2019/03/10(日) - 12:14
3月10日から8日間にわたってフランスで第77回パリ〜ニース(UCIワールドツアー)が開催される。Sイェーツやバルデ、キンタナ、ロペス、ベルナルといったGTレーサーの他、デマール、カヴ、クリストフ、キッテル、グライペル、デゲンコルブ、トレンティンらトップスプリンターが出場する大会の注目ポイントを紹介します。
個人TTや山頂フィニッシュ登場 地中海を目指す「ミニ・ツール」
毎年3月上旬に開催されるパリ〜ニースは、ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催する8日間のステージレース。3日遅れてイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコとともに、春のヨーロッパを代表する中級ステージレースだ。
「パリからニースまで」という名前が示すように、レースはフランス北部のパリ近郊から地中海沿岸のニースまでひたすら南下する。まだまだ寒さの厳しいフランス内陸部をスタートし、比較的温暖な太陽を求めて地中海のコートダジュールに向かうその行程から「太陽に向かうレース(ラ・コルス・オ・ソレイユ)」とも呼ばれる。
8日間の日程の中に平坦ステージ、山岳ステージ、個人タイムトライアルが詰め込まれているため、まさに縮小版のツール・ド・フランス。第77回大会はパリ郊外のサンジェルマン=アン=レー(パリ・サンジェルマンFCの本拠地)で開幕する。パリ〜ニースに向かって徐々に南下する最初の3ステージに大きな登りは登場しない。同時期のティレーノ〜アドリアティコよりも豪華なスプリンター陣がこのパリ〜ニースに出場する理由は、リーダージャージ着用のチャンスもあるこの平坦3連戦にある。
中央山塊を走る第4ステージは終盤にかけてカテゴリー1級〜2級の山岳を4つこなす起伏に富んだレイアウトで、パンチャーを中心にした小集団によるスプリントで決するはず。ここでリーダージャージは移動すると見られるが、翌日の第5ステージ個人タイムトライアルで再び総合成績は変動することになるだろう。中盤にかけてサン・ミシェル・ド・フリゴレ修道院の登りをこなす25.5kmの『時間との戦い』で総合優勝候補は絞られていく。
パンチャーもしくは登れるスプリンター向き、はたまた逃げ切り向きの丘陵コースが設定された第6ステージを経て、いよいよ総合争いは第7ステージでクライマックスを迎える。終着地ニースをスタートしてからコートダジュールの山岳地帯へと入っていき、フィニッシュまでに実に6つのカテゴリー山岳をこなす。残り21km地点で通過する1級山岳ペラスク峠(全長5.7km/平均勾配6.2%)で人数を減らした集団が、最後の1級山岳テュリニ峠(全長14.9km/平均勾配7.3%)にアタック。過去に3回ツールに登場したことのある(パリ〜ニース初登場)標高1,607mの頂上にフィニッシュラインが引かれている。
最終日は恒例のニースを発着するジェットコースターのような山岳ステージで、後半に1級山岳ペイユ峠(全長6.6km/平均勾配6.8%)と1級山岳エズ峠(全長1.6km/平均勾配8.1%)を立て続けにクリアする。そこからさらに2級山岳キャトルシャマン峠(全長5.5km/平均勾配5.5%)を越えてニースの海岸通「英国人の散歩道」にフィニッシュするコースは、距離110kmと短めだが獲得標高差は2,300m。過去に何度も最終日の総合逆転を演出してきたコースであり、登りだけでなく下りの走りも勝負に大きく響く。
個人TTや山頂フィニッシュ登場 地中海を目指す「ミニ・ツール」
毎年3月上旬に開催されるパリ〜ニースは、ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催する8日間のステージレース。3日遅れてイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコとともに、春のヨーロッパを代表する中級ステージレースだ。
「パリからニースまで」という名前が示すように、レースはフランス北部のパリ近郊から地中海沿岸のニースまでひたすら南下する。まだまだ寒さの厳しいフランス内陸部をスタートし、比較的温暖な太陽を求めて地中海のコートダジュールに向かうその行程から「太陽に向かうレース(ラ・コルス・オ・ソレイユ)」とも呼ばれる。
8日間の日程の中に平坦ステージ、山岳ステージ、個人タイムトライアルが詰め込まれているため、まさに縮小版のツール・ド・フランス。第77回大会はパリ郊外のサンジェルマン=アン=レー(パリ・サンジェルマンFCの本拠地)で開幕する。パリ〜ニースに向かって徐々に南下する最初の3ステージに大きな登りは登場しない。同時期のティレーノ〜アドリアティコよりも豪華なスプリンター陣がこのパリ〜ニースに出場する理由は、リーダージャージ着用のチャンスもあるこの平坦3連戦にある。
中央山塊を走る第4ステージは終盤にかけてカテゴリー1級〜2級の山岳を4つこなす起伏に富んだレイアウトで、パンチャーを中心にした小集団によるスプリントで決するはず。ここでリーダージャージは移動すると見られるが、翌日の第5ステージ個人タイムトライアルで再び総合成績は変動することになるだろう。中盤にかけてサン・ミシェル・ド・フリゴレ修道院の登りをこなす25.5kmの『時間との戦い』で総合優勝候補は絞られていく。
パンチャーもしくは登れるスプリンター向き、はたまた逃げ切り向きの丘陵コースが設定された第6ステージを経て、いよいよ総合争いは第7ステージでクライマックスを迎える。終着地ニースをスタートしてからコートダジュールの山岳地帯へと入っていき、フィニッシュまでに実に6つのカテゴリー山岳をこなす。残り21km地点で通過する1級山岳ペラスク峠(全長5.7km/平均勾配6.2%)で人数を減らした集団が、最後の1級山岳テュリニ峠(全長14.9km/平均勾配7.3%)にアタック。過去に3回ツールに登場したことのある(パリ〜ニース初登場)標高1,607mの頂上にフィニッシュラインが引かれている。
最終日は恒例のニースを発着するジェットコースターのような山岳ステージで、後半に1級山岳ペイユ峠(全長6.6km/平均勾配6.8%)と1級山岳エズ峠(全長1.6km/平均勾配8.1%)を立て続けにクリアする。そこからさらに2級山岳キャトルシャマン峠(全長5.5km/平均勾配5.5%)を越えてニースの海岸通「英国人の散歩道」にフィニッシュするコースは、距離110kmと短めだが獲得標高差は2,300m。過去に何度も最終日の総合逆転を演出してきたコースであり、登りだけでなく下りの走りも勝負に大きく響く。
パリ〜ニース2019ステージリスト
3月10日(日) | 第1ステージ | サンジェルマン=アン=レー ~ サンジェルマン=アン=レー | 138.5km |
3月11日(月) | 第2ステージ | レ・ブレヴィアール ~ ベルガルド | 163.5km |
3月12日(火) | 第3ステージ | セッポワ ~ ムーラン/イェウール | 200km |
3月13日(水) | 第4ステージ | ビシー ~ ペリュサン | 210.5km |
3月14日(木) | 第5ステージ | バルバンターヌ ~ バルバンターヌ | 25.5km(ITT) |
3月15日(金) | 第6ステージ | ペニエ ~ ブリニョール | 176.5km |
3月16日(土) | 第7ステージ | ニース ~ コル・ド・テュリニ | 181.5km |
3月17日(日) | 第8ステージ | ニース ~ ニース | 110km |
グランツール並の豪華なオールラウンダーとスプリンターが集結
2018年大会の最終ステージで逃げに乗り、リーダージャージを着るサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)を振り切って逆転総合優勝を飾った25歳マルク・ソレル(スペイン、モビスター)がゼッケン1を付けての出場。今大会ではチームリーダーのナイロ・キンタナ(コロンビア)のアシストを勤めることになる。
キンタナだけでなく今大会には多くのコロンビアンオールラウンダーが出場する。2月のツアー・コロンビアで総合優勝を飾ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は、照準を合わせるジロ・デ・イタリアの2ヶ月前のタイミングでどんな走りを見せるのか。今シーズン最多勝の好調カザフスタンチームはサポート役にイサギレ兄弟(スペイン)を送り込む。
もう一人のマリアローザ候補エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)はパリ〜ニース初出場。TTもこなせる2018年のツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝者は、大会最年少の21歳イバン・ソーサ(コロンビア)や2015年大会で総合2位に入っているミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)らのサポートを受ける。なお、チームスカイのメンバーの平均年齢は24歳で、23チームの中でダントツで若い(逆にディメンションデータ、ロット・スーダル、UAEチームエミレーツ、CCCチームは平均年齢31歳)。
他にも、ファビオ・アル(イタリア)とタッグを組む2017年の総合優勝者セルジオルイス・エナオ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)ら、コロンビアを代表する選手がこぞってパリ〜ニースに出場。ウランをアシストするダニエル・マルティネス(コロンビア)はベルナルやソーサと同年代の若手有力株だ。EFエデュケーションファーストからはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)も出場する。
エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)のチームメイトであるSイェーツは前年のリベンジを狙っての出場。ジロで再びマリアローザを狙うSイェーツは2月のブエルタ・ア・アンダルシアでアシスト役をこなしながらもステージ1勝し、山岳賞を獲得して好調ぶりをアピールしている。
地元フランスの期待を背負うのはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)で、他にもジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)という錚々たる顔ぶれがスタートラインに並ぶ。
総合争いと同様に、平坦ステージでのスプリント争いもハイレベル。1年前に開幕スプリントを制したアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)とブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ)が豪華な海外勢を迎え撃つ。
今シーズンすでに勝利を収めているサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、ディレクトエネルジー)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)の他、ベテランのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)も揃う。
マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)ら、ジャーマンスプリンターの層も厚い。
ピュアスプリンターが勝負に残れない丘陵ステージではマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)らに出番が回ってくる。これらの選手はクラシックシーズンに向けた最終調整としてパリ〜ニースで結果を出しておきたいところだ。
text:Kei Tsuji
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