2019/09/16(月) - 11:02
9月初旬にドイツで開催された世界最大規模の自転車ショー「ユーロバイク」。1400社ものブランドが集結するこの展示会の中から、リドレー、フルクラム、ローター、トーケン、ミケをピックアップして紹介しよう。
リドレー オールランドレーサーHELIUM SLXがモデルチェンジ
ベルギーに拠点を構えるバイクブランドのリドレー。2020年モデルではオールラウンドモデルであるHELIUM SLXがモデルチェンジし、HELIUM SLX DISCをデビューさせる。名前の通りディスクブレーキを装備したバイクへと進化を遂げた。ラインアップとしてはリムブレーキ版もSLXグレードが用意されており、ユーザーは好みに合わせられるようになっている。
新しいHELIUM SLX DISCはHELIUM SLXの設計思想はそのまま受け継いでいるため、オーソドックスでシンプルな見た目のルックスに変わりない。しかし、カーボンレイアップから見直しが図られており、15%もの剛性強化を実現しているという。一方で、シートチューブとシートステーの接合部を下げることで衝撃吸収性を向上させており、バイクの走行性能を高めている。
ディスクブレーキ化の大きなトピックは、ブレーキホースとシフト系統のケーブル類全て内装となる点だろう。NOAH FASTで採用されたD型断面のフォークコラムを採用することで内装化を実現。ヘッド周りのケーブル挿入用ホールが設けられていないため、見た目も非常にスッキリとしている。タイヤクリアランスは28mmまで、フレーム重量はユーロバイクブースに用意されていたパネルによると820g。
また、リドレーはKanzo Speedというフルカーボンのグラベルロードをリリースした。ヘッドチューブ周りなどややFENIXの造形に似ているが、Kanza Speedはダーティカンザなどグラベルレースを意識した新設計のバイクだ。シートステーはトップチューブからそのまま繋がるような形状とした上、細いチューブとすることで衝撃吸収性を獲得している。タイヤサイズは36mmまでとしており、前後ともにマッドガード/ラックが装着できるマウントが装備されている。
ユーロバイクのブースでは、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が今年の4月にアワーレコードを更新した際に使用していたArena TTが飾られていた。リドレーはカンペナールツのためにスペシャルペイントのバイクを用意するだけではなく、専用設計のDHバーを制作。彼のために合わせて作られたパーツ類などは数多くの来場者が注目していた。
フルクラム 定番アルミレーシングモデルRACING ZEROにディスクブレーキ版
先日WINDシリーズなど新作を意欲的に発表し続けるイタリアのホイールブランド、フルクラム。ユーロバイクで発表されたホイールの中で最も目を引いたのは、RACING ZEROのディスクブレーキバージョンだ。フルクラムはプロスペックのSPEEDシリーズ、WINDシリーズ、RACINGシリーズ、ついに2020年モデルより定番のRACING ZEROのアルミモデルがモデルチェンジを果たす。
RACING ZERO DBはリムハイト30mm、内幅19mmという拡幅されたリムプロファイルを採用し、不必要な部分を切削加工することで重量増を抑えている。もちろんスポークはアルミ製で、前後をTwo to Oneダブルスポークで組み上げる。フロントハブはカーボンとアルミフランジ、リアハブはアルミボディ、アルミフランジを採用する。ベアリングはUSBセラミックだ。重量は1590g。ちなみにC17のリムブレーキ版(2019年モデル)は1518gだ。
またグラベル用ホイールとしてRAPID RED 5の700Cと650Bの2モデルが登場する。2WAY-FIT Ready(チューブレスレディ)のアルミホイールかつ、ミドルグレード帯のレンジとして用意されているため、グラベルロードでハードに乗り込みたい方にピッタリなモデルだ。MTB用のRED METAL 5の29インチホイールも新たに登場している。
ローター 1x13のマウンテンバイクコンポーネント、スパイダー型PMをリリース
ローターが昨年のユーロバイクでリリースしたことで話題を呼んだ油圧駆動13速コンポーネント「1x13」。フロントシングルであってもリアに13速スプロケットを用意することで、フロントダブルで使用できるギア比の大部分をカバーできるということがポイントだ。昨年の発表時は開発の最終段階にあり、ほとんどのパーツは完成されていたものの販売モデルとしてのローンチは行われていなかった。
その後、ロード用コンポーネントのラインアップを発表しており、ユーロバイク2019開幕のタイミングでMTB用コンポーネントラインアップを満を持して発表した。ディレイラーやリボルバーハブなどは1x13で共通する項目のため、MTB独自のパーツはシフターとMTBユースに合わせた歯数構成のカセットスプロケットとなる。シフターは1レバーでシフトアップ/ダウンを行える明解な操作方法であることに加え、オプショナルレバーも備えられていることが特徴だ。
ラインアップは12速仕様と、先立って発表していたMTB用カーボンクランク「KAPIC」を含むフルセットや、2INPOWERクランクセットが含まれるフルセットの3種類だ。12速仕様はリボルバーハブやスプロケットを用意すると13速化をすみやかに行える「Ready」キットとして位置づけられている。
また、ローターはスパイダーアームでパワーを検出する新型パワーメーター「INspider」をローンチ。近年ローターが用意し始めているダイレクトマウント形式のクランクセット、例えばALDHUやKAPICなどに対応するものであり、ロードとMTB、QリングとNoQどちらにも対応することが可能。またロード用のチェーンリングはエアロを考慮した形状としていることも特徴だ。
インストールの行いやすさはもちろん、ロードやトラック、MTB様々な競技に対応させれること、長さの異なるクランクに変えられること、24mmアクスルのシャフトに対応するなど、様々な要件に答えられることがスパイダー型のメリット。2INpowerとINpowerのラインアップに新しい選択肢が加わるのは喜ばしいニュースだ。
トーケン ケーブル内装を実現するヘッドセットシステムを開発
台湾のサイクルパーツブランド「トーケン」からも、シフトとブレーキケーブルを内装できるシステムが登場している。トーケンは上側ベアリング(1.5インチ)の内側にインサートするコンプレッションリングにケーブルを通すことができるスペースを設け内装化を実現している。このコンプレッションリングは割りを設けることで、ベアリングとのタイトなグリップを実現。さらに、コラムに掛かる力を和らげることができるのだという。
ベアリングは内輪のエッジを落とす加工が施されており、ケーブルにダメージを与えないとともにスムーズな動きを実現する。ステムはBLKTECというブランドとのコラボレーションで生み出されており、スペーサーなどもケーブルインサートに対応している。
また、トーケンのビッグプーリー「Shuriken」はラインアップが拡充している。トーケンがサポートするコフィディスがカンパニョーロ SUPER RECORD EPS 12sを使用しているため、同製品に対応するものが用意された。さらにシマノ105に対応するモデルも登場している。105対応品はアルミケージを使用しながら、66gとカーボンに匹敵する軽さに仕上げられている。
ミケ イタリアンコンポーネントブランドから新作ホイールが登場
1919年に創業したイタリアの老舗コンポーネントブランド「ミケ」をピックアップする。ミケはカハルーラル・セグロスRGAやアンドローニ・ジョカトリをサポートしており、今もロードの最前線で戦い続けているブランドだ。ユーロバイクのブースでは、SRMのパワーメーターが搭載されたクランクセット「ATTIVA POWER METER」がお披露目されていた。
ホイールラインアップに数多くの新作が登場しており、それらを紹介していきたい。カハルーラル・セグロスRGAが採用しているトップグレードのSUPERTYPEには550TDX、338TDXというチューブラータイプのディスクブレーキ対応モデルが登場。3Kカーボンのリムや、チタンのフリーボディなど様々な素材を使用していることが特徴だ。重量が550で1488g、338で1430g。ミドルグレードのロードホイールSWR DX(ディスクブレーキ)のチューブラーモデルとチューブレスレディモデルそれぞれに50mmハイトが追加されている。
ミケはオフロード用パーツも充実しており、MTB用のフックレス・カーボンホイールの新作がブースには並べられていた。ハイエンドモデルのK1は1330gという軽量性を誇り、ミドルグレードK4は1495g。いずれもチューブレスレディ、ブースト規格など最新のスペックは抑えられているクロスカントリー用ホイールだ。カーボンモデルとアルミモデルの2種類が用意されたグラベルロード用ホイール「GRAFF」も登場している。ユーロバイクでは日本では中々見ることのできないイタリア老舗ブランドの懐の深いラインアップを見ることができた。
text&photo:Gakuto Fujiwara
photo:Yuto Murata
リドレー オールランドレーサーHELIUM SLXがモデルチェンジ
ベルギーに拠点を構えるバイクブランドのリドレー。2020年モデルではオールラウンドモデルであるHELIUM SLXがモデルチェンジし、HELIUM SLX DISCをデビューさせる。名前の通りディスクブレーキを装備したバイクへと進化を遂げた。ラインアップとしてはリムブレーキ版もSLXグレードが用意されており、ユーザーは好みに合わせられるようになっている。
新しいHELIUM SLX DISCはHELIUM SLXの設計思想はそのまま受け継いでいるため、オーソドックスでシンプルな見た目のルックスに変わりない。しかし、カーボンレイアップから見直しが図られており、15%もの剛性強化を実現しているという。一方で、シートチューブとシートステーの接合部を下げることで衝撃吸収性を向上させており、バイクの走行性能を高めている。
ディスクブレーキ化の大きなトピックは、ブレーキホースとシフト系統のケーブル類全て内装となる点だろう。NOAH FASTで採用されたD型断面のフォークコラムを採用することで内装化を実現。ヘッド周りのケーブル挿入用ホールが設けられていないため、見た目も非常にスッキリとしている。タイヤクリアランスは28mmまで、フレーム重量はユーロバイクブースに用意されていたパネルによると820g。
また、リドレーはKanzo Speedというフルカーボンのグラベルロードをリリースした。ヘッドチューブ周りなどややFENIXの造形に似ているが、Kanza Speedはダーティカンザなどグラベルレースを意識した新設計のバイクだ。シートステーはトップチューブからそのまま繋がるような形状とした上、細いチューブとすることで衝撃吸収性を獲得している。タイヤサイズは36mmまでとしており、前後ともにマッドガード/ラックが装着できるマウントが装備されている。
ユーロバイクのブースでは、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が今年の4月にアワーレコードを更新した際に使用していたArena TTが飾られていた。リドレーはカンペナールツのためにスペシャルペイントのバイクを用意するだけではなく、専用設計のDHバーを制作。彼のために合わせて作られたパーツ類などは数多くの来場者が注目していた。
フルクラム 定番アルミレーシングモデルRACING ZEROにディスクブレーキ版
先日WINDシリーズなど新作を意欲的に発表し続けるイタリアのホイールブランド、フルクラム。ユーロバイクで発表されたホイールの中で最も目を引いたのは、RACING ZEROのディスクブレーキバージョンだ。フルクラムはプロスペックのSPEEDシリーズ、WINDシリーズ、RACINGシリーズ、ついに2020年モデルより定番のRACING ZEROのアルミモデルがモデルチェンジを果たす。
RACING ZERO DBはリムハイト30mm、内幅19mmという拡幅されたリムプロファイルを採用し、不必要な部分を切削加工することで重量増を抑えている。もちろんスポークはアルミ製で、前後をTwo to Oneダブルスポークで組み上げる。フロントハブはカーボンとアルミフランジ、リアハブはアルミボディ、アルミフランジを採用する。ベアリングはUSBセラミックだ。重量は1590g。ちなみにC17のリムブレーキ版(2019年モデル)は1518gだ。
またグラベル用ホイールとしてRAPID RED 5の700Cと650Bの2モデルが登場する。2WAY-FIT Ready(チューブレスレディ)のアルミホイールかつ、ミドルグレード帯のレンジとして用意されているため、グラベルロードでハードに乗り込みたい方にピッタリなモデルだ。MTB用のRED METAL 5の29インチホイールも新たに登場している。
ローター 1x13のマウンテンバイクコンポーネント、スパイダー型PMをリリース
ローターが昨年のユーロバイクでリリースしたことで話題を呼んだ油圧駆動13速コンポーネント「1x13」。フロントシングルであってもリアに13速スプロケットを用意することで、フロントダブルで使用できるギア比の大部分をカバーできるということがポイントだ。昨年の発表時は開発の最終段階にあり、ほとんどのパーツは完成されていたものの販売モデルとしてのローンチは行われていなかった。
その後、ロード用コンポーネントのラインアップを発表しており、ユーロバイク2019開幕のタイミングでMTB用コンポーネントラインアップを満を持して発表した。ディレイラーやリボルバーハブなどは1x13で共通する項目のため、MTB独自のパーツはシフターとMTBユースに合わせた歯数構成のカセットスプロケットとなる。シフターは1レバーでシフトアップ/ダウンを行える明解な操作方法であることに加え、オプショナルレバーも備えられていることが特徴だ。
ラインアップは12速仕様と、先立って発表していたMTB用カーボンクランク「KAPIC」を含むフルセットや、2INPOWERクランクセットが含まれるフルセットの3種類だ。12速仕様はリボルバーハブやスプロケットを用意すると13速化をすみやかに行える「Ready」キットとして位置づけられている。
また、ローターはスパイダーアームでパワーを検出する新型パワーメーター「INspider」をローンチ。近年ローターが用意し始めているダイレクトマウント形式のクランクセット、例えばALDHUやKAPICなどに対応するものであり、ロードとMTB、QリングとNoQどちらにも対応することが可能。またロード用のチェーンリングはエアロを考慮した形状としていることも特徴だ。
インストールの行いやすさはもちろん、ロードやトラック、MTB様々な競技に対応させれること、長さの異なるクランクに変えられること、24mmアクスルのシャフトに対応するなど、様々な要件に答えられることがスパイダー型のメリット。2INpowerとINpowerのラインアップに新しい選択肢が加わるのは喜ばしいニュースだ。
トーケン ケーブル内装を実現するヘッドセットシステムを開発
台湾のサイクルパーツブランド「トーケン」からも、シフトとブレーキケーブルを内装できるシステムが登場している。トーケンは上側ベアリング(1.5インチ)の内側にインサートするコンプレッションリングにケーブルを通すことができるスペースを設け内装化を実現している。このコンプレッションリングは割りを設けることで、ベアリングとのタイトなグリップを実現。さらに、コラムに掛かる力を和らげることができるのだという。
ベアリングは内輪のエッジを落とす加工が施されており、ケーブルにダメージを与えないとともにスムーズな動きを実現する。ステムはBLKTECというブランドとのコラボレーションで生み出されており、スペーサーなどもケーブルインサートに対応している。
また、トーケンのビッグプーリー「Shuriken」はラインアップが拡充している。トーケンがサポートするコフィディスがカンパニョーロ SUPER RECORD EPS 12sを使用しているため、同製品に対応するものが用意された。さらにシマノ105に対応するモデルも登場している。105対応品はアルミケージを使用しながら、66gとカーボンに匹敵する軽さに仕上げられている。
ミケ イタリアンコンポーネントブランドから新作ホイールが登場
1919年に創業したイタリアの老舗コンポーネントブランド「ミケ」をピックアップする。ミケはカハルーラル・セグロスRGAやアンドローニ・ジョカトリをサポートしており、今もロードの最前線で戦い続けているブランドだ。ユーロバイクのブースでは、SRMのパワーメーターが搭載されたクランクセット「ATTIVA POWER METER」がお披露目されていた。
ホイールラインアップに数多くの新作が登場しており、それらを紹介していきたい。カハルーラル・セグロスRGAが採用しているトップグレードのSUPERTYPEには550TDX、338TDXというチューブラータイプのディスクブレーキ対応モデルが登場。3Kカーボンのリムや、チタンのフリーボディなど様々な素材を使用していることが特徴だ。重量が550で1488g、338で1430g。ミドルグレードのロードホイールSWR DX(ディスクブレーキ)のチューブラーモデルとチューブレスレディモデルそれぞれに50mmハイトが追加されている。
ミケはオフロード用パーツも充実しており、MTB用のフックレス・カーボンホイールの新作がブースには並べられていた。ハイエンドモデルのK1は1330gという軽量性を誇り、ミドルグレードK4は1495g。いずれもチューブレスレディ、ブースト規格など最新のスペックは抑えられているクロスカントリー用ホイールだ。カーボンモデルとアルミモデルの2種類が用意されたグラベルロード用ホイール「GRAFF」も登場している。ユーロバイクでは日本では中々見ることのできないイタリア老舗ブランドの懐の深いラインアップを見ることができた。
text&photo:Gakuto Fujiwara
photo:Yuto Murata
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