2020/04/29(水) - 15:50
タイムトライアル世界チャンピオンのローハン・デニスが、2019年ツール・ド・フランス第12ステージで途中リタイアした真相について語った。チームとの確執の噂を一部認めながらも、主な理由はレースよりも家族を優先させたからだと話した。
世界選手権個人タイムトライアル2連覇中のローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)は、英国人キャスターのマット・バルベットのポッドキャスト番組に出演。2019年のツール第12ステージで、翌日に得意の個人TTを控えながらも途中棄権した理由について、「(チームによって)見過ごされた細かい部分がたくさんあった。約束してくれたのに、実現しないこともあった。でも正直に言うとそれらは小さいことだった。それら細かい(バイクセッティングの)ことは、小さなことだった」と語った。
リタイア後、所属していたバーレーン・メリダ(現バーレーン・マクラーレン)から公式発表はなく、デニス本人もコメントを避けたことから、バイクセッティングをめぐるチームとの不和の噂が囁かれていた。しかし、デニスはチームへの不満はあくまでも理由の一つで、きっかけに過ぎなかったと言う。
「その裏で何ヶ月もの間に渡って起こっていたことがあったのだけど、結局は…グラスに落ちた一滴の水によってこぼれ出してしまったんだ。」「ツールの少し前に妻と腹を割って話をしたんだ。正直言って僕にとって楽しい話ではなかった。自分がどんな人間になっているのか、本当に考えさせられた。」
順調なキャリアの裏で家庭内の危機を迎え、しかしギリギリのところで踏みとどまったのだとデニスは振り返る。「"(家族と離れてまでレースを続けることに)そんな価値はない。サイクリングだけが人生の全てではないし、人生にはもっとたくさんのことがある"と、そう思ったんだ。僕は幸せになりたいし、惨めな人間にはなりたくない。正直に言うと一人になってしまう可能性もあった。1歳に満たない子どもがいるのに離婚する他のプロアスリートたちのようにね。」
その突然のリタイアから約2ヶ月後、デニスはイギリス・ヨークシャーで開催された世界選手権個人タイムトライアルで2連覇を果たす。しかし長期間レースから離れた中での練習は、不安に満ちていたと言う。「"いままでやったことがない。トレーニングしかしていない。他の選手は何をしているんだろう。調子は十分だろうか"と、それらが9月15日まで頭から離れなかった。」
そして9月13日にバーレーン・メリダから契約解除の知らせによって、不安に追い打ちをかけられたデニスだったが、9月15日のテスト走行でそういった考えが一切消え去った。その反動が本戦で2位に1分以上の差をつける最高の結果に繋がったと語った。
現在、愛犬のアキレス腱の治療のため、拠点とするアンドラではなくジローナでトレーニングを積んでいるデニスは、チームイネオスの選手たちで行われたズイフト上のバーチャル超級山岳「アルプ・デュ・ズイフト」を舞台にしたEレースで優勝。またツール・ド・スイスの代替レース「デジタル・スイス5」でも出場した2レース中2勝と、屋外練習ができない状況下でも本来の強さを維持している。
デニスの目下の目標は9月20日に予定されている世界選手権個人TT3連覇、そして史上初となる4連覇と五輪の同年優勝だ。5月で30歳という円熟期を迎え、ロックダウン中敵なしのローハン・デニスに、対抗馬は見当たらない。
text:Sotaro.Arakawa
世界選手権個人タイムトライアル2連覇中のローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)は、英国人キャスターのマット・バルベットのポッドキャスト番組に出演。2019年のツール第12ステージで、翌日に得意の個人TTを控えながらも途中棄権した理由について、「(チームによって)見過ごされた細かい部分がたくさんあった。約束してくれたのに、実現しないこともあった。でも正直に言うとそれらは小さいことだった。それら細かい(バイクセッティングの)ことは、小さなことだった」と語った。
リタイア後、所属していたバーレーン・メリダ(現バーレーン・マクラーレン)から公式発表はなく、デニス本人もコメントを避けたことから、バイクセッティングをめぐるチームとの不和の噂が囁かれていた。しかし、デニスはチームへの不満はあくまでも理由の一つで、きっかけに過ぎなかったと言う。
「その裏で何ヶ月もの間に渡って起こっていたことがあったのだけど、結局は…グラスに落ちた一滴の水によってこぼれ出してしまったんだ。」「ツールの少し前に妻と腹を割って話をしたんだ。正直言って僕にとって楽しい話ではなかった。自分がどんな人間になっているのか、本当に考えさせられた。」
順調なキャリアの裏で家庭内の危機を迎え、しかしギリギリのところで踏みとどまったのだとデニスは振り返る。「"(家族と離れてまでレースを続けることに)そんな価値はない。サイクリングだけが人生の全てではないし、人生にはもっとたくさんのことがある"と、そう思ったんだ。僕は幸せになりたいし、惨めな人間にはなりたくない。正直に言うと一人になってしまう可能性もあった。1歳に満たない子どもがいるのに離婚する他のプロアスリートたちのようにね。」
その突然のリタイアから約2ヶ月後、デニスはイギリス・ヨークシャーで開催された世界選手権個人タイムトライアルで2連覇を果たす。しかし長期間レースから離れた中での練習は、不安に満ちていたと言う。「"いままでやったことがない。トレーニングしかしていない。他の選手は何をしているんだろう。調子は十分だろうか"と、それらが9月15日まで頭から離れなかった。」
そして9月13日にバーレーン・メリダから契約解除の知らせによって、不安に追い打ちをかけられたデニスだったが、9月15日のテスト走行でそういった考えが一切消え去った。その反動が本戦で2位に1分以上の差をつける最高の結果に繋がったと語った。
現在、愛犬のアキレス腱の治療のため、拠点とするアンドラではなくジローナでトレーニングを積んでいるデニスは、チームイネオスの選手たちで行われたズイフト上のバーチャル超級山岳「アルプ・デュ・ズイフト」を舞台にしたEレースで優勝。またツール・ド・スイスの代替レース「デジタル・スイス5」でも出場した2レース中2勝と、屋外練習ができない状況下でも本来の強さを維持している。
デニスの目下の目標は9月20日に予定されている世界選手権個人TT3連覇、そして史上初となる4連覇と五輪の同年優勝だ。5月で30歳という円熟期を迎え、ロックダウン中敵なしのローハン・デニスに、対抗馬は見当たらない。
text:Sotaro.Arakawa
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