2020/02/02(日) - 13:07
女子世界王者を決める大一番は、オランダ勢3名による激しい攻防戦に。終盤の激坂区間で遅れを取り返し、マッチスプリントでアンマリー・ワーストを下したセイリン・デルカルメンアルバラードがアルカンシエルを射止めた。赤松綾(日本)は落車からリズムを取り戻せず、悔しい33位に終わった。
男子U23レースと同じく気温13℃の曇り空。レース途中には弱い雨雲が通りかかったものの、踏み固められたラインを緩ませるものではなかった。各国の、各選手の応援旗をはためかせる風が吹く中、16カ国から選りすぐられた34名の女子エリート選手が号砲と共に飛び出した。
スタートボックス最前列の左側を埋めたオランダ勢が好発進する一方、2列目スタートのエヴァ・リヒナー(イタリア)は全米王者クララ・ホンシンガー(アメリカ)と接触し後方までポジションを落としてしまう。初の世界選手権に臨む赤松綾(日本)は集団内で起きた落車を上手く避け、最後尾から20番手前後までジャンプアップに成功した。
セイリン・デルカルメンアルバラード、アンマリー・ワースト、ルシンダ・ブラント、そしてヤラ・カステリン。最強オランダ勢が集団前方を固め、ハイペースを刻んだマガリー・ロシェット(カナダ)やラウラ・フェルドンショット(ベルギー)、エレン・ファンロイ(ベルギー)、クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク)ら他国勢を引き離していく。4連覇が掛かったサンヌ・カント(ベルギー)はキレ味無く10番手以降に沈み、最終的に12番手でフィニッシュすることとなる。
2周目に入ると先頭グループから実力差のあるカステリンが遅れ、ここから拮抗した3名による戦いが始まった。まずはアルバラードが仕掛け、ワーストが追走。パワーを要するコースで優勝候補筆頭に挙げられていたブラントは水を空けられながらも苦しい表情で合流する。後方では42歳の大ベテラン、ケイティ・コンプトン(アメリカ)がカステリンを捉えて4番手パックを形成した。
1周3.2kmのコースを5周回、合計15.9kmで争われることが決定。火花を散らす先頭オランダ勢の中では3周目後半にブラントがメカトラブルに見舞われたものの、バイク交換を行い、半周の追走の末に先頭復帰に成功する。アルバラードとワーストがペースアップするたびに無駄脚を使ったブラントが遅れかけるが、決まり手に欠くコースゆえ決定的な動きには繋がらなかった。
最終周回に入ってもなおブラントは2人との差を埋め、アルバラードがペースを保ちながらキャンバー区間へと突入する。ここでもブラントは遅れたものの、凹凸のある平坦区間で再び復活。最後の激坂区間を前に渾身のアタックでリードを奪ったが、ワーストともつれ合ったことでスピードを失い、その一方引き離されたかに見えたアルバラードはスムーズに激坂をクリアして先頭へ。短時間の間にめまぐるしく形勢が変わる中、ホームストレート前のフライオーバーでついにブラントが遅れた。
アルカンシエル争いはワーストとアルバラードに委ねられ、ワースト先行でスプリント勝負が幕開ける。これまでマッチスプリントではワーストがアルバラードを下してきたが、スリップストリームから抜け出したアルバラードが一際低い姿勢で加速を続け、フィニッシュライン前でワーストを抜き去った。
フィニッシュ後に倒れ込み、声を詰まらせながら歓喜の涙をこぼしたアルバラード。常に優勝候補に挙げられながらも、これまで縁の無かったアルカンシエルを、U23ヨーロッパ選手権、エリートナショナル選手権と2つのタイトル争いを制し初めてエリートカテゴリーで臨んだ2020年大会で掴んだ。
「最終周回に入った時、自分が勝つとは思わなかった」と本音を漏らすアルバラード。「今の気持ちを言い表すことなんてできない。世界チャンピオンだなんて!。非常に厳しい勝負だっただけにオランダのチームメイトは失望してしまうはず。本当に勝つことができて嬉しい」と今後1年間アルカンシエルを着ることになった、ドミニカ出身の21歳は感極まった表情で語った。
失望を隠せず、暫くコース脇に座り込んだワーストが2位銀メダル、呆然とした表情でフィニッシュラインを越えたブラントが3位銅メダル。ブラントは最後のフライオーバーで脚に襲いかかる乳酸に耐えきれず遅れてしまったという。
4位にはカステリンを引き離したコンプトンが入り、全米タイトルを失ってもなお北米最強であることを証明。以下はイヴィ・リチャーズ(イギリス)、リヒナー、ファンロイと続いた。序盤に良い滑り出しを見せた赤松は落車をきっかけに苦しい展開を強いられ、33位でラップアウトとなった。以下は本人からのコメント。
「スタートは上手くいったのですが、舗装路に入ったところで落車してしまい、そこから立て直していたらすでに最後尾になっていました。その後は歯車が噛み合わずただただ辛く、思うように走れない自分と戦う事しか出来ず、情けない結果となってしまいました。ですがここで経験したチャンスを無駄にせず、日の丸を背負うという重圧や、ここで経験したこと、そしてこの悔しさを忘れず、必ずまた来年挑戦する気持ちで1から取り組みたいと思います。」
男子U23レースと同じく気温13℃の曇り空。レース途中には弱い雨雲が通りかかったものの、踏み固められたラインを緩ませるものではなかった。各国の、各選手の応援旗をはためかせる風が吹く中、16カ国から選りすぐられた34名の女子エリート選手が号砲と共に飛び出した。
スタートボックス最前列の左側を埋めたオランダ勢が好発進する一方、2列目スタートのエヴァ・リヒナー(イタリア)は全米王者クララ・ホンシンガー(アメリカ)と接触し後方までポジションを落としてしまう。初の世界選手権に臨む赤松綾(日本)は集団内で起きた落車を上手く避け、最後尾から20番手前後までジャンプアップに成功した。
セイリン・デルカルメンアルバラード、アンマリー・ワースト、ルシンダ・ブラント、そしてヤラ・カステリン。最強オランダ勢が集団前方を固め、ハイペースを刻んだマガリー・ロシェット(カナダ)やラウラ・フェルドンショット(ベルギー)、エレン・ファンロイ(ベルギー)、クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク)ら他国勢を引き離していく。4連覇が掛かったサンヌ・カント(ベルギー)はキレ味無く10番手以降に沈み、最終的に12番手でフィニッシュすることとなる。
2周目に入ると先頭グループから実力差のあるカステリンが遅れ、ここから拮抗した3名による戦いが始まった。まずはアルバラードが仕掛け、ワーストが追走。パワーを要するコースで優勝候補筆頭に挙げられていたブラントは水を空けられながらも苦しい表情で合流する。後方では42歳の大ベテラン、ケイティ・コンプトン(アメリカ)がカステリンを捉えて4番手パックを形成した。
1周3.2kmのコースを5周回、合計15.9kmで争われることが決定。火花を散らす先頭オランダ勢の中では3周目後半にブラントがメカトラブルに見舞われたものの、バイク交換を行い、半周の追走の末に先頭復帰に成功する。アルバラードとワーストがペースアップするたびに無駄脚を使ったブラントが遅れかけるが、決まり手に欠くコースゆえ決定的な動きには繋がらなかった。
最終周回に入ってもなおブラントは2人との差を埋め、アルバラードがペースを保ちながらキャンバー区間へと突入する。ここでもブラントは遅れたものの、凹凸のある平坦区間で再び復活。最後の激坂区間を前に渾身のアタックでリードを奪ったが、ワーストともつれ合ったことでスピードを失い、その一方引き離されたかに見えたアルバラードはスムーズに激坂をクリアして先頭へ。短時間の間にめまぐるしく形勢が変わる中、ホームストレート前のフライオーバーでついにブラントが遅れた。
アルカンシエル争いはワーストとアルバラードに委ねられ、ワースト先行でスプリント勝負が幕開ける。これまでマッチスプリントではワーストがアルバラードを下してきたが、スリップストリームから抜け出したアルバラードが一際低い姿勢で加速を続け、フィニッシュライン前でワーストを抜き去った。
フィニッシュ後に倒れ込み、声を詰まらせながら歓喜の涙をこぼしたアルバラード。常に優勝候補に挙げられながらも、これまで縁の無かったアルカンシエルを、U23ヨーロッパ選手権、エリートナショナル選手権と2つのタイトル争いを制し初めてエリートカテゴリーで臨んだ2020年大会で掴んだ。
「最終周回に入った時、自分が勝つとは思わなかった」と本音を漏らすアルバラード。「今の気持ちを言い表すことなんてできない。世界チャンピオンだなんて!。非常に厳しい勝負だっただけにオランダのチームメイトは失望してしまうはず。本当に勝つことができて嬉しい」と今後1年間アルカンシエルを着ることになった、ドミニカ出身の21歳は感極まった表情で語った。
失望を隠せず、暫くコース脇に座り込んだワーストが2位銀メダル、呆然とした表情でフィニッシュラインを越えたブラントが3位銅メダル。ブラントは最後のフライオーバーで脚に襲いかかる乳酸に耐えきれず遅れてしまったという。
4位にはカステリンを引き離したコンプトンが入り、全米タイトルを失ってもなお北米最強であることを証明。以下はイヴィ・リチャーズ(イギリス)、リヒナー、ファンロイと続いた。序盤に良い滑り出しを見せた赤松は落車をきっかけに苦しい展開を強いられ、33位でラップアウトとなった。以下は本人からのコメント。
「スタートは上手くいったのですが、舗装路に入ったところで落車してしまい、そこから立て直していたらすでに最後尾になっていました。その後は歯車が噛み合わずただただ辛く、思うように走れない自分と戦う事しか出来ず、情けない結果となってしまいました。ですがここで経験したチャンスを無駄にせず、日の丸を背負うという重圧や、ここで経験したこと、そしてこの悔しさを忘れず、必ずまた来年挑戦する気持ちで1から取り組みたいと思います。」
シクロクロス世界選手権2020 女子エリート結果
1位 | セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ) | 45:20 |
2位 | アンマリー・ワースト(オランダ) | 0:01 |
3位 | ルシンダ・ブラント(オランダ) | 0:10 |
4位 | ケイティ・コンプトン(アメリカ) | 1:00 |
5位 | ヤラ・カステリン(オランダ) | 1:26 |
6位 | イヴィ・リチャーズ(イギリス) | 1:44 |
7位 | エヴァ・リヒナー(イタリア) | 2:25 |
8位 | エレン・ファンロイ(ベルギー) | 2:46 |
9位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) | 2:52 |
10位 | マリーン・プティ(フランス) | 3:06 |
33位 | 赤松綾(日本) | LAP |
Text:So.Isobe
Photo:Nobuhiko.Tanabe
Photo:Nobuhiko.Tanabe
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