2019/03/15(金) - 10:03
パリ〜ニースの総合争いに大きく響く第5ステージ個人タイムトライアルで、ブエルタ覇者サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が自身初のTT勝利をマーク。3位に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が総合リードを広げた。
トップタイムを叩き出したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
パリ〜ニース2019第5ステージ photo:A.S.O.バルバンターヌを発着する25.5km。ぐるっと一周するコースの中盤にはサン・ミシェル・ド・フリゴレ修道院の登り(全長2.5km/平均勾配3%)が組み込まれているが、獲得標高差が150mに満たないコースは平坦基調であると言える。
すでに総合争いで大きく遅れていたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が、この平均スピードが50km/hを超える『時間との戦い』で気を吐いた。イギリス・イングランドのマンチェスターに近いバリー生まれの2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝者は25.5kmコースで30分26秒のトップタイムを更新。その後、徐々に強まる風に後半スタートの選手が苦しめられたこともあり、Sイェーツが最後までトップタイムをキープした。
「この勝利は予想していなかった。大きな登りのないコースは自分向きではなかったけど、確かに調子は良かったし、全力を出し切ってみたんだ」。自身も驚く個人タイムトライアル勝利を果たしたSイェーツは語る。
Sイェーツは第2ステージで6分44秒ものタイムロスを被って総合争いから脱落。第4ステージを終えた時点で18分28秒遅れの総合70位に沈んでいた。「序盤ステージの横風で大きく総合タイムを失っていただけに、今日の勝利はとても嬉しい。ジュニア時代から数えても、個人タイムトライアルで勝利するのは初めて。ただ単に序盤ステージの風で総合争いから脱落しただけであり、調子はとても良い。週末の戦いが楽しみだ」と語る。
この日のステージ優勝でSイェーツは総合順位を少し上げたものの、それでも18分以上遅れた状態であり、逃げが容認されやすい『総合に関係のない選手』のまま。この先も総合8位ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)をアシストすることになるが、チャンスがあればステージ優勝を狙って山岳で動いてくるだろう。
ステージ2位に入ったニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が公開しているSTRAVAログを見ると、体重80kgのポリッツは30分33秒のレース中に平均448Wを出力している。終盤の平坦区間の平均スピードは56km/hに達した。
サン・ミシェル・ド・フリゴレ修道院の登り(全長2.5km/平均勾配3%)をこなす photo:A.S.O.
中盤スタートのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がトップタイム photo:CorVos
ステージ4位に入ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) photo:A.S.O.
ステージ11位に入ったボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:A.S.O.
総合上位陣の中で安定した走りを見せたのがチームスカイだった。リーダージャージを着る最終走者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がステージ3位に入り、さらにヤングライダー賞のエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がステージ6位に。総合ワンツー体制で週末の2連続山岳ステージに挑むことになった。
「今日はステージ優勝が目標ではなく、イエロージャージを守るために走った。その結果、リーダーの座を守ることができたし、総合リード拡大に成功したのでとても満足している。チームスカイはポールポジションにつけているけど、決して気をぬくことなく週末の山岳の戦いに挑みたい」。クウィアトコウスキーは直近のライバルである総合3位ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)から24秒のリードを得ている。
ステージ3位に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
ステージ6位に入ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) photo:CorVos
総合4位に順位を上げたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos
「チームスカイにとって良い1日だった。もっとタイムを失うと思っていただけに、個人的にも良い走りだったと思う」と語るのは第2エースのベルナル。ジロ・デ・イタリアでエースを担う予定の22歳は「チームスカイは個人タイムトライアルを終えてもなお2枚のカードを持っている状態。クウィアトコウスキーは状態がすこぶる良くて、登りもこなせている。状況によって変化するかもしれないけど、あくまでも彼がチームリーダーであり、彼をサポートする戦力が揃っている。総合優勝が最優先事項であり、無理にステージ優勝を狙うことはしないよ」と、クウィアトコウスキーをバックアップすると宣言した。
チームスカイの他にもこの日はEFエデュケーションファーストの走りが目立った。ステージ4位に入ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)をはじめ、トップ10に4名を送り込むことに成功している。
自身初の個人タイムトライアル勝利を飾ったサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
総合リード拡大に成功したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
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すでに総合争いで大きく遅れていたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が、この平均スピードが50km/hを超える『時間との戦い』で気を吐いた。イギリス・イングランドのマンチェスターに近いバリー生まれの2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝者は25.5kmコースで30分26秒のトップタイムを更新。その後、徐々に強まる風に後半スタートの選手が苦しめられたこともあり、Sイェーツが最後までトップタイムをキープした。
「この勝利は予想していなかった。大きな登りのないコースは自分向きではなかったけど、確かに調子は良かったし、全力を出し切ってみたんだ」。自身も驚く個人タイムトライアル勝利を果たしたSイェーツは語る。
Sイェーツは第2ステージで6分44秒ものタイムロスを被って総合争いから脱落。第4ステージを終えた時点で18分28秒遅れの総合70位に沈んでいた。「序盤ステージの横風で大きく総合タイムを失っていただけに、今日の勝利はとても嬉しい。ジュニア時代から数えても、個人タイムトライアルで勝利するのは初めて。ただ単に序盤ステージの風で総合争いから脱落しただけであり、調子はとても良い。週末の戦いが楽しみだ」と語る。
この日のステージ優勝でSイェーツは総合順位を少し上げたものの、それでも18分以上遅れた状態であり、逃げが容認されやすい『総合に関係のない選手』のまま。この先も総合8位ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)をアシストすることになるが、チャンスがあればステージ優勝を狙って山岳で動いてくるだろう。
ステージ2位に入ったニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が公開しているSTRAVAログを見ると、体重80kgのポリッツは30分33秒のレース中に平均448Wを出力している。終盤の平坦区間の平均スピードは56km/hに達した。
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総合上位陣の中で安定した走りを見せたのがチームスカイだった。リーダージャージを着る最終走者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がステージ3位に入り、さらにヤングライダー賞のエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がステージ6位に。総合ワンツー体制で週末の2連続山岳ステージに挑むことになった。
「今日はステージ優勝が目標ではなく、イエロージャージを守るために走った。その結果、リーダーの座を守ることができたし、総合リード拡大に成功したのでとても満足している。チームスカイはポールポジションにつけているけど、決して気をぬくことなく週末の山岳の戦いに挑みたい」。クウィアトコウスキーは直近のライバルである総合3位ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)から24秒のリードを得ている。
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「チームスカイにとって良い1日だった。もっとタイムを失うと思っていただけに、個人的にも良い走りだったと思う」と語るのは第2エースのベルナル。ジロ・デ・イタリアでエースを担う予定の22歳は「チームスカイは個人タイムトライアルを終えてもなお2枚のカードを持っている状態。クウィアトコウスキーは状態がすこぶる良くて、登りもこなせている。状況によって変化するかもしれないけど、あくまでも彼がチームリーダーであり、彼をサポートする戦力が揃っている。総合優勝が最優先事項であり、無理にステージ優勝を狙うことはしないよ」と、クウィアトコウスキーをバックアップすると宣言した。
チームスカイの他にもこの日はEFエデュケーションファーストの走りが目立った。ステージ4位に入ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)をはじめ、トップ10に4名を送り込むことに成功している。
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パリ〜ニース2019第5ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:30:26 |
2位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:07 |
3位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:11 |
4位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:15 |
5位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | |
7位 | ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト) | |
8位 | トーマス・スクーリー(ニュージーランド、EFエデュケーションファースト) | 0:00:27 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:00:30 |
10位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 17:23:04 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:15 |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:24 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:57 |
5位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:01:01 |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:05 |
8位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:15 |
9位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:18 |
10位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:21 |
ポイント賞
1位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 32pts |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 30pts |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 24pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 27pts |
2位 | ダミアン・ゴダン(フランス、ディレクトエネルジー) | 21pts |
3位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム) | 20pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 17:23:19 |
2位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:08 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:07:47 |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 52:11:08 |
2位 | チームスカイ | 0:00:51 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:03:14 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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