2019/11/04(月) - 22:27
サイクルモード会場の脇で開催された幕張クロス。実質上のJCXシリーズ開幕戦、ナイタークロスではない昼間開催のUCI男子エリートは弱虫ペダルの織田・前田のワンツーとなった。
国内のシクロクロスレース公式シリーズ戦である、JCXシリーズ第2戦「弱虫ペダル 幕張クロス(UCI—C2)」が10月2日〜3日の2日間、千葉県千葉市幕張海浜公園で開催された。日本各地に甚大な被害を及ぼした台風19号の影響で第1戦の茨城シクロクロス取手ステージが中止になり、今回の第2戦が実質的な開幕戦となった。
昨年までは1日目の日没後からスタートする国内では珍しいナイトレースで名称も「スターライトクロス」だったが、今年は両日とも日中開催、名称も変更し、メインレースとなる男子エリートレースは2日目の最終レースに行われた。
男子エリートには91名が出走。長い直線路の後の第1コーナーに竹内遼(深谷レーシング)が先頭で入って熱戦の火蓋が切られた。すぐさま織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に立ちテーブルトップ後のシケインに突入。2017年全日本チャンピオンの小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、2018年全日本チャンピオンの前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)がそれに続く。
前田が小坂を交わし織田にジョインすると、チームメイト同士協調し合い、小坂より10秒以上速いペースでラップを重ねる。互いに先頭交代してレースを支配する前田、織田の二人は6分45秒〜50秒のペースを正確に刻み、単独3番手で追う小坂を大きく引き離すと同時に後方の選手たちは80%ルールによってレースから除外されていった。
織田は「病み上がり詐欺にあいました」と語るように金曜日まで体調を崩していた前田を千切ろうと何度かアタックを掛けるが、現全日本チャンピオンの前田を引き離すことができずに勝負はゴールスプリントとなり、ホームストレートに先頭で入った織田が勝利。3位には小坂。竹内遼(深谷レーシング)、丸山厚(チームアレ・リドレー)、斎藤朋寛(ライドライフ・ジャイアント)、中里仁(スピードワーゲンファミリーレーシング)の4名によって最終周までもつれた4位争いは竹内が制した。
このレースの完走者は18名、周回数は9周だった。織田は自分が高速でラップを重ねる目標値として完走者一桁を目標としているようだが、それは達成できなかったと残念がっていた。2位に入った前田は「予想以上に走れたことに自分が一番びっくりしています」とまだ体調が完璧でない中、現状できる最高のパフォーマンスだった模様。
織田と前田の二人は前日のC1レースにも出走。スタートしてシケインでトップに立つと、終始談笑しつつも7分フラットのペースでラップを重ね、ゴールスプリントで前田が勝っている。
女子エリート
女子エリートはMTBで連戦が続いた今井美穂(CO2bicycle)が出走をキャンセル。現全日本チャンピオンの松本璃奈(チームスコット)に他の選手がどう絡むかが注目された。
スタート後先頭に立ったのは予想通り松本。それを西山みゆき(東洋フレームフィールドモデル)、唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、赤松綾(シムワークスレーシング)、渡部春雅(駒沢大学高校)らが追う。
2周目に西山が失速し、唐見、赤松、渡部の2位パックが形成される。今年からジュニアカテゴリとなった渡部がパックを先頭に立つなど健闘が見られたが、唐見、赤松のスピードについていけずにドロップ。唐見と赤松も徐々に離れ始めると若干呼吸が荒くなった松本に唐見が追いつき残り2周の平坦区間で唐見が前に出る場面も見られた。
平坦区間では唐見に分があるが中盤に現れる激坂を乗車でクリアできたのは女子エリートでは松本ただ一人。ゴールスプリントにまでもつれるかと思われたが、ホームストレートには松本が唐見を引き離して戻ってきた。
「2週間完全オフ後のレースだったので、どのくらい走れるか不安でした」と語った松本は、フィニッシュ後倒れこむほど唐見の追撃を振り切るために追い込んだ模様。3位には赤松が入った。21名が出走し、同一周回フィニッシュは15名だった。
男子ジュニア
マスターズと同時スタートした男子ジュニアは3名が出走。鈴木来人(Bonne Chance)と中島渉(TRIGON with KURE/BOUNCE)のバトルが最終周まで続いたが、最終周に中島がミスしたのを見逃さず鈴木がアタックして優勝した。2位には中島、高本亮太(Limited Team 846)が3位となった。ジュニアの3人はマスターズで優勝した池本真也(和光機器-BIORACER)よりも先着している。
この二日間、会場を訪れた観客は主催者発表によると6,000名。二日間とも冠スポンサーである「弱虫ペダル(秋田書店)」の作者である渡辺航先生がオーナーを務める「弱虫ペダルサイクリングチーム」がホストとなり、チームが乗るFELTのブースでは前田、織田のトークショーが行われた。
またシクロクロススクールも行われ、男性向けには前田、織田。女性向けには西山みゆき(東洋フレームフィールドモデル)、キッズ向けにはマスターズで活躍中の石川正道(Champion System Japan Test Team)がそれぞれ講師を務めた。
また二日目のエリート出走前はシクロクロス業界では話題(?)の全日本タイムトライアルで過去3度の全日本チャンピオンの西薗良太氏による「SIDE BY SIDE RADIO」の公開収録が行われ、弱虫ペダルサイクリングチームの二人もゲストとしてトークに加わった模様。収録した内容は近日中に公開とのことだ。
メインスポンサーの渡辺航先生は、併催されているサイクルモード会場でのトークショーなどのプログラムをこなしながら自身C4レースにも出走し、二日目のエンデューロではパートナーの小野田坂道と脳内交代して走りきり、ファン対象の「弱虫ペダルサンデーライド」とフル回転。1日目のC1、2日目の男子エリートでチームの選手が1-2フィニッシュを飾り、かつエリートで3位に入った小坂が所属する宇都宮ブリッツェンにもスポンサードしているため、表彰台を「弱虫ペダル」が独占した形となり、最高のイベントとなった。
主催者・チャンピオンシステム代表 棈木亮二氏のコメント
「大会開催前には台風の大雨に見舞われ、コースは水浸しに。2日間かけて水抜きをして開催にこぎつけました。今回は昼開催と言うことで、シクロクロス東京と同じプログラムにしてみました。それにより下位カテゴリの方々にもレースイベントとして楽しんでいただけたかなと思っています。
エリート女子のレースは接戦だったこともあり盛り上がりました。男子エリートについては海外選手を参加させられなかったことが残念でした。ナイトレースだった去年に比べサイクルモードが終わってからこちらの会場に観戦にくる観客の人数が減りましたが、女子エリートのレースが始まる頃には観客も増え始めました。プロモーションなどAJOCC全体としての課題もありますが、大きなけが人もなく終われてよかったと思います」。
リザルト
男子エリート
1位 織田聖 (弱虫ペダルサイクリングチーム) 1:01:17
2位 前田公平 (弱虫ペダルサイクリングチーム) +0
3位 小坂光 (宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) +2:13
女子エリート
1位 松本璃奈(チームスコット)0:47:45
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)+0:02
3位 赤松綾(シムワークスレーシング)+0:27
男子ジュニア
1位 鈴木来人(Bonne Chance) 0:35:58
2位 中島渉(TRIGON with KURE/BOUNCE) +0:43
3位 高本亮太(Limited Team 846), 1:38
photo&text:Satoshi.ODA
photo:Makoto.AYANO
国内のシクロクロスレース公式シリーズ戦である、JCXシリーズ第2戦「弱虫ペダル 幕張クロス(UCI—C2)」が10月2日〜3日の2日間、千葉県千葉市幕張海浜公園で開催された。日本各地に甚大な被害を及ぼした台風19号の影響で第1戦の茨城シクロクロス取手ステージが中止になり、今回の第2戦が実質的な開幕戦となった。
昨年までは1日目の日没後からスタートする国内では珍しいナイトレースで名称も「スターライトクロス」だったが、今年は両日とも日中開催、名称も変更し、メインレースとなる男子エリートレースは2日目の最終レースに行われた。
男子エリートには91名が出走。長い直線路の後の第1コーナーに竹内遼(深谷レーシング)が先頭で入って熱戦の火蓋が切られた。すぐさま織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭に立ちテーブルトップ後のシケインに突入。2017年全日本チャンピオンの小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、2018年全日本チャンピオンの前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)がそれに続く。
前田が小坂を交わし織田にジョインすると、チームメイト同士協調し合い、小坂より10秒以上速いペースでラップを重ねる。互いに先頭交代してレースを支配する前田、織田の二人は6分45秒〜50秒のペースを正確に刻み、単独3番手で追う小坂を大きく引き離すと同時に後方の選手たちは80%ルールによってレースから除外されていった。
織田は「病み上がり詐欺にあいました」と語るように金曜日まで体調を崩していた前田を千切ろうと何度かアタックを掛けるが、現全日本チャンピオンの前田を引き離すことができずに勝負はゴールスプリントとなり、ホームストレートに先頭で入った織田が勝利。3位には小坂。竹内遼(深谷レーシング)、丸山厚(チームアレ・リドレー)、斎藤朋寛(ライドライフ・ジャイアント)、中里仁(スピードワーゲンファミリーレーシング)の4名によって最終周までもつれた4位争いは竹内が制した。
このレースの完走者は18名、周回数は9周だった。織田は自分が高速でラップを重ねる目標値として完走者一桁を目標としているようだが、それは達成できなかったと残念がっていた。2位に入った前田は「予想以上に走れたことに自分が一番びっくりしています」とまだ体調が完璧でない中、現状できる最高のパフォーマンスだった模様。
織田と前田の二人は前日のC1レースにも出走。スタートしてシケインでトップに立つと、終始談笑しつつも7分フラットのペースでラップを重ね、ゴールスプリントで前田が勝っている。
女子エリート
女子エリートはMTBで連戦が続いた今井美穂(CO2bicycle)が出走をキャンセル。現全日本チャンピオンの松本璃奈(チームスコット)に他の選手がどう絡むかが注目された。
スタート後先頭に立ったのは予想通り松本。それを西山みゆき(東洋フレームフィールドモデル)、唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、赤松綾(シムワークスレーシング)、渡部春雅(駒沢大学高校)らが追う。
2周目に西山が失速し、唐見、赤松、渡部の2位パックが形成される。今年からジュニアカテゴリとなった渡部がパックを先頭に立つなど健闘が見られたが、唐見、赤松のスピードについていけずにドロップ。唐見と赤松も徐々に離れ始めると若干呼吸が荒くなった松本に唐見が追いつき残り2周の平坦区間で唐見が前に出る場面も見られた。
平坦区間では唐見に分があるが中盤に現れる激坂を乗車でクリアできたのは女子エリートでは松本ただ一人。ゴールスプリントにまでもつれるかと思われたが、ホームストレートには松本が唐見を引き離して戻ってきた。
「2週間完全オフ後のレースだったので、どのくらい走れるか不安でした」と語った松本は、フィニッシュ後倒れこむほど唐見の追撃を振り切るために追い込んだ模様。3位には赤松が入った。21名が出走し、同一周回フィニッシュは15名だった。
男子ジュニア
マスターズと同時スタートした男子ジュニアは3名が出走。鈴木来人(Bonne Chance)と中島渉(TRIGON with KURE/BOUNCE)のバトルが最終周まで続いたが、最終周に中島がミスしたのを見逃さず鈴木がアタックして優勝した。2位には中島、高本亮太(Limited Team 846)が3位となった。ジュニアの3人はマスターズで優勝した池本真也(和光機器-BIORACER)よりも先着している。
この二日間、会場を訪れた観客は主催者発表によると6,000名。二日間とも冠スポンサーである「弱虫ペダル(秋田書店)」の作者である渡辺航先生がオーナーを務める「弱虫ペダルサイクリングチーム」がホストとなり、チームが乗るFELTのブースでは前田、織田のトークショーが行われた。
またシクロクロススクールも行われ、男性向けには前田、織田。女性向けには西山みゆき(東洋フレームフィールドモデル)、キッズ向けにはマスターズで活躍中の石川正道(Champion System Japan Test Team)がそれぞれ講師を務めた。
また二日目のエリート出走前はシクロクロス業界では話題(?)の全日本タイムトライアルで過去3度の全日本チャンピオンの西薗良太氏による「SIDE BY SIDE RADIO」の公開収録が行われ、弱虫ペダルサイクリングチームの二人もゲストとしてトークに加わった模様。収録した内容は近日中に公開とのことだ。
メインスポンサーの渡辺航先生は、併催されているサイクルモード会場でのトークショーなどのプログラムをこなしながら自身C4レースにも出走し、二日目のエンデューロではパートナーの小野田坂道と脳内交代して走りきり、ファン対象の「弱虫ペダルサンデーライド」とフル回転。1日目のC1、2日目の男子エリートでチームの選手が1-2フィニッシュを飾り、かつエリートで3位に入った小坂が所属する宇都宮ブリッツェンにもスポンサードしているため、表彰台を「弱虫ペダル」が独占した形となり、最高のイベントとなった。
主催者・チャンピオンシステム代表 棈木亮二氏のコメント
「大会開催前には台風の大雨に見舞われ、コースは水浸しに。2日間かけて水抜きをして開催にこぎつけました。今回は昼開催と言うことで、シクロクロス東京と同じプログラムにしてみました。それにより下位カテゴリの方々にもレースイベントとして楽しんでいただけたかなと思っています。
エリート女子のレースは接戦だったこともあり盛り上がりました。男子エリートについては海外選手を参加させられなかったことが残念でした。ナイトレースだった去年に比べサイクルモードが終わってからこちらの会場に観戦にくる観客の人数が減りましたが、女子エリートのレースが始まる頃には観客も増え始めました。プロモーションなどAJOCC全体としての課題もありますが、大きなけが人もなく終われてよかったと思います」。
リザルト
男子エリート
1位 織田聖 (弱虫ペダルサイクリングチーム) 1:01:17
2位 前田公平 (弱虫ペダルサイクリングチーム) +0
3位 小坂光 (宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) +2:13
女子エリート
1位 松本璃奈(チームスコット)0:47:45
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)+0:02
3位 赤松綾(シムワークスレーシング)+0:27
男子ジュニア
1位 鈴木来人(Bonne Chance) 0:35:58
2位 中島渉(TRIGON with KURE/BOUNCE) +0:43
3位 高本亮太(Limited Team 846), 1:38
photo&text:Satoshi.ODA
photo:Makoto.AYANO
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