2010年5月1日、ツール・ド・ロマンディ(UCIプロツアー)第4ステージは生憎の雨レースに。ゴール10km手前で逃げメンバーを振り切ったサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)が、雨の中をゴールまで逃げ切った。総合首位はマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)が辛うじて守った。

ツール・ド・ロマンディ2010第4ステージ コースプロフィールツール・ド・ロマンディ2010第4ステージ コースプロフィール photo:www.tourderomandie.ch最終日前日の第4ステージは、標高1200〜1300mクラスの1級山岳が2つ設定された厳しい山岳コース。しかもゴール手前は上り基調で、ラスト2.5km地点までカテゴリー山岳並みの上りが続く。

冷たい雨に見舞われた第4ステージ冷たい雨に見舞われた第4ステージ photo:www.tourderomandie.chこの日は一日中レインコートが手放せない生憎の雨模様。山岳ステージということもあり、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)やグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)はスタートしなかった。

39km地点で逃げをスタートさせたのはミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)やマルティン・エルミガー(スイス、アージェードゥーゼル)ら7名。タイム差は最大5分20秒まで広がったが、リーダージャージ擁するチームHTC・コロンビアの集団コントロールによってタイム差は縮小。ケースデパーニュが集団牽引に加わると、更にタイム差の縮小は加速した。

雨のゴールに単独で飛び込むサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)雨のゴールに単独で飛び込むサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) photo:www.tourderomandie.chレースが動きを見せたのが、この日最後のカテゴリー山岳、ゴールの25km手前に位置する1級山岳コルビエ峠。フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)らのアタックによって集団は活性化し、昨年のジロ・デ・イタリア覇者デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)が単独で飛び出した。

メンショフはそれまで逃げていた選手たちを全員抜き去り、コルビエ峠の頂上を先頭で通過。しかし下り区間で後続選手がメンショフに合流し、先頭は30名ほどに。総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)はゴール15km手前のスプリントポイントを先頭で通過して貴重なボーナスタイムを獲得した。

ステージ2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が両手を挙げるステージ2位のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が両手を挙げる photo:www.tourderomandie.ch続いて集団からラスト11km地点で飛び出したのはスピラック、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)、クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ)、モーリス・ポッソーニ(イタリア、チームスカイ)の4名。ここから更にスピラックが単独で抜け出すことに成功し、独走でゴールに至る上りに入った。

後方ではユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)のアタックにジルベールとペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が合流し、3名で追走グループを形成。しかし先頭とのタイム差を詰めることは出来ず、スピラックが13秒のリードを守り切ってゴールへ。降りしきる雨の中、スピラックがガッツポーズでゴールに飛び込んだ。

新人賞ジャージに袖を通したサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)新人賞ジャージに袖を通したサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) photo:www.tourderomandie.ch他の選手たちを寄せ付けない走りで、今シーズン初勝利を飾ったスピラック。集団とのタイム差&ボーナスタイムにより、総合3位にジャンプアップした。ランプレの公式サイトの中でスピラックは「雨の日のレースが得意なんだ。今日はまさに雨で僕向きだった。今年最初の勝利に満足しているよ。勝ち方にも満足だ。今日は何度も何度もアタックして、ようやくチャンスが回って来たんだ。今は少し疲れているけど、明日はまたハードな闘いが待っている。山岳が残っているから、総合成績に変動を起こせるかも」と語っている。

追走グループは、ステージ優勝したと勘違いしたサガンを先頭にゴール。ロジャースやバルベルデを含む集団は22秒遅れでゴールした。バルベルデはスプリントポイントで得たボーナスタイムによりロジャースとの総合タイム差を1秒まで詰めたが、総合首位の座は奪えず。依然として総合タイム差30秒以内に8人がひしめく状態が続いている。翌最終ステージで再び山岳バトルが繰り広げられるだろう。

レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。


ツール・ド・ロマンディ2010第4ステージ結果
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)           4h05'25"
2位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)               +13"
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
4位 ユベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)          +15"
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)         +22"
6位 マルセル・ウィス(スイス、サーヴェロ・テストチーム)
7位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
9位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
10位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)

個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) 14h01'48"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)        +01"
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)             +05"
4位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)           +07"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)               +10"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)       +17"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)           +19"
8位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ)           +26"
9位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)          +41"
10位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)

山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)

新人賞
サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)

チーム総合成績
ケースデパーニュ

text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch

最新ニュース(全ジャンル)