2019/06/10(月) - 11:07
6月9日、フルームやイェーツ、バルデ、キンタナ、ポート、デュムランらマイヨジョーヌ候補が揃った第71回クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕。『ツール前哨戦』の初日は60名による集団スプリントに持ち込まれ、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が白星発進した。
序盤の1級山岳ピュイマリーを登るメイン集団 photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第1ステージ photo:A.S.O.一般的に「ドーフィネ」として呼ばれるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは、1947年に第1回大会が開催され、長年地元新聞紙のドーフィネ・リベレ社によって運営されてきた1週間のステージレース。2010年からツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)が主催している。
「クリテリウム」の名前がついているものの、レース形式はクリテリウムではない。その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)で、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃いステージレースだ。
実際に2012年と2013年、2015年、2016年、2018年はこのドーフィネの総合優勝者がツールの総合優勝に輝いており、マイヨジョーヌ争いを占う最高のリハーサルの場となる。ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適な山岳ステージや個人タイムトライアルが用意されているのが特徴。2019年はプロローグではなく1級山岳も登場する中級山岳ステージが初日に設定された。
決してピュアスプリンター向きではないこのステージで、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)、ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード)らを含む強力な6名逃げが形成され、メイン集団に対して3分前後のタイム差をもって最初の1級山岳ピュイマリーを越えていく。この1級山岳ピュイマリーを含め、カテゴリー山岳を連続先頭通過して合計18ポイントを獲得したカスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ)が青生地に白い水玉が入る山岳賞ジャージを手にしている。
序盤からメイン集団をコントロールしたボーラ・ハンスグローエ photo:A.S.O.
曇り時々雨のアップダウンコースを走る photo:A.S.O.
逃げグループを形成するオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)ら photo:A.S.O.
ツールに向けて最終調整に入るクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス) photo:A.S.O.
サム・ベネット(アイルランド)のために集団スプリントに持ち込みたいボーラ・ハンスグローエがメイン集団を徹底的にコントロールしたためタイム差は常に2分台をキープ。後半の2級山岳ロックナトウを含む周回コースに入るとドゥクーニンク・クイックステップも集団牽引に合流する。逃げグループとのタイム差が1分を切った残り21km地点で、突如ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がメイン集団のペースを上げた。
2級山岳ロックナトウの登り口でジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を引き連れながらアタックしたスティバルに総合優勝候補たちが続々と合流。このペースアップによってピュアスプリンターたちはたちまち脱落してしまう。一気に40名ほどに絞られたメイン集団から続いてアタックしたビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)が先頭で逃げ続けるコルトニールセンとナーセンに合流し、先頭3名となって最後の2級山岳ロックナトウ(残り18km地点)を越えた。
ベネットの脱落によって作戦変更を強いられたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)の追走アタックは届かずに、コルトニールセン、ナーセン、ランブレヒトの3名が先行したまま残り10km/タイム差35秒。下り区間で60名ほどに人数を増やしたメイン集団は、ダリル・インピー(南アフリカ)のスプリント狙いのミッチェルトン・スコットが猛烈なペースで牽引する。残り逃げ切りか小集団スプリントか。バーレーン・メリダも加わったことで、残り5kmでタイム差は25秒に。
最後まで諦めずに踏み続けた先頭3名だったが、残り1kmアーチを通過してからアタックしたナーセンも吸収。残り600mで逃げトリオを飲み込んだ集団の先頭で、アラフィリップがフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)のためにリードアウトを開始した。
アラフィリップに連れられて好位置で残り200mの最終コーナーを抜けたジルベールだったが、その横からニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が、そしてその後ろからエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が追い上げる。自力でジルベールの番手までポジションを上げ、最終コーナー通過後にもう一段階踏みなおしたボアッソンハーゲンのスプリントが伸びた。
集団スプリントに持ち込みたいボーラ・ハンスグローエがメイン集団を牽引 photo:A.S.O.
最終コーナーからの立ち上がりの加速で先頭に立ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:A.S.O.
小集団スプリントを制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:CorVos
ジルベールとファンアールト、ポリッツというパリ〜ルーベ上位入賞者たちを退けて、ボアッソンハーゲンが勝利。自身シーズン3勝目を飾ったボアッソンハーゲンが勝利数の伸び悩むチームにシーズン4勝目をもたらした。
「最後の登りで本当に苦しんだものの、なんとか集団内で頂上をクリア。その時点でピュアスプリンターたちは姿を消していたので、有利な展開に持ち込めたんだ。良いスピードでスプリントすることができたし、このまま出来る限り長くリーダージャージを着続けたい」と、青いラインが入ったマイヨジョーヌに袖を通したボアッソンハーゲンは語る。翌日の第2ステージもボアッソンハーゲンに代表される『登れるスプリンター』有利なレイアウトが設定されている。
ステージ優勝者と同タイムでフィニッシュしたのは60名。フルームを始め、総合優勝候補たちは同タイム集団内で大会初日を終えている。
マイヨジョーヌを手にしたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:A.S.O.
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「クリテリウム」の名前がついているものの、レース形式はクリテリウムではない。その名の通りレースの舞台はフランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)で、「ミニ・ツール」と形容されるほど内容の濃いステージレースだ。
実際に2012年と2013年、2015年、2016年、2018年はこのドーフィネの総合優勝者がツールの総合優勝に輝いており、マイヨジョーヌ争いを占う最高のリハーサルの場となる。ツールの前哨戦と呼ばれるだけに、オールラウンダーたちの脚試しに最適な山岳ステージや個人タイムトライアルが用意されているのが特徴。2019年はプロローグではなく1級山岳も登場する中級山岳ステージが初日に設定された。
決してピュアスプリンター向きではないこのステージで、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)、ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード)らを含む強力な6名逃げが形成され、メイン集団に対して3分前後のタイム差をもって最初の1級山岳ピュイマリーを越えていく。この1級山岳ピュイマリーを含め、カテゴリー山岳を連続先頭通過して合計18ポイントを獲得したカスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ)が青生地に白い水玉が入る山岳賞ジャージを手にしている。
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サム・ベネット(アイルランド)のために集団スプリントに持ち込みたいボーラ・ハンスグローエがメイン集団を徹底的にコントロールしたためタイム差は常に2分台をキープ。後半の2級山岳ロックナトウを含む周回コースに入るとドゥクーニンク・クイックステップも集団牽引に合流する。逃げグループとのタイム差が1分を切った残り21km地点で、突如ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がメイン集団のペースを上げた。
2級山岳ロックナトウの登り口でジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を引き連れながらアタックしたスティバルに総合優勝候補たちが続々と合流。このペースアップによってピュアスプリンターたちはたちまち脱落してしまう。一気に40名ほどに絞られたメイン集団から続いてアタックしたビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル)が先頭で逃げ続けるコルトニールセンとナーセンに合流し、先頭3名となって最後の2級山岳ロックナトウ(残り18km地点)を越えた。
ベネットの脱落によって作戦変更を強いられたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)の追走アタックは届かずに、コルトニールセン、ナーセン、ランブレヒトの3名が先行したまま残り10km/タイム差35秒。下り区間で60名ほどに人数を増やしたメイン集団は、ダリル・インピー(南アフリカ)のスプリント狙いのミッチェルトン・スコットが猛烈なペースで牽引する。残り逃げ切りか小集団スプリントか。バーレーン・メリダも加わったことで、残り5kmでタイム差は25秒に。
最後まで諦めずに踏み続けた先頭3名だったが、残り1kmアーチを通過してからアタックしたナーセンも吸収。残り600mで逃げトリオを飲み込んだ集団の先頭で、アラフィリップがフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)のためにリードアウトを開始した。
アラフィリップに連れられて好位置で残り200mの最終コーナーを抜けたジルベールだったが、その横からニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が、そしてその後ろからエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が追い上げる。自力でジルベールの番手までポジションを上げ、最終コーナー通過後にもう一段階踏みなおしたボアッソンハーゲンのスプリントが伸びた。
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ジルベールとファンアールト、ポリッツというパリ〜ルーベ上位入賞者たちを退けて、ボアッソンハーゲンが勝利。自身シーズン3勝目を飾ったボアッソンハーゲンが勝利数の伸び悩むチームにシーズン4勝目をもたらした。
「最後の登りで本当に苦しんだものの、なんとか集団内で頂上をクリア。その時点でピュアスプリンターたちは姿を消していたので、有利な展開に持ち込めたんだ。良いスピードでスプリントすることができたし、このまま出来る限り長くリーダージャージを着続けたい」と、青いラインが入ったマイヨジョーヌに袖を通したボアッソンハーゲンは語る。翌日の第2ステージもボアッソンハーゲンに代表される『登れるスプリンター』有利なレイアウトが設定されている。
ステージ優勝者と同タイムでフィニッシュしたのは60名。フルームを始め、総合優勝候補たちは同タイム集団内で大会初日を終えている。
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クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第1ステージ結果
1位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 3:24:33 |
2位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | |
4位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | |
5位 | グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ヨナス・コッホ(ドイツ、CCCチーム) | |
8位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | |
9位 | ブノワ・コズネフロワ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームイネオス) |
個人総合成績
1位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 3:24:23 |
2位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:04 |
3位 | ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:06 |
4位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:10 |
5位 | グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ヨナス・コッホ(ドイツ、CCCチーム) | |
8位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | |
9位 | ブノワ・コズネフロワ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームイネオス) |
ポイント賞
1位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 25pts |
2位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 22pts |
3位 | ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 20pts |
山岳賞
1位 | カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ) | 18pts |
2位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 13pts |
3位 | ファビアン・ドゥべ(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 10pts |
ヤングライダー賞
text&photo:Kei Tsuji
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