エヴェネプールがコースレコードで個人TTと総合優勝を果たす

総合1～3位のタイム差0秒で迎えたヴォルタ・アン・アルガルヴェ最終日は、20kmのタイムトライアルで争われた。レムコ・エヴェネプール（ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ）が、世界王者ローハン・デニス（オーストラリア、チームイネオス）を下し、ステージ優勝とともに総合優勝を果たした。

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ポルトガル南端の海岸線を駆け抜けるヴォルタ・アン・アルガルヴェ2020 第5ステージ (c)CorVos
ポルトガルで開催されている5日間のステージレース「ヴォルタ・アン・アルガルヴェ（UCI2. Pro）」。第4ステージ終了時点で総合1位レムコ・エヴェネプール（ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ）、2位ダニエル・マーティン（アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション）、3位マキシミリアン・シャフマン（ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ）のタイム差は0秒という緊迫する状況の中、最終日を迎えた。

第5ステージはポルトガル南端にあるラゴアという街をベースとした個人タイムトライアル20km。なだらかなアップダウンがあるものの、2019年のTT世界選手権で2位のエヴェネプールが総合優勝の最有力候補だ。とはいえワンミスで成績が大きく変動するTTではマーティン、シャフマン、4位（タイム差1秒）のミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、アスタナ）、5位（タイム差5位）のルイ・コスタ（ポルトガル、UAEチームエミレーツ）も総合首位に浮上する可能性は十分にあるなかレースはスタートする。

2位のローハン・デニス（オーストラリア、チームイネオス） (c)CorVos3位のシュテファン・キュング（スイス、グルパマFDJ） (c)CorVosステージ4位、総合3位のマキシミリアン・シャフマン（ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ） (c)CorVos


TT世界王者のローハン・デニス（オーストラリア、チームイネオス）が叩き出したトップタイム24分17秒（平均時速50.158km）は、昨年のアルガルヴェ第5ステージ覇者でスイスのTT王者シュテファン・キュング（スイス、グルパマFDJ）を持ってしても塗り替えることができない。総合4位のロペス、総合3位のシャフマンはお互いにデニスより38秒遅れの24分25秒をマーク。総合争いが硬直する中マーティン、エヴェネプールがコースへと飛び出した。

「事前にルートを把握していたので、休めるポイントもわかっていた。TTバイクのテクニックにも自信があるから、コーナーではリスクを取った」とレース後にコメントするエヴェネプールは快走を見せ、フィニッシュ直前に2分前に出走したマーティンの背中を捉える。追い抜かんばかりの勢いで最後まで追い込んだエヴェネプールは、デニスのタイムを10秒上回る24分7秒（平均時速50.504km）というタイムをマーク。TT世界王者を下してのステージ優勝と、5日間の激戦が繰り広げられたアルガルヴェの総合優勝を果たした。

最初から全力だったというステージ＆総合優勝のレムコ・エヴェネプール（ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ） (c)CorVos
エヴェネプールがこの日叩き出した24分7秒という計測タイムはコースレコードを2秒更新。以前のレコードタイムは2018年にゲラント・トーマス（イギリス、チームイネオス）が出した24分9秒だった。

総合優勝のイエロージャージと、新人賞のホワイトジャージを獲得した20歳は「ハードな山岳ステージの後で、今日の難しいコースで世界チャンピオンに勝つことは夢だったから、今はすごいハッピー。アルガルヴェでのレ―スは楽しめたよ。天気は素晴らしいし、ルートも良かった。今回の勝利は次の目標に向けての自信となった」とレース後に語った。

ポイント賞はファビオ・ヤコブセン（オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ）、山岳賞はクリース・デボント（ベルギー、アルペシン・フェニックス）、チーム総合優勝はチームイネオスとなり、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2020は閉幕した。

今季2度めの総合優勝を果たしたレムコ・エヴェネプール（ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ） (c)CorVos
レムコ・エヴェネプール（ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ）ら総合上位と特別賞を獲得した選手たち (c)CorVos