ウィスコンシン州ウォータールーのトレック本社で開催されたUCIシクロクロスワールドカップ第2戦。一騎打ちでトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)を下したエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)が開幕戦に続く2連勝を収めた。



雨に濡れたスリッピーなコース。多くの登りがランニング区間と化した雨に濡れたスリッピーなコース。多くの登りがランニング区間と化した photo:UCI
前週にアイオワ州で開催されたUCIシクロクロスワールドカップ開幕戦から1週間を空け、同じくアメリカはウィスコンシン州ウォータールーに場所を移してシクロクロスワールドカップ第2戦が開催された。

トレック本社敷地内の丘を使ったコースは、雨によって超スリッピーな重馬場コースに変貌。例えストレートでも車輪を取られる難コースに向け、真っ先に好スタートを決めたのは第1戦で勝利したエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)だった。

先頭を固めるベルギー勢の中で、1周回完了を待たずにイゼルビッドとベルギー王者トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)が抜け出し、早くも勝負は一騎打ちの様相を呈していく。スリッピーなコース状況にペースが上がらず、1周目のラップタイムは11分。レースは全6周回18.09kmで争われることが決まった。

一時20秒ほどのリードを築いたトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ)一時20秒ほどのリードを築いたトーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) photo:UCI
オフキャンバー区間に刻まれた轍にタイヤを添わせながら走るオフキャンバー区間に刻まれた轍にタイヤを添わせながら走る photo:UCIコースのあちこちで落車が続発。ヨリス・ニューウィンハイス(オランダ、サンウェブ)は8位に入ったコースのあちこちで落車が続発。ヨリス・ニューウィンハイス(オランダ、サンウェブ)は8位に入った photo:UCI


先頭パックを組む前U23世界王者イゼルビッドと、現ベルギー王者アールツ。一時アールツは20秒ほどのリードを得たものの、「チャンスを得て全力で逃げたけれど、多分その時に追い込みすぎてミスを連発してしまった」とイゼルビッドの合流を許してしまう。スリッピーなオフキャンバーで追い抜いていったイゼルビッドに対し、リズムを失ったアールツに為す術なはなかった。

先行するイゼルビッドはミスを出しながらもアールツとの差を広げ、最終的に1分09秒差を持って独走勝利。ワールドカップの開幕2連戦を2連勝という最良の形で締めくくった。

「今回の勝利が意味することは多い。アメリカに来る前はトップ7、トップ8に入れれば満足と自分に言い聞かせていたんだ。マチューもワウトも不在なので、僕のトレーナーもまず良い感触を持ってシーズンインできるようなプログラムを組んでくれていた。だから2連勝という結果はアンビリーバブルだ」と、驚きを語るイゼルビッド。

開幕戦に続くワールドカップ2連勝を挙げたエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)開幕戦に続くワールドカップ2連勝を挙げたエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) photo:UCI
エリート男子表彰台エリート男子表彰台 photo:UCI
「リスクを取りたくはなかったけれど、コースは本当の本当に難しく、たとえストレートでもバイクが勝手に左右に進んでしまう。僕はただそれに従ってバイクを走らせていたんだ。決して簡単なレースではなかった。ジュニアやU23でワールドカップリーダージャージを着用した経験はあるけれど、エリートカテゴリーでのジャージは信じられないような気分だ」と若干21歳のイゼルビッドは加えている。

3位は終盤にジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ)をパスしたマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)で、以降13位までをベルギー、そしてオランダ勢が占める結果に。シクロクロス東京や宇都宮シクロクロスで優勝経験を持つ前フランス王者スティーブ・シェネル(シャザル・キャニオン)が非ベルギー・オランダ勢最上位となる14位に入り、アメリカ勢ではケリー・ワーナー(コナ・マキシス・シマノ)の17位が最高位だった。

パワフルな走りで序盤にリードを築いたイヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング)パワフルな走りで序盤にリードを築いたイヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング) photo:UCI
2番手グループから追撃したカテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム)2番手グループから追撃したカテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム) photo:UCI
約40分、3周回で争われた女子レース序盤でリードを得たのは、是が非でもトレックのお膝元で勝利を収めたいイヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング)。パワフルに泥を踏み抜きリードを得たリチャーズだったが、軽やかなランニングで追い上げる41歳の大ベテラン、カテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム)が徐々に差を詰め、1周目の後半にリチャーズを追い抜いた。

独走で勝利したカテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム)独走で勝利したカテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム) photo:UCI
ゴール後に倒れこむカロリーヌ・マーニ(フランス、パクティモ)ゴール後に倒れこむカロリーヌ・マーニ(フランス、パクティモ) photo:UCI高圧洗浄機で泥を落とすマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバック)高圧洗浄機で泥を落とすマーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバック) photo:UCI


「今まで培ってきた経験とテクニックをフル動員して走った」と振り返るナッシュはその後2周回先頭を守り抜いてフィニッシュ。開幕戦の2位に続く優勝でワールドカップランキングリーダーに躍進している。2位には後方から追い上げ、「あとレースが3分長ければ(UCI規定で女子レースは45分間)先頭に立てていたと思う」と語るヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング)。リチャーズはネフに交わされつつも3位に踏みとどまった。


男子エリート結果
1位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 1h08'28"
2位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) +1'08"
3位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) +1'23"
4位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ) +1'58"
5位 コルヌ・ファンケッセル(ベルギー、テレネット・バロワーズ) +2'18"
6位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・バロワーズ) +2'25"
7位 ニコラス・クレッペ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) +2'34"
8位 ヨリス・ニューウィンハイス(オランダ、サンウェブ) +2'47"
9位 イェンス・アダムス(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) +2'56"
10位 ジム・アールノーツ(ベルギー、テレネット・バロワーズ) +3'13"
女子エリート結果
1位 カテリーナ・ナッシュ(チェコ、クリフレーシングチーム) 41'55"
2位 ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシング) +19"
3位 イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング) +31"
4位 クララ・ホンシンガー(アメリカ、チームS&M) +1'25"
5位 マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバック) +1'29"
6位 カロリーヌ・マーニ(フランス、パクティモ) +1'47"
7位 ジェニファー・ジャクソン(カナダ、イーストン・ジャイアントp/bトランジションズ) +2'07"
8位 マノン・バッカー(オランダ、エクスプレサ・プロCX) +2'20"
9位 マウド・カプテインス(オランダ、パウェルズサウゼン・ビンゴール) +2'42"
10位 レベッカ・ファーリンガー(アメリカ、コナ・マキシス・シマノ) +2'54"
text:So.Isobe

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