2019/10/25(金) - 09:18
ミラノで開催されたコースプレゼンテーションで2020年ジロ・デ・イタリアのコース全貌が明らかに。ハンガリーで開幕する第103回大会は、イタリアを南から北へ縦断。3つの個人TTが設定され、最終週に難関山岳ステージが連続する過酷なコースが用意された。
2018年のイスラエル以来となる、ハンガリーで史上14回目の海外スタートを迎えるジロ。東ヨーロッパでの開幕は初となる。
初日はハンガリーの市内を舞台にした8.6kmの個人タイムトライアルで、後半にかけてブダ城のある王宮の丘(標高172m)を駆け上がって旧市街でフィニッシュを迎える。短距離ながら登坂力も問われるコースでマリアローザの持ち主が決まる。ハンガリー国内で行われる残り2ステージはスプリンター向きだ。
グランツールが海外で開幕する場合は移動のための休息日が設けられるのが通例だが、ジロ2020は休息日無しでシチリア島に渡る。ハンガリーのナジカニジャで第3ステージを終えた選手たちは大会側が用意するチャーター機でシチリア島のカターニア空港に飛び、アグリジェントの登りフィニッシュが設定された第4ステージに挑むことになる。実質的にチームバスなどの車両を二部隊用意しなければならないため、チームの運営力や資金力も問われる大移動になりそうだ。
第5ステージには早速エトナ山頂フィニッシュが登場する。エトナ火山を北側から標高1,775mのピアーノプロヴェンツァーナまで登る山道は距離18.2kmで平均勾配6.8%。2011年に部分的に通過したことがある登りだが、ピアーノプロヴェンツァーナまで登り切るのは今回が初めてとなる。
ハンガリーで3日間、シチリア島で3日間を過ごしたジロはイタリア本土に渡り、そこから最終決戦地のアルプス山脈に向けてぐんぐんと北上する。本土初日の第7ステージは残り10km地点で標高1,618mのヴァルコ・ディ・モンテスクーロを通過する危険度の高いもの。イタリア半島の東岸を北上する第8〜第11ステージは一見平坦基調だが、終盤にかけて細かいアップダウンやワインディングが組み込まれているため単純なスプリンターステージにはなりにくい。
グランフォンド「ノーヴェコッリ」のコースをたどる第12ステージはエミリア=ロマーニャ州らしい起伏に富んだもの。そしていよいよ第14ステージから本格的なマリアローザ争いが始まる。今大会に設定された3つの個人タイムトライアルの中で最も距離の長い33.7kmのコースはワインの名産地を巡るものであり、公式に「ワインステージ」に指定されている。
空に緑白赤の三色を描き出す飛行部隊「フレッチェトリコローリ」の拠点であるリヴォルト空軍基地をスタートする第15ステージには、大会2週目を締めくくるピアンカヴァッロ(距離14.5km/平均7.8%)の山頂フィニッシュが登場。この第15ステージを終えた時点でマリアローザは本命の手に渡っているだろう。
最終週はとにかく山が盛りだくさん。グランツールにしては珍しく周回コースが設定された第16ステージはアップダウンの連続で、フィニッシュ地点サンダニエーレ・デル・フリウリを起点にした27kmの周回コースにはモンテ・ディ・ラゴーニャ(距離2.0km/平均11.2%/最大16%)という急坂が組み込まれている。山頂フィニッシュではないものの危険度の高いステージだ。
ドロミテ山塊を抜けてアルプス山脈に向かう第17ステージには、フォルチェッラ・ヴァルボーナ(距離21.9km/平均6.6%)、モンテ・ボンドーネ(距離20.2km/平均6.8%)、パッソ・デュローネ(距離10.4km/平均6.0%)が立て続けに登場し、最後は標高1,514mのマドンナ・ディ・カンピリオ(距離12.5km/平均5.7%)を駆け上がってフィニッシュ。獲得標高差が5,000mを超えるこの難関山岳ステージは走るものすべてに大きな試練を与える。
ジロらしい厳しい山岳は閉幕に向かって畳み掛けるように続く。第18ステージはスタート直後からカンポカルロマーニョとパッソ・カストリンをクリア。長い渓谷を走ってから向かうのは、大会最高地点「チーマコッピ」に指定された標高2,758mのパッソ・デッロ・ステルヴィオ(距離24.7km/平均7.5%)だ。積雪によってキャンセルされることも多い九十九折りの登りと下りを越え、最後はラーギ・ディ・カンカノ(距離8.7km/平均6.8%)を登ってようやくフィニッシュを迎える。ステルヴィオ国定公園に位置するカンカノ湖の畔にジロがフィニッシュするのは初めて。
極端なほど平坦な251kmの大会最長ステージを経て、アルプス山脈を貫く第20ステージで山岳決戦はフィナーレを迎える。まずは標高170mのスタート地点アルバから標高2,744mのコッレ・デッラニェッロ(アニェッロ峠/距離21.3km/平均6.8%)まで延々と登る。ステルヴィオ峠に匹敵する標高を誇り、頂上手前10kmの平均勾配が10%近いこのアニェッロ峠を越えるとジロは一旦フランスに入国。月面のような風景が名物のコル・ディゾアール(イゾアール峠/距離14.2km/平均7.1%)とモンジェネヴル(距離8.4km/平均6.0%)を経てイタリアに戻り、最後は標高2,035mのセストリエーレ(距離11.4km/平均5.9%)を駆け上がる。この連日の山岳バトルで総合上位の選手たちの間に大きなタイム差が生まれていると予想されるが、まだ最終日に逆転のチャンスが残されている。
郊外のチェルヌスコ・スル・ナヴィリオからミラノ中心部のドゥオーモを目指す16.5kmの個人タイムトライアルで3週間のマリアローザ争いが決着する。3つの個人タイムトライアルの合計距離は55.8km。後半にかけて厳しい山岳が詰め込まれた3,579.8kmのコースの総獲得標高差は45,000mに達する。山頂/登りフィニッシュは初日の個人タイムトライアルを含めて7つ。およそ6ステージがスプリンター向きだ。
全てのステージのコース図ならびに高低図はフォトギャラリーへ。
2018年のイスラエル以来となる、ハンガリーで史上14回目の海外スタートを迎えるジロ。東ヨーロッパでの開幕は初となる。
初日はハンガリーの市内を舞台にした8.6kmの個人タイムトライアルで、後半にかけてブダ城のある王宮の丘(標高172m)を駆け上がって旧市街でフィニッシュを迎える。短距離ながら登坂力も問われるコースでマリアローザの持ち主が決まる。ハンガリー国内で行われる残り2ステージはスプリンター向きだ。
グランツールが海外で開幕する場合は移動のための休息日が設けられるのが通例だが、ジロ2020は休息日無しでシチリア島に渡る。ハンガリーのナジカニジャで第3ステージを終えた選手たちは大会側が用意するチャーター機でシチリア島のカターニア空港に飛び、アグリジェントの登りフィニッシュが設定された第4ステージに挑むことになる。実質的にチームバスなどの車両を二部隊用意しなければならないため、チームの運営力や資金力も問われる大移動になりそうだ。
第5ステージには早速エトナ山頂フィニッシュが登場する。エトナ火山を北側から標高1,775mのピアーノプロヴェンツァーナまで登る山道は距離18.2kmで平均勾配6.8%。2011年に部分的に通過したことがある登りだが、ピアーノプロヴェンツァーナまで登り切るのは今回が初めてとなる。
ハンガリーで3日間、シチリア島で3日間を過ごしたジロはイタリア本土に渡り、そこから最終決戦地のアルプス山脈に向けてぐんぐんと北上する。本土初日の第7ステージは残り10km地点で標高1,618mのヴァルコ・ディ・モンテスクーロを通過する危険度の高いもの。イタリア半島の東岸を北上する第8〜第11ステージは一見平坦基調だが、終盤にかけて細かいアップダウンやワインディングが組み込まれているため単純なスプリンターステージにはなりにくい。
グランフォンド「ノーヴェコッリ」のコースをたどる第12ステージはエミリア=ロマーニャ州らしい起伏に富んだもの。そしていよいよ第14ステージから本格的なマリアローザ争いが始まる。今大会に設定された3つの個人タイムトライアルの中で最も距離の長い33.7kmのコースはワインの名産地を巡るものであり、公式に「ワインステージ」に指定されている。
空に緑白赤の三色を描き出す飛行部隊「フレッチェトリコローリ」の拠点であるリヴォルト空軍基地をスタートする第15ステージには、大会2週目を締めくくるピアンカヴァッロ(距離14.5km/平均7.8%)の山頂フィニッシュが登場。この第15ステージを終えた時点でマリアローザは本命の手に渡っているだろう。
最終週はとにかく山が盛りだくさん。グランツールにしては珍しく周回コースが設定された第16ステージはアップダウンの連続で、フィニッシュ地点サンダニエーレ・デル・フリウリを起点にした27kmの周回コースにはモンテ・ディ・ラゴーニャ(距離2.0km/平均11.2%/最大16%)という急坂が組み込まれている。山頂フィニッシュではないものの危険度の高いステージだ。
ドロミテ山塊を抜けてアルプス山脈に向かう第17ステージには、フォルチェッラ・ヴァルボーナ(距離21.9km/平均6.6%)、モンテ・ボンドーネ(距離20.2km/平均6.8%)、パッソ・デュローネ(距離10.4km/平均6.0%)が立て続けに登場し、最後は標高1,514mのマドンナ・ディ・カンピリオ(距離12.5km/平均5.7%)を駆け上がってフィニッシュ。獲得標高差が5,000mを超えるこの難関山岳ステージは走るものすべてに大きな試練を与える。
ジロらしい厳しい山岳は閉幕に向かって畳み掛けるように続く。第18ステージはスタート直後からカンポカルロマーニョとパッソ・カストリンをクリア。長い渓谷を走ってから向かうのは、大会最高地点「チーマコッピ」に指定された標高2,758mのパッソ・デッロ・ステルヴィオ(距離24.7km/平均7.5%)だ。積雪によってキャンセルされることも多い九十九折りの登りと下りを越え、最後はラーギ・ディ・カンカノ(距離8.7km/平均6.8%)を登ってようやくフィニッシュを迎える。ステルヴィオ国定公園に位置するカンカノ湖の畔にジロがフィニッシュするのは初めて。
極端なほど平坦な251kmの大会最長ステージを経て、アルプス山脈を貫く第20ステージで山岳決戦はフィナーレを迎える。まずは標高170mのスタート地点アルバから標高2,744mのコッレ・デッラニェッロ(アニェッロ峠/距離21.3km/平均6.8%)まで延々と登る。ステルヴィオ峠に匹敵する標高を誇り、頂上手前10kmの平均勾配が10%近いこのアニェッロ峠を越えるとジロは一旦フランスに入国。月面のような風景が名物のコル・ディゾアール(イゾアール峠/距離14.2km/平均7.1%)とモンジェネヴル(距離8.4km/平均6.0%)を経てイタリアに戻り、最後は標高2,035mのセストリエーレ(距離11.4km/平均5.9%)を駆け上がる。この連日の山岳バトルで総合上位の選手たちの間に大きなタイム差が生まれていると予想されるが、まだ最終日に逆転のチャンスが残されている。
郊外のチェルヌスコ・スル・ナヴィリオからミラノ中心部のドゥオーモを目指す16.5kmの個人タイムトライアルで3週間のマリアローザ争いが決着する。3つの個人タイムトライアルの合計距離は55.8km。後半にかけて厳しい山岳が詰め込まれた3,579.8kmのコースの総獲得標高差は45,000mに達する。山頂/登りフィニッシュは初日の個人タイムトライアルを含めて7つ。およそ6ステージがスプリンター向きだ。
全てのステージのコース図ならびに高低図はフォトギャラリーへ。
ジロ・デ・イタリア2020ステージリスト
日時 | ステージ名 | スタート〜フィニッシュ | 距離 | 難易度 |
---|---|---|---|---|
5/9(土) | 第1S | ブダペスト〜ブダペスト | 8.6km(個人TT) | ☆☆ |
5/10(日) | 第2S | ブダペスト〜ジェール | 195km | ☆ |
5/11(月) | 第3S | セーケシュフェヘールバール〜ナジカニジャ | 204km | ☆ |
5/12(火) | 第4S | モンレアーレ〜アグリジェント | 136km | ☆☆ |
5/13(水) | 第5S | エンナ〜エトナ/ピアーノプロヴェンツァーナ | 150km(山頂) | ☆☆☆☆ |
5/14(木) | 第6S | カターニア〜ヴィッラフランカティッレーナ | 138km | ☆☆ |
5/15(金) | 第7S | ミレート〜カミリアテッロシラノ | 223km | ☆☆☆ |
5/16(土) | 第8S | カストロヴィッラリ〜ブリンディジ | 216km | ☆ |
5/17(日) | 第9S | ジョヴィナッツォ〜ヴィエステ | 198km | ☆☆☆ |
5/18(月) | 休息日 | |||
5/19(火) | 第10S | サンサルヴォ〜トルトレートリード | 212km | ☆☆☆ |
5/20(水) | 第11S | ポルトサンテルピディオ〜リミニ | 181km | ☆☆ |
5/21(木) | 第12S | チェゼナティコ〜チェゼナティコ | 205km | ☆☆☆☆ |
5/22(金) | 第13S | セルヴィア〜モンセリーチェ | 190km | ☆☆ |
5/23(土) | 第14S | コネリアーノ〜ヴァルドッビアーデネ | 33.7km(個人TT) | ☆☆☆☆ |
5/24(日) | 第15S | バーゼアエレアリヴォルト〜ピアンカヴァッロ | 183km(山頂) | ☆☆☆☆ |
5/25(月) | 休息日 | |||
5/26(火) | 第16S | ウーディネ〜サンダニエーレ・デル・フリウリ | 228km | ☆☆☆☆ |
5/27(水) | 第17S | バッサノデルグラッパ〜マドンナ・ディ・カンピリオ | 202km(山頂) | ☆☆☆☆☆ |
5/28(木) | 第18S | ピンツォーロ〜ラーギ・ディ・カンカノ | 209km(山頂) | ☆☆☆☆☆ |
5/29(金) | 第19S | モルベーニョ〜アスティ | 251km | ☆ |
5/30(土) | 第20S | アルバ〜セストリエーレ | 200km(山頂) | ☆☆☆☆☆ |
5/31(日) | 第21S | チェルヌスコ・スル・ナヴィリオ〜ミラノ | 16.5km(個人TT) | ☆☆ |
text:Kei Tsuji