2019/06/11(火) - 09:49
合計8つのカテゴリー山岳が詰め込まれたクリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージは総合争いが動く刺激的な展開に。デュムランが序盤から逃げ、終盤にピノがアタックする中、抜け出したディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)がステージ優勝とリーダージャージを手にした。
フランス中部の中央山塊を走るドーフィネ2日目はアップダウンの連続。距離180kmのコースにはカテゴリー2級から4級の山岳が合計8つ設定されており、フィニッシュ手前の残り18km地点には2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルラン(距離3.1km/平均9.4%)が登場する。獲得標高差3,000m弱の中級山岳ステージはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)をはじめとする有力選手が序盤から逃げる刺激的な展開を見せた。
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)という有力選手が揃う13名が逃げグループを形成したものの、デュムランらの存在を警戒するチームイネオスがメイン集団を牽引したためタイム差は広がらない。結局、逃げグループとメイン集団のタイム差が2分を超えることはなかった。
逃げグループの中からレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックを仕掛けるも、ツワモノ揃いの逃げは崩れない。ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)の故郷ブリウドを通過後、残り52km地点でデュムランが加速すると先頭は4名(デュムラン、ブッフマン、ゴデュ、イサギレ)に絞られた。雨が降る気温10〜14度の山岳地帯でハイスピードな展開が続いたため、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)らがリタイアを選んでいる。
1分30秒前後のリードを保って高速ローテーションを続けた先頭4名だったが、一貫してチームイネオスがコントロールするメイン集団は残り35km地点でこの逃げをキャッチ。すると間髪入れずにカウンターアタックがかかり、今度はアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やセルジュ・パウェルス(ベルギー、CCCチーム)、ロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)が12名の逃げグループを新たに組織した。
タイム差50秒で突入した最後の2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルランで先頭はマルタンとトゥーンスの2人に絞られ、メイン集団では継続的にチームイネオスがペースメイク。序盤に逃げていたデュムランはメイン集団から脱落する。ジロ・デ・イタリア第4ステージの落車で膝を痛め、ツール・ド・フランスに向けて調子を上げるためにドーフィネに出場しているデュムランは「現在の状態には満足している。まだまだ総合争いに絡める状態ではないので、全力で逃げてみようと思った。膝の状態も快方に向かっていて、このまま調子を上げていければと思う」とコメントしている。
2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルランでEFエデュケーションファーストもメイン集団のペースアップに加わると、頂上まで1kmを残してマイヨジョーヌのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が脱落。こうして人数が絞られたメイン集団から、頂上手前でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が強力なアタックを仕掛けた。
ピノの加速に対応できたのはマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)とクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のみ。その一方でバルデやリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)は出遅れてしまう。
残り10kmの時点で先頭2名(マルタンとトゥーンス)の20秒遅れで第1追走グループ(フルームやピノ)、40秒遅れで第2追走グループ(バルデやポート)、1分10秒遅れでメイン集団(ボアッソンハーゲン)という位置関係。ステージ優勝と総合ジャンプアップを目指して協調体制を組むマルタンとトゥーンスのペースは落ちなかった。
第1追走グループの中で最も活発にアタックしたのはピノ。残り5km地点からアタックを連発したピノをフルームが全開で追いかけるシーンも。第1追走グループはバルデやポートを引き離すために高速走行を続けたが、ステージ優勝のために逃げる2名を捕まえようというモチベーションはなかった。
18秒のリードで残り1kmアーチを通過したトゥーンスとマルタン。スプリント力に秀でたトゥーンスに前を引かせながら、マルタンが残り250mからスプリントに持ち込む。タイミングよく勝負に持ち込んだマルタンだったが、スプリント一騎打ちはトゥーンスに軍配が上がった。フルームやピノを含む第1追走グループは13秒遅れ、バルデやポートを含む第2追走グループは44秒遅れでフィニッシュしている。
「実に2年ぶりの勝利は格別だ」と、トゥーンスが2017年8月のアークティックレース・オブ・ノルウェー総合優勝以来となる勝利を喜ぶ。トゥーンスは2018年のパリ〜ニースやツール・ド・ポローニュ、ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ上位入賞を繰り返し、イル・ロンバルディアで3位に入りながらもシーズン0勝に終わっていた。
2019年、BMCレーシングからバーレーン・メリダに移籍した27歳は「今日は序盤から強力な選手が逃げる展開で、メイン集団のペースが落ちることはなかった。逃げ吸収後のカウンターアタックにチャンスがあると思っていたよ。最後はマルタンと一緒に逃げる展開になって助けられた。ドーフィネで勝って、黄色いライオンを受け取るのは夢のようだ」と語る。この日のステージ優勝によりトゥーンスは総合リーダーの座についている。
「ティボー(ピノ)の走りはインプレッシブだった。彼の調子の良さを肌で感じる1日になった」と語るのは2013年、2015年、2016年大会の総合優勝者フルーム。「彼は他の誰よりも強力に牽引していた。あと、ヤコブ・フルサングの調子も良さそうだ。今日はハードなレースが展開されたけど、まだ山岳というよりアルデンヌクラシックのような丘陵レース。この先のステージでライバルたちの調子がもっと明確になると思う」。
一方で総合ライバルたちから31秒のタイムを失ったポートは「残り20kmから一気にレースが活性化して、自分はただその動きに付いていけなかった。まだ調子が上がりきっていないので、失望はしていない。それに、まだまだ厳しいステージが残っているので総合争いが終わったわけじゃない。ツールではもっと良い走りができると確信している」とコメントしている。
フランス中部の中央山塊を走るドーフィネ2日目はアップダウンの連続。距離180kmのコースにはカテゴリー2級から4級の山岳が合計8つ設定されており、フィニッシュ手前の残り18km地点には2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルラン(距離3.1km/平均9.4%)が登場する。獲得標高差3,000m弱の中級山岳ステージはトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)をはじめとする有力選手が序盤から逃げる刺激的な展開を見せた。
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)という有力選手が揃う13名が逃げグループを形成したものの、デュムランらの存在を警戒するチームイネオスがメイン集団を牽引したためタイム差は広がらない。結局、逃げグループとメイン集団のタイム差が2分を超えることはなかった。
逃げグループの中からレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタックを仕掛けるも、ツワモノ揃いの逃げは崩れない。ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)の故郷ブリウドを通過後、残り52km地点でデュムランが加速すると先頭は4名(デュムラン、ブッフマン、ゴデュ、イサギレ)に絞られた。雨が降る気温10〜14度の山岳地帯でハイスピードな展開が続いたため、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)らがリタイアを選んでいる。
1分30秒前後のリードを保って高速ローテーションを続けた先頭4名だったが、一貫してチームイネオスがコントロールするメイン集団は残り35km地点でこの逃げをキャッチ。すると間髪入れずにカウンターアタックがかかり、今度はアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やセルジュ・パウェルス(ベルギー、CCCチーム)、ロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)が12名の逃げグループを新たに組織した。
タイム差50秒で突入した最後の2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルランで先頭はマルタンとトゥーンスの2人に絞られ、メイン集団では継続的にチームイネオスがペースメイク。序盤に逃げていたデュムランはメイン集団から脱落する。ジロ・デ・イタリア第4ステージの落車で膝を痛め、ツール・ド・フランスに向けて調子を上げるためにドーフィネに出場しているデュムランは「現在の状態には満足している。まだまだ総合争いに絡める状態ではないので、全力で逃げてみようと思った。膝の状態も快方に向かっていて、このまま調子を上げていければと思う」とコメントしている。
2級山岳サンヴィクトル・シュル・アルランでEFエデュケーションファーストもメイン集団のペースアップに加わると、頂上まで1kmを残してマイヨジョーヌのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が脱落。こうして人数が絞られたメイン集団から、頂上手前でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が強力なアタックを仕掛けた。
ピノの加速に対応できたのはマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)とクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のみ。その一方でバルデやリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)は出遅れてしまう。
残り10kmの時点で先頭2名(マルタンとトゥーンス)の20秒遅れで第1追走グループ(フルームやピノ)、40秒遅れで第2追走グループ(バルデやポート)、1分10秒遅れでメイン集団(ボアッソンハーゲン)という位置関係。ステージ優勝と総合ジャンプアップを目指して協調体制を組むマルタンとトゥーンスのペースは落ちなかった。
第1追走グループの中で最も活発にアタックしたのはピノ。残り5km地点からアタックを連発したピノをフルームが全開で追いかけるシーンも。第1追走グループはバルデやポートを引き離すために高速走行を続けたが、ステージ優勝のために逃げる2名を捕まえようというモチベーションはなかった。
18秒のリードで残り1kmアーチを通過したトゥーンスとマルタン。スプリント力に秀でたトゥーンスに前を引かせながら、マルタンが残り250mからスプリントに持ち込む。タイミングよく勝負に持ち込んだマルタンだったが、スプリント一騎打ちはトゥーンスに軍配が上がった。フルームやピノを含む第1追走グループは13秒遅れ、バルデやポートを含む第2追走グループは44秒遅れでフィニッシュしている。
「実に2年ぶりの勝利は格別だ」と、トゥーンスが2017年8月のアークティックレース・オブ・ノルウェー総合優勝以来となる勝利を喜ぶ。トゥーンスは2018年のパリ〜ニースやツール・ド・ポローニュ、ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ上位入賞を繰り返し、イル・ロンバルディアで3位に入りながらもシーズン0勝に終わっていた。
2019年、BMCレーシングからバーレーン・メリダに移籍した27歳は「今日は序盤から強力な選手が逃げる展開で、メイン集団のペースが落ちることはなかった。逃げ吸収後のカウンターアタックにチャンスがあると思っていたよ。最後はマルタンと一緒に逃げる展開になって助けられた。ドーフィネで勝って、黄色いライオンを受け取るのは夢のようだ」と語る。この日のステージ優勝によりトゥーンスは総合リーダーの座についている。
「ティボー(ピノ)の走りはインプレッシブだった。彼の調子の良さを肌で感じる1日になった」と語るのは2013年、2015年、2016年大会の総合優勝者フルーム。「彼は他の誰よりも強力に牽引していた。あと、ヤコブ・フルサングの調子も良さそうだ。今日はハードなレースが展開されたけど、まだ山岳というよりアルデンヌクラシックのような丘陵レース。この先のステージでライバルたちの調子がもっと明確になると思う」。
一方で総合ライバルたちから31秒のタイムを失ったポートは「残り20kmから一気にレースが活性化して、自分はただその動きに付いていけなかった。まだ調子が上がりきっていないので、失望はしていない。それに、まだまだ厳しいステージが残っているので総合争いが終わったわけじゃない。ツールではもっと良い走りができると確信している」とコメントしている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第2ステージ結果
1位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) | 4:12:41 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | |
3位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:13 |
4位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | |
6位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | |
7位 | ペトル・ヴァコッチ(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
9位 | ワウト・プールス(オランダ、チームイネオス) | |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
11位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) | |
14位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:44 |
15位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
16位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
18位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | |
19位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
29位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 0:01:49 |
72位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:08:50 |
個人総合成績
1位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) | 7:37:03 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:00:03 |
3位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:20 |
4位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 0:00:21 |
5位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:24 |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | |
7位 | ワウト・プールス(オランダ、チームイネオス) | |
8位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) | |
9位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) |
ポイント賞
1位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 34pts |
2位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) | 29pts |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 28pts |
山岳賞
1位 | カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ) | 18pts |
2位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 13pts |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 12pts |
ヤングライダー賞
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 22:53:57 |
2位 | EFエデュケーションファースト | 0:00:31 |
3位 | グルパマFDJ |
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.
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