2010/05/11(火) - 15:20
「この辺りはいつもこんな強風が吹いているんですか?」「ん?そんなに風吹いてるか?」・・・明らかな文化の差。オランダの海岸部ではこんなのは強風とは言わないそうだ。頭の上では風力発電の巨大なプロペラが滑らかに回り続けている。
ようやく晴れた!太陽が暖かい!でも風は冷たい!
前日はプレスセンターで仕事をせず、ユトレヒトから1時間かけてアムステルダムに直帰。開幕前々日からずっとお目にかかれなかった太陽が、ようやく姿を見せてくれた。雲がまばらになると、余計に空の広さを感じる。
オランダ最終日の第3ステージは、アムステルダムからミデルブルフまでの224km。平原を貫く一直線のハイウェイや、街中を抜ける曲がりくねった道を通ってひたすら南に向かう。午前11時のスタート時点では雲が空を覆っていたが、南に向かうに連れて天候は回復。春の暖かな太陽がコースを照らし出した。しかし相変わらず風は冷たい。
通過する街には人垣ができ、レース通過の1時間前からお祭り騒ぎ。キャラバンの隊列が観客のボルテージを更に上げる。スピードの出る平坦路であっても観客が身を乗り出してくるので、クルマを運転していてもヒヤヒヤする。ここを大集団が通ると想像するとゾッとした。
牧歌的な風景が広がる平野で選手たちの到着を待つ。BMCレーシングチームの毒々しい赤黒ジャージに牽かれて、大集団がやってきた。しかしチームメイトに背中を押されているマリアローザの姿が見える。どうもオカシイと思ったら、目の前でトイレ休憩が始まった・・・。
レース後半にかけては、北海に面したオーシャンロード。風力発電の風車があちこちに点在しており、一帯には常に風が吹き付けていることが分かる。
ガゼッタ紙は「横風によって、単なるスプリントステージにはならないだろう」と予想。しかし地元のサイクリスト曰く、これほどの風は序の口。「強風」の定義には沿わないそうだ。
ラジオコルサ(レース競技無線)の担当者は今日も大忙し。「集団分裂」「タイム差は何秒」「グルッポ・コンパット」「誰々が落車」「また落車が発生」「ウィギンズが落車」「マリアローザが遅れた」。ひっきりなしに入ってくる情報をマイクに向かって叫んでいる姿を想像しながら、ゴールに向かってクルマを走らせた。
石畳が敷かれたゴール地点にやってきたのは26名に縮小した集団。先頭で飛び込んで来たのは、序盤ステージでの活躍が期待されていたペタッキやグライペルではなく、ゴール地点から直線距離で50kmほどのベルギー・ヘント出身、ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)だった。
イタリアンスプリンターが強風に苦戦する中、風を知り尽くした地元スプリンターの活躍。そう言えば、前日のステージ優勝者タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)もヘント在住だったっけ。
選手たちは予定通りイタリアに向かう
「今日もボネをアシストします。」と語ってスタートした新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)は大集団でゴール。横風区間で脱落したユキヤは、チームメイトとともに7分59秒遅れでミデルブルフのゴールにやってきた。
総合狙いのチームは、最終週の山岳に備えてクライマー主体のメンバー構成。それが仇となって、このオランダの3日間で総合成績を諦めざるを得ない選手が続出した。
ユキヤと同じ集団の中には、新人賞候補のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)やフランチェスコ・マシャレッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)の他に、総合成績が期待されたマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、そしてジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)の姿も。
今年のツール・ド・フランスのスタート地点は、今日のスタート地点アムステルダムとゴール地点ミデルブルフの中間地点に位置するロッテルダム。しかもツールの序盤ステージにはパヴェ区間も登場する。今回のジロの結果を踏まえ、どのチームも作戦を練り直すかも知れない。
「オランダステージで総合優勝を決めることは出来ないが、オランダステージで総合優勝を失う可能性はある」。これが今年のジロとツールの共通事項だ。
さて、心配されたアイスランドの火山噴火の影響だが、選手たちの乗るチャーター機はスケジュール通りベルギーのオーストエンデ空港から飛び立ち、無事にイタリアに到着。選手たちは夜遅くにホテルに到着した。
休息日に自分が搭乗する予定のアムステルダム〜ミラノ便はどうか??もしダメならオランダで借りたレンタカーでイタリアまで長距離ドライブすることも考えたが、何とか無事に飛ぶようだ。
そしてちょうど今、イタリアの天気予報をチェックしてショックを受けている。最高気温は20度近くまで上がるようだが、数日間は雨が降る。イタリア初日は雨のチームタイムトライアルになる可能性が大だ。
text&photo:Kei Tsuji
ようやく晴れた!太陽が暖かい!でも風は冷たい!
前日はプレスセンターで仕事をせず、ユトレヒトから1時間かけてアムステルダムに直帰。開幕前々日からずっとお目にかかれなかった太陽が、ようやく姿を見せてくれた。雲がまばらになると、余計に空の広さを感じる。
オランダ最終日の第3ステージは、アムステルダムからミデルブルフまでの224km。平原を貫く一直線のハイウェイや、街中を抜ける曲がりくねった道を通ってひたすら南に向かう。午前11時のスタート時点では雲が空を覆っていたが、南に向かうに連れて天候は回復。春の暖かな太陽がコースを照らし出した。しかし相変わらず風は冷たい。
通過する街には人垣ができ、レース通過の1時間前からお祭り騒ぎ。キャラバンの隊列が観客のボルテージを更に上げる。スピードの出る平坦路であっても観客が身を乗り出してくるので、クルマを運転していてもヒヤヒヤする。ここを大集団が通ると想像するとゾッとした。
牧歌的な風景が広がる平野で選手たちの到着を待つ。BMCレーシングチームの毒々しい赤黒ジャージに牽かれて、大集団がやってきた。しかしチームメイトに背中を押されているマリアローザの姿が見える。どうもオカシイと思ったら、目の前でトイレ休憩が始まった・・・。
レース後半にかけては、北海に面したオーシャンロード。風力発電の風車があちこちに点在しており、一帯には常に風が吹き付けていることが分かる。
ガゼッタ紙は「横風によって、単なるスプリントステージにはならないだろう」と予想。しかし地元のサイクリスト曰く、これほどの風は序の口。「強風」の定義には沿わないそうだ。
ラジオコルサ(レース競技無線)の担当者は今日も大忙し。「集団分裂」「タイム差は何秒」「グルッポ・コンパット」「誰々が落車」「また落車が発生」「ウィギンズが落車」「マリアローザが遅れた」。ひっきりなしに入ってくる情報をマイクに向かって叫んでいる姿を想像しながら、ゴールに向かってクルマを走らせた。
石畳が敷かれたゴール地点にやってきたのは26名に縮小した集団。先頭で飛び込んで来たのは、序盤ステージでの活躍が期待されていたペタッキやグライペルではなく、ゴール地点から直線距離で50kmほどのベルギー・ヘント出身、ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)だった。
イタリアンスプリンターが強風に苦戦する中、風を知り尽くした地元スプリンターの活躍。そう言えば、前日のステージ優勝者タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)もヘント在住だったっけ。
選手たちは予定通りイタリアに向かう
「今日もボネをアシストします。」と語ってスタートした新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)は大集団でゴール。横風区間で脱落したユキヤは、チームメイトとともに7分59秒遅れでミデルブルフのゴールにやってきた。
総合狙いのチームは、最終週の山岳に備えてクライマー主体のメンバー構成。それが仇となって、このオランダの3日間で総合成績を諦めざるを得ない選手が続出した。
ユキヤと同じ集団の中には、新人賞候補のダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)やフランチェスコ・マシャレッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)の他に、総合成績が期待されたマシュー・ロイド(オーストラリア、オメガファーマ・ロット)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、そしてジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ)の姿も。
今年のツール・ド・フランスのスタート地点は、今日のスタート地点アムステルダムとゴール地点ミデルブルフの中間地点に位置するロッテルダム。しかもツールの序盤ステージにはパヴェ区間も登場する。今回のジロの結果を踏まえ、どのチームも作戦を練り直すかも知れない。
「オランダステージで総合優勝を決めることは出来ないが、オランダステージで総合優勝を失う可能性はある」。これが今年のジロとツールの共通事項だ。
さて、心配されたアイスランドの火山噴火の影響だが、選手たちの乗るチャーター機はスケジュール通りベルギーのオーストエンデ空港から飛び立ち、無事にイタリアに到着。選手たちは夜遅くにホテルに到着した。
休息日に自分が搭乗する予定のアムステルダム〜ミラノ便はどうか??もしダメならオランダで借りたレンタカーでイタリアまで長距離ドライブすることも考えたが、何とか無事に飛ぶようだ。
そしてちょうど今、イタリアの天気予報をチェックしてショックを受けている。最高気温は20度近くまで上がるようだが、数日間は雨が降る。イタリア初日は雨のチームタイムトライアルになる可能性が大だ。
text&photo:Kei Tsuji
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