2010/05/08(土) - 19:22
クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミントランジションズ)は2年前のツール・ド・フランスを4位で終えたが、今年はさらに好成績を挙げることを目標としている。7月のツールで勝利を達成するために、ジロからスタートを切る。
2008年に着たマリアローザを再び着ることを目指して。しかし今年は最終日にそれを着ることが期待されている。
「ヴァンデヴァルデにはグランツール勝利の可能性がある」と言われてきた。
ガーミン・トランジションズに所属する33歳のアメリカ人 ヴァンデヴェルデは、今年、ツール・ド・フランスではアンディ・シュレック(ルクセンブルク、チームCSC)やツールを2回制覇しているアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)という、より若く、より強いライバルに直面しなければならないだろう。
それに比べるとジロで「確実な優勝候補」として挙げられるのは、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)のみ。しかしエヴァンスはこの春から非常に好調ではあるものの、彼をサポートできる強いチームには欠けている。
果たして、ヴァンデヴェルデは今年のジロに勝利できるのだろうか?
「わからないよ、まったくわからない」彼はいつもの気さくな調子で答えた。
「僕の調子がいいことはわかってる。去年の僕よりずっと良いんだ。それに去年だって、(第3ステージで)落車するまではなかなか調子が良いと思ってたんだ」。
今年のジロはアムステルダムから始まる。イタリアに入ってからブーツのかかとに当たるところまで南下。山岳部はレースが再び北部にもどる最終週だ。ゾンコランとモルティローロの登りがジロ・デ・イタリアの勝敗を分けるだろう。ヴァンデヴェルデも同意見だ。
「もし山岳に差し掛かるときに好調だったら…」と続けたが、そこで躊躇した。
「とは言っても山岳はまだ先のことだろう? 2週間以上も先だ。まだまだまったく先のことだよ。去年のデニス(メンショフ)やカルロス(サストレ)のように、チャンスがあれば僕だって掴むさ。7月のツールのために温存するなんてことはしないよ」。
チーム・スカイのブラドレー・ウィギンズも、このガーミンの元チームメートと同じ状況だ。二人ともツール・ド・フランスに向けての調整のためにジロに出場するが、3位までに食い込む可能性や勝利の可能性があるのなら、それに賭けるだろう。
2008年にはヴァンデヴェルデはツール・ド・フランスの準備としてまずジロ・デ・イタリアに参加した。ガーミンはパレルモでのチームタイムトライアルを制し、ヴァンデヴェルデにマリアローザを着せた。
昨年、ヴァンデヴェルデは第3ステージで落車し、頚椎5箇所を破損したが、それまではヴァンデヴェルデとウィギンズの二人がチームガーミンを率いた。
「2008年は本当にうまくいったよ。ピンクジャージ(マリアローザ)を早くに手に入れたし、総合成績でもうまくいった。あの年の残りのレースに出るのに完璧な出だしだった。ガーミンはジロを使ってツールへの調整をするんだ。ウィギンズもジロを走って、2008年の僕と同じように意外な成果を挙げたよね。ちょっと不思議だな」。
あれから2年。ガーミンは2番目のランクのチームから選手層の厚いトッププロツアーチームへと成長した。このアメリカンチームにはヴァンデヴェルデの他にもデーヴィッド・ミラー(イギリス)、タイラー・ファラー(アメリカ)そしてダニエル・マーティン(アイルランド)やジャック・ボブリッジ(オーストラリア)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア)らの強力な若手選手が所属している。
「デイヴ(ミラー)はすごく調子が良いし、タイラー(ファラー)もすごく調子が良い。マーティンは総合成績を狙って出場するんだけど、ジロの山岳地帯が彼には合っているんだ。どれもチームにとって、いいことだよ。以前は出せるカードがない状態だったんだ。2008年にはこんな会話はできなかったね」。
今日の14時47分、アムステルダムでのタイムトライアルのスタートを切った時、ヴァンデヴェルデは彼にとって初めてのグランツール制覇の可能性がいかなるものか、つかめるはずだ。
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos, Makoto.AYANO
translation: Yuko.Yamawaki
2008年に着たマリアローザを再び着ることを目指して。しかし今年は最終日にそれを着ることが期待されている。
「ヴァンデヴァルデにはグランツール勝利の可能性がある」と言われてきた。
ガーミン・トランジションズに所属する33歳のアメリカ人 ヴァンデヴェルデは、今年、ツール・ド・フランスではアンディ・シュレック(ルクセンブルク、チームCSC)やツールを2回制覇しているアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)という、より若く、より強いライバルに直面しなければならないだろう。
それに比べるとジロで「確実な優勝候補」として挙げられるのは、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)のみ。しかしエヴァンスはこの春から非常に好調ではあるものの、彼をサポートできる強いチームには欠けている。
果たして、ヴァンデヴェルデは今年のジロに勝利できるのだろうか?
「わからないよ、まったくわからない」彼はいつもの気さくな調子で答えた。
「僕の調子がいいことはわかってる。去年の僕よりずっと良いんだ。それに去年だって、(第3ステージで)落車するまではなかなか調子が良いと思ってたんだ」。
今年のジロはアムステルダムから始まる。イタリアに入ってからブーツのかかとに当たるところまで南下。山岳部はレースが再び北部にもどる最終週だ。ゾンコランとモルティローロの登りがジロ・デ・イタリアの勝敗を分けるだろう。ヴァンデヴェルデも同意見だ。
「もし山岳に差し掛かるときに好調だったら…」と続けたが、そこで躊躇した。
「とは言っても山岳はまだ先のことだろう? 2週間以上も先だ。まだまだまったく先のことだよ。去年のデニス(メンショフ)やカルロス(サストレ)のように、チャンスがあれば僕だって掴むさ。7月のツールのために温存するなんてことはしないよ」。
チーム・スカイのブラドレー・ウィギンズも、このガーミンの元チームメートと同じ状況だ。二人ともツール・ド・フランスに向けての調整のためにジロに出場するが、3位までに食い込む可能性や勝利の可能性があるのなら、それに賭けるだろう。
2008年にはヴァンデヴェルデはツール・ド・フランスの準備としてまずジロ・デ・イタリアに参加した。ガーミンはパレルモでのチームタイムトライアルを制し、ヴァンデヴェルデにマリアローザを着せた。
昨年、ヴァンデヴェルデは第3ステージで落車し、頚椎5箇所を破損したが、それまではヴァンデヴェルデとウィギンズの二人がチームガーミンを率いた。
「2008年は本当にうまくいったよ。ピンクジャージ(マリアローザ)を早くに手に入れたし、総合成績でもうまくいった。あの年の残りのレースに出るのに完璧な出だしだった。ガーミンはジロを使ってツールへの調整をするんだ。ウィギンズもジロを走って、2008年の僕と同じように意外な成果を挙げたよね。ちょっと不思議だな」。
あれから2年。ガーミンは2番目のランクのチームから選手層の厚いトッププロツアーチームへと成長した。このアメリカンチームにはヴァンデヴェルデの他にもデーヴィッド・ミラー(イギリス)、タイラー・ファラー(アメリカ)そしてダニエル・マーティン(アイルランド)やジャック・ボブリッジ(オーストラリア)、キャメロン・マイヤー(オーストラリア)らの強力な若手選手が所属している。
「デイヴ(ミラー)はすごく調子が良いし、タイラー(ファラー)もすごく調子が良い。マーティンは総合成績を狙って出場するんだけど、ジロの山岳地帯が彼には合っているんだ。どれもチームにとって、いいことだよ。以前は出せるカードがない状態だったんだ。2008年にはこんな会話はできなかったね」。
今日の14時47分、アムステルダムでのタイムトライアルのスタートを切った時、ヴァンデヴェルデは彼にとって初めてのグランツール制覇の可能性がいかなるものか、つかめるはずだ。
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos, Makoto.AYANO
translation: Yuko.Yamawaki