2019/07/10(水) - 09:27
今大会初の大集団スプリント。各チームのトレインが入り乱れ、混沌としたスプリント合戦を制したのは、残り1kmでマイヨジョーヌに牽引されたヴィヴィアーニ。クリストフ、サガンなどのスプリンター勢のコメントを中心に、ツール第4ステージを振り返ります。
ステージ優勝 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
この勝利は、自分にとって大きな意味がある。なんだか、信じられない気分だ。今年最大の目標だったから。ブリュッセルでの第1ステージでは逃してしまったけれど、昨日ジュリアン(アラフィリップ)が勝ってからは、(自分の勝利が)チームの目標に切り替わった。
リードアウトのミケル・モルコフとマキシミリアーノ・リケーゼが完璧な仕事をしてくれた。最後の180mを走り切るほかは、何もしなくてよかった。今日はリードアウト(の2人)に集中しているだけだった。アレクサンドル・クリストフが右から先駆けしようとしていたけれど、その時にはもういつでもスプリントできる状態だったから問題なかった。
ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝してきたから、これ(初のツールステージ優勝)は「(グランツールステージ勝利)任務完了」という気分だよ(ツール・ド・フランス公式)。
ステージ2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
今日、チームのみんなは猛烈に働いてくれて、僕を完璧なポジションにつけてくれた。このステージに勝利するために、エネルギーを使わずに済むようにしてもらった。でもヴィヴィアーニは、最後の最後の瞬間で、ちょっとだけ僕より速かった。彼とはぎりぎりまで競り合っていて、あとちょっとの何かがあれば、勝てていたのに、と思う。だからちょっとがっかりしているけれど、2位に入ったのは誇りだし、ステージ優勝できるようにもっと頑張りつづけたい。
ジャスパー(フィリプセン)は僕にとって完璧なリードアウトだ。今日彼が見せてくれたのは、彼がどんなに才能のある若いライダーかっていうことだ。彼の走りにおける情熱は、ツールを走りきるには十分だ。この先のレースにも心強い。
クリストフをリードアウトしたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
期待されていることはやり遂げたと思う。アレクサンドル(クリストフ)を守ったけれど、あとわずかなところで勝利を逃した。このパフォーマンスに満足して、次回こそはもっといい結果を期したい。
ステージ3位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
ステージ勝利するためにここに来た。だから3位に終わったのは少しがっかりしている。スプリントが混沌としていて、最後の1kmが遠かった。ジャスパー(デブイスト)が先頭に引き上げてくれたけれど、そこでかなりの力を使ってしまった。今日はチームのみんなが頑張ってくれていた。こうやっていけば、きっと勝てるはずだと思う。
ステージ4位、ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
今日は最速の選手が勝ったということ。気にしていたのは、エリア(ヴィヴィアーニ)の番手につくかどうか。でもドゥクーニンク・クイックステップにはどう見ても最高のトレインがある。ピュアスプリンターだか真のスプリンターだか、どうとでも呼んでいいと思うけれど、そういったスプリンター向けの、やたらと速いスプリントだった。きつかったし、自分は他のそういう「スプリンター」よりも消耗してしまった。今日足りなかったのはそういう部分かも知れない。でも、あまり気にはしていない。一番大事なのは、今日も先頭にいて、いつものようにスプリントに加われて、落車もせずに安全だったということだ。
総合 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
今日はもう、忘れることのできない特別な日だったのは確かだ。朝起きた時から、もう…。スタートラインに立った時、それまでまったく感じたことのない感覚に襲われた。観客の声、叫び…なにか格別な、他にはないものだったんだ。いつもの日とは違うと思っていた。世界がまるで変わってしまったみたいだった。集団の中で、みんなが僕のことを喜んでくれた。
今日は10秒に1回は「ジュリアン」って呼ばれるのを聞いたよ。なんて説明したらいいのか分からない。人気を取ろうとか思ったわけじゃない。ただ、みんなが喜んでくれたらいいな、と思っただけ。でも今日は、エリア(ヴィヴィアーニ)のためにやらなければならないこともあった。そして今日という特別な日は、彼のステージ優勝と僕のマイヨジョーヌのキープという、これ以上ない形で終わった。明日はもっと難しいことになるんだろう。でも、このマイヨジョーヌは守り続ける。もし失ったとしても、誰かが勝ったというだけで、僕はあきらめない。
新人賞 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)
フィニッシュ直前の混乱で、互いを見つけるのが難しかった。最後の数キロメートルでトレインの先頭を牽くのが自分の役目だった。なのにその途中で、アムントグレンダール・ヤンセンとディラン・フルーネウェーヘンを見失った。残念でならない。強力なリードアウトがいたのに生かせなかった。今後もディランを信じていきたい。位置取りさえうまくいけば、ちゃんとやってくれることを、何度も彼は示してくれている。だから挑戦しつづけたいと思う。
山岳賞 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
山岳賞ジャージ、それにバイクにもいろいろ付けたり着たりして走るというのは、格別な経験だった。こういう経験を経ると、やっぱりツールって特別なすごいものなんだと思う。終盤前に、前を走るみんなについていこうとしたけれど、できなかった。
自分の第一目標はステージ優勝で、明日がそのいい機会になるかもしれない。そうすることで、もうちょっと長く山岳賞ジャージを着ていられるかもしれない。そうだったらいいな、と思う。明日は前半が平坦だから、逃げに乗るためのアタック合戦が熾烈になるだろう。
敢闘賞 ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)
昨日、(スポーツディレクターの)ファビオ・バルダートに、逃げに乗りたいと言った。成功のチャンスはいつだってある。逃げに乗っている間は、とても長い一日だった。敢闘賞を獲得したことで、最終的に得るものがあってよかった。いつの日かいい結果が出るかもしれない。今回のツールの幸先はよかった。山岳賞ジャージを獲得できたし、チームタイムトライアルもうまくいった。この状態を維持して、日々続けていきたい。報われるまで、挑戦し続けるよ。
逃げているときにタイム差を2、3分しか許容してもらえなかったのが残念だった。自分がプロの自転車選手になったばかりの頃は、200kmもの長いステージでの逃げはいつも10分以上のタイム差を許容された。そんなタイム差はもうない。最後の登りでだって、調子はよかったんだ(タイム差があれば、逃げ切れた)。
スプリンター不在ながら、終盤に危険回避のために前方でトレインを組み続けていたゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)
もうちょっと風が強かったら、違う局面になっていたかもしれない。横風はスタート地点では少し吹いていた。残り50kmまでは快適な日だったけれど、その後は混沌とストレスしかなかった。腹を立てるだけで済んだのは幸いだった。
残り10kmの下りでは、自分のガーミンの機器の表示すら見られなかった。落車しないように、前を見ることしかできなかった。チームはすばらしかった。みんなについていくほかは、自分にできることはなかった。それに誰もが自分の仕事を完璧にこなしていた。理想的だった。
トレーニングもレースも真剣にやってきた。第6ステージはトレーニングでやってきたことよりもハードになるだろう。昨日のフィニッシュよりも。それを期待している。タイム差がついて、それでもステージ優勝しようとやっきになる人も出るようになるから。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Taiko.YAMASAKI
ステージ優勝 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
この勝利は、自分にとって大きな意味がある。なんだか、信じられない気分だ。今年最大の目標だったから。ブリュッセルでの第1ステージでは逃してしまったけれど、昨日ジュリアン(アラフィリップ)が勝ってからは、(自分の勝利が)チームの目標に切り替わった。
リードアウトのミケル・モルコフとマキシミリアーノ・リケーゼが完璧な仕事をしてくれた。最後の180mを走り切るほかは、何もしなくてよかった。今日はリードアウト(の2人)に集中しているだけだった。アレクサンドル・クリストフが右から先駆けしようとしていたけれど、その時にはもういつでもスプリントできる状態だったから問題なかった。
ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝してきたから、これ(初のツールステージ優勝)は「(グランツールステージ勝利)任務完了」という気分だよ(ツール・ド・フランス公式)。
ステージ2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
今日、チームのみんなは猛烈に働いてくれて、僕を完璧なポジションにつけてくれた。このステージに勝利するために、エネルギーを使わずに済むようにしてもらった。でもヴィヴィアーニは、最後の最後の瞬間で、ちょっとだけ僕より速かった。彼とはぎりぎりまで競り合っていて、あとちょっとの何かがあれば、勝てていたのに、と思う。だからちょっとがっかりしているけれど、2位に入ったのは誇りだし、ステージ優勝できるようにもっと頑張りつづけたい。
ジャスパー(フィリプセン)は僕にとって完璧なリードアウトだ。今日彼が見せてくれたのは、彼がどんなに才能のある若いライダーかっていうことだ。彼の走りにおける情熱は、ツールを走りきるには十分だ。この先のレースにも心強い。
クリストフをリードアウトしたジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
期待されていることはやり遂げたと思う。アレクサンドル(クリストフ)を守ったけれど、あとわずかなところで勝利を逃した。このパフォーマンスに満足して、次回こそはもっといい結果を期したい。
ステージ3位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
ステージ勝利するためにここに来た。だから3位に終わったのは少しがっかりしている。スプリントが混沌としていて、最後の1kmが遠かった。ジャスパー(デブイスト)が先頭に引き上げてくれたけれど、そこでかなりの力を使ってしまった。今日はチームのみんなが頑張ってくれていた。こうやっていけば、きっと勝てるはずだと思う。
ステージ4位、ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
今日は最速の選手が勝ったということ。気にしていたのは、エリア(ヴィヴィアーニ)の番手につくかどうか。でもドゥクーニンク・クイックステップにはどう見ても最高のトレインがある。ピュアスプリンターだか真のスプリンターだか、どうとでも呼んでいいと思うけれど、そういったスプリンター向けの、やたらと速いスプリントだった。きつかったし、自分は他のそういう「スプリンター」よりも消耗してしまった。今日足りなかったのはそういう部分かも知れない。でも、あまり気にはしていない。一番大事なのは、今日も先頭にいて、いつものようにスプリントに加われて、落車もせずに安全だったということだ。
総合 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
今日はもう、忘れることのできない特別な日だったのは確かだ。朝起きた時から、もう…。スタートラインに立った時、それまでまったく感じたことのない感覚に襲われた。観客の声、叫び…なにか格別な、他にはないものだったんだ。いつもの日とは違うと思っていた。世界がまるで変わってしまったみたいだった。集団の中で、みんなが僕のことを喜んでくれた。
今日は10秒に1回は「ジュリアン」って呼ばれるのを聞いたよ。なんて説明したらいいのか分からない。人気を取ろうとか思ったわけじゃない。ただ、みんなが喜んでくれたらいいな、と思っただけ。でも今日は、エリア(ヴィヴィアーニ)のためにやらなければならないこともあった。そして今日という特別な日は、彼のステージ優勝と僕のマイヨジョーヌのキープという、これ以上ない形で終わった。明日はもっと難しいことになるんだろう。でも、このマイヨジョーヌは守り続ける。もし失ったとしても、誰かが勝ったというだけで、僕はあきらめない。
新人賞 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)
フィニッシュ直前の混乱で、互いを見つけるのが難しかった。最後の数キロメートルでトレインの先頭を牽くのが自分の役目だった。なのにその途中で、アムントグレンダール・ヤンセンとディラン・フルーネウェーヘンを見失った。残念でならない。強力なリードアウトがいたのに生かせなかった。今後もディランを信じていきたい。位置取りさえうまくいけば、ちゃんとやってくれることを、何度も彼は示してくれている。だから挑戦しつづけたいと思う。
山岳賞 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
山岳賞ジャージ、それにバイクにもいろいろ付けたり着たりして走るというのは、格別な経験だった。こういう経験を経ると、やっぱりツールって特別なすごいものなんだと思う。終盤前に、前を走るみんなについていこうとしたけれど、できなかった。
自分の第一目標はステージ優勝で、明日がそのいい機会になるかもしれない。そうすることで、もうちょっと長く山岳賞ジャージを着ていられるかもしれない。そうだったらいいな、と思う。明日は前半が平坦だから、逃げに乗るためのアタック合戦が熾烈になるだろう。
敢闘賞 ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)
昨日、(スポーツディレクターの)ファビオ・バルダートに、逃げに乗りたいと言った。成功のチャンスはいつだってある。逃げに乗っている間は、とても長い一日だった。敢闘賞を獲得したことで、最終的に得るものがあってよかった。いつの日かいい結果が出るかもしれない。今回のツールの幸先はよかった。山岳賞ジャージを獲得できたし、チームタイムトライアルもうまくいった。この状態を維持して、日々続けていきたい。報われるまで、挑戦し続けるよ。
逃げているときにタイム差を2、3分しか許容してもらえなかったのが残念だった。自分がプロの自転車選手になったばかりの頃は、200kmもの長いステージでの逃げはいつも10分以上のタイム差を許容された。そんなタイム差はもうない。最後の登りでだって、調子はよかったんだ(タイム差があれば、逃げ切れた)。
スプリンター不在ながら、終盤に危険回避のために前方でトレインを組み続けていたゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)
もうちょっと風が強かったら、違う局面になっていたかもしれない。横風はスタート地点では少し吹いていた。残り50kmまでは快適な日だったけれど、その後は混沌とストレスしかなかった。腹を立てるだけで済んだのは幸いだった。
残り10kmの下りでは、自分のガーミンの機器の表示すら見られなかった。落車しないように、前を見ることしかできなかった。チームはすばらしかった。みんなについていくほかは、自分にできることはなかった。それに誰もが自分の仕事を完璧にこなしていた。理想的だった。
トレーニングもレースも真剣にやってきた。第6ステージはトレーニングでやってきたことよりもハードになるだろう。昨日のフィニッシュよりも。それを期待している。タイム差がついて、それでもステージ優勝しようとやっきになる人も出るようになるから。
※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。
translation & text: Taiko.YAMASAKI
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