2010/04/14(水) - 08:37
2010年4月13日、ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第3ステージが行なわれ、終盤の上りで飛び出したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)が、少人数スプリントを制して優勝。ステージ3位のレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)が総合トップに立った。
標高800m級のカテゴリー山岳が2つ設定され、ゴール前にも細かい上りが2つ登場する第3ステージ。ゴール9km手前に登場する標高250mの上り(カテゴリー無し)はスプリンターにとって厄介な存在だ。
レース序盤から積極的にアタックを仕掛けたのはISD・ネーリ。先月発表されたジロ・デ・イタリアの出場チームリストから外れたこのイタリア=ウクライナ混成チームは、連日目立つ走りを見せている。この日はディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)を逃げに乗せることに成功した。
27km地点でカッチャとともに逃げグループを形成したのは、マチェイ・ボドナール(ポーランド、リクイガス)、ネルソン・オリビエラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)、アダム・シニコ(ポーランド、CCCポルサット・ポルコウィチェ)。
この4名はタイム差を最大4分30秒まで広げ、レース前半の1級山岳を先頭で通過したカッチャが山岳賞トップに。しかしチームHTC・コロンビアに代わってISD・ネーリが集団の先頭に立ってペースを上げると、タイム差はグングン縮小。逃げグループは結局ゴール50km手前の2級山岳通過後に吸収された。
2級山岳を通過した時点でメイン集団の人数は30名ほど。リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)や土井雪広(日本、スキル・シマノ)も集団内で2級山岳をクリアした。
カウンターアタックで飛び出す選手が続出したが、どれも成功しないままゴール9km手前に位置する最後の上りに突入。すると、ISD・ネーリが猛烈にペースを上げた集団から再びヴィスコンティが飛び立った。
ヴィスコンティにはターラマエ、モンクティエ、ポリオル(コフィディス)、スピラック(ランプレ)、ケウラ(フットオン・セルヴェット)が合流。土井はその1つ前の上りで落車してしまい、何とか集団に復帰したものの、この戦線には加わることが出来なかった。
やがてラスト8kmで先頭グループからスピラックがアタックするとケウラが脱落。先頭の5名は20秒のリードでラスト5km。ここからは、先頭5名は何秒のタイム差で逃げ切るか、そして誰がステージ優勝を掴むのか。3名のメンバーを揃えたコフィディスが、ターラマエの総合ジャンプアップを目指して先頭グループを率いた。
ラスト500mを切って最初にスパートを仕掛けたのは、青白黒のエストニアチャンピオンジャージを着るターラマエ。しかしライバルたちを振り切ることが出来ず、飛び出すタイミングを待ち続けたヴィスコンティとスピラックに追い抜かれて行く。
最後はヴィスコンティがスピラックをかわして勝利。大きく両手を広げてゴールに飛び込んだ。
「積極的な走りがようやく実を結んだよ。このツアー・オブ・ターキーはオーガナイズがプロツアーレース並みで素晴らしいレースだ。こんなレースで勝てて本当に嬉しい。チームはこの勝利のために最大限の力を発揮してくれた。チームにはグライペルのようなピュアスプリンターがいないから、アタックでチャンスを掴むしかなかったんだ」。
ヴィスコンティはこれが今シーズン2勝目。総合でも2位にジャンプアップし、最終的な総合優勝も視野に入れる。
リーダージャージを守りたいグライペルを含む集団はタイムロスを22秒に抑えてゴール。しかしステージ3位でボーナスタイム4秒を獲得したターラマエが一躍総合トップに立った。ステージ優勝のヴィスコンティが1秒差の2位、グライペルが6秒差の3位に付けている。
最後から2つ目の上りで落車した土井は、トップから1分58秒差の42位でフィニッシュ。土井はシクロワイアードの取材に対し「気温も高くて難しいステージでした。最初の逃げには入れなかったけど、その分エース2人を助けながら脚を貯めることが出来た。山岳ポイントも無事パスしたけど、最後の2つの登りの1つめで落車。前の選手をよけきれなくて乗り上げてしまった。そこからは集団追走に消耗してしまい、トップクライマーとの勝負には参加できずに後退。でも調子は良いです!まだまだレースは始まったばかり!」と語ってくれた。
翌日からは難易度の高い山岳ステージが続く。第4・第5ステージはともに200kmオーバーのロングコースで、標高1000mオーバーのカテゴリー山岳が幾つも登場する(第5ステージ中盤に登場する1級山岳は標高1600m)。総合争いが加熱すること必至。そして土井の活躍にも期待したい。
レース展開と選手コメントはレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツアー・オブ・ターキー2010第3ステージ
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ) 4h22'28"
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)
3位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
4位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
5位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) +07"
6位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、リクイガス) +13"
7位 グスタボ・ドミンゲス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
8位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)
9位 アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)
10位 フェデリーコ・カヌーティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
42位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +1'58"
個人総合成績
1位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) 9h11'47"
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ) +01"
6位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) +06"
4位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +10"
5位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア) +13"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス) +20"
7位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ) +22"
8位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)
9位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
10位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、リクイガス) +23"
42位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +2'35"
ポイント賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)
山岳賞
ディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)
チーム総合成績
コフィディス
text:Kei Tsuji
photo:www.tourofturkey.org
標高800m級のカテゴリー山岳が2つ設定され、ゴール前にも細かい上りが2つ登場する第3ステージ。ゴール9km手前に登場する標高250mの上り(カテゴリー無し)はスプリンターにとって厄介な存在だ。
レース序盤から積極的にアタックを仕掛けたのはISD・ネーリ。先月発表されたジロ・デ・イタリアの出場チームリストから外れたこのイタリア=ウクライナ混成チームは、連日目立つ走りを見せている。この日はディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)を逃げに乗せることに成功した。
27km地点でカッチャとともに逃げグループを形成したのは、マチェイ・ボドナール(ポーランド、リクイガス)、ネルソン・オリビエラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)、アダム・シニコ(ポーランド、CCCポルサット・ポルコウィチェ)。
この4名はタイム差を最大4分30秒まで広げ、レース前半の1級山岳を先頭で通過したカッチャが山岳賞トップに。しかしチームHTC・コロンビアに代わってISD・ネーリが集団の先頭に立ってペースを上げると、タイム差はグングン縮小。逃げグループは結局ゴール50km手前の2級山岳通過後に吸収された。
2級山岳を通過した時点でメイン集団の人数は30名ほど。リーダージャージのアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)や土井雪広(日本、スキル・シマノ)も集団内で2級山岳をクリアした。
カウンターアタックで飛び出す選手が続出したが、どれも成功しないままゴール9km手前に位置する最後の上りに突入。すると、ISD・ネーリが猛烈にペースを上げた集団から再びヴィスコンティが飛び立った。
ヴィスコンティにはターラマエ、モンクティエ、ポリオル(コフィディス)、スピラック(ランプレ)、ケウラ(フットオン・セルヴェット)が合流。土井はその1つ前の上りで落車してしまい、何とか集団に復帰したものの、この戦線には加わることが出来なかった。
やがてラスト8kmで先頭グループからスピラックがアタックするとケウラが脱落。先頭の5名は20秒のリードでラスト5km。ここからは、先頭5名は何秒のタイム差で逃げ切るか、そして誰がステージ優勝を掴むのか。3名のメンバーを揃えたコフィディスが、ターラマエの総合ジャンプアップを目指して先頭グループを率いた。
ラスト500mを切って最初にスパートを仕掛けたのは、青白黒のエストニアチャンピオンジャージを着るターラマエ。しかしライバルたちを振り切ることが出来ず、飛び出すタイミングを待ち続けたヴィスコンティとスピラックに追い抜かれて行く。
最後はヴィスコンティがスピラックをかわして勝利。大きく両手を広げてゴールに飛び込んだ。
「積極的な走りがようやく実を結んだよ。このツアー・オブ・ターキーはオーガナイズがプロツアーレース並みで素晴らしいレースだ。こんなレースで勝てて本当に嬉しい。チームはこの勝利のために最大限の力を発揮してくれた。チームにはグライペルのようなピュアスプリンターがいないから、アタックでチャンスを掴むしかなかったんだ」。
ヴィスコンティはこれが今シーズン2勝目。総合でも2位にジャンプアップし、最終的な総合優勝も視野に入れる。
リーダージャージを守りたいグライペルを含む集団はタイムロスを22秒に抑えてゴール。しかしステージ3位でボーナスタイム4秒を獲得したターラマエが一躍総合トップに立った。ステージ優勝のヴィスコンティが1秒差の2位、グライペルが6秒差の3位に付けている。
最後から2つ目の上りで落車した土井は、トップから1分58秒差の42位でフィニッシュ。土井はシクロワイアードの取材に対し「気温も高くて難しいステージでした。最初の逃げには入れなかったけど、その分エース2人を助けながら脚を貯めることが出来た。山岳ポイントも無事パスしたけど、最後の2つの登りの1つめで落車。前の選手をよけきれなくて乗り上げてしまった。そこからは集団追走に消耗してしまい、トップクライマーとの勝負には参加できずに後退。でも調子は良いです!まだまだレースは始まったばかり!」と語ってくれた。
翌日からは難易度の高い山岳ステージが続く。第4・第5ステージはともに200kmオーバーのロングコースで、標高1000mオーバーのカテゴリー山岳が幾つも登場する(第5ステージ中盤に登場する1級山岳は標高1600m)。総合争いが加熱すること必至。そして土井の活躍にも期待したい。
レース展開と選手コメントはレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツアー・オブ・ターキー2010第3ステージ
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ) 4h22'28"
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)
3位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
4位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)
5位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス) +07"
6位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、リクイガス) +13"
7位 グスタボ・ドミンゲス(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
8位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)
9位 アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルヴェット)
10位 フェデリーコ・カヌーティ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
42位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +1'58"
個人総合成績
1位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) 9h11'47"
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ) +01"
6位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) +06"
4位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +10"
5位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア) +13"
6位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス) +20"
7位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ) +22"
8位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)
9位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
10位 ティツィアーノ・ダラントニア(イタリア、リクイガス) +23"
42位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +2'35"
ポイント賞
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)
山岳賞
ディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)
チーム総合成績
コフィディス
text:Kei Tsuji
photo:www.tourofturkey.org
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