2019/05/09(木) - 23:39
マリアローザ争いと並行してジロ・デ・イタリアを盛り上げるのが3賞ジャージ。レースに彩りを与えるマリアチクラミーノ(ポイント賞)、マリアアッズーラ(山岳賞)、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)の3賞のシステムと有力選手を紹介します。
マリアチクラミーノ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのがビッグスプリンターたちによる華々しい集団スプリント。最強スプリンターの証であるポイント賞ジャージは、2018年のスポンサー変更に伴って真っ赤なマリアロッサからシクラメン色のマリアチクラミーノに戻された。引き続きセガフレード社がジャージスポンサーについている。
伝統的にジロではステージの種類に関わらず一律のポイントが与えられてきたため、総合狙いの選手たちがポイント賞のトップに輝くパターンが多く発生してきた。2009年から2012年までのポイント賞受賞者はいずれも総合上位に絡むようなオールラウンダー&クライマーたち。しかし2014年にポイントシステムに変更が加えられ、平坦ステージでより多くのポイントを稼ぐことができる配分になり、ずばりスプリンター向きの賞になったと言っていい。
例えば平坦ステージで優勝すれば50ポイント獲得だが、超級山岳ステージやタイムトライアルで勝利しても15ポイントしか獲得できない。なお、ポイントが与えられるのは毎ステージ(個人TTを除く)登場する2つのスプリントポイントのうち1つ目のみ。2つ目のスプリントポイントではボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)だけが与えられる。ポイント配分は以下の通り。
フィニッシュ ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
50pts, 35pts, 25pts, 18pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
25pts, 18pts, 12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳/TT:第1,6,9,14,15,16,18,19,20ステージ):
15pts, 12pts, 9pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
スプリントポイント(2つあるうちの1つ目)ポイント配分
12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
マリアチクラミーノ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)。最終的なポイント賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約124万円)が与えられる。
2年連続でマリアチクラミーノ獲得を目指すのはイタリアチャンピオンジャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)。今シーズン4勝を飾っているヴィヴィアーニはファビオ・サバティーニ(イタリア)のリードアウトを受けてステージ優勝量産を目指す。多くのスプリンターが前半でレースを去ることも予想されるが、ヴィヴィアーニは地元ヴェネト州での最終ステージまで人一倍走り切りたいと願っているはずだ。
ヴィヴィアーニの元チームメイトで、2017年にステージ4勝を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)は今シーズン3勝。明確な総合リーダーのいないチームはガビリアのステージ優勝を全力で狙ってくるはず。シモーネ・コンソンニ(イタリア)やフアン・モラノ(コロンビア)がガビリアのためにリードアウトトレインを組むことになりそうだ。
直前のエシュボルン・フランクフルトで優勝したドイツチャンピオンのパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は初出場のグランツールで成績を残せるだろうか。発射台役リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)との連携に注目。他にもロジャー・クルーゲ(ドイツ)のリードアウトを受けるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)や、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)に発射されるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がスプリントで主導権を握るだろう。
地元イタリア勢としてはヴィヴィアーニの他にもジャコモ・ニッツォーロ(ディメンションデータ)やサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト)、ヤコブ・マレツコ(CCCチーム)、ダヴィデ・チモライ(イスラエルサイクリングアカデミー)が揃う。NIPPOヴィーニファンティーニはフアンホセ・ロバト(スペイン)とマルコ・カノラ(イタリア)のコンビで強豪チームに挑む。
歴代ポイント賞受賞者
2018年 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)
2017年 フェルナンド・ガビリア(コロンビア)
2016年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2015年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2014年 ナセル・ブアニ(フランス)
2013年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2012年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いと言われるジロ・デ・イタリア。それだけにジロの山岳賞ジャージには大きな価値がある。かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更された。「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴するジャージの名称はマリアアッズーラ(青色ジャージ)。引き続きバンカ・メディオラヌムがスポンサーにつく。
登場するカテゴリー山岳は、チーマコッピ(大会最高地点のフィネストレ峠)、1級山岳、2級山岳、3級山岳、4級山岳の5種類。当然のことながら難易度の高いカテゴリー山岳に高ポイントが与えられており、仮に連日逃げて4級山岳を11回先頭通過しても、1回の1級山岳通過でひっくり返る計算だ。なお、ツール・ド・フランスとは異なり、山頂フィニッシュのポイント2倍システムは無い。
山岳賞 ポイント配分
チーマコッピ:45pts, 30pts, 20pts, 14pts, 10pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
1級山岳:40pts, 18pts, 12pts, 9pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳:18pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
3級山岳:9pts, 4pts, 2pts, 1pt
4級山岳:3pts, 2pts, 1pt
マリアアッズーラ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)。最終的な山岳賞の賞金5,000ユーロ(約62万円)はマリアチクラミーノやマリアビアンカの半額だ。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースのために走ることを強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため予想が難しい賞だ。
2018年はジュリオ・チッコーネ(イタリア、当時バルディアーニCSF)が最後まで山岳賞を狙って動いたものの、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)に17ポイント届かなかった。トレック・セガフレードに移籍した今シーズンはバウケ・モレマ(オランダ)の山岳アシストを担うため自由な動きが難しいが、チャンスがあればマリアアッズーラを狙ってくるだろう。
歴代山岳賞受賞者
2018年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2017年 ミケル・ランダ(スペイン)
2016年 ミケル・ニエベ(スペイン)
2015年 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)
2014年 ジュリアン・アレドンド(コロンビア)
2013年 ステファノ・ピラッツィ(イタリア)
2012年 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア)
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
若手選手を対象としたヤングライダー賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。対象となるのは誕生日が1994年1月1日以降の選手で、具体的には今大会176名の選手のうち50名が対象となる。ディスカウント系スーパーマーケットのユーロスピンがスポンサーを務める。マリアビアンカ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)で、最終的なヤングライダー賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約124万円)が与えられる。
1年前にマリアビアンカを獲得した25歳のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は今年も最有力候補。アスタナのエースを務めるロペスは、マリアローザを狙ううちにマリアビアンカを着ることになるだろう。
ユンボ・ヴィズマの23歳ローレンス・デプルス(ベルギー)の他、サンウェブの23歳ロバート・パワー(オーストラリア)、23歳サム・オーメン(オランダ)、23歳クリス・ハミルトン(オーストラリア)らは高い総合力を有する若手だが、それぞれ総合エース(ログリッチェとデュムラン)のアシストが至上命題のため自由な動きが許されない。
24歳タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)、22歳エディ・ダンバー(アイルランド)、22歳ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)、21歳パヴェル・シヴァコフ(ロシア)、21歳イバン・ソーサ(コロンビア)という若いオールラウンダー勢揃いチームイネオスは最初からマリアビアンカを狙ってくるかもしれない。まだグランツールの経験は浅いが、直前のツアー・オブ・アルプスでシヴァコフとゲオゲガンハートがヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を退けて総合ワンツーを飾ったように、若い力がジロで爆発する可能性も。
23歳ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)や22歳ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)といった若手オールラウンダーの他、24歳の西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)もマリアビアンカ対象選手だ。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2018年 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)
2017年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2016年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2015年 ファビオ・アル(イタリア)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)
2012年 リゴベルト・ウラン(コロンビア)
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポート(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ未設定
その他の特別賞
ステージ成績、総合成績、ポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞の他にも、ジロには中間スプリント賞(ステージ&総合)、10名以下のグループで5km以上逃げた距離で争われる逃げ賞(ステージ&総合)、ステージ成績と中間スプリントと山岳ポイントの合計で争われる敢闘賞(ステージ&総合)、チーム総合成績で争われるスーパーチーム賞、警告や罰金など処分の少ないチームを対象にしたフェアプレー賞が設定されている。
text:Kei Tsuji in Bologna, Italy
マリアチクラミーノ ポイント賞
ステージレースに花を添えるのがビッグスプリンターたちによる華々しい集団スプリント。最強スプリンターの証であるポイント賞ジャージは、2018年のスポンサー変更に伴って真っ赤なマリアロッサからシクラメン色のマリアチクラミーノに戻された。引き続きセガフレード社がジャージスポンサーについている。
伝統的にジロではステージの種類に関わらず一律のポイントが与えられてきたため、総合狙いの選手たちがポイント賞のトップに輝くパターンが多く発生してきた。2009年から2012年までのポイント賞受賞者はいずれも総合上位に絡むようなオールラウンダー&クライマーたち。しかし2014年にポイントシステムに変更が加えられ、平坦ステージでより多くのポイントを稼ぐことができる配分になり、ずばりスプリンター向きの賞になったと言っていい。
例えば平坦ステージで優勝すれば50ポイント獲得だが、超級山岳ステージやタイムトライアルで勝利しても15ポイントしか獲得できない。なお、ポイントが与えられるのは毎ステージ(個人TTを除く)登場する2つのスプリントポイントのうち1つ目のみ。2つ目のスプリントポイントではボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)だけが与えられる。ポイント配分は以下の通り。
フィニッシュ ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2,3,7,12,13,17,21ステージ):
50pts, 35pts, 25pts, 18pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4,5,8,10,11ステージ):
25pts, 18pts, 12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳/TT:第1,6,9,14,15,16,18,19,20ステージ):
15pts, 12pts, 9pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
スプリントポイント(2つあるうちの1つ目)ポイント配分
12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
マリアチクラミーノ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)。最終的なポイント賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約124万円)が与えられる。
2年連続でマリアチクラミーノ獲得を目指すのはイタリアチャンピオンジャージを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)。今シーズン4勝を飾っているヴィヴィアーニはファビオ・サバティーニ(イタリア)のリードアウトを受けてステージ優勝量産を目指す。多くのスプリンターが前半でレースを去ることも予想されるが、ヴィヴィアーニは地元ヴェネト州での最終ステージまで人一倍走り切りたいと願っているはずだ。
ヴィヴィアーニの元チームメイトで、2017年にステージ4勝を飾ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)は今シーズン3勝。明確な総合リーダーのいないチームはガビリアのステージ優勝を全力で狙ってくるはず。シモーネ・コンソンニ(イタリア)やフアン・モラノ(コロンビア)がガビリアのためにリードアウトトレインを組むことになりそうだ。
直前のエシュボルン・フランクフルトで優勝したドイツチャンピオンのパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は初出場のグランツールで成績を残せるだろうか。発射台役リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ)との連携に注目。他にもロジャー・クルーゲ(ドイツ)のリードアウトを受けるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)や、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)に発射されるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がスプリントで主導権を握るだろう。
地元イタリア勢としてはヴィヴィアーニの他にもジャコモ・ニッツォーロ(ディメンションデータ)やサーシャ・モードロ(EFエデュケーションファースト)、ヤコブ・マレツコ(CCCチーム)、ダヴィデ・チモライ(イスラエルサイクリングアカデミー)が揃う。NIPPOヴィーニファンティーニはフアンホセ・ロバト(スペイン)とマルコ・カノラ(イタリア)のコンビで強豪チームに挑む。
歴代ポイント賞受賞者
2018年 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)
2017年 フェルナンド・ガビリア(コロンビア)
2016年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2015年 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
2014年 ナセル・ブアニ(フランス)
2013年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2012年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)
マリアアッズーラ 山岳賞
グランツールの中で最も山岳の難易度が高いと言われるジロ・デ・イタリア。それだけにジロの山岳賞ジャージには大きな価値がある。かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更された。「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴するジャージの名称はマリアアッズーラ(青色ジャージ)。引き続きバンカ・メディオラヌムがスポンサーにつく。
登場するカテゴリー山岳は、チーマコッピ(大会最高地点のフィネストレ峠)、1級山岳、2級山岳、3級山岳、4級山岳の5種類。当然のことながら難易度の高いカテゴリー山岳に高ポイントが与えられており、仮に連日逃げて4級山岳を11回先頭通過しても、1回の1級山岳通過でひっくり返る計算だ。なお、ツール・ド・フランスとは異なり、山頂フィニッシュのポイント2倍システムは無い。
山岳賞 ポイント配分
チーマコッピ:45pts, 30pts, 20pts, 14pts, 10pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
1級山岳:40pts, 18pts, 12pts, 9pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳:18pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
3級山岳:9pts, 4pts, 2pts, 1pt
4級山岳:3pts, 2pts, 1pt
マリアアッズーラ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)。最終的な山岳賞の賞金5,000ユーロ(約62万円)はマリアチクラミーノやマリアビアンカの半額だ。
高い登坂力をもつ選手は必然的に総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちがアシストとしてエースのために走ることを強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。総合順位を落としたマリアローザ候補たちが山岳賞に目標をスイッチすることもあるため予想が難しい賞だ。
2018年はジュリオ・チッコーネ(イタリア、当時バルディアーニCSF)が最後まで山岳賞を狙って動いたものの、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)に17ポイント届かなかった。トレック・セガフレードに移籍した今シーズンはバウケ・モレマ(オランダ)の山岳アシストを担うため自由な動きが難しいが、チャンスがあればマリアアッズーラを狙ってくるだろう。
歴代山岳賞受賞者
2018年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2017年 ミケル・ランダ(スペイン)
2016年 ミケル・ニエベ(スペイン)
2015年 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)
2014年 ジュリアン・アレドンド(コロンビア)
2013年 ステファノ・ピラッツィ(イタリア)
2012年 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア)
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
若手選手を対象としたヤングライダー賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。対象となるのは誕生日が1994年1月1日以降の選手で、具体的には今大会176名の選手のうち50名が対象となる。ディスカウント系スーパーマーケットのユーロスピンがスポンサーを務める。マリアビアンカ着用は1日につき750ユーロ(約93000円)で、最終的なヤングライダー賞獲得者には賞金10,000ユーロ(約124万円)が与えられる。
1年前にマリアビアンカを獲得した25歳のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は今年も最有力候補。アスタナのエースを務めるロペスは、マリアローザを狙ううちにマリアビアンカを着ることになるだろう。
ユンボ・ヴィズマの23歳ローレンス・デプルス(ベルギー)の他、サンウェブの23歳ロバート・パワー(オーストラリア)、23歳サム・オーメン(オランダ)、23歳クリス・ハミルトン(オーストラリア)らは高い総合力を有する若手だが、それぞれ総合エース(ログリッチェとデュムラン)のアシストが至上命題のため自由な動きが許されない。
24歳タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)、22歳エディ・ダンバー(アイルランド)、22歳ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)、21歳パヴェル・シヴァコフ(ロシア)、21歳イバン・ソーサ(コロンビア)という若いオールラウンダー勢揃いチームイネオスは最初からマリアビアンカを狙ってくるかもしれない。まだグランツールの経験は浅いが、直前のツアー・オブ・アルプスでシヴァコフとゲオゲガンハートがヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を退けて総合ワンツーを飾ったように、若い力がジロで爆発する可能性も。
23歳ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)や22歳ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)といった若手オールラウンダーの他、24歳の西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)もマリアビアンカ対象選手だ。
歴代ヤングライダー賞受賞者
2018年 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)
2017年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2016年 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
2015年 ファビオ・アル(イタリア)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)
2012年 リゴベルト・ウラン(コロンビア)
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポート(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ未設定
その他の特別賞
ステージ成績、総合成績、ポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞の他にも、ジロには中間スプリント賞(ステージ&総合)、10名以下のグループで5km以上逃げた距離で争われる逃げ賞(ステージ&総合)、ステージ成績と中間スプリントと山岳ポイントの合計で争われる敢闘賞(ステージ&総合)、チーム総合成績で争われるスーパーチーム賞、警告や罰金など処分の少ないチームを対象にしたフェアプレー賞が設定されている。
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