ビンクバンク・ツアー第2ステージで再びアイルランドチャンピオンが勝利。ブエルタ初出場予定のサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が大集団スプリントでステージ2連勝を飾った。


リーダージャージを着るサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)らが先頭に並ぶリーダージャージを着るサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)らが先頭に並ぶ photo:CorVos
逃げグループを形成するヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)ら6名逃げグループを形成するヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)ら6名 photo:CorVos
ベルギーのブランケンベルヘからアルドーイェまでの169kmで行われたビンクバンク・ツアー第2ステージ。フランドル地方の平野を駆け抜けるステージは前日に引き続きスプリンター向きだが、終盤にアルドーイェの周回コースを2.5周するレイアウトは100%集団スプリントに誂え向きとは言えず、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が残り1kmロングスパートを成功させた2018年を含めて過去には逃げ切り勝利が決まっている。

2日連続でメイン集団を飛び出したバティスト・プランカールト(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)を含む6名が逃げグループを形成し、3分弱のリードで平坦路を逃げる展開。メイン集団を牽引したのはリーダージャージ擁するボーラ・ハンスグローエとユンボ・ヴィズマ、ドゥクーニンク・クイックステップの3チームで、ステージ後半にかけてサンウェブもここに加わった。

逃げグループを形成した6名
ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)
ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
ダミアン・ゴダン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
ジャスパー・アッセルマン(オランダ、ルームポット・シャルレ)
トーマス・スプレンガース(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
バティスト・プランカールト(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)

メイン集団を牽引するティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)メイン集団を牽引するティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
ペースが上がり、縦一列に伸びるメイン集団ペースが上がり、縦一列に伸びるメイン集団 photo:CorVos
アルドーイェの周回コースに入ってタイム差が縮小する中、残り26km地点から3つ連続するビンクバンク特有のスプリントポイント『ゴールデンキロメーター』でチェルニーがボーナスタイムを連取。このボーナスタイムによってチェルニーは総合4位までジャンプアップしている。

最終周回に入った時点(残り16.7km)で逃げグループとメイン集団のタイム差は40秒。残り9km地点で2013年大会の総合優勝者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がメイン集団からカウンターアタックを仕掛けたものの、逃げグループに追いつくことなくメイン集団に吸収される。残り5km地点で全ての逃げは吸収され、ボーラ・ハンスグローエやユンボ・ヴィズマを先頭にフィニッシュラインへと向かった。

前日ステージ2位のエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)が献身的なリードアウトを見せ、続いてマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が先頭へ。残り150mの緩い最終コーナーを曲がって最初に仕掛けたのはジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)。テウニッセンのリードアウトを受けたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が反応したが、ツール・ド・フランスで見せた力強い加速は見られない。

身をよじりながらスプリントする21歳フィリプセンと、その後ろからハイケイデンスで猛追するベネット。先行したフィリプセンを抜き去り、フィニッシュラインまで20mほどを残して力を弱めたベネットが悠々と右手でVサインを作った。

集団前方で走るリーダージャージのサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)集団前方で走るリーダージャージのサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
開幕2連勝を飾ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)開幕2連勝を飾ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
「フルーネウェーヘンの番手に付くことに集中していたけど、彼がチームメイトに付いていくのに必死だと感じたのでUAEのトレインにスイッチした。最終的にフィリプセンのスプリントに反応して、しばらくスリップストリームに入ってから追い抜いたんだ」と、65km/h前後のスプリントを制したベネットは語る。

生まれ故郷ウェルヴィクから直線距離で20kmほどしか離れていないアルドーイェで連勝を飾ったベネットは「前半の70kmを終えた時点で脚の状態が良くないと感じたので、今日勝てるとは思っていなかった。でもチームメイトたちは1日中ずっと集団前方でポジションを守ってくれて、おかげで力を温存しながら走ることができたんだ。ライバルたちは集団後方で力を使っていたと思う」とチームに感謝する。

「ステージ連勝は想像していなかっただけに嬉しい。今大会の最速スプリンターだという実感はないけど、集団先頭でフィニッシュすることに専念している。過去数日間ずっと安定した走りができている。チャンスがあれば狙っていくし、今週あともう1勝できれば最高だ」。ボーナスタイムによって総合リード拡大に成功したベネットは今シーズン10勝目で、そのうち8勝がUCIワールドツアーレースでの結果。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスのメンバーから漏れたベネットは、初出場予定のブエルタ・ア・エスパーニャで主役になると見られる。

総合リードを広げたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)総合リードを広げたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ビンクバンク・ツアー2019第2ステージ結果
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 3:45:20
2位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
3位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
4位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス)
5位 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6位 アモリー・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
7位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)
8位 ニコラス・マース(ベルギー、ロット・スーダル)
9位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
10位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
120位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 7:27:57
2位 ルカシュ・ヴィシニオウスキー(ポーランド、CCCチーム) 0:00:12
3位 ラルスイティング・バク(デンマーク、ディメンションデータ) 0:00:13
4位 ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)
5位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) 0:00:14
6位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
7位 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
8位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 0:00:16
9位 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
10位 トーマス・スプレンガース(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) 0:00:17
ポイント賞
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 60pts
2位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) 44pts
3位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 35pts
チーム総合成績
1位 ドゥクーニンク・クイックステップ 22:24:51
2位 スポートフラーンデレン・バロワーズ
3位 ロット・スーダル

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