2010/04/05(月) - 19:51
2010年4月5日から10日までの6日間、スペイン北部のバスク地方を舞台に、第50回ブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIプロツアー)が開催される。バルベルデ(ケースデパーニュ)やサンチェス(エウスカルテル)、シュレク兄弟(サクソバンク)、ウィギンズ(チームスカイ)らが、起伏に富んだ山岳コースで総合バトルを繰り広げる。
バスクの山岳を舞台にした6日間の闘い
ベルギーやフランスで「北のクラシック」が盛り上がりを見せる中、スペイン北部、バスク州でプロツアー第5戦ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開催される。1924年に第1回大会が開催され、1936年に中断。1969年に再開され、今年で開催50回目を迎える。
17あるスペインの自治州の中でも、伝統的に多くのロードレーサー、特にクライマーを輩出するバスク州。今年のパイスバスコも、山がちな地形を利用した山岳コースが多く設定された。地形の関係上、フラットなコースを設定するのはほぼ不可能なのだ。
毎ステージ最低4つのカテゴリー山岳が登場(最終個人TTを除く)する。頂上ゴールもなければ、標高が1500mを超えるような難関山岳も登場しない。しかしクライマーに有利なのは目に見えて明らかだ。
序盤は(カテゴリー山岳が多く設定されているとは言え)比較的難易度の低いステージが続く。第1・2・3ステージはいずれもゴール手前20km以内に最後のカテゴリー山岳が設定されており、上りで絞られた小集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。
今大会最難関の第4ステージは、カテゴリー山岳が何と7つも設定された“上りと下りしかないような”160kmの山岳コース。カテゴリー2級と3級の山岳をこなしながら、ゴール35km手前で1級山岳イシュア峠、ゴール2km手前で1級山岳ウサルツァ峠をクリア。最後のウサルツァ峠ではクライマーたちが攻撃を繰り返すだろう。
ゴール前に2級山岳がダブルで登場する第5ステージを経て、最終第6ステージは22kmの個人タイムトライアル。高低差300mのコースは重厚なTTスペシャリスト向きとは言えない。山岳ステージでリードを広げたクライマーたちが、総合成績を懸けて「時間との闘い」に挑む。最終日に総合逆転が起こる可能性も高い。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2010日程
4月5日(月)第1ステージ シエルベナ〜シエルベナ 152km
4月6日(火)第2ステージ シエルベナ〜ビアナ 217km
4月7日(水)第3ステージ ビアナ〜アムリオ 187km
4月8日(木)第4ステージ ムルグイア・スイア〜エイバル 160km
4月9日(金)第5ステージ エイバル〜オリオ 170km
4月10日(土)第6ステージ オリオ〜オリオ 22km(個人TT)
アルデンヌを見据えるクラシックハンターが集結
現在ベルギーやフランスで開催されている「北のクラシック」が一段落すると、オランダやベルギーを舞台に「アルデンヌ・クラシック」のシーズンが始まる。
アルデンヌの特徴は起伏に富んだコースレイアウトであり、グランツールで活躍するようなオールラウンダーも優勝候補に名前が挙がる。このパイスバスコには、そんなアルデンヌ狙いのオールラウンダーたちが顔を揃えた。
昨年史上5人目の大会2連覇を達成したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は欠場。連覇の懸かったツール・ド・フランスに照準を合わす王者を欠く中、総合優勝の最有力候補に挙げられているのはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)だ。
ドーピング嫌疑によってイタリア国内でのレース出場が禁止されるなど、相変わらずバルベルデの身辺は騒がしい。アルデンヌ・クラシックでの活躍を願うバルベルデは、このバスクレースでコンディションを上げて行きたい。ちなみに2006年大会でバルベルデは総合2位に入っている。
地元バスク地方を代表するエウスカルテル・エウスカディのエースを務めるのは、アストゥリアス州出身のサムエル・サンチェス(スペイン)だ。サンチェスはこれまで総合3位を3回経験しているが、まだ表彰台の真ん中に上ったことが無い。今年も地元バスクの声援を受け、総合優勝を狙って出場する。
開幕2日前に開催されたGPミゲール・インドゥラインでライバルたちを蹴散らして優勝したのは、カチューシャのエースナンバーをつけるホアキン・ロドリゲス(スペイン)。世界屈指の登坂力を誇るロドリゲスは、3月下旬に開催されたプロツアーレースのボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合優勝。間違いなく山岳ステージで上位に絡んでくる。苦手の個人タイムトライアルさえ克服すれば総合上位も狙えるだろう。
スペイン以外のアウトサイダーの中で注目を集めるのがアンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)。故障の影響でコンディション調整が遅れているシュレク兄弟はそろそろ結果を残しておきたい。特にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで連覇が懸かった弟アンディの調子は如何に。
近年グランツールで苦戦しているダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)にとって、山岳の難易度が比較的低いこのパイスバスコは総合を狙うチャンス。登坂力に秀でたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)やエセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)も総合上位に絡んでくるだろう。
逆に2000年大会の総合優勝者アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)や、昨年ツール総合4位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、2月のブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝したマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)らは、最終個人TTで巻き返しを図ってくる。グランツールでの走りが期待される選手たちだけに、山岳での走りにも注目だ。
平坦ステージが設定されていないため、出場スプリンターの数は少ない。ミラノ〜サンレモで優勝したオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)にとってステージ優勝を量産するチャンスだ。フレイレはただでさえ上りに強い選手。難易度の低い山岳コースでは、フレイレの独壇場になる可能性もある。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
バスクの山岳を舞台にした6日間の闘い
ベルギーやフランスで「北のクラシック」が盛り上がりを見せる中、スペイン北部、バスク州でプロツアー第5戦ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開催される。1924年に第1回大会が開催され、1936年に中断。1969年に再開され、今年で開催50回目を迎える。
17あるスペインの自治州の中でも、伝統的に多くのロードレーサー、特にクライマーを輩出するバスク州。今年のパイスバスコも、山がちな地形を利用した山岳コースが多く設定された。地形の関係上、フラットなコースを設定するのはほぼ不可能なのだ。
毎ステージ最低4つのカテゴリー山岳が登場(最終個人TTを除く)する。頂上ゴールもなければ、標高が1500mを超えるような難関山岳も登場しない。しかしクライマーに有利なのは目に見えて明らかだ。
序盤は(カテゴリー山岳が多く設定されているとは言え)比較的難易度の低いステージが続く。第1・2・3ステージはいずれもゴール手前20km以内に最後のカテゴリー山岳が設定されており、上りで絞られた小集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。
今大会最難関の第4ステージは、カテゴリー山岳が何と7つも設定された“上りと下りしかないような”160kmの山岳コース。カテゴリー2級と3級の山岳をこなしながら、ゴール35km手前で1級山岳イシュア峠、ゴール2km手前で1級山岳ウサルツァ峠をクリア。最後のウサルツァ峠ではクライマーたちが攻撃を繰り返すだろう。
ゴール前に2級山岳がダブルで登場する第5ステージを経て、最終第6ステージは22kmの個人タイムトライアル。高低差300mのコースは重厚なTTスペシャリスト向きとは言えない。山岳ステージでリードを広げたクライマーたちが、総合成績を懸けて「時間との闘い」に挑む。最終日に総合逆転が起こる可能性も高い。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2010日程
4月5日(月)第1ステージ シエルベナ〜シエルベナ 152km
4月6日(火)第2ステージ シエルベナ〜ビアナ 217km
4月7日(水)第3ステージ ビアナ〜アムリオ 187km
4月8日(木)第4ステージ ムルグイア・スイア〜エイバル 160km
4月9日(金)第5ステージ エイバル〜オリオ 170km
4月10日(土)第6ステージ オリオ〜オリオ 22km(個人TT)
アルデンヌを見据えるクラシックハンターが集結
現在ベルギーやフランスで開催されている「北のクラシック」が一段落すると、オランダやベルギーを舞台に「アルデンヌ・クラシック」のシーズンが始まる。
アルデンヌの特徴は起伏に富んだコースレイアウトであり、グランツールで活躍するようなオールラウンダーも優勝候補に名前が挙がる。このパイスバスコには、そんなアルデンヌ狙いのオールラウンダーたちが顔を揃えた。
昨年史上5人目の大会2連覇を達成したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は欠場。連覇の懸かったツール・ド・フランスに照準を合わす王者を欠く中、総合優勝の最有力候補に挙げられているのはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)だ。
ドーピング嫌疑によってイタリア国内でのレース出場が禁止されるなど、相変わらずバルベルデの身辺は騒がしい。アルデンヌ・クラシックでの活躍を願うバルベルデは、このバスクレースでコンディションを上げて行きたい。ちなみに2006年大会でバルベルデは総合2位に入っている。
地元バスク地方を代表するエウスカルテル・エウスカディのエースを務めるのは、アストゥリアス州出身のサムエル・サンチェス(スペイン)だ。サンチェスはこれまで総合3位を3回経験しているが、まだ表彰台の真ん中に上ったことが無い。今年も地元バスクの声援を受け、総合優勝を狙って出場する。
開幕2日前に開催されたGPミゲール・インドゥラインでライバルたちを蹴散らして優勝したのは、カチューシャのエースナンバーをつけるホアキン・ロドリゲス(スペイン)。世界屈指の登坂力を誇るロドリゲスは、3月下旬に開催されたプロツアーレースのボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合優勝。間違いなく山岳ステージで上位に絡んでくる。苦手の個人タイムトライアルさえ克服すれば総合上位も狙えるだろう。
スペイン以外のアウトサイダーの中で注目を集めるのがアンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)。故障の影響でコンディション調整が遅れているシュレク兄弟はそろそろ結果を残しておきたい。特にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで連覇が懸かった弟アンディの調子は如何に。
近年グランツールで苦戦しているダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)にとって、山岳の難易度が比較的低いこのパイスバスコは総合を狙うチャンス。登坂力に秀でたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)やエセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)も総合上位に絡んでくるだろう。
逆に2000年大会の総合優勝者アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)や、昨年ツール総合4位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、2月のブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝したマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)らは、最終個人TTで巻き返しを図ってくる。グランツールでの走りが期待される選手たちだけに、山岳での走りにも注目だ。
平坦ステージが設定されていないため、出場スプリンターの数は少ない。ミラノ〜サンレモで優勝したオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)にとってステージ優勝を量産するチャンスだ。フレイレはただでさえ上りに強い選手。難易度の低い山岳コースでは、フレイレの独壇場になる可能性もある。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos