2019/08/27(火) - 07:24
アイルランドチャンピオンのステージ初優勝。ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージを締めくくる大集団スプリントでサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が今シーズン世界最多タイの12勝目を飾った。
バレンシア州内陸のシウダー・デル・フグエテから地中海沿いのアリカンテを目指す188kmコースに設定された3級山岳は2つ。いずれも平均勾配は4〜5%で、ステージ全体の獲得標高差は1,700m。決して真っ平らなステージではないが、今大会最初のスプリントステージとして最終高速バトルに注目が集まった。
この日は序盤から山岳賞ジャージを着るアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH)がチームメイトとともに2日連続のエスケープ。晴れ時々曇り、最高気温30度ほどのアップダウンコースで逃げグループは最大6分のタイム差を稼ぎ出した。
逃げグループを形成した3名
アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH)
ディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴスBH)
エクトル・サエス(スペイン、エウスカディ・ムリアス)
最初の1時間を平均スピード45.9km/hで駆け抜けた先頭3名を追ったのは、マイヨロホ擁するサンウェブと、スプリント狙いのドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエ、そしてUAEチームエミレーツ。スプリンターチームの集団牽引によってタイム差は3分前後に押さえ込まれる状況が続く。ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、オリヴィエロ・トロイア(イタリア、UAEチームエミレーツ)らがエースのために長時間集団先頭を引き続けた。
最初の3級山岳ビアル峠で順調に3ポイントを稼いだマドラソだったが、2つ目の3級山岳ティビ峠が近づくとともにメイン集団とのタイム差が急速に詰まっていく。スプリント狙いではなく総合狙いのユンボ・ヴィズマの集団ペースアップによってタイム差が1分を下回った状態で3級山岳ティビ峠に突入。ここでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を含む多くのスプリンターがメイン集団から脱落した。
2018年大会の山岳賞トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らがメイン集団から飛び出すシーンも見られたが引き戻され、山岳賞ジャージのマドラソだけが先頭で生き残った形で3級山岳ティビ峠をクリアする。山頂通過後すぐ、まだフィニッシュまで38kmを残した段階で逃げは全て吸収。登りで遅れていたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)らが下り区間でメイン集団に戻った一方で、大きく遅れたガビリアはチームメイト2名に牽引されながらも集団復帰を果たせなかった。
引き続きユンボ・ヴィズマがメイン集団を牽引し、終盤に吹く横風を警戒してその他の総合系チームも集団前方へ。残り21km地点のスプリントポイントでは、スプリンターではない総合8位のセルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)が全開スプリントを見せてボーナスタイム3秒を獲得。ヤングライダー賞2位の22歳イギータが総合7位に順位を上げることに成功している。また、3番手通過のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)もボーナスタイム1秒を獲得した。
主にトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)の牽引によって横風区間でメイン集団が縦に長く伸びたが、分裂するほどのインパクトは与えることができず。アリカンテの街中に入り、いよいよ残り3kmをきるとドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエが再び主導権を握る。ここにサンウェブも加わり、混戦状態のまま残り1kmアーチを通過した。
人数を揃えるボーラ・ハンスグローエとサンウェブに被せる形で、最終ストレートで抜群のリードアウトを見せたのはジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)だった。ブエルタでステージ通算10勝を飾っているデゲンコルブがリードアウトマンとして残り150mでエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を発射。しかし同時にトゥーンスの番手から加速を開始したベネットが別格のスプリントで先頭に立った。
好位置からスプリントしたトゥーンスや、後方から追い上げたルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)に並ばせることなく、一人完全に抜け出た形でフィニッシュラインに達したベネット。シャムロック(クローバー)のデザインが入るアイルランドチャンピオンジャージを着るベネットが圧勝した。
マイヨロホを着るニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)ら総合上位陣はトップと同タイムの集団内でフィニッシュ。残り3kmを切ってからフィニッシュまでの平均スピードは70km/h。最終スプリント中の最高スピードは75km/hに達している。
今シーズン世界最多タイの12勝目、自身初のブエルタステージ優勝を飾ったベネットは「どれだけ安堵したのか上手く言い表せない。昨日は調子が良くなくて、レースのペースを問わず踏めなかった。今日もチームの働き無しでは勝てなかったよ。チームメイトたちにリラックスして付いていき、そのまま完璧なポジションまで引き上げてもらった。ハイスピードなスプリントになることは分かっていたので最初に仕掛けたいと思っていた」とコメントする。ベネットはこの日のステージ優勝で25ポイントを獲得したが、同ポイントのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が規定によりマイヨプントスを守っている。
アイルランド人(ベネット)がステージ優勝し、アイルランド人(ロッシュ)がマイヨロホを守った第3ステージ。ベネットは「アイルランドチャンピオンジャージを着てのグランツール勝利は格別だ。アイルランドのファンに喜びをもたらすことができて嬉しい。アイルランド人選手がスプリントで勝ち、山岳ステージで活躍し、総合争いにも絡む時代。アイルランド国内の自転車人気に繋がればと思う」と語る。
「この勝利で残りのステージを楽に挑むことができる。ブエルタには平坦ステージが多く設定されていないので、今日もし勝てていなかったら次のチャンスまでずっと待ち続けなければいけなかった」。まだ2020年の移籍先が決まっていないアイリッシュスプリンターは今後の平坦ステージでも主役を担うだろう。翌日の第4ステージもスプリンター向きの平坦基調コースが設定されている。
バレンシア州内陸のシウダー・デル・フグエテから地中海沿いのアリカンテを目指す188kmコースに設定された3級山岳は2つ。いずれも平均勾配は4〜5%で、ステージ全体の獲得標高差は1,700m。決して真っ平らなステージではないが、今大会最初のスプリントステージとして最終高速バトルに注目が集まった。
この日は序盤から山岳賞ジャージを着るアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH)がチームメイトとともに2日連続のエスケープ。晴れ時々曇り、最高気温30度ほどのアップダウンコースで逃げグループは最大6分のタイム差を稼ぎ出した。
逃げグループを形成した3名
アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH)
ディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴスBH)
エクトル・サエス(スペイン、エウスカディ・ムリアス)
最初の1時間を平均スピード45.9km/hで駆け抜けた先頭3名を追ったのは、マイヨロホ擁するサンウェブと、スプリント狙いのドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエ、そしてUAEチームエミレーツ。スプリンターチームの集団牽引によってタイム差は3分前後に押さえ込まれる状況が続く。ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、オリヴィエロ・トロイア(イタリア、UAEチームエミレーツ)らがエースのために長時間集団先頭を引き続けた。
最初の3級山岳ビアル峠で順調に3ポイントを稼いだマドラソだったが、2つ目の3級山岳ティビ峠が近づくとともにメイン集団とのタイム差が急速に詰まっていく。スプリント狙いではなく総合狙いのユンボ・ヴィズマの集団ペースアップによってタイム差が1分を下回った状態で3級山岳ティビ峠に突入。ここでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を含む多くのスプリンターがメイン集団から脱落した。
2018年大会の山岳賞トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らがメイン集団から飛び出すシーンも見られたが引き戻され、山岳賞ジャージのマドラソだけが先頭で生き残った形で3級山岳ティビ峠をクリアする。山頂通過後すぐ、まだフィニッシュまで38kmを残した段階で逃げは全て吸収。登りで遅れていたファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)らが下り区間でメイン集団に戻った一方で、大きく遅れたガビリアはチームメイト2名に牽引されながらも集団復帰を果たせなかった。
引き続きユンボ・ヴィズマがメイン集団を牽引し、終盤に吹く横風を警戒してその他の総合系チームも集団前方へ。残り21km地点のスプリントポイントでは、スプリンターではない総合8位のセルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)が全開スプリントを見せてボーナスタイム3秒を獲得。ヤングライダー賞2位の22歳イギータが総合7位に順位を上げることに成功している。また、3番手通過のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)もボーナスタイム1秒を獲得した。
主にトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィズマ)の牽引によって横風区間でメイン集団が縦に長く伸びたが、分裂するほどのインパクトは与えることができず。アリカンテの街中に入り、いよいよ残り3kmをきるとドゥクーニンク・クイックステップやボーラ・ハンスグローエが再び主導権を握る。ここにサンウェブも加わり、混戦状態のまま残り1kmアーチを通過した。
人数を揃えるボーラ・ハンスグローエとサンウェブに被せる形で、最終ストレートで抜群のリードアウトを見せたのはジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)だった。ブエルタでステージ通算10勝を飾っているデゲンコルブがリードアウトマンとして残り150mでエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)を発射。しかし同時にトゥーンスの番手から加速を開始したベネットが別格のスプリントで先頭に立った。
好位置からスプリントしたトゥーンスや、後方から追い上げたルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)に並ばせることなく、一人完全に抜け出た形でフィニッシュラインに達したベネット。シャムロック(クローバー)のデザインが入るアイルランドチャンピオンジャージを着るベネットが圧勝した。
マイヨロホを着るニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ)ら総合上位陣はトップと同タイムの集団内でフィニッシュ。残り3kmを切ってからフィニッシュまでの平均スピードは70km/h。最終スプリント中の最高スピードは75km/hに達している。
今シーズン世界最多タイの12勝目、自身初のブエルタステージ優勝を飾ったベネットは「どれだけ安堵したのか上手く言い表せない。昨日は調子が良くなくて、レースのペースを問わず踏めなかった。今日もチームの働き無しでは勝てなかったよ。チームメイトたちにリラックスして付いていき、そのまま完璧なポジションまで引き上げてもらった。ハイスピードなスプリントになることは分かっていたので最初に仕掛けたいと思っていた」とコメントする。ベネットはこの日のステージ優勝で25ポイントを獲得したが、同ポイントのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が規定によりマイヨプントスを守っている。
アイルランド人(ベネット)がステージ優勝し、アイルランド人(ロッシュ)がマイヨロホを守った第3ステージ。ベネットは「アイルランドチャンピオンジャージを着てのグランツール勝利は格別だ。アイルランドのファンに喜びをもたらすことができて嬉しい。アイルランド人選手がスプリントで勝ち、山岳ステージで活躍し、総合争いにも絡む時代。アイルランド国内の自転車人気に繋がればと思う」と語る。
「この勝利で残りのステージを楽に挑むことができる。ブエルタには平坦ステージが多く設定されていないので、今日もし勝てていなかったら次のチャンスまでずっと待ち続けなければいけなかった」。まだ2020年の移籍先が決まっていないアイリッシュスプリンターは今後の平坦ステージでも主役を担うだろう。翌日の第4ステージもスプリンター向きの平坦基調コースが設定されている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2019第3ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:25:02 |
2位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
3位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ジョン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
5位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
6位 | マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
7位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | シリル・バルト(スペイン、エウスかディ・ムリアス) | |
9位 | シュモン・サイノク(ポーランド、CCCチーム) | |
10位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
65位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | |
DNF | ミカエル・ドゥラージュ(フランス、グルパマFDJ) |
個人総合成績
1位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ) | 9:51:14 |
2位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:02 |
3位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:00:08 |
4位 | ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:22 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:33 |
6位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:35 |
7位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:00:37 |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:38 |
9位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:46 |
10位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) |
ポイント賞
1位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 25pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 25pts |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サンウェブ) | 20pts |
山岳賞
1位 | アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH) | 14pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 5pts |
3位 | サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル) | 4pts |
ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 9:51:47 |
2位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:00:04 |
3位 | アレックス・アランブル(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | 0:00:37 |
チーム総合成績
1位 | サンウェブ | 29:06:18 |
2位 | EFエデュケーションファースト | 0:00:02 |
3位 | モビスター | 0:00:06 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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