2020/03/15(日) - 14:48
ドゥクーニンク・クイックステップと共同で開発された、スペシャライズドのロードレーシングチューブレスレディタイヤ「S-Works Turbo RapidAir」をインプレッション。ワールドツアーレースでも実際に使われる最新のオールラウンドタイヤの乗り味とは。
ハイパフォーマンスロードタイヤとして高い評価を獲得しているスペシャライズドの「S-Works Turbo」。スペシャライズドサポートを受けるワールドチームが長きに渡りチューブラーモデルをレース投入してきたが、昨年のツール・ド・フランスで突如としてチューブレスレディモデルを発表。それが今回紹介する「S-Works Turbo RapidAir(エスワークス ターボ ラピッドエアー)」だ。
トレンドに沿ってただチューブレスタイヤを作った訳ではなく、”より速く、快適で、ハンドリングに優れ、自動的に気密性を保つタイヤ”を目的とし、レーシングタイヤとして最高の製品を生み出すべくドゥクーニンク・クイックステップと共同で開発。スペシャライズドの40年にも及ぶタイヤ開発のノウハウを詰め込んだ意欲作としてデビューした。
チームの高い要求に応えるべく、数年間の開発期間と幾度ものテストを経て完成したS-Works Turbo RapidAir。チューブラータイヤに勝る転がりの軽さに加え、高いグリップ性能と耐パンク性能を併せ持ち、クイックステップでも多くの選手たちがレースで愛用。エリア・ヴィヴィアーニ(現コフィディス)も2019シーズンはツール以降全てのレースでこのタイヤを使用したという。
一般的なクリンチャータイヤと異なり、ケーシングの重なりをサイドウォール部分に作った構造が大きな特徴。路面と接するセンター部分のしなやかさが増し、かつ重量を削減できることで転がり抵抗の大幅な低減と滑らかな乗り心地を実現している。反対に厚みを増したサイドウォールがコーナリング中の荷重を支え安定感を向上させるとともに、リムとの嵌め合いや気密性などにも良い影響をもたらしている。
センタースリックでショルダー部分にパターンを設けたトレッドデザインはS-Works Turboと同様。直進での転がりの軽さとコーナーでのコントロール性を両立させている。また、スペシャライズド独自のGRIPTONコンパウンドがドライ/ウェット関係なく優れたグリップ性能を発揮。耐パンク層であるBlackbeltブレーカーもトレッド下に挿入されている。
チューブレスレディのため、セットアップ時の気密性を高める専用のシーラントも用意。万が一パンクしてしまってもシーラントが瞬時に穴を埋めてくれ、走行不可になることなく走り切ることができるだろう。
ホイールに嵌めにくかったりビードが上がらなかったりする、チューブレス特有の問題を解消していることも大きなポイント。何十というホイールを整備するチームのメカニックにも配慮した設計で、素手で取り付けできフロアポンプで簡単に空気を入れられるよう作られている。スペシャライズドのRovalホイールと最高のマッチングとなるよう開発されているが、他社ホイールとの互換性もきちんとリスト化されている(互換表はこちら)。
26Cと28Cの2サイズ展開で価格は8,800円(税込)。今回、日頃のライドからレースまで広くS-Works Turbo RapidAirを乗り込んだという、アウトドアスペース風魔横浜の高木店長にインプレッションを伺った。
― インプレッション
「転がりの軽さが顕著に感じられる速さに特化したタイヤ」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
今までにいくつかのブランドのチューブレスタイヤを使ってきたので、乗り始めから感動するようなことはなかったのですが、乗り込んでいくとRapidAirは明らかに”速い”ということに気づきました。圧倒的に転がり抵抗が低いですね。レース中に周りの選手たちが踏んでいる中、自分はそこまでパワーを使っていないというシーンが何回かあり、このタイヤすごいんじゃないかって思わされましたね。
普通のS-Works Turboもかなり完成度の高いタイヤですが、そこから乗り換えても確かな転がりの軽さを感じられるはずです。タイム短縮を狙うタイヤ、レースで勝つためのタイヤという印象が強いですね。ただ、数ヶ月乗ってみてそこまで長持ちするタイヤではないと感じたので、普段使いをするにはランニングコストが気になってしまいますかね。スピードを追求した決戦用と考えると、ヴィットリアのCORSA SPEEDに近いものがありますね。
チューブレスだからといってモチモチフワフワしたような極上の乗り心地というわけではなく、あくまで一般的なレーシングタイヤという感触です。グリップに関しても、特にコーナーで滑るようなこともなくバランスの良い作りだと思います。日常のライドで使っていますがパンクもしたことないので、十分安心して使えるチューブレスでしょう。
Rovalのホイールと合わせて使っていますが、実際作業してみても嵌めやすくビードも上がりやすかったですね。チューブレスに慣れていない人でも問題なく装着できると思います。Rovalがかなりワイドリムなので、Turboシリーズの26Cを履くと実測幅が28mmくらいになるんです。見た目には太いと感じますが転がりが悪くなることはないので気にしなくて大丈夫です。
ブルベなどで万が一のトラブルに対応するならクリンチャーが安心ですが、走行性能を考えると自分はもうチューブレス一択ですね。タイヤの重さを気にしないホビーライダーなら、より乗り心地の良い28Cを選んでも良いと思います。今では各社からチューブレスタイヤが出ていますが、速さを追求するならこのS-Works Turbo RapidAirをぜひ試してほしいですね。
スペシャライズド S-Works Turbo RapidAir
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x26C、700x28C
ケーシング:120TPI
ビード:折り畳み可能
コンパウンド:GRIPTON
パンクプロテクション:BlackBelt
重量:260g(26C)、305g(28C)
価格:8,800円(税込)
スペシャライズド RapidAirタイヤシーラント
容量:60ml
価格:1,100円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
ハイパフォーマンスロードタイヤとして高い評価を獲得しているスペシャライズドの「S-Works Turbo」。スペシャライズドサポートを受けるワールドチームが長きに渡りチューブラーモデルをレース投入してきたが、昨年のツール・ド・フランスで突如としてチューブレスレディモデルを発表。それが今回紹介する「S-Works Turbo RapidAir(エスワークス ターボ ラピッドエアー)」だ。
トレンドに沿ってただチューブレスタイヤを作った訳ではなく、”より速く、快適で、ハンドリングに優れ、自動的に気密性を保つタイヤ”を目的とし、レーシングタイヤとして最高の製品を生み出すべくドゥクーニンク・クイックステップと共同で開発。スペシャライズドの40年にも及ぶタイヤ開発のノウハウを詰め込んだ意欲作としてデビューした。
チームの高い要求に応えるべく、数年間の開発期間と幾度ものテストを経て完成したS-Works Turbo RapidAir。チューブラータイヤに勝る転がりの軽さに加え、高いグリップ性能と耐パンク性能を併せ持ち、クイックステップでも多くの選手たちがレースで愛用。エリア・ヴィヴィアーニ(現コフィディス)も2019シーズンはツール以降全てのレースでこのタイヤを使用したという。
一般的なクリンチャータイヤと異なり、ケーシングの重なりをサイドウォール部分に作った構造が大きな特徴。路面と接するセンター部分のしなやかさが増し、かつ重量を削減できることで転がり抵抗の大幅な低減と滑らかな乗り心地を実現している。反対に厚みを増したサイドウォールがコーナリング中の荷重を支え安定感を向上させるとともに、リムとの嵌め合いや気密性などにも良い影響をもたらしている。
センタースリックでショルダー部分にパターンを設けたトレッドデザインはS-Works Turboと同様。直進での転がりの軽さとコーナーでのコントロール性を両立させている。また、スペシャライズド独自のGRIPTONコンパウンドがドライ/ウェット関係なく優れたグリップ性能を発揮。耐パンク層であるBlackbeltブレーカーもトレッド下に挿入されている。
チューブレスレディのため、セットアップ時の気密性を高める専用のシーラントも用意。万が一パンクしてしまってもシーラントが瞬時に穴を埋めてくれ、走行不可になることなく走り切ることができるだろう。
ホイールに嵌めにくかったりビードが上がらなかったりする、チューブレス特有の問題を解消していることも大きなポイント。何十というホイールを整備するチームのメカニックにも配慮した設計で、素手で取り付けできフロアポンプで簡単に空気を入れられるよう作られている。スペシャライズドのRovalホイールと最高のマッチングとなるよう開発されているが、他社ホイールとの互換性もきちんとリスト化されている(互換表はこちら)。
26Cと28Cの2サイズ展開で価格は8,800円(税込)。今回、日頃のライドからレースまで広くS-Works Turbo RapidAirを乗り込んだという、アウトドアスペース風魔横浜の高木店長にインプレッションを伺った。
― インプレッション
「転がりの軽さが顕著に感じられる速さに特化したタイヤ」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
今までにいくつかのブランドのチューブレスタイヤを使ってきたので、乗り始めから感動するようなことはなかったのですが、乗り込んでいくとRapidAirは明らかに”速い”ということに気づきました。圧倒的に転がり抵抗が低いですね。レース中に周りの選手たちが踏んでいる中、自分はそこまでパワーを使っていないというシーンが何回かあり、このタイヤすごいんじゃないかって思わされましたね。
普通のS-Works Turboもかなり完成度の高いタイヤですが、そこから乗り換えても確かな転がりの軽さを感じられるはずです。タイム短縮を狙うタイヤ、レースで勝つためのタイヤという印象が強いですね。ただ、数ヶ月乗ってみてそこまで長持ちするタイヤではないと感じたので、普段使いをするにはランニングコストが気になってしまいますかね。スピードを追求した決戦用と考えると、ヴィットリアのCORSA SPEEDに近いものがありますね。
チューブレスだからといってモチモチフワフワしたような極上の乗り心地というわけではなく、あくまで一般的なレーシングタイヤという感触です。グリップに関しても、特にコーナーで滑るようなこともなくバランスの良い作りだと思います。日常のライドで使っていますがパンクもしたことないので、十分安心して使えるチューブレスでしょう。
Rovalのホイールと合わせて使っていますが、実際作業してみても嵌めやすくビードも上がりやすかったですね。チューブレスに慣れていない人でも問題なく装着できると思います。Rovalがかなりワイドリムなので、Turboシリーズの26Cを履くと実測幅が28mmくらいになるんです。見た目には太いと感じますが転がりが悪くなることはないので気にしなくて大丈夫です。
ブルベなどで万が一のトラブルに対応するならクリンチャーが安心ですが、走行性能を考えると自分はもうチューブレス一択ですね。タイヤの重さを気にしないホビーライダーなら、より乗り心地の良い28Cを選んでも良いと思います。今では各社からチューブレスタイヤが出ていますが、速さを追求するならこのS-Works Turbo RapidAirをぜひ試してほしいですね。
スペシャライズド S-Works Turbo RapidAir
タイヤタイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x26C、700x28C
ケーシング:120TPI
ビード:折り畳み可能
コンパウンド:GRIPTON
パンクプロテクション:BlackBelt
重量:260g(26C)、305g(28C)
価格:8,800円(税込)
スペシャライズド RapidAirタイヤシーラント
容量:60ml
価格:1,100円(税込)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
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