り3km地点からフィニッシュまで6分10秒間にわたって平均377Wを出力している。
「クリテリウム・デュ・ドーフィネという大舞台でプロ初勝利を飾ることができて本当に嬉しい。今日は元々エム(落車リタイアしたブッフマン)を前で待つ作戦だったんだ。最後から2つ目の登り(超級山岳モンテ・ド・ビザンヌ)でアタックする彼をアシストする予定だった。彼の怪我の回復を願うとともに、今はこの勝利を祝福したい」。この日の活躍によりケムナは総合14位に浮上。今後はドイツ選手権とツール・ド・フランスへの出場を予定している。
ログリッチは落車による怪我を負いながらも総合リードをキープ。ユンボ・ヴィスマのグリシャ・ニアマン監督は「酷い落車だったが幸いプリモシュは力強い走りで問題なくフィニッシュした。今夜怪我の様子を見て翌朝判断を下したい」とコメントしている。ログリッチはピノから14秒のリードをもって最終ステージに挑むことになった。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2020第4ステージ結果
1位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:27:56 |
2位 | ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 0:00:41 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:56 |
4位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:58 |
5位 | ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード) | 0:01:02 |
6位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、CCCチーム) | 0:01:10 |
7位 | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、チームイネオス) | 0:01:19 |
8位 | マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ) | 0:01:43 |
9位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:03:01 |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 17:45:32 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:14 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | 0:00:24 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:26 |
5位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) | |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:32 |
7位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 0:00:35 |
8位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | |
9位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:17 |
10位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:24 |
その他の特別賞
ポイント賞 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) |
ヤングライダー賞 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィスマ |
text:Kei Tsuji
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