2019/07/08(月) - 12:00
Jプロツアー第11戦の「広島クリテリウム」が広島県広島市内で開催された。温度計が34℃を指す猛暑の中でのレースは、序盤に出来た逃げを集団が追う展開。最後は集団から放たれたスプリンター達の勝負となり、僅差のスプリントを黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング)が制して優勝。女子は唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が独走で勝利した。
広島ラウンドの2日目は「広島クリテリウム」。前日の東広島市からお隣の広島市内に場所を移しての開催となった。会場の商工センターは倉庫が立ち並ぶ区域ではあるが、最寄り駅までJR広島駅から電車で15分ほど、広島の繁華街から広島電鉄の路面電車などを乗り継いで30分の距離にあり、大きなショッピングモールも隣接している。その立地の良さからか、昨年開催された第1回大会と同様に多くの観客が訪れ、歩道には二重三重の人垣ができていた。
コースは昨年と同じくT字型で1周の距離も1.7kmと変更なし。3つのヘアピンコーナーと2つの90°コーナーで構成されており、T字の横棒部分にあたる直線区間が非常に長い点がコースの特徴となる。昨年はレース中盤まで逃げが決まらず、常にアタックがかかり続けるタフなレースとなった。「逃げが決まりにくい」というのもコースの特徴に挙げられるかもしれない。
レース当日は朝から強い日差しがさす広島市内。Jプロツアーのスタート前には温度計が34℃を示していた。フィニッシュライン上では少し風を感じ、選手にとっては向かい風となる。
スプリンター達の競演を黒枝士揮が僅差で制す
Jプロツアーは30周51km。レースに先立ち、主催者の1人でもあり、地元チーム・ヴィクトワール広島の中山卓士監督がインタビューに答え「広島クリテリウムも2回目を迎えることが出来ました。まだまだですが、コース沿いにオレンジ色が増えて嬉しい」と語った。続いて、昨年の西日本豪雨の被災者に黙祷を捧げ、12時55分にレースがスタートした。
昨年の展開とは打って変わり、今年は早々に逃げ集団が形成される。3周目に岸崇仁(LEOMO Bellmare Racing Team)が飛び出すと、吉岡直哉(Team UKYO)と小森亮平(マトリックスパワータグ)が合流。メイン集団前方ではシマノレーシングが蓋をする形で3人の逃げを見送った。
順調に逃げ続ける3人の逃げ集団。一方、メイン集団では、序盤はシマノレーシング、宇都宮ブリッツェン、チームブリヂストンサイクリングの選手達が集団先頭に顔を出し、中盤からはシマノレーシングが中心にコントロールを続けて行く。
レースも残り10周程になり、メイン集団の先頭に宇都宮ブリッツェンが出始めると、30秒前後で推移していた逃げとメイン集団との差が急激に縮小する。レースに新たな展開が生まれたのは26周目。最終コーナーで逃げ集団の岸が遅れると、宇都宮ブリッツェンの猛追で10秒差にまで迫っていたメイン集団から内間康平(Team UKYO)が飛び出して逃げに合流する。同時にこれまで逃げていた吉岡が入れ替わるようにドロップし、小森と内間の2人が新たな逃げとなった。メイン集団では、引き続き宇都宮ブリッツェンが先頭を固め、逃げ集団を追う状況が3周程続いていく。
28周目に入ると、小森と内間の逃げも吸収され、レースは一度振り出しに戻る。ここから畑中勇介(Team UKYO)が飛び出し、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)らが追随していくが、この動きは決まらない。続いて、地元・広島出身の大町健斗(JCF強化指定選手チーム)もアタックしていくが、全ての動きはメイン集団に飲み込まれていった。集団内のムードはスプリント。有力チームが隊列を組みながら最終周回に入っていく。
ファイナルラップのホームストレート、各チームの隊列がロングスプリント気味にエース・スプリンターを発射していく。シマノレーシングから黒枝咲哉、宇都宮ブリッツェンから小野寺玲、そしてチームブリヂストンサイクリングからは黒枝士揮と沢田桂太郎がスプリントを開始。4人がほぼ横一線のままフィニッシュラインへハンドルを投げ込むと、ほんの僅かな差で黒枝士揮の優勝となった。
優勝した黒枝士揮は「最高です。前日はチームに守ってもらったのに2位だったので、今日は絶対勝ちたいと思っていました」と語り、兄弟対決となったスプリントについては「ハンドルを投げた時に(咲哉選手が)横に見えたので、ちょっとヤバイかなと思いましたが、最後勝てて良かったです」と苦笑いをしながら答えた。チームブリヂストンサイクリングとしては、この日の勝利で今季4勝目。チームの獲得ポイントも大きく伸ばし、ランキングトップを守っている。
敢闘賞は序盤の逃げメンバーの中で最後まで逃げ続けた小森が獲得。「レース前に、実は広島出身です、と言い忘れたので、レースで目立とうと思いました」と笑いながら語った。スプリント賞は吉岡と小森が1回ずつ獲得。10周回完了時の中間スプリントを獲得した吉岡は「自分は逃げるしかなかった。スプリント賞は嬉しいが、逃げ切りたかった」とコメントした。
広島ラウンドの2日目は「広島クリテリウム」。前日の東広島市からお隣の広島市内に場所を移しての開催となった。会場の商工センターは倉庫が立ち並ぶ区域ではあるが、最寄り駅までJR広島駅から電車で15分ほど、広島の繁華街から広島電鉄の路面電車などを乗り継いで30分の距離にあり、大きなショッピングモールも隣接している。その立地の良さからか、昨年開催された第1回大会と同様に多くの観客が訪れ、歩道には二重三重の人垣ができていた。
コースは昨年と同じくT字型で1周の距離も1.7kmと変更なし。3つのヘアピンコーナーと2つの90°コーナーで構成されており、T字の横棒部分にあたる直線区間が非常に長い点がコースの特徴となる。昨年はレース中盤まで逃げが決まらず、常にアタックがかかり続けるタフなレースとなった。「逃げが決まりにくい」というのもコースの特徴に挙げられるかもしれない。
レース当日は朝から強い日差しがさす広島市内。Jプロツアーのスタート前には温度計が34℃を示していた。フィニッシュライン上では少し風を感じ、選手にとっては向かい風となる。
スプリンター達の競演を黒枝士揮が僅差で制す
Jプロツアーは30周51km。レースに先立ち、主催者の1人でもあり、地元チーム・ヴィクトワール広島の中山卓士監督がインタビューに答え「広島クリテリウムも2回目を迎えることが出来ました。まだまだですが、コース沿いにオレンジ色が増えて嬉しい」と語った。続いて、昨年の西日本豪雨の被災者に黙祷を捧げ、12時55分にレースがスタートした。
昨年の展開とは打って変わり、今年は早々に逃げ集団が形成される。3周目に岸崇仁(LEOMO Bellmare Racing Team)が飛び出すと、吉岡直哉(Team UKYO)と小森亮平(マトリックスパワータグ)が合流。メイン集団前方ではシマノレーシングが蓋をする形で3人の逃げを見送った。
順調に逃げ続ける3人の逃げ集団。一方、メイン集団では、序盤はシマノレーシング、宇都宮ブリッツェン、チームブリヂストンサイクリングの選手達が集団先頭に顔を出し、中盤からはシマノレーシングが中心にコントロールを続けて行く。
レースも残り10周程になり、メイン集団の先頭に宇都宮ブリッツェンが出始めると、30秒前後で推移していた逃げとメイン集団との差が急激に縮小する。レースに新たな展開が生まれたのは26周目。最終コーナーで逃げ集団の岸が遅れると、宇都宮ブリッツェンの猛追で10秒差にまで迫っていたメイン集団から内間康平(Team UKYO)が飛び出して逃げに合流する。同時にこれまで逃げていた吉岡が入れ替わるようにドロップし、小森と内間の2人が新たな逃げとなった。メイン集団では、引き続き宇都宮ブリッツェンが先頭を固め、逃げ集団を追う状況が3周程続いていく。
28周目に入ると、小森と内間の逃げも吸収され、レースは一度振り出しに戻る。ここから畑中勇介(Team UKYO)が飛び出し、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)らが追随していくが、この動きは決まらない。続いて、地元・広島出身の大町健斗(JCF強化指定選手チーム)もアタックしていくが、全ての動きはメイン集団に飲み込まれていった。集団内のムードはスプリント。有力チームが隊列を組みながら最終周回に入っていく。
ファイナルラップのホームストレート、各チームの隊列がロングスプリント気味にエース・スプリンターを発射していく。シマノレーシングから黒枝咲哉、宇都宮ブリッツェンから小野寺玲、そしてチームブリヂストンサイクリングからは黒枝士揮と沢田桂太郎がスプリントを開始。4人がほぼ横一線のままフィニッシュラインへハンドルを投げ込むと、ほんの僅かな差で黒枝士揮の優勝となった。
優勝した黒枝士揮は「最高です。前日はチームに守ってもらったのに2位だったので、今日は絶対勝ちたいと思っていました」と語り、兄弟対決となったスプリントについては「ハンドルを投げた時に(咲哉選手が)横に見えたので、ちょっとヤバイかなと思いましたが、最後勝てて良かったです」と苦笑いをしながら答えた。チームブリヂストンサイクリングとしては、この日の勝利で今季4勝目。チームの獲得ポイントも大きく伸ばし、ランキングトップを守っている。
敢闘賞は序盤の逃げメンバーの中で最後まで逃げ続けた小森が獲得。「レース前に、実は広島出身です、と言い忘れたので、レースで目立とうと思いました」と笑いながら語った。スプリント賞は吉岡と小森が1回ずつ獲得。10周回完了時の中間スプリントを獲得した吉岡は「自分は逃げるしかなかった。スプリント賞は嬉しいが、逃げ切りたかった」とコメントした。
Jプロツアー第11戦 広島クリテリウム 結果(51km)
1位 | 黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング) | 1時間23分15秒 |
2位 | 沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング) | +0秒 |
3位 | 黒枝咲哉(シマノレーシング) | +0秒 |
4位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | +0秒 |
5位 | ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) | +1秒 |
6位 | 横塚浩平(TeamUKYO) | +1秒 |
敢闘賞 小森亮平(マトリックスパワータグ)
中間スプリントポイント賞
10周回完了時 吉岡直哉(TeamUKYO)
20周回完了時 小森亮平(マトリックスパワータグ)
プロリーダー 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
ネクストリーダー(U23) 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング)
女子は唐見実世子が独走で圧勝
女子のレースは12周20.4kmで開催。優勝候補でもある伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTI)と唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人が集団を牽引し、序盤からハイペースな展開が続く。7周目に伊藤と唐見が2人で飛び出すと、残されたメイン集団の脚は止まり、2人との差は徐々に開いていく。その後2人旅が続いたが、10周目に伊藤が付ききれずに脱落。1人になった唐見は独走を続け、後続に大差を付けての優勝となった。優勝した唐見は「チームとしては後半戦は全て出場する予定なので、リーダージャージの可能性が見えれば貪欲に行きたい」と意気込みを語った。伊藤と唐見の総合ポイント差は約100ポイント。今後の2人の戦いが楽しみだ。
中間スプリントポイント賞
10周回完了時 吉岡直哉(TeamUKYO)
20周回完了時 小森亮平(マトリックスパワータグ)
プロリーダー 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
ネクストリーダー(U23) 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング)
女子は唐見実世子が独走で圧勝
女子のレースは12周20.4kmで開催。優勝候補でもある伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTI)と唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人が集団を牽引し、序盤からハイペースな展開が続く。7周目に伊藤と唐見が2人で飛び出すと、残されたメイン集団の脚は止まり、2人との差は徐々に開いていく。その後2人旅が続いたが、10周目に伊藤が付ききれずに脱落。1人になった唐見は独走を続け、後続に大差を付けての優勝となった。優勝した唐見は「チームとしては後半戦は全て出場する予定なので、リーダージャージの可能性が見えれば貪欲に行きたい」と意気込みを語った。伊藤と唐見の総合ポイント差は約100ポイント。今後の2人の戦いが楽しみだ。
Fクラスタ 結果(20.4km)
1位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 37分56秒 |
2位 | 伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTIER) | +21秒 |
3位 | 島袋陽子(Team ZERO UNO FRONTIER) | +1分28秒 |
E1 結果(34km)
1位 | 金田聡士(AVENTURA AIKOH TOYO VICTORIA) | 57分2秒 |
2位 | 比護 任(イナーメ信濃山形-EFT) | +0秒 |
3位 | 皿谷宏人(エキップ ティラン) | +4秒 |
4位 | 今井章雄(Team Grandi Petit) | +5秒 |
5位 | 原田将人(ALL OUT reric) | +5秒 |
6位 | 梅澤幹太(エキップuレーシング) | +5秒 |
エリートリーダー 塚本隼(ZERO)
E2 結果(25.5km)
1位 | 久賀壮大(徳島県立小松島西高等学校) | 43分6秒 |
2位 | 箒本康平(soleil de lest) | +0秒 |
3位 | 橋岡宏茂(KINAN AACA) | +0秒 |
4位 | 野間田一浩(ミルキーウェイ和歌山) | +0秒 |
5位 | 中治綱太(イナーメ信濃山形-EFT) | +1秒 |
6位 | 永塩幸之介(群馬グリフィンエリート ) | +1秒 |
E3 結果(20.4km)
1組 | 2組 | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 岡崎由幸(TEAM SANREMO) | 34分40秒 | 菅井春稀(Le Mont) | 35分17秒 |
2位 | 松谷一範(シマノドリンキング) | +0秒 | 緒方 稔(Team nacree) | +0秒 |
3位 | 鍛治 功(シマノドリンキング) | +0秒 | 石原滉二郎(Team Kermis Cross ) | +0秒 |
4位 | 相原晴一朗(スミタ・エイダイ・パールイズミ) | +0秒 | 井上尚也(Aki Rising Bicycle team) | +0秒 |
5位 | 西 政実(UNIVERS) | +0秒 | 門田裕貴(徳島サイクルレーシング) | +0秒 |
6位 | 川田 翔太(AVENTURA AIKOH TOYO VICTORIA) | +0秒 | 田中良介(VC福岡(エリート)) | +0秒 |
text&photo:Kensaku SAKAI
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