2019/09/24(火) - 11:22
ユーロバイクも終わり2020年モデルの新製品が出揃ったところで、国内でもディーラー向けに新製品をお披露目する展示会が開催されている。フィジークやエリート、フルクラム、デダエレメンティなどを扱うカワシマサイクルサプライの展示会で登場したニュープロダクトを紹介しよう。
今回はユーロバイク直後の展示会ということもあり、注目したい製品はアワードを獲得したフィジークのVENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEや、会場でも非常に奇妙な見た目が話題を呼んでいたサドルADAPTIVだ。シクロワイアードではユーロバイクのブースレポートでもお伝えしてきたが、今回カワシマサイクルサプライの展示会にはフィジーク本社よりエリアマネージャーのアレッサンドロ・リゴンさんが来日し、ADAPTIVEについて一言コメントを頂いている。言葉とともに製品を紹介する。
まずはADAPTIVEをピックアップする。ADAPTIVEとはANTRES VERSUS EVO 00のベースに非常に特殊なパッドを備えた新型サドル。スポンジのように細かな孔が設けられた奇妙なパッドは、フィジークのプレッシャーマッピングデータをもとにデザインされており、場所によって硬さが異なるように設計されている。つまり硬くあるべきところは硬く、柔らかくて良いところは柔らかく開発しているのだとか。
この特殊なパッドを作り出したのは、カーボン社という会社の3Dプリント技術。一般的な樹脂の層を重ねていく3Dプリントとは異なる製法を採用することで、射出成形の樹脂製品と同程度の強度などを実現しているのだとか。アディダスのランニングシューズにも既に採用されている最先端技術であるが、そのユニークな見た目は製品版というよりはプロトタイプのような見た目。しかし、ADAPTIVEはこの形で販売されるという。
「我々は先進的な物を作りたかったのです。サドルにおける最も重要なイノベーションを創造するためにプロジェクトに取り組みました。このサドルで最も大切なことは”ADAPTIVE”という名前に表れており、ライダーの体に適合することです。すぐに販売開始となる予定です。お楽しみに」とアレッサンドロさん。
そして日本のサイクリストに向けて「まずフィジークのブランドを愛し、使って頂いている方全員に感謝を。非常に嬉しいことです。ありがとう。2020年はユニークなプロダクトが揃っていて、ADAPTIVEやショートノーズサドルのARGO、フィジーク初となるグラベル用シューズX4、VENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEなど各カテゴリーでニューモデルが登場しています。ぜひご覧頂きたいです」とメッセージを残してくれた。
アレッサンドロさんが語ったようにフィジークの2020年モデルは非常に多くのプロダクトが登場する。ロードカテゴリーでは先日発表されたR4とならび、VENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEに注目。このモデルは、R1 INFINITO KNITとは異なるニット素材をアッパーに、POWERSTRAPをクロージャーに採用したロードシューズだ。ニット素材は場所によって編み方を変化させることで、優れた剛性、強度、通気性、快適性を実現させているという。
グラベル用としてアレッサンドロさんに紹介されたTERRA POWERSTRAP X4。フィジークはモデル名からそのプロダクトがどのような物かを想像できるようになっている。TERRAはオフロードシューズのカテゴリー、POWERSTRAPはそのままクロージャー、ナンバリングでグレードを表している。つまりX4はミドルグレードのオフロードシューズということになる。
特徴はアウトソールのグリップパターン。X1やX3などは路面を捉えるためにブロックパターンとされているが、X4は砂利道や舗装路を歩くのに適している設計がされている。クリート部分のブロックは設置部分がカーブしており、歩行性を向上させている。こういった点がMTBというよりはグラベル用と言われる所以なのだろう。また、シューレース、BOA、防寒防水の3種類が用意されたTERRA X2というMTB用も登場している。
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ブランド初となるショートノーズサドル「ARGO」も同時にリリース。ARGOはスパインコンセプトEVOには属さず、前乗りを好む様々なサイクリストにマッチするように複数サイズ用意されていることが特徴だ。まずハイペースでのサイクリングを楽しみたいレーサー用のVENTO、のんびりと楽しみたい方向けのTEMPOという2モデルが用意されている。
この2モデルはノーズが上向きに反るか、下向きに落ち込むかという設計と使用されるフォームがそれぞれ異なる。サドルにも大きな荷重をかけるアグレッシブなポジションを取るレーサー向きVENTOは下向きノーズとされている。フォームに関しては、VENTOに従来のレーシーなフォームを採用する一方で、TEMPOにはクッション性の高い新開発フォームを使用しているという。また、ラインアップされるサイズも異なり、VENTOは140mm、150mm幅、TEMPOは150mm、160mm幅というそれぞれ2種類が用意されている。レールはカーボンとK:iumの2種類。
エリートもカワシマサイクルサプライが取り扱うブランドの1つだ。スマートトレーナーDIRETOのアップデート版DIRETO Xが登場。ドライブシステムを改良することで静粛性が50%も向上しているという。また、自動負荷の対応が18%/2100Wまで対応可能となった。ドラム部分のケース形状を変更しており、ロングケージのディレイラーでもローラー台に干渉しにくくなっているという。
ダイレクトドライブ方式の新スマートローラー「SUITO」は、メインボディ部の幅が15cmと非常に薄く作られており収納しやすいことが特徴。展開時は3本足でボディとバイクを支える。このモデルにパワーメーターは搭載されていないが、パワーメーターリンクという新機能が搭載されている。これは手持ちのパワーメーターで検出したデータに基づき、負荷調整が行われるというもの。既にパワーメーターを所有している人にピッタリのモデルだ。もちろんパワーメーターとリンクさせなくても、SUITO自身が独自のアルゴリズムによって想定パワー(±2.5%)を測定してくれるという。
また、エリートはタイヤドライブ方式の固定ローラー台「TUO」も新たにラインアップ。TUOはイタリアの家具デザイナーにデザインしてもらったというモデルで、部屋のインテリアとの馴染みを考慮して作られたという。これまでにないボックス形状のローラー部周り、木製レッグなど非常にユニークな見た目が特徴。ズイフトなどにも対応しており、パワーリンク機能によってパワーメーターと接続することが可能だ。内蔵ファンを省略することで、静粛性を向上させているとも。
新型ALAや、CUSTOM RACE PLUS、VICO CARBONの新色などボトルケージ関連の新製品も目白押し。エリートのFLYボトルはキャップとボトル部分が同色になるデザイン変更、FLYの柔らかい素材を使用したサーマルボトルの登場、FLYのキャップとCORSAのボトル部分素材を組み合わせた新作JETの登場などボトル周りもニュースが多くある。
フルクラムは7月にデビューしたWINDシリーズを筆頭に、マイナーチェンジとなったRACING ZEROのディスクブレーキバージョン、グラベル用ホイールとしてRAPID RED 5の700Cと650Bの2モデルが新製品だ。RAPID RED 5はミドルグレード帯のホイールのため、アグレッシブにグラベルライドを楽しみたい方向けのホイールといっても良いだろう。
デダエレメンティからはSUPERZEROがマイナーチェンジし、SUPERZERO DCRというケーブル内装を可能とするモデルが登場。ニュープロダクト「VINCI」はハンドルとステムが別体ながら2つ組み合わせて使用することが前提のエアロ形状が特徴だ。ハンドルとステムが別体とされているため、それぞれ自分に合わせたサイズを選べることが美点である。いずれもデダのDCRのヘッドセットを使用する必要があり、フレームとの相性確認は必要だ。
以下は紹介しきれなかったプロダクトをフォトダイジェスト形式で紹介しよう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
今回はユーロバイク直後の展示会ということもあり、注目したい製品はアワードを獲得したフィジークのVENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEや、会場でも非常に奇妙な見た目が話題を呼んでいたサドルADAPTIVだ。シクロワイアードではユーロバイクのブースレポートでもお伝えしてきたが、今回カワシマサイクルサプライの展示会にはフィジーク本社よりエリアマネージャーのアレッサンドロ・リゴンさんが来日し、ADAPTIVEについて一言コメントを頂いている。言葉とともに製品を紹介する。
まずはADAPTIVEをピックアップする。ADAPTIVEとはANTRES VERSUS EVO 00のベースに非常に特殊なパッドを備えた新型サドル。スポンジのように細かな孔が設けられた奇妙なパッドは、フィジークのプレッシャーマッピングデータをもとにデザインされており、場所によって硬さが異なるように設計されている。つまり硬くあるべきところは硬く、柔らかくて良いところは柔らかく開発しているのだとか。
この特殊なパッドを作り出したのは、カーボン社という会社の3Dプリント技術。一般的な樹脂の層を重ねていく3Dプリントとは異なる製法を採用することで、射出成形の樹脂製品と同程度の強度などを実現しているのだとか。アディダスのランニングシューズにも既に採用されている最先端技術であるが、そのユニークな見た目は製品版というよりはプロトタイプのような見た目。しかし、ADAPTIVEはこの形で販売されるという。
「我々は先進的な物を作りたかったのです。サドルにおける最も重要なイノベーションを創造するためにプロジェクトに取り組みました。このサドルで最も大切なことは”ADAPTIVE”という名前に表れており、ライダーの体に適合することです。すぐに販売開始となる予定です。お楽しみに」とアレッサンドロさん。
そして日本のサイクリストに向けて「まずフィジークのブランドを愛し、使って頂いている方全員に感謝を。非常に嬉しいことです。ありがとう。2020年はユニークなプロダクトが揃っていて、ADAPTIVEやショートノーズサドルのARGO、フィジーク初となるグラベル用シューズX4、VENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEなど各カテゴリーでニューモデルが登場しています。ぜひご覧頂きたいです」とメッセージを残してくれた。
アレッサンドロさんが語ったようにフィジークの2020年モデルは非常に多くのプロダクトが登場する。ロードカテゴリーでは先日発表されたR4とならび、VENTO POWERSTRAP R2 AEROWEAVEに注目。このモデルは、R1 INFINITO KNITとは異なるニット素材をアッパーに、POWERSTRAPをクロージャーに採用したロードシューズだ。ニット素材は場所によって編み方を変化させることで、優れた剛性、強度、通気性、快適性を実現させているという。
グラベル用としてアレッサンドロさんに紹介されたTERRA POWERSTRAP X4。フィジークはモデル名からそのプロダクトがどのような物かを想像できるようになっている。TERRAはオフロードシューズのカテゴリー、POWERSTRAPはそのままクロージャー、ナンバリングでグレードを表している。つまりX4はミドルグレードのオフロードシューズということになる。
特徴はアウトソールのグリップパターン。X1やX3などは路面を捉えるためにブロックパターンとされているが、X4は砂利道や舗装路を歩くのに適している設計がされている。クリート部分のブロックは設置部分がカーブしており、歩行性を向上させている。こういった点がMTBというよりはグラベル用と言われる所以なのだろう。また、シューレース、BOA、防寒防水の3種類が用意されたTERRA X2というMTB用も登場している。
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ブランド初となるショートノーズサドル「ARGO」も同時にリリース。ARGOはスパインコンセプトEVOには属さず、前乗りを好む様々なサイクリストにマッチするように複数サイズ用意されていることが特徴だ。まずハイペースでのサイクリングを楽しみたいレーサー用のVENTO、のんびりと楽しみたい方向けのTEMPOという2モデルが用意されている。
この2モデルはノーズが上向きに反るか、下向きに落ち込むかという設計と使用されるフォームがそれぞれ異なる。サドルにも大きな荷重をかけるアグレッシブなポジションを取るレーサー向きVENTOは下向きノーズとされている。フォームに関しては、VENTOに従来のレーシーなフォームを採用する一方で、TEMPOにはクッション性の高い新開発フォームを使用しているという。また、ラインアップされるサイズも異なり、VENTOは140mm、150mm幅、TEMPOは150mm、160mm幅というそれぞれ2種類が用意されている。レールはカーボンとK:iumの2種類。
エリートもカワシマサイクルサプライが取り扱うブランドの1つだ。スマートトレーナーDIRETOのアップデート版DIRETO Xが登場。ドライブシステムを改良することで静粛性が50%も向上しているという。また、自動負荷の対応が18%/2100Wまで対応可能となった。ドラム部分のケース形状を変更しており、ロングケージのディレイラーでもローラー台に干渉しにくくなっているという。
ダイレクトドライブ方式の新スマートローラー「SUITO」は、メインボディ部の幅が15cmと非常に薄く作られており収納しやすいことが特徴。展開時は3本足でボディとバイクを支える。このモデルにパワーメーターは搭載されていないが、パワーメーターリンクという新機能が搭載されている。これは手持ちのパワーメーターで検出したデータに基づき、負荷調整が行われるというもの。既にパワーメーターを所有している人にピッタリのモデルだ。もちろんパワーメーターとリンクさせなくても、SUITO自身が独自のアルゴリズムによって想定パワー(±2.5%)を測定してくれるという。
また、エリートはタイヤドライブ方式の固定ローラー台「TUO」も新たにラインアップ。TUOはイタリアの家具デザイナーにデザインしてもらったというモデルで、部屋のインテリアとの馴染みを考慮して作られたという。これまでにないボックス形状のローラー部周り、木製レッグなど非常にユニークな見た目が特徴。ズイフトなどにも対応しており、パワーリンク機能によってパワーメーターと接続することが可能だ。内蔵ファンを省略することで、静粛性を向上させているとも。
新型ALAや、CUSTOM RACE PLUS、VICO CARBONの新色などボトルケージ関連の新製品も目白押し。エリートのFLYボトルはキャップとボトル部分が同色になるデザイン変更、FLYの柔らかい素材を使用したサーマルボトルの登場、FLYのキャップとCORSAのボトル部分素材を組み合わせた新作JETの登場などボトル周りもニュースが多くある。
フルクラムは7月にデビューしたWINDシリーズを筆頭に、マイナーチェンジとなったRACING ZEROのディスクブレーキバージョン、グラベル用ホイールとしてRAPID RED 5の700Cと650Bの2モデルが新製品だ。RAPID RED 5はミドルグレード帯のホイールのため、アグレッシブにグラベルライドを楽しみたい方向けのホイールといっても良いだろう。
デダエレメンティからはSUPERZEROがマイナーチェンジし、SUPERZERO DCRというケーブル内装を可能とするモデルが登場。ニュープロダクト「VINCI」はハンドルとステムが別体ながら2つ組み合わせて使用することが前提のエアロ形状が特徴だ。ハンドルとステムが別体とされているため、それぞれ自分に合わせたサイズを選べることが美点である。いずれもデダのDCRのヘッドセットを使用する必要があり、フレームとの相性確認は必要だ。
以下は紹介しきれなかったプロダクトをフォトダイジェスト形式で紹介しよう。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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