2018/10/15(月) - 12:00
キャノンデール2019年の注目モデル「TOPSTONE」を、同社が冠スポンサーを務めるアメリカのグラベルレースで本気試乗。現地を走ることで感じたTOPSTONEの本当の実力と魅力、そして遊び方を、開発者へのインタビュー、そしてブーム沸騰中の現地事情を通して紹介していきたいと思う。
「アメリカに行ってきてもらえませんか?そうです。TOPSTONEです。本場のグラベルイベントで乗ってきて欲しいんです!」
ある時鳴った電話の主は、日頃お世話になっているキャノンデール・ジャパンの方だった。TOPSTONEと言えば、エアロで武装した新型ロードバイク「SYSTEMSIX」や、新たなLeftyサスペンションを搭載する超軽量クロカンMTB「F-Si」と並ぶ、影の2019年キャノンデール注目モデルである。断る理由なんてどこにもない。こうして8月末のある日、私はアメリカ、バーモント州を目指して機上の人となった。
ここ近年、特に北米を中心に盛り上がりの一途を辿っているカテゴリーがグラベルロードであり、その中でもキャノンデールほどグラベルバイクを拡充させているマスプロブランドは他に類を見ない。
ムーブメントの火付け役とも呼べるSLATE(スレート)は未だにオンリーワンと言える存在感を放っているし、エンデュランスロードのSYNAPSE(シナプス)とシクロクロスバイクのCAADXには、SE(スペシャル・エディション)と呼ばれるワイドなギアレシオとタイヤでオンオフ問わずに楽しめる各種モデルが追加され、カタログの1ページを彩っている。
キャノンデール本社のスタッフがランチライドで繰り出す、お気に入りのグラベルループの名が与えられたTOPSTONEは、それらSEコレクションの中で唯一欠けていた正統派グラベルロードであり、SLATEの弟分に位置付けられる存在だ。しかし、Leftyサスペンションの無いドロップハンドルバイクとして端正なスタイルに、「もうSLATEがあるのに、なぜ今ごくフツーのグラベルロードを?」と感じる方も多いだろう。
その理由は、スリックタイヤにしろ、クイックなハンドリングにしろ(そして少しお高めの価格設定も)、SLATEは玄人好みの味付けが施されているから。そもそもキャノンデール開発エンジニアのデーヴィッド(・デヴァイン)と、アメリカンシクロクロス界のレジェンドにして自転車遊びのプロであるティム(・ジョンソン)が「面白いモノを作ろうぜ!」と盛り上がって生まれたバイクだから、「分かってるヤツら」にとって最高のバイクになった一方、初心者がそのポテンシャルを引き出すにはちょっと難しかった。そこでTOPSTONEの登場という訳だ。
650x42CタイヤのSLATEとは異なり、現在のグラベルスタンダードと言うべき700x40Cタイヤを備えるTOPSTONE。キャノンデールのお家芸であるアルミニウムフレームはパッと見普通だが、その実ジオメトリーはかなり前衛的だ。
ショートチェーンステーでクイック感を求めたSLATEとは異なり、例えば55mmのフォークオフセット(SLATEは45mm)と71°(XSサイズは70°)と寝かせたヘッドアングル、そしてSLATEよりも25mm長いチェーンステーによって安定感重視のハンドリングを得た。サスペンションを無くしたデメリットをジオメトリー調整で解決しており、開発者のデーヴィッド曰く、長く続くフラットダートとハンドルが暴れる荒れた路面の両方でメリットを生むよう設計されている。これは高速かつテクニカルなシクロクロスコースでの速さや、担ぎやすさを求めたSUPERX、CAADXとも異なるものだ。
スタック&リーチは「Endurance Raceジオメトリー」を標榜するエンデュランスロードのSYNAPSEと同じ。単にアップライトな安楽ポジションではなく、繋ぎの舗装路を高速移動する際、あるいは本場のグラベルレースに参戦するレーサーにも対応している。
そしてTOPSTONEには、SLATEには無かったアイテム、ドロッパーシートポストが投入されていることが最大の話題(一部のモデルを除く)。一瞬かつ自由にサドルハイトを調整することで下り区間での身体の自由度を高めることができ、もはやトレイル系MTBに必要不可欠となったそれが、グラベルロード、それもマスプロメーカーの低価格帯モデルに採用されたことはある種の事件とも言えよう。
当然手元のリモートコントローラーで高さを調整可能で、走りながらでも状況に合わせたセッティングができるため、走りの幅はぐんと広くなる。もとよりヘッドショックやLeftyサスペンション、Aiオフセット、あるいはSLATEの存在など、ことオフロードバイクに関するエキセントリックさで右に出る者はいないキャノンデールだけに、トップモデルで22万円(+税)とリーズナブルなTOPSTONEでもその"濃さ"は全く薄まっていない。
「万能グラベルロード」を謳うTOPSTONEだから、バイクパッキングやフェンダー取り付けへの対応も万全だ。超長距離を走るグラベルレースのためも考えてボトルケージマウントは4箇所用意され、取り外し式のフェンダーブリッジ、そしてフォークとシートステーにはラック用のネジ穴も準備済み。カバンを搭載した通勤や通学用バイクとしても使い勝手は良いはずだ。
販売パッケージは上位グレードから順にスラムのワンバイコンポーネント「Apex」搭載モデル(税抜22万円)、シマノ105組み完成車(税抜19万円)、シマノSORA組み完成車(税抜11.5万円)という本国アメリカと同じ3種類。フレームとフルカーボンのフロントフォーク、そしてオフロード走行で安定感をもたらすフレアハンドルは全て共通で、Apexモデルのみドロッパーポスト搭載、上位2モデルはどちらも油圧ディスクブレーキにWTBのチューブレスレディホイール+タイヤと、アドベンチャーライドに抜かりなしのスペックを備えている。
TOPSTONE:2019年最注目のグラベルロード
「アメリカに行ってきてもらえませんか?そうです。TOPSTONEです。本場のグラベルイベントで乗ってきて欲しいんです!」
ある時鳴った電話の主は、日頃お世話になっているキャノンデール・ジャパンの方だった。TOPSTONEと言えば、エアロで武装した新型ロードバイク「SYSTEMSIX」や、新たなLeftyサスペンションを搭載する超軽量クロカンMTB「F-Si」と並ぶ、影の2019年キャノンデール注目モデルである。断る理由なんてどこにもない。こうして8月末のある日、私はアメリカ、バーモント州を目指して機上の人となった。
グラベル遊びの楽しさを広めるための前衛的ジオメトリー
ここ近年、特に北米を中心に盛り上がりの一途を辿っているカテゴリーがグラベルロードであり、その中でもキャノンデールほどグラベルバイクを拡充させているマスプロブランドは他に類を見ない。
ムーブメントの火付け役とも呼べるSLATE(スレート)は未だにオンリーワンと言える存在感を放っているし、エンデュランスロードのSYNAPSE(シナプス)とシクロクロスバイクのCAADXには、SE(スペシャル・エディション)と呼ばれるワイドなギアレシオとタイヤでオンオフ問わずに楽しめる各種モデルが追加され、カタログの1ページを彩っている。
キャノンデール本社のスタッフがランチライドで繰り出す、お気に入りのグラベルループの名が与えられたTOPSTONEは、それらSEコレクションの中で唯一欠けていた正統派グラベルロードであり、SLATEの弟分に位置付けられる存在だ。しかし、Leftyサスペンションの無いドロップハンドルバイクとして端正なスタイルに、「もうSLATEがあるのに、なぜ今ごくフツーのグラベルロードを?」と感じる方も多いだろう。
その理由は、スリックタイヤにしろ、クイックなハンドリングにしろ(そして少しお高めの価格設定も)、SLATEは玄人好みの味付けが施されているから。そもそもキャノンデール開発エンジニアのデーヴィッド(・デヴァイン)と、アメリカンシクロクロス界のレジェンドにして自転車遊びのプロであるティム(・ジョンソン)が「面白いモノを作ろうぜ!」と盛り上がって生まれたバイクだから、「分かってるヤツら」にとって最高のバイクになった一方、初心者がそのポテンシャルを引き出すにはちょっと難しかった。そこでTOPSTONEの登場という訳だ。
650x42CタイヤのSLATEとは異なり、現在のグラベルスタンダードと言うべき700x40Cタイヤを備えるTOPSTONE。キャノンデールのお家芸であるアルミニウムフレームはパッと見普通だが、その実ジオメトリーはかなり前衛的だ。
ショートチェーンステーでクイック感を求めたSLATEとは異なり、例えば55mmのフォークオフセット(SLATEは45mm)と71°(XSサイズは70°)と寝かせたヘッドアングル、そしてSLATEよりも25mm長いチェーンステーによって安定感重視のハンドリングを得た。サスペンションを無くしたデメリットをジオメトリー調整で解決しており、開発者のデーヴィッド曰く、長く続くフラットダートとハンドルが暴れる荒れた路面の両方でメリットを生むよう設計されている。これは高速かつテクニカルなシクロクロスコースでの速さや、担ぎやすさを求めたSUPERX、CAADXとも異なるものだ。
スタック&リーチは「Endurance Raceジオメトリー」を標榜するエンデュランスロードのSYNAPSEと同じ。単にアップライトな安楽ポジションではなく、繋ぎの舗装路を高速移動する際、あるいは本場のグラベルレースに参戦するレーサーにも対応している。
ドロッパーシートポストを搭載、バイクパッキングにも完璧フィット
そしてTOPSTONEには、SLATEには無かったアイテム、ドロッパーシートポストが投入されていることが最大の話題(一部のモデルを除く)。一瞬かつ自由にサドルハイトを調整することで下り区間での身体の自由度を高めることができ、もはやトレイル系MTBに必要不可欠となったそれが、グラベルロード、それもマスプロメーカーの低価格帯モデルに採用されたことはある種の事件とも言えよう。
当然手元のリモートコントローラーで高さを調整可能で、走りながらでも状況に合わせたセッティングができるため、走りの幅はぐんと広くなる。もとよりヘッドショックやLeftyサスペンション、Aiオフセット、あるいはSLATEの存在など、ことオフロードバイクに関するエキセントリックさで右に出る者はいないキャノンデールだけに、トップモデルで22万円(+税)とリーズナブルなTOPSTONEでもその"濃さ"は全く薄まっていない。
「万能グラベルロード」を謳うTOPSTONEだから、バイクパッキングやフェンダー取り付けへの対応も万全だ。超長距離を走るグラベルレースのためも考えてボトルケージマウントは4箇所用意され、取り外し式のフェンダーブリッジ、そしてフォークとシートステーにはラック用のネジ穴も準備済み。カバンを搭載した通勤や通学用バイクとしても使い勝手は良いはずだ。
販売パッケージは上位グレードから順にスラムのワンバイコンポーネント「Apex」搭載モデル(税抜22万円)、シマノ105組み完成車(税抜19万円)、シマノSORA組み完成車(税抜11.5万円)という本国アメリカと同じ3種類。フレームとフルカーボンのフロントフォーク、そしてオフロード走行で安定感をもたらすフレアハンドルは全て共通で、Apexモデルのみドロッパーポスト搭載、上位2モデルはどちらも油圧ディスクブレーキにWTBのチューブレスレディホイール+タイヤと、アドベンチャーライドに抜かりなしのスペックを備えている。
TOPSTONE 販売ラインアップ
TOPSTONE APEX 1
サイズ | XS、S、M、L、XL |
フレーム | SmartForm C2 Alloy,142x12 thru-axle |
コンポーネント | スラム Apex 1 HRD |
タイヤ | WTB Nano TCS, 700x40c, tubeless ready |
リム | WTB ST i23 Light TCS, tubeless ready |
ハブ | フォーミュラ RX-512 12x100 front, RX-142 12x142 rear |
税抜き価格 | 220,000円 |
TOPSTONE 105
サイズ | XS、S、M、L、XL |
フレーム | SmartForm C2 Alloy,142x12 thru-axle |
コンポーネント | シマノ 105 |
クランク | FSA Omega ME Alloy, 46/30T |
タイヤ | WTB Nano TCS, 700x40c, tubeless ready |
リム | WTB ST i23 TCS, tubeless ready |
ハブ | フォーミュラ RX-512 12x100 front, RX-142 12x142 rear |
税抜き価格 | 190,000円 |
TOPSTONE SORA
サイズ | XS、S、M、L、XL |
フレーム | SmartForm C2 Alloy,142x12 thru-axle |
コンポーネント | シマノ SORA |
クランク | FSA Tempo Adventure, 46/30 |
タイヤ | WTB Nano, 700x40c, wire bead |
リム | CX 2.0, 28h |
ハブ | フォーミュラ RX-512 12x100 front, RX-142 12x142 rear |
税抜き価格 | 115,000円 |
提供:キャノンデール・ジャパン text&photo:So.Isobe