2019/05/25(土) - 15:45
キャノンデールの正統派グラベルロード「TOPSTONE」をインプレッション。ライズライド店長の鈴木祐一さんが、本場のグラベルレースから荷物満載のキャンプツーリングまで受け入れてくれる懐の深さが魅力の1台に迫る。
キャノンデール TOPSTONE APEX 1 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
アメリカを中心にグラベルロードが盛り上がっている。週末のサイクリングでオフロードの道を選ぶだけではなく、グラインデューロやダーティカンザのようなイベントが多く開催され、ひとつのジャンルとして“グラベル”が確立している。
カナダとの国境にほど近いコネチカット州に拠点を置くキャノンデールはグラベルに積極的に関わり、SLATEというレフティフォークを搭載したグラベルロードをいち早くラインアップに用意してきていた。かつグラベルイベントのスポンサーも務めるなど、ジャンルの盛り上げに一役買っているブランドでもある。
複雑な曲線を描くシートステーとSAVEのようなチェーンステーでリア三角は構成される
標準で装備されているドロッパーシートポストは、グラベルのダウンヒルや信号待ちなどで活躍してくれるだろう
グラベルからの突き上げ、ディスクブレーキの制動力に対応するカーボンフォーク。内側にはアイレットが設けられている
早いタイミングからグラベル遊びを楽しもうとしていた背景には、キャノンデールの開発陣とアメリカのCXレジェンドであり自転車遊びの達人ティム・ジョンソンの遊び心がある。彼らの自転車遊びと面白いバイクへの欲求と、MTBやCXで培ってきたオフロードに関するテクノロジーが結びついた結果、唯一無二の存在であるSLATEというバイクが生み出されたのだ。
CWではSLATEの遊び方とバイクのポテンシャルを模索する特集を展開しているのでそちらもチェックしてほしい。リンクはこちら
キャノンデールはグラベルを遊ぶための手段としてSLATEを提示していたにも関わらず、2019年モデルから“正統派”なグラベルロード「TOPSTONE」をラインアップに加えた。詳しい理由は本場アメリカでTOPSTONEを試してきた特集を確認してほしいのだが、ザッと説明すると初心者までグラベルライドを楽しめるようにするため。グラベルの盛り上がりに対してのキャノンデールの反応が正統派グラベルロードのリリースだったのだ。
キャノンデールが得意とするアルミフレームのTOPSTONE
ドロップ部が外側にフレアしたハンドルを使用している
ワイドなギアレシオのスラムAPEXを採用する
グラベル用タイヤのパイオニアWTBから700×40Cのチューブレスレディ「Nano」をピックアップ
正統派というのはTOPSTONEを完成車としての姿がそう言わしめる。フルリジットのフレーム+フォーク、ドロップハンドル、700×40cの足回りという組み合わせがまず一般的なグラベルロードのイメージであり、TOPSTONEはもちろんそれらを採用。
さらに、SLATEには搭載されていなかったドロッパーシートポストが一部モデルで装備されるようになっている上、各種規格も今のトレンドを捉えている。このパッケージはグラベルロードの今であり、間違いの無い選択肢と言っても過言ではなさそう。
メンテナンス性を向上させるためにBBはねじ切り式のBSAとされている
グラベルロードには必要不可欠な油圧式ディスクブレーキが採用されている
キャノンデールが得意とするアルミフレームは、71°と寝かせられたヘッドアングル、SLATEよりも25mm長いチェーンステー、ロングホイールベースのジオメトリーが与えられている。これらの数値が表すのは、SLATEがクイックな味付けであることに対し、TOPSTONEは安定感を重視した方向性ということ。ジオメトリー設計からキャノンデールが用意するグラベルバイクの立ち位置がそれぞれ異なると分かるはずだ。
リーチ&スタックにはエンデュランスロードSYNAPSEと同じ「Endurance Race ジオメトリー」を採用する。このジオメトリーは、レースという名前が与えられている通り、単なるアップライトなポジションではなく高速巡航にも対応する設計だ。グラベルで遊んでいる時に現れる繋ぎの舗装路や、本場のグラベルレースのようなシチュエーションでも気持ちよく走ってくれるだろう。
トップチューブにもボトルケージ台座が設けられている
ダウンチューブのボトルケージ台座には3つのネジ穴を設けることで、フレームバッグの大きさに応じてケージの取り付け位置を変更できるようにした
コンポーネントは1xのスラムAPEX。ダウンチューブ裏側にもボトルケージ台座が設けられている
TOPSTONEはあらゆるグラベルの楽しみ方を受け入れてくれることが特徴。シートステーやフォークに設けられたアイレットを活かし、オールドスクールなパニアスタイルでツーリングを楽しんでも良し。欧米で人気のバイクパッキングでキャンプを満喫しても良い。計4つ用意されたボトルケージ台座は、超長距離のグラベルレースや荷物満載のキャンプツーリングで活躍してくれる。そんな懐の深さが「万能グラベルロード」と謳われる所以だ。
今回インプレッションを行ったのは、スラムの1xコンポーネント「Apex」を搭載した上位グレードの「TOPSTONE APEX 1」。WTBの40CタイヤNanoやドロッパーシートポストを装備し、グラベル遊びへの準備は万端。ライズライド店長の鈴木祐一さんはこのバイクをどうみたのだろうか。
― インプレッション
「安定性の高い走行性能でキャンプツーリングに最適」鈴木祐一(ライズライド)
「安定性の高い走行性能でキャンプツーリングに最適」鈴木祐一(ライズライド)
一口にグラベルロードと言っても様々な性格のバイクがありますが、その中でもこのTOPSTONEは"ザ・ツーリングバイク"と言うべきもの。ガンガン攻めて、レースを最速で走りきるためのバイクとは性格が異なります。直進安定志向の強いハンドリングや、まったりとしたリアセンターの動きは荷物を積んだ際であってもフラフラしないでしょうし、フレームの至るところに用意されたボルト穴が如実にその性格を表していると感じました。
バイクの乗り味としては、アルミフレームらしい素直な印象です。脚を削ってくるようなBB周りの硬さもありませんし、長距離を、体力をセーブしながら走るには良い選択肢となるでしょう。フレームバッグを取り付けて、未舗装の峠を数ヶ所超えつつ、見晴らしの良い場所でキャンプするような、現代のツーリングバイク。その上でディスクブレーキの安心感は欠かせない存在です。
「フレームが硬すぎることもなく長距離のツーリングも安心」
TOPSTONEを語る上で欠かせないのがドロッパーシートポストですよね。MTBではもはや当たり前になりましたが、グラベルバイクの、しかも完成車価格20万円のバイクに搭載されるのはとてもユニークで、キャノンデールらしいな、と感じます。
MTBのドロッパーポストは、サドルを下げることで身体とバイクの可動域を増やすために、荒れた路面でも積極的に走るために存在します。でも、TOPSTNEのドロッパーは目的が違う。安定感を生み出すために存在するものだと感じました。
「ドロッパーシートポストのおかげでいかなる路面でも安定した走りに」 バイクパッキングで荷物を積もうとすると、どうしても重心が高くなって下りのコーナリング、特に未舗装路の下りでは不安定になってしまう。どのくらいの荷物を積むかにもよりますが、サドルが高い状態だとどうしても運動性能に制限が出るのですが、そこにドロッパーポストがあれば、重心が下がればバランスが取りやすいし、身体の可動範囲が広くなって余裕が生まれるわけです。
特に最近のパッキングは大きなサドルバッグを搭載することが多いのですが、それをたった数センチでも下げることができればバイクの操作性、不安感のなさは劇的に変わります。操作しやすいことはイコール、長距離で楽に走れるということに繋がってくるんですよね。ツーリングメインのバイクと言えど、こうした工夫を加えてくるのは面白いですね。
WTBのタイヤは舗装路でも軽く転がりますし、全体的なまとまり感も良い。トップチューブが長いジオメトリーなのでサイズ選びには注意する必要がありますが、グラベルツーリングにはものすごくうってつけの一台です。1日で帰ってくるキャンプツーリングのお供には最適と言えるのではないでしょうか。
キャノンデール TOPSTONE APEX 1 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
キャノンデール TOPSTONE APEX 1
フレーム:SmartForm C2 Alloy,142x12 thru-axle
コンポーネント:スラム Apex 1 HRD
タイヤ:WTB Nano TCS, 700x40c, tubeless ready
サイズ:XS、S、M、L、XL
価 格:220,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木祐一(RiseRide) 鈴木祐一(RiseRide)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライドHP
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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アメリカを中心にグラベルロードが盛り上がっている。週末のサイクリングでオフロードの道を選ぶだけではなく、グラインデューロやダーティカンザのようなイベントが多く開催され、ひとつのジャンルとして“グラベル”が確立している。
カナダとの国境にほど近いコネチカット州に拠点を置くキャノンデールはグラベルに積極的に関わり、SLATEというレフティフォークを搭載したグラベルロードをいち早くラインアップに用意してきていた。かつグラベルイベントのスポンサーも務めるなど、ジャンルの盛り上げに一役買っているブランドでもある。
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早いタイミングからグラベル遊びを楽しもうとしていた背景には、キャノンデールの開発陣とアメリカのCXレジェンドであり自転車遊びの達人ティム・ジョンソンの遊び心がある。彼らの自転車遊びと面白いバイクへの欲求と、MTBやCXで培ってきたオフロードに関するテクノロジーが結びついた結果、唯一無二の存在であるSLATEというバイクが生み出されたのだ。
CWではSLATEの遊び方とバイクのポテンシャルを模索する特集を展開しているのでそちらもチェックしてほしい。リンクはこちら
キャノンデールはグラベルを遊ぶための手段としてSLATEを提示していたにも関わらず、2019年モデルから“正統派”なグラベルロード「TOPSTONE」をラインアップに加えた。詳しい理由は本場アメリカでTOPSTONEを試してきた特集を確認してほしいのだが、ザッと説明すると初心者までグラベルライドを楽しめるようにするため。グラベルの盛り上がりに対してのキャノンデールの反応が正統派グラベルロードのリリースだったのだ。
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さらに、SLATEには搭載されていなかったドロッパーシートポストが一部モデルで装備されるようになっている上、各種規格も今のトレンドを捉えている。このパッケージはグラベルロードの今であり、間違いの無い選択肢と言っても過言ではなさそう。
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リーチ&スタックにはエンデュランスロードSYNAPSEと同じ「Endurance Race ジオメトリー」を採用する。このジオメトリーは、レースという名前が与えられている通り、単なるアップライトなポジションではなく高速巡航にも対応する設計だ。グラベルで遊んでいる時に現れる繋ぎの舗装路や、本場のグラベルレースのようなシチュエーションでも気持ちよく走ってくれるだろう。
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TOPSTONEはあらゆるグラベルの楽しみ方を受け入れてくれることが特徴。シートステーやフォークに設けられたアイレットを活かし、オールドスクールなパニアスタイルでツーリングを楽しんでも良し。欧米で人気のバイクパッキングでキャンプを満喫しても良い。計4つ用意されたボトルケージ台座は、超長距離のグラベルレースや荷物満載のキャンプツーリングで活躍してくれる。そんな懐の深さが「万能グラベルロード」と謳われる所以だ。
今回インプレッションを行ったのは、スラムの1xコンポーネント「Apex」を搭載した上位グレードの「TOPSTONE APEX 1」。WTBの40CタイヤNanoやドロッパーシートポストを装備し、グラベル遊びへの準備は万端。ライズライド店長の鈴木祐一さんはこのバイクをどうみたのだろうか。
― インプレッション
「安定性の高い走行性能でキャンプツーリングに最適」鈴木祐一(ライズライド)
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一口にグラベルロードと言っても様々な性格のバイクがありますが、その中でもこのTOPSTONEは"ザ・ツーリングバイク"と言うべきもの。ガンガン攻めて、レースを最速で走りきるためのバイクとは性格が異なります。直進安定志向の強いハンドリングや、まったりとしたリアセンターの動きは荷物を積んだ際であってもフラフラしないでしょうし、フレームの至るところに用意されたボルト穴が如実にその性格を表していると感じました。
バイクの乗り味としては、アルミフレームらしい素直な印象です。脚を削ってくるようなBB周りの硬さもありませんし、長距離を、体力をセーブしながら走るには良い選択肢となるでしょう。フレームバッグを取り付けて、未舗装の峠を数ヶ所超えつつ、見晴らしの良い場所でキャンプするような、現代のツーリングバイク。その上でディスクブレーキの安心感は欠かせない存在です。
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TOPSTONEを語る上で欠かせないのがドロッパーシートポストですよね。MTBではもはや当たり前になりましたが、グラベルバイクの、しかも完成車価格20万円のバイクに搭載されるのはとてもユニークで、キャノンデールらしいな、と感じます。
MTBのドロッパーポストは、サドルを下げることで身体とバイクの可動域を増やすために、荒れた路面でも積極的に走るために存在します。でも、TOPSTNEのドロッパーは目的が違う。安定感を生み出すために存在するものだと感じました。
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特に最近のパッキングは大きなサドルバッグを搭載することが多いのですが、それをたった数センチでも下げることができればバイクの操作性、不安感のなさは劇的に変わります。操作しやすいことはイコール、長距離で楽に走れるということに繋がってくるんですよね。ツーリングメインのバイクと言えど、こうした工夫を加えてくるのは面白いですね。
WTBのタイヤは舗装路でも軽く転がりますし、全体的なまとまり感も良い。トップチューブが長いジオメトリーなのでサイズ選びには注意する必要がありますが、グラベルツーリングにはものすごくうってつけの一台です。1日で帰ってくるキャンプツーリングのお供には最適と言えるのではないでしょうか。
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キャノンデール TOPSTONE APEX 1
フレーム:SmartForm C2 Alloy,142x12 thru-axle
コンポーネント:スラム Apex 1 HRD
タイヤ:WTB Nano TCS, 700x40c, tubeless ready
サイズ:XS、S、M、L、XL
価 格:220,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライドHP
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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