2019/10/31(木) - 12:00
ジャパンカップに参戦したプロバイクを紹介する人気企画前編。今回は優勝したバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)のÉmonda SLR 9 Discや、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が駆った特別デザインのビアンキ OLTRE XR4など6チーム分をピックアップします。
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) トレック Émonda SLR 9 Disc
1週間前にロンバルディアを独走勝利したコンディションをそのままに、ジャパンカップでもマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)を破り2勝目を挙げたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)。ジャパンカップ優勝バイクはÉmonda SLR 9 Discで、ツール・ド・フランスでデビューさせた特別なカラー(Molten Marble)に塗られた一台だ。
目を引くのがモレマだけが使っていた一切ロゴの無いハンドルだ。ボントレガーの現ラインナップに存在しないエアロ形状のステム一体式ハンドルで、おそらくプロトタイプと思われる。このためかコンピュータは搭載されていなかった。コンポーネントはスラムRED eTap AXSで、歯数はフロント50-37T+リア10-33T。ペダルだけはシマノのPD-R9100だ。ホイールはリムハイト47mmのボントレガーAeolus XXX4 Discで、タイヤはヴィットリアのCORSA(25c)。サドルは快適性を重視したARVADA PRO CARBONだった。
5名のメンバー中、軽量のÉmondaを選んだのはモレマとジュリアン・ベルナール(フランス)、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)、ニクラス・エイ(デンマーク)の3名。クリテリウムで勝利したエドワード・トゥーンス(ベルギー)と別府史之(日本)はMadone SLR 9 Discを使用していた。
キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) スコット ADDICT RC DISC
ディオン・スミス(ニュージーランド)を3位表彰台に送り込んだミッチェルトン・スコット。バイクはツール・ド・フランス直前の6月末に発表された新型ADDICT RC DISCと、空力に優れるFOIL RC DISCで、トラック競技でも安定した強さを見せるキャメロン・マイヤー(オーストラリア)のチョイスはADDICT RC。見る角度によって色が変わるペイントがハンドルにも施されていた。
コンポーネントはシマノR9170系DURA-ACE DI2で、ホイールは同C40。ミッチェルトン・スコットはピレリタイヤの開発に携わっており、同社のP ZERO VELOチューブラータイヤを使用する。サドルはスコット傘下のシンクロスで、マイヤーは既に廃盤となっているRP1.0を使用していた。なお今回のジャパンカップでADDICT RCを選んだのはマイヤーのみ。他3名のメンバーはFOIL RCを選択した。
ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) ビアンキ OLTRE XR4
強力なメンバーでレースを動かしたユンボ・ヴィズマのバイクの中で、注目が集まったのがロベルト・ヘーシンク(オランダ)が使用したジャパンカップエディションのOLTRE XR4。昨年もクーン・ボウマン(オランダ)が日の丸や桜をあしらった日本仕様の特別バイクを駆ったが、それに続く日本仕様第2弾のデザインは、明治時代の画家、森雄山が手掛けた「波紋集」というその名の通り波のデザイン集からヒントを得たもの。一般発売が決定しており、詳しい情報は後日サイクルヨーロッパジャパンからアナウンスされる予定だという。
今回来日したメンバーは全員リムブレーキ版のOLTRE XR4を使用した。コンポーネントはR9150系DURA-ACEで、ホイールはボウマンがC60で、その他メンバーはC40。ボウマンのみSW-R9150クライミングスイッチをステムクランプ両側に取り付けていた。組み合わせるタイヤはヴィットリアのCORSAで、市販ラインナップには存在しない26c版だ。
ハンドルやステムはFSA/ヴィジョンで、ステム一体型のMETRON 5Dハンドルの使用率が高い。ツール・ド・フランス総合3位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ)はコラムスペーサーを2枚重ねた高めのハンドルセッティングが特徴だ。パワーメーターはシマノFC-R9100-P、コンピュータはパイオニアのCA600。フロントフォークの計測チップはタイラップではなくラテックスチューブを切ったものを被せて固定していた。
デルコ・マルセイユ・プロヴァンス ルック 795 BLADE RS
来季NIPPOがメインスポンサーに就き、石上優大と岡篤志が加入することでも注目を浴びるフランス籍のプロコンチネンタルチーム、デルコ・マルセイユ・プロヴァンス。使用するのはルック795 BLADE RSで、ホイールはコリマの47 S+と、フランス色濃いアッセンブルが特徴だ。
リムブレーキ版の795 BLADE RSを使用するため、コンポーネントは11速のスラムRED e-Tap。ブレーキキャリパーはTRPだ。ステムは専用の「ADS」だが、市販品には存在しない120mm以上の製品を備えたバイクも見受けられた。ハンドルも同ADH2カーボンハンドルバーだ。サドルはサンマルコ、タイヤはシュワルベのPRO ONE HTチューブラーだ。
ノボ ノルディスク コルナゴ C64、CONCEPT
1型糖尿病を患う選手のみで構成され、病に苦しむ子供たちに夢と希望を与える使命を持って走るノボ ノルディスク。今年はジャパンカップのために特別なジャージを用意し、レースではバイクに子供たちの名前を書いたシールを貼り付けて参戦した。
昨年のチーム機材はエアロロードのCONCEPT一択だったが、今年はラインナップにC64が加わった模様。コンポーネントはシマノDURA-ACEの機械式で、現行のR9100系と旧型の9000系を交えており、スペアバイクや一部のメインバイクのチェーンリングにはULTEGRAも使用されていた。ホイールはC40とC60だ。昨年からの変更点はパワーメーター(SRM→パイオニア)とタイヤ(マキシス→ヴェロフレックス)で、FSAのハンドル周り、セッレイタリアのサドル、アランデルのボトルケージなどは共通だ。
ワイルドライフ・ジェネレーション・プロサイクリング・P/B・マキシス スペシャライズド ALLEZ SPRINT
2018年限りで解散したジェリーベリーの後を継ぎ、同じ監督陣の元リスタートを切ったワイルドライフ・ジェネレーション・プロサイクリング・P/B・マキシス。野生動物保護や生態系維持を広める使命を持ち、今年のツール・ド・北海道でステージ優勝を挙げた同チームの機材は、スペシャライズドのALLEZ SPRINT。今回のジャパンカップ参加チームの中では唯一の金属(アルミ)フレームだ。
FSA/ヴィジョンのパーツ類を多様しており、ホイール(metron 55 SL)、クランクセット(POWERBOX)、ハンドルとステム(エントリー〜ミドルグレード品)が同社製。コンポーネントは機械式のR8000系ULTEGRAだ。タイヤはジェリーベリー時代から変わらずマキシスで、ismのサドルを使うことも特徴だ。
text:So.Isobe
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) トレック Émonda SLR 9 Disc
1週間前にロンバルディアを独走勝利したコンディションをそのままに、ジャパンカップでもマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)を破り2勝目を挙げたバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)。ジャパンカップ優勝バイクはÉmonda SLR 9 Discで、ツール・ド・フランスでデビューさせた特別なカラー(Molten Marble)に塗られた一台だ。
目を引くのがモレマだけが使っていた一切ロゴの無いハンドルだ。ボントレガーの現ラインナップに存在しないエアロ形状のステム一体式ハンドルで、おそらくプロトタイプと思われる。このためかコンピュータは搭載されていなかった。コンポーネントはスラムRED eTap AXSで、歯数はフロント50-37T+リア10-33T。ペダルだけはシマノのPD-R9100だ。ホイールはリムハイト47mmのボントレガーAeolus XXX4 Discで、タイヤはヴィットリアのCORSA(25c)。サドルは快適性を重視したARVADA PRO CARBONだった。
5名のメンバー中、軽量のÉmondaを選んだのはモレマとジュリアン・ベルナール(フランス)、ジュリオ・チッコーネ(イタリア)、ニクラス・エイ(デンマーク)の3名。クリテリウムで勝利したエドワード・トゥーンス(ベルギー)と別府史之(日本)はMadone SLR 9 Discを使用していた。
キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) スコット ADDICT RC DISC
ディオン・スミス(ニュージーランド)を3位表彰台に送り込んだミッチェルトン・スコット。バイクはツール・ド・フランス直前の6月末に発表された新型ADDICT RC DISCと、空力に優れるFOIL RC DISCで、トラック競技でも安定した強さを見せるキャメロン・マイヤー(オーストラリア)のチョイスはADDICT RC。見る角度によって色が変わるペイントがハンドルにも施されていた。
コンポーネントはシマノR9170系DURA-ACE DI2で、ホイールは同C40。ミッチェルトン・スコットはピレリタイヤの開発に携わっており、同社のP ZERO VELOチューブラータイヤを使用する。サドルはスコット傘下のシンクロスで、マイヤーは既に廃盤となっているRP1.0を使用していた。なお今回のジャパンカップでADDICT RCを選んだのはマイヤーのみ。他3名のメンバーはFOIL RCを選択した。
ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) ビアンキ OLTRE XR4
強力なメンバーでレースを動かしたユンボ・ヴィズマのバイクの中で、注目が集まったのがロベルト・ヘーシンク(オランダ)が使用したジャパンカップエディションのOLTRE XR4。昨年もクーン・ボウマン(オランダ)が日の丸や桜をあしらった日本仕様の特別バイクを駆ったが、それに続く日本仕様第2弾のデザインは、明治時代の画家、森雄山が手掛けた「波紋集」というその名の通り波のデザイン集からヒントを得たもの。一般発売が決定しており、詳しい情報は後日サイクルヨーロッパジャパンからアナウンスされる予定だという。
今回来日したメンバーは全員リムブレーキ版のOLTRE XR4を使用した。コンポーネントはR9150系DURA-ACEで、ホイールはボウマンがC60で、その他メンバーはC40。ボウマンのみSW-R9150クライミングスイッチをステムクランプ両側に取り付けていた。組み合わせるタイヤはヴィットリアのCORSAで、市販ラインナップには存在しない26c版だ。
ハンドルやステムはFSA/ヴィジョンで、ステム一体型のMETRON 5Dハンドルの使用率が高い。ツール・ド・フランス総合3位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ)はコラムスペーサーを2枚重ねた高めのハンドルセッティングが特徴だ。パワーメーターはシマノFC-R9100-P、コンピュータはパイオニアのCA600。フロントフォークの計測チップはタイラップではなくラテックスチューブを切ったものを被せて固定していた。
デルコ・マルセイユ・プロヴァンス ルック 795 BLADE RS
来季NIPPOがメインスポンサーに就き、石上優大と岡篤志が加入することでも注目を浴びるフランス籍のプロコンチネンタルチーム、デルコ・マルセイユ・プロヴァンス。使用するのはルック795 BLADE RSで、ホイールはコリマの47 S+と、フランス色濃いアッセンブルが特徴だ。
リムブレーキ版の795 BLADE RSを使用するため、コンポーネントは11速のスラムRED e-Tap。ブレーキキャリパーはTRPだ。ステムは専用の「ADS」だが、市販品には存在しない120mm以上の製品を備えたバイクも見受けられた。ハンドルも同ADH2カーボンハンドルバーだ。サドルはサンマルコ、タイヤはシュワルベのPRO ONE HTチューブラーだ。
ノボ ノルディスク コルナゴ C64、CONCEPT
1型糖尿病を患う選手のみで構成され、病に苦しむ子供たちに夢と希望を与える使命を持って走るノボ ノルディスク。今年はジャパンカップのために特別なジャージを用意し、レースではバイクに子供たちの名前を書いたシールを貼り付けて参戦した。
昨年のチーム機材はエアロロードのCONCEPT一択だったが、今年はラインナップにC64が加わった模様。コンポーネントはシマノDURA-ACEの機械式で、現行のR9100系と旧型の9000系を交えており、スペアバイクや一部のメインバイクのチェーンリングにはULTEGRAも使用されていた。ホイールはC40とC60だ。昨年からの変更点はパワーメーター(SRM→パイオニア)とタイヤ(マキシス→ヴェロフレックス)で、FSAのハンドル周り、セッレイタリアのサドル、アランデルのボトルケージなどは共通だ。
ワイルドライフ・ジェネレーション・プロサイクリング・P/B・マキシス スペシャライズド ALLEZ SPRINT
2018年限りで解散したジェリーベリーの後を継ぎ、同じ監督陣の元リスタートを切ったワイルドライフ・ジェネレーション・プロサイクリング・P/B・マキシス。野生動物保護や生態系維持を広める使命を持ち、今年のツール・ド・北海道でステージ優勝を挙げた同チームの機材は、スペシャライズドのALLEZ SPRINT。今回のジャパンカップ参加チームの中では唯一の金属(アルミ)フレームだ。
FSA/ヴィジョンのパーツ類を多様しており、ホイール(metron 55 SL)、クランクセット(POWERBOX)、ハンドルとステム(エントリー〜ミドルグレード品)が同社製。コンポーネントは機械式のR8000系ULTEGRAだ。タイヤはジェリーベリー時代から変わらずマキシスで、ismのサドルを使うことも特徴だ。
text:So.Isobe
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