2019/03/10(日) - 08:38
2019年のUCIウィメンズワールドツアー初戦ストラーデビアンケが未舗装区間を含む難コースで開催。アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が独走勝利し、與那嶺恵理(アレ・チポリーニ)が13位でフィニッシュした。
女子レース 砂埃を巻き上げて走るプロトン photo:RCS Sport
ストラーデビアンケ2019女子レース コースマップ photo:RCS Sport
ストラーデビアンケ2019女子レース 高低図 photo:RCS Sport
同じくUCIワールドツアーレースに登録された男子レースに先立って、同日午前にスタートしたUCIウィメンズワールドツアー初戦のストラーデビアンケ女子レース。イタリア中部トスカーナ州のシエナ近郊に広がる丘陵地帯が舞台で、レース名が『白い道』を意味する通り、日本で言うところの砂利道に近い踏み固められた未舗装路を走る。
男子レースのコースを部分的にカットした136kmコースには8カ所のセクター(未舗装区間)が設定されており、その全長は31.6kmにおよぶ。丘陵地帯のアップダウンが断続的に続くため、獲得標高差は2,100mに達する。
レースは序盤からアタックが続発したものの、タイム差が1分に広がるような逃げは生まれない。集団は概ね一つのまま、パンクや落車や中切れによって人数を減らしながら『クレーテセネージ(シエナ近郊の丘陵)』を進んでいく。フィニッシュまで40kmを残してジップ・ファンデンボス(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)やエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)を含む強力なメンバーが先行を始めると、全日本チャンピオンの與那嶺恵理(アレ・チポリーニ)がここに乗った。
女子レース トスカーナの丘陵地帯を走る photo:RCS Sport
しかしこのビッグチームのメンバーを含む逃げグループの先行も決まらずに集団は再び一つに。すると最後から2つ目の、最大勾配15%に達するセクター7でレースは大きな展開を見せる。前年度の覇者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)やカシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)といった有力どころが先行を開始。11名の精鋭グループが形成されると、最大勾配18%のセクター8でアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が飛び出した。
食らいつく前世界チャンピオンのシャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)を振り切って独走に持ち込んだファンフルーテンが、残り10km地点で追走グループから35秒のリードを築く。タイム差は縮まることもなく広がることもなく推移し、ファンフルーテンが丘の上の街シエナに向かう最後の石畳坂を駆け上がった。
最終的に後続に37秒差をつけてファンフルーテンがフィニッシュ。2位にはMTBクロスカントリーとMTBマラソンで合計6回世界チャンピオンに輝き、今シーズンからロードレースに転向した34歳のアニカ・ラングヴァド(デンマーク、ブールスドルマンスサイクリング)が入り、このストラーデビアンケで3年連続2位を経験していたカシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が40秒差の3位に入った。
女子レース 独走でフィニッシュしたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) photo:RCS Sport
「これは自分のキャリアの中でトップ5に入るほど美しい勝利。過酷なレースの最後にカンポ広場にフィニッシュするのは格別だった」と、開催5回目を迎えるストラーデビアンケで初勝利を飾った世界TTチャンピオンは語る。
2018年9月のロード世界選手権で落車して膝を骨折(7位フィニッシュ)し、その影響でオフシーズンのトレーニングを思うようにこなせていなかったと言うファンフルーテン。「昨年の膝の骨折以降、トップレベルまで戻すにはもっと時間がかかると思っていたけど、予想より早く回復したので急遽オンループ・ヘットニュースブラッドとこのストラーデビアンケに出場することが決定。この勝利は春のクラシックシーズンに向けて大きな自信を与えてくれる。次の目標はアルデンヌクラシックとジロ・デ・イタリア」と、自信と調子を取り戻した様子だ。
女子レース 並んでフィニッシュしたソラヤ・パラディン(イタリア、アレ・チポリーニ)と與那嶺恵理(アレ・チポリーニ) photo:CorVos
一時は終盤の逃げグループに入って先頭でレースを展開した與那嶺は、セクター7で形成された精鋭グループに入ることができなかった。與那嶺は「チームのエースはソラヤ・パラディンで、アタックに反応しながら彼女をサポートする役目でした。セクター7でエースが落車してしまって、前で展開して待つ作戦だったんですが、脚が終わってしまって11人が先行したところに乗れなかった。あと少しだったんですが、自分が最後に千切れた一人でした」と悔しさをにじませながら振り返る。
最終的に與那嶺はエースのパラディンを引き連れる形で13位フィニッシュ。12位に入った前週のオンループ・ファン・ヘットハーグランド(UCI 1.1)に続いて、シーズン最初のUCIウィメンズワールドツアーレースで好成績を出した。「チーム内の評価は上がっていて、今日も最後まで動かなくていいと言われていました。でもまだ私がエースを担えるわけじゃない。いつかチャンスは来ると思っています。今年はステージレースでもワンデーレースでもどちらでもいいから勝ちたい。集団スプリントでは勝利を狙うことができないので、最後の局面で動けるように、クラシックレースで力をつけていきたいです」。
與那嶺はすぐにイタリアからオランダに戻り、3月20日にベルギーのノケレコールス(UCI 1.1)、3月24日にイタリアのトロフェオ・アルフレードビンダ(UCI WWT)に出場。そこから3月31日のヘント〜ウェヴェルヘム(UCI WWT)、4月7日のロンド・ファン・フラーンデレン(UCI WWT)とビッグレースが続き、さらにその後のアルデンヌクラシックに出場する予定だ。
女子レース表彰台 photo:RCS Sport
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同じくUCIワールドツアーレースに登録された男子レースに先立って、同日午前にスタートしたUCIウィメンズワールドツアー初戦のストラーデビアンケ女子レース。イタリア中部トスカーナ州のシエナ近郊に広がる丘陵地帯が舞台で、レース名が『白い道』を意味する通り、日本で言うところの砂利道に近い踏み固められた未舗装路を走る。
男子レースのコースを部分的にカットした136kmコースには8カ所のセクター(未舗装区間)が設定されており、その全長は31.6kmにおよぶ。丘陵地帯のアップダウンが断続的に続くため、獲得標高差は2,100mに達する。
レースは序盤からアタックが続発したものの、タイム差が1分に広がるような逃げは生まれない。集団は概ね一つのまま、パンクや落車や中切れによって人数を減らしながら『クレーテセネージ(シエナ近郊の丘陵)』を進んでいく。フィニッシュまで40kmを残してジップ・ファンデンボス(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)やエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)を含む強力なメンバーが先行を始めると、全日本チャンピオンの與那嶺恵理(アレ・チポリーニ)がここに乗った。
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しかしこのビッグチームのメンバーを含む逃げグループの先行も決まらずに集団は再び一つに。すると最後から2つ目の、最大勾配15%に達するセクター7でレースは大きな展開を見せる。前年度の覇者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)やカシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ)といった有力どころが先行を開始。11名の精鋭グループが形成されると、最大勾配18%のセクター8でアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が飛び出した。
食らいつく前世界チャンピオンのシャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)を振り切って独走に持ち込んだファンフルーテンが、残り10km地点で追走グループから35秒のリードを築く。タイム差は縮まることもなく広がることもなく推移し、ファンフルーテンが丘の上の街シエナに向かう最後の石畳坂を駆け上がった。
最終的に後続に37秒差をつけてファンフルーテンがフィニッシュ。2位にはMTBクロスカントリーとMTBマラソンで合計6回世界チャンピオンに輝き、今シーズンからロードレースに転向した34歳のアニカ・ラングヴァド(デンマーク、ブールスドルマンスサイクリング)が入り、このストラーデビアンケで3年連続2位を経験していたカシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が40秒差の3位に入った。
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「これは自分のキャリアの中でトップ5に入るほど美しい勝利。過酷なレースの最後にカンポ広場にフィニッシュするのは格別だった」と、開催5回目を迎えるストラーデビアンケで初勝利を飾った世界TTチャンピオンは語る。
2018年9月のロード世界選手権で落車して膝を骨折(7位フィニッシュ)し、その影響でオフシーズンのトレーニングを思うようにこなせていなかったと言うファンフルーテン。「昨年の膝の骨折以降、トップレベルまで戻すにはもっと時間がかかると思っていたけど、予想より早く回復したので急遽オンループ・ヘットニュースブラッドとこのストラーデビアンケに出場することが決定。この勝利は春のクラシックシーズンに向けて大きな自信を与えてくれる。次の目標はアルデンヌクラシックとジロ・デ・イタリア」と、自信と調子を取り戻した様子だ。
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一時は終盤の逃げグループに入って先頭でレースを展開した與那嶺は、セクター7で形成された精鋭グループに入ることができなかった。與那嶺は「チームのエースはソラヤ・パラディンで、アタックに反応しながら彼女をサポートする役目でした。セクター7でエースが落車してしまって、前で展開して待つ作戦だったんですが、脚が終わってしまって11人が先行したところに乗れなかった。あと少しだったんですが、自分が最後に千切れた一人でした」と悔しさをにじませながら振り返る。
最終的に與那嶺はエースのパラディンを引き連れる形で13位フィニッシュ。12位に入った前週のオンループ・ファン・ヘットハーグランド(UCI 1.1)に続いて、シーズン最初のUCIウィメンズワールドツアーレースで好成績を出した。「チーム内の評価は上がっていて、今日も最後まで動かなくていいと言われていました。でもまだ私がエースを担えるわけじゃない。いつかチャンスは来ると思っています。今年はステージレースでもワンデーレースでもどちらでもいいから勝ちたい。集団スプリントでは勝利を狙うことができないので、最後の局面で動けるように、クラシックレースで力をつけていきたいです」。
與那嶺はすぐにイタリアからオランダに戻り、3月20日にベルギーのノケレコールス(UCI 1.1)、3月24日にイタリアのトロフェオ・アルフレードビンダ(UCI WWT)に出場。そこから3月31日のヘント〜ウェヴェルヘム(UCI WWT)、4月7日のロンド・ファン・フラーンデレン(UCI WWT)とビッグレースが続き、さらにその後のアルデンヌクラシックに出場する予定だ。
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ストラーデビアンケ2019女子レース結果
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 3:48:49 |
2位 | アニカ・ラングヴァド(デンマーク、ブールスドルマンスサイクリング) | 0:00:37 |
3位 | カシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | 0:00:40 |
4位 | マルタ・バスティアネッリ(イタリア、ヴィルトゥサイクリング) | 0:00:44 |
5位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、ビグラプロサイクリング) | |
6位 | アシュリー・モールマンパシオ(南アフリカ、CCC・リブ) | 0:00:51 |
7位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、CCC・リブ) | 0:00:52 |
8位 | ヤネク・エンシング(オランダ、サンウェブ) | 0:00:54 |
9位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング) | 0:01:28 |
10位 | シャンタル・ブラーク(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング) | 0:01:50 |
13位 | 與那嶺恵理(日本、アレ・チポリーニ) | 0:03:33 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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