2019/08/19(月) - 13:40
プレーンなデザインと抜群のフィット感の高さが好評のシマノのレーシングシューズの最高峰モデル S-PHYRE RC9をインプレッション。アッパーとソールのマイナーチェンジを受けてさらなるアップデートを達成。独自の構造のフットウェアを長期テストした。
シマノS-PHYRE RC9シューズ photo:Makoto.AYANO
2016年にデビューしたシマノのS-PHYREシューズ RC9は、2018年にマイナーチェンジが行われ、現行モデルが第2世代となっている(品番はSH-RC901)。今や世界のトップレース、そして日本のレースにおいても非常に高い使用率を誇るベストセラーシューズとなったRC9。7月のツール・ド・フランスではチーム全員がRC9を履くユンボ・ヴィスマの大活躍により、一躍脚光を浴びた。
シマノとの深い関わりを持つユンボ・ヴィスマは前代S-PHYREシューズからの共同開発チームであり、昨年のアップデートでは彼ら選手たちの声が大きく活かされたという。ワールドツアーチームではサンウェブもチーム全員が揃ってRC9を履く契約チームとなっているほか、自身のチョイスでRC9を履くプロレーサーはプロトンに数多く見受けられる。
ワイドモデルの先端部。前代からはメッシュ部が廃された
ソフトな素材にアップデートされたヒールカップ。接着方式により軽量化も果たす
第2世代S-PHYRE RC9のマイナーチェンジによる変更点は、アッパーとヒールカップの改良と、ソールの形状・構造変更により、S-PHYRE以前のトップモデルであるR321に比べて3.2mmものスタックハイト短縮を実現し、更にフィット感を高めたこと。同時に軽量化も達成している。
アッパーの改良点としては、前代のつま先部分に配置されていたメッシュ素材を廃し、BOAダイヤルを回した際の締め込みがより一体的になるよう進化。これによりさらにフィット感が向上し、長期間使用した際も型崩れしにくくなったという。
アッパー接合部は接着によるため縫い目が無い
2つのBOA IP1ダイヤルで締め込む。ケーブルが分離しない方式に変更された
アッパー素材はテイジン製のマイクロファイバー。しなやかで伸びに強く、疎水性の合成皮革は吸水性が無いため雨天走行でも型崩れや伸びが生じない。アッパーのベンチレーションホールの改良により熱気や水分がより積極的に排出されるため、暑い夏や湿度の高いコンディションでの快適性も向上している。
2つのBOA IP1ダイヤルを用い、シューズの内外から大きなパターンで甲全体を包む「サラウンドアッパー」を締め込むフィッティングシステムは継続。ヒールカップはよりソフトな素材に変更され、さらに縫い付けから接着へと変更することで内部のスレやあたりの要因を軽減している。
非常に薄く仕上げられたソール部が低いスタックハイトを実現
クリート取り付けの目安となる目盛りが多くあるため正確なセッティングが可能だ
スタックハイトの低減、つまりペダル軸から足裏までの距離を極限まで近づけることで生まれるダイレクト感の向上は、シマノがレーシングシューズ&ペダルに対して追い求めてきたことの一つ。初代ではあったラスティングボード(アッパーとソールの間に入る中骨のようなもの)を廃し、アッパーを直接ソールに巻きつける構造としたことでR321比較で3.2mmものスタックハイト短縮と軽量化を達成。それが軽量化にもつながり、シューズ重量は片側243gに仕上がっている。
ヒール部には滑り止めのため鮫肌のようなノンスリップ素材が用いられる
アーチ部の高さを変更できる交換パーツ装備のインソール
ソール形状はシマノが提唱する「ダイナラスト」。つま先の位置を見直した持ち上げの少ないフラットな形状により、引き足を使う際に発生する負の力「ブレーキングロス」を軽減するという。ソールの剛性値はシマノシューズラインアップ中最も高い「12」で、合計22mmという幅広いクリート調整範囲をもつ。ワイドタイプもラインアップされ、まさに非の打ち所の無いコンペティションシューズに仕上げられている。
専用設計のS-PHYRE TALL SOCKS。他にグリーンがあり4色から選べる photo:Makoto.AYANO
加えてソックス「S-PHYRE TALL SOCKS」も展開される。BOAダイヤル付近など圧力のかかる部位にクッションを配置し、快適性を維持。かかとの浮き上がりを防ぐ滑り止めパッドやソールベンチレーションなど、S-PHYREシューズと組み合わせて履くことを想定して設計された専用ソックスだ。これも前代からマイナーチェンジされ、より薄く、フィット感を向上させた新モデルになっている。
BOAダイヤルが当たる部分にクッションが配され、快適な履き心地だ photo:Makoto.AYANO
かかと部にはスリップ防止の補強加工。シューズ側の素材と合わせてかかとの浮きを防ぐ
今回は編集部・綾野が長期使用してインプレッション。クリート調整やカスタマイズなど深堀りしての使用感を紹介しよう。
― ワイドモデルを長期インプレッション
シマノS-PHYRE RC9シューズ photo:So.Isobe
今年に入ってのユンボ・ヴィズマ、サンウェブ、マチュー・ファンデルプール(コレンドン・サーカス)などの活躍で、プレーンなS-PHYREシューズはとても印象的に映る。スポンサード外選手含めてプロトン内の選手の使用率は高く、今もっともプロレーサーたちに支持されているシューズと言えるかもしれない。
筆者は2017年よりMTB-XCモデルのS-PHYRE XC9シューズ(前モデル)を使用していた。ソールが異なるがアッパーはロードモデルとほぼ同一。そのフィット感の高さに惚れてロードにもS-PHYREシューズを導入してみようと思い至った。
写真は前部のルームに余裕のある幅広のワイドモデルだ
ソール内部からみたクリート取付部。シール下部にクリート取り付けのためのプレートが仕込まれている
今回はワイドタイプをチョイス。選んだのは40.5WIDEで、ノーマルタイプに比べてハーフサイズ小さなものがフィットするサイズ感だった。サイクルモードや各ショップで開催される試履会「トランクショー」でアドバイスを受けながら徹底的に試し履きできたのは良かった。
赤いビットを入れ替えることでクリートの取付プレートの位置を変更できる。千枚通しなどを使って入れ替え作業が可能だ 幅広・甲高の筆者は、足指が短い古典的(?)な日本人足型で、シディのMEGA、マヴィックのマキシフィットならしっくりくるタイプ。拇指球に合わせようとするとクリート位置はかなり前方に位置するため、そもそもその点で諦めるシューズは多い(シディ、マヴィックはこの点をクリアしている)。
シューズがカスタムできるプロショップではクリート取り付け穴をドリルで開け直して対応している例も日本では未だに多い実態がある。しかしRC9はクリート取り付け穴が前後に11mmスライドさせることができるユニークな構造で、クリート側の11mmと合わせるとじつに22mmの調整幅がある。この点は他社にない特徴で、クリートを前・後にセットしたい人には救いとなるシューズだ。
赤いビットを後方に入れ替えてクリート取り付け穴を最も前に送った状態 photo:Makoto.AYANO
写真で紹介したクリート取り付け位置の調整により、幅広・甲高・足指短めの筆者でもベストなクリートセッティングが出せた。しかもあと数mmは前方に動かせる余裕さえあった。同じ悩みを抱えている方はぜひ参考にして欲しい。
また最近のお気に入りであるSolestar(ソールスター)製カーボンインソールを使用してみたが、S-PHYREのソール内部形状はクセがないため問題なく装着できた。製品付属のインソールもアーチサポート部のパッドを交換できるなど良い点もあるが、インソールにこだわる走り込み派の人には使いやすいシューズと言えそうだ。
お気に入りのSolestar(ソールスター)のKontrolインソールを使用してみたが、相性はとても良かった
マイクロファイバーによるアッパーはソフトだが伸びなくフィットする。BOAダイヤルを締め込んでいくと、まさに足全体を均等に隙間なく包み込むようにフィットしていく。ダイヤルが足にストレスを感じにくい位置に設置されているため、さらに専用ソックスを履けば強く締め込んでも局所的な圧迫やダイヤルの存在を感じない。しびれや異物感、圧迫感がここまで少ないストレスフリーなシューズは他に知らない。
デュラエースペダルと併せて使用するとスタックハイトは最小になりダイレクトなペダリングが可能だ photo:So.Isobe
改良を受けてつま先のメッシュが排除されたアッパー。細型の足の人にはメッシュ部に生じるシワが問題だったようだが、足幅の広い筆者はもともと問題なかった。しかしだから前モデルはノーマル幅が履けたということなのかもしれない。足幅が広めの人はぜひノーマルとワイドの両方を試し履きして選んで欲しい。ノーマルも他社に比べワイドめと言える傾向だが。
前代にあったメッシュ部は配され、アッパーが甲を回り込むように包むことでさらにフィット感が向上した
走りながらダイヤルを締め直すことが少ないということは、それだけフィット感が高いという証拠。もちろんそれは個人差があることだが、内部にストレスを感じることが無いのだ。シマノシューズとしてはSH-R321まで続いた熱成型を自ら否定する結果となったが、それも納得できるフィット感の高さだ。
2つのBOA IP1ダイヤルを使用して確実かつ細かなフィットが可能だ
アッパーは疎水性となっていて、雨のライドでもふやけて伸びたりしない。また通気や水抜きのベンチレーションホールがあるため、内部の水がソールから抜けていくのも嬉しい。白いアッパーだが汚れにくく、防水スプレーなどを吹いておけば埃を寄せ付けない。汚れても洗剤で水洗いしやすく、かつ乾きやすい。パールが入った軽快な印象のホワイトが時とともに薄汚れていかないのは嬉しい。
SH-R321以前のモデルと比較して3.2mmものスタックハイト短縮は、明らかにサドルの高さ調整が必要になる。デュラエースのペダルとの組み合わせは当然のように良く、もっともスタックハイトの小さな組み合わせになる。その組み合わせで今まで経験したことがないようなダイレクトなペダリングが可能になる。クリートの取り付けもソールに細かい目盛りが記されているため非常にやりやすい。交換時も同じ位置を正確に再現できるのだ。
クリートを前に取り付けた状態。取り付けにはデュラエースペダルに付属する軽量ボルトを使用 photo:Makoto.AYANO
フィット感がこれ以上ないほど高いシューズという点で最高に気に入っている反面、フィット感が高すぎるゆえの弊害もありそうだと感じる。足回りに遊びが無くなるため、サドルの位置や高さがあっていない、クリートの位置があっていないなど、そもそもライディングポジション側に問題がある際に、そのストレスがペダルを回すたびに脚にきて、膝が痛くなるなどの症状が出やすいだろうと想像している。とくにカスタム系インソールを使う場合はそれが強調される。ソールの厚いシューズから替えた場合もフィーリングはかなり違うため慣れるのに時間が必要だろう。
ガニ股ペダリングになったり、ビンディングペダルにまだ慣れていない初心者、ポジションがまだ決まっていない人などに勧められるシューズではないと思う。しかしペダリングが定まったレーサー、あるいはフィッティングを受けてしっかりと自分のライディングポジションが決まった人なら、さらに上のレベルのペダリングが可能になる。そうした点はやはりレーシングシューズであると捉えたい。
最近は流通していないようだが、専用のS-PHYREシューズカバー、ハーフシューズカバーもあるため、ぜひソックスと合わせたシステムとして導入したいもの。専用レインカバーなどの登場にも期待したいところだ。
※初期の記事においてクリート取り付け穴の位置調整の際にソール内部のシールを剥がして作業する方法を紹介しましたが、シマノのシューズ開発担当者によれば、クリート取り付けプレートがずれることで内部に段差を生じる可能性があるため、必要な時以外はなるべくシールは剥がさずに、ソール外側から千枚通しなどを使用して赤いビットを入れ替える作業が推奨されるとのことです。お詫びして訂正します。
S-PHYRE RC9 スペック
impression&text:Makoto.AYANO
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2016年にデビューしたシマノのS-PHYREシューズ RC9は、2018年にマイナーチェンジが行われ、現行モデルが第2世代となっている(品番はSH-RC901)。今や世界のトップレース、そして日本のレースにおいても非常に高い使用率を誇るベストセラーシューズとなったRC9。7月のツール・ド・フランスではチーム全員がRC9を履くユンボ・ヴィスマの大活躍により、一躍脚光を浴びた。
シマノとの深い関わりを持つユンボ・ヴィスマは前代S-PHYREシューズからの共同開発チームであり、昨年のアップデートでは彼ら選手たちの声が大きく活かされたという。ワールドツアーチームではサンウェブもチーム全員が揃ってRC9を履く契約チームとなっているほか、自身のチョイスでRC9を履くプロレーサーはプロトンに数多く見受けられる。
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第2世代S-PHYRE RC9のマイナーチェンジによる変更点は、アッパーとヒールカップの改良と、ソールの形状・構造変更により、S-PHYRE以前のトップモデルであるR321に比べて3.2mmものスタックハイト短縮を実現し、更にフィット感を高めたこと。同時に軽量化も達成している。
アッパーの改良点としては、前代のつま先部分に配置されていたメッシュ素材を廃し、BOAダイヤルを回した際の締め込みがより一体的になるよう進化。これによりさらにフィット感が向上し、長期間使用した際も型崩れしにくくなったという。
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アッパー素材はテイジン製のマイクロファイバー。しなやかで伸びに強く、疎水性の合成皮革は吸水性が無いため雨天走行でも型崩れや伸びが生じない。アッパーのベンチレーションホールの改良により熱気や水分がより積極的に排出されるため、暑い夏や湿度の高いコンディションでの快適性も向上している。
2つのBOA IP1ダイヤルを用い、シューズの内外から大きなパターンで甲全体を包む「サラウンドアッパー」を締め込むフィッティングシステムは継続。ヒールカップはよりソフトな素材に変更され、さらに縫い付けから接着へと変更することで内部のスレやあたりの要因を軽減している。
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スタックハイトの低減、つまりペダル軸から足裏までの距離を極限まで近づけることで生まれるダイレクト感の向上は、シマノがレーシングシューズ&ペダルに対して追い求めてきたことの一つ。初代ではあったラスティングボード(アッパーとソールの間に入る中骨のようなもの)を廃し、アッパーを直接ソールに巻きつける構造としたことでR321比較で3.2mmものスタックハイト短縮と軽量化を達成。それが軽量化にもつながり、シューズ重量は片側243gに仕上がっている。
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ソール形状はシマノが提唱する「ダイナラスト」。つま先の位置を見直した持ち上げの少ないフラットな形状により、引き足を使う際に発生する負の力「ブレーキングロス」を軽減するという。ソールの剛性値はシマノシューズラインアップ中最も高い「12」で、合計22mmという幅広いクリート調整範囲をもつ。ワイドタイプもラインアップされ、まさに非の打ち所の無いコンペティションシューズに仕上げられている。
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今回は編集部・綾野が長期使用してインプレッション。クリート調整やカスタマイズなど深堀りしての使用感を紹介しよう。
― ワイドモデルを長期インプレッション
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今年に入ってのユンボ・ヴィズマ、サンウェブ、マチュー・ファンデルプール(コレンドン・サーカス)などの活躍で、プレーンなS-PHYREシューズはとても印象的に映る。スポンサード外選手含めてプロトン内の選手の使用率は高く、今もっともプロレーサーたちに支持されているシューズと言えるかもしれない。
筆者は2017年よりMTB-XCモデルのS-PHYRE XC9シューズ(前モデル)を使用していた。ソールが異なるがアッパーはロードモデルとほぼ同一。そのフィット感の高さに惚れてロードにもS-PHYREシューズを導入してみようと思い至った。
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今回はワイドタイプをチョイス。選んだのは40.5WIDEで、ノーマルタイプに比べてハーフサイズ小さなものがフィットするサイズ感だった。サイクルモードや各ショップで開催される試履会「トランクショー」でアドバイスを受けながら徹底的に試し履きできたのは良かった。
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シューズがカスタムできるプロショップではクリート取り付け穴をドリルで開け直して対応している例も日本では未だに多い実態がある。しかしRC9はクリート取り付け穴が前後に11mmスライドさせることができるユニークな構造で、クリート側の11mmと合わせるとじつに22mmの調整幅がある。この点は他社にない特徴で、クリートを前・後にセットしたい人には救いとなるシューズだ。
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写真で紹介したクリート取り付け位置の調整により、幅広・甲高・足指短めの筆者でもベストなクリートセッティングが出せた。しかもあと数mmは前方に動かせる余裕さえあった。同じ悩みを抱えている方はぜひ参考にして欲しい。
また最近のお気に入りであるSolestar(ソールスター)製カーボンインソールを使用してみたが、S-PHYREのソール内部形状はクセがないため問題なく装着できた。製品付属のインソールもアーチサポート部のパッドを交換できるなど良い点もあるが、インソールにこだわる走り込み派の人には使いやすいシューズと言えそうだ。
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マイクロファイバーによるアッパーはソフトだが伸びなくフィットする。BOAダイヤルを締め込んでいくと、まさに足全体を均等に隙間なく包み込むようにフィットしていく。ダイヤルが足にストレスを感じにくい位置に設置されているため、さらに専用ソックスを履けば強く締め込んでも局所的な圧迫やダイヤルの存在を感じない。しびれや異物感、圧迫感がここまで少ないストレスフリーなシューズは他に知らない。
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改良を受けてつま先のメッシュが排除されたアッパー。細型の足の人にはメッシュ部に生じるシワが問題だったようだが、足幅の広い筆者はもともと問題なかった。しかしだから前モデルはノーマル幅が履けたということなのかもしれない。足幅が広めの人はぜひノーマルとワイドの両方を試し履きして選んで欲しい。ノーマルも他社に比べワイドめと言える傾向だが。
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走りながらダイヤルを締め直すことが少ないということは、それだけフィット感が高いという証拠。もちろんそれは個人差があることだが、内部にストレスを感じることが無いのだ。シマノシューズとしてはSH-R321まで続いた熱成型を自ら否定する結果となったが、それも納得できるフィット感の高さだ。
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アッパーは疎水性となっていて、雨のライドでもふやけて伸びたりしない。また通気や水抜きのベンチレーションホールがあるため、内部の水がソールから抜けていくのも嬉しい。白いアッパーだが汚れにくく、防水スプレーなどを吹いておけば埃を寄せ付けない。汚れても洗剤で水洗いしやすく、かつ乾きやすい。パールが入った軽快な印象のホワイトが時とともに薄汚れていかないのは嬉しい。
SH-R321以前のモデルと比較して3.2mmものスタックハイト短縮は、明らかにサドルの高さ調整が必要になる。デュラエースのペダルとの組み合わせは当然のように良く、もっともスタックハイトの小さな組み合わせになる。その組み合わせで今まで経験したことがないようなダイレクトなペダリングが可能になる。クリートの取り付けもソールに細かい目盛りが記されているため非常にやりやすい。交換時も同じ位置を正確に再現できるのだ。
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フィット感がこれ以上ないほど高いシューズという点で最高に気に入っている反面、フィット感が高すぎるゆえの弊害もありそうだと感じる。足回りに遊びが無くなるため、サドルの位置や高さがあっていない、クリートの位置があっていないなど、そもそもライディングポジション側に問題がある際に、そのストレスがペダルを回すたびに脚にきて、膝が痛くなるなどの症状が出やすいだろうと想像している。とくにカスタム系インソールを使う場合はそれが強調される。ソールの厚いシューズから替えた場合もフィーリングはかなり違うため慣れるのに時間が必要だろう。
ガニ股ペダリングになったり、ビンディングペダルにまだ慣れていない初心者、ポジションがまだ決まっていない人などに勧められるシューズではないと思う。しかしペダリングが定まったレーサー、あるいはフィッティングを受けてしっかりと自分のライディングポジションが決まった人なら、さらに上のレベルのペダリングが可能になる。そうした点はやはりレーシングシューズであると捉えたい。
最近は流通していないようだが、専用のS-PHYREシューズカバー、ハーフシューズカバーもあるため、ぜひソックスと合わせたシステムとして導入したいもの。専用レインカバーなどの登場にも期待したいところだ。
※初期の記事においてクリート取り付け穴の位置調整の際にソール内部のシールを剥がして作業する方法を紹介しましたが、シマノのシューズ開発担当者によれば、クリート取り付けプレートがずれることで内部に段差を生じる可能性があるため、必要な時以外はなるべくシールは剥がさずに、ソール外側から千枚通しなどを使用して赤いビットを入れ替える作業が推奨されるとのことです。お詫びして訂正します。
S-PHYRE RC9 スペック
カラー | ブルー、ブラック、ホワイト |
サイズ | 36〜48(ノーマル、ワイド共)ハーフサイズ有 |
重量 | 243g(サイズ42) |
価格 | 42,000円(税抜) |
impression&text:Makoto.AYANO
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