2019/02/27(水) - 09:11
標高1,025mの岩山ジュベルハフィートで世界チャンピオンが世界チャンピオンジャージで初勝利。UAEツアー第3ステージの山頂フィニッシュでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が勝利し、積極的な走りを見せたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が首位を守った。
UAEツアー第3ステージの最後に待っているのは、2018年までアブダビツアーの名物フィニッシュだった岩山ジュベルハフィート。起伏の少ない半島の真ん中に位置する標高1,025mの岩山に向かって、平均勾配6.6%の登りが10.8kmにわたって続く。前半は8%前後の勾配が続き、残り3km地点で勾配が11%に達する難所だ。
この大会前半戦最大の山場に至るステージで、再びガスプロム・ルスヴェロとノボノルディスクの2チームが選手を2名ずつ送り込む逃げを敢行した。2日連続逃げのステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は中間スプリント賞ジャージのリードを広げるだけでなく、ポイント賞ランキングの首位に立っている。
最大4分のリードを得た逃げグループだったが、レース中盤に早くも吸収される。そこからメイン集団はスピードを上げてジュベルハフィートへ。道幅のあるダイナミックな登り道に入ると早速ステージ優勝に向けた動きが始まった。
ハイペースで登りを進むメイン集団から最初に飛び出したのは、1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーでオールラウンダーとして才能を開花させたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)。ここにディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)と、2018年ジャパンカップ覇者のロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)が追いつき、ユンボ・ヴィズマ率いるメイン集団から10秒のリードを得る。
そこから長時間メイン集団のペースを作ったのは、ヤングライダー賞ジャージを着るローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)だった。クイックステップフロアーズから移籍した23歳デプルスの献身的な引きによってメイン集団はぐんぐんと人数を減らし、頂上まで6kmを残して先行者3名を吸収する。リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、そして2年前にこのジュベルハフィートを制したルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がメイン集団から脱落していった。
UCIワールドツアーデビュー戦の19歳レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団後方で食らいつく中、残り4kmまで強力に引き続けたデプルスが仕事を終えると総合首位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が自らアタックを仕掛けた。
リーダージャージのこの動きにすぐ反応することができたのはダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)とダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)だけ。一方のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らはペースを刻みながら追走グループを形成する。
残り3kmを切り、勾配が10%を超える区間でログリッチェとゴデュが軽快な走りでペースを上げると、先頭から地元UAEチームエミレーツのマーティンが脱落してしまう。逆に追走グループからは世界チャンピオンジャージのバルベルデがカウンターアタック。一旦マーティンの後ろで息を整えてから再加速したバルベルデは、残り1kmを切ってから先頭のログリッチェ、ゴデュ、ブッフマンに追いついた。
こうして勝負はログリッチェ、ゴデュ、ブッフマン、バルベルデという四強によるスプリントへ。短い下り区間を経て、タイミングを見計らったバルベルデが残り200m地点で腰を上げる。ここにログリッチェが反応したものの、タイトな最終コーナーを先頭で立ち上がったバルベルデがフィニッシュラインまでリードを守った。
「シーズン初勝利をここで果たしたいと思っていた。自分にとって歴史的な勝利。勝ち方は昨年と同じだけど、世界チャンピンジャージを着ての勝利は特別だ」。2018年9月のロード世界選手権インスブルック大会以来となる、5ヶ月ぶりの勝利を飾ったバルベルデはそう喜ぶ。バルベルデは2018年のアブダビツアー最終日のジュベルハフィートで勝利し、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)に17秒差をつけて総合優勝している。
「ログリッチェがアタックした時も落ち着いてペースをキープ。難しいステージではあったけど、調子は良かったし、何より昨年の経験からどのペースで登りを走るべきなのかを心得ていた。目標はステージ優勝だったので、おまけとして総合タイムを稼ぐことができて嬉しいよ」。そう語るバルベルデは今シーズンのバレンシアナとムルシアを総合2位。この日の勝利で総合17位から総合2位にジャンプアップしている。
バルベルデは連日STRAVAに出力を含めたGPSログをアップロードしており、この第3ステージのログを見ると、全長10.8km/平均6.6%の登りを23分53秒かけて登坂。登坂中の平均スピードは24.0km/h、平均出力は387Wだった。細かく見ると、登り前半を380W前後で踏み、後半にかけて400W前後を出力して挽回。最終スプリントで最大996Wを出力している。
ステージ2位で総合首位を守ったログリッチェは「もちろんステージ優勝を狙っていた。初めての登りだったのでフィニッシュの手前がどんなレイアウトなのか分かっていなかったけど、いずれにしてもバルベルデが最強だった。何よりもユンボ・ヴィズマが超強力なチーム力を見せるけることができて嬉しいよ。このまま集中力を絶やさずに最後まで走りぬきたい」とコメント。ジュベルハフィート決戦を終えて総合2位バルベルデとのタイム差は14秒。この日好走した22歳のゴデュが31秒差の総合3位に浮上し、ヤングライダー賞ジャージを手にしている。
UAEツアー第3ステージの最後に待っているのは、2018年までアブダビツアーの名物フィニッシュだった岩山ジュベルハフィート。起伏の少ない半島の真ん中に位置する標高1,025mの岩山に向かって、平均勾配6.6%の登りが10.8kmにわたって続く。前半は8%前後の勾配が続き、残り3km地点で勾配が11%に達する難所だ。
この大会前半戦最大の山場に至るステージで、再びガスプロム・ルスヴェロとノボノルディスクの2チームが選手を2名ずつ送り込む逃げを敢行した。2日連続逃げのステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は中間スプリント賞ジャージのリードを広げるだけでなく、ポイント賞ランキングの首位に立っている。
最大4分のリードを得た逃げグループだったが、レース中盤に早くも吸収される。そこからメイン集団はスピードを上げてジュベルハフィートへ。道幅のあるダイナミックな登り道に入ると早速ステージ優勝に向けた動きが始まった。
ハイペースで登りを進むメイン集団から最初に飛び出したのは、1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーでオールラウンダーとして才能を開花させたパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、CCCチーム)。ここにディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)と、2018年ジャパンカップ覇者のロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)が追いつき、ユンボ・ヴィズマ率いるメイン集団から10秒のリードを得る。
そこから長時間メイン集団のペースを作ったのは、ヤングライダー賞ジャージを着るローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)だった。クイックステップフロアーズから移籍した23歳デプルスの献身的な引きによってメイン集団はぐんぐんと人数を減らし、頂上まで6kmを残して先行者3名を吸収する。リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、そして2年前にこのジュベルハフィートを制したルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がメイン集団から脱落していった。
UCIワールドツアーデビュー戦の19歳レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団後方で食らいつく中、残り4kmまで強力に引き続けたデプルスが仕事を終えると総合首位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が自らアタックを仕掛けた。
リーダージャージのこの動きにすぐ反応することができたのはダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)とダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)だけ。一方のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)らはペースを刻みながら追走グループを形成する。
残り3kmを切り、勾配が10%を超える区間でログリッチェとゴデュが軽快な走りでペースを上げると、先頭から地元UAEチームエミレーツのマーティンが脱落してしまう。逆に追走グループからは世界チャンピオンジャージのバルベルデがカウンターアタック。一旦マーティンの後ろで息を整えてから再加速したバルベルデは、残り1kmを切ってから先頭のログリッチェ、ゴデュ、ブッフマンに追いついた。
こうして勝負はログリッチェ、ゴデュ、ブッフマン、バルベルデという四強によるスプリントへ。短い下り区間を経て、タイミングを見計らったバルベルデが残り200m地点で腰を上げる。ここにログリッチェが反応したものの、タイトな最終コーナーを先頭で立ち上がったバルベルデがフィニッシュラインまでリードを守った。
「シーズン初勝利をここで果たしたいと思っていた。自分にとって歴史的な勝利。勝ち方は昨年と同じだけど、世界チャンピンジャージを着ての勝利は特別だ」。2018年9月のロード世界選手権インスブルック大会以来となる、5ヶ月ぶりの勝利を飾ったバルベルデはそう喜ぶ。バルベルデは2018年のアブダビツアー最終日のジュベルハフィートで勝利し、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)に17秒差をつけて総合優勝している。
「ログリッチェがアタックした時も落ち着いてペースをキープ。難しいステージではあったけど、調子は良かったし、何より昨年の経験からどのペースで登りを走るべきなのかを心得ていた。目標はステージ優勝だったので、おまけとして総合タイムを稼ぐことができて嬉しいよ」。そう語るバルベルデは今シーズンのバレンシアナとムルシアを総合2位。この日の勝利で総合17位から総合2位にジャンプアップしている。
バルベルデは連日STRAVAに出力を含めたGPSログをアップロードしており、この第3ステージのログを見ると、全長10.8km/平均6.6%の登りを23分53秒かけて登坂。登坂中の平均スピードは24.0km/h、平均出力は387Wだった。細かく見ると、登り前半を380W前後で踏み、後半にかけて400W前後を出力して挽回。最終スプリントで最大996Wを出力している。
ステージ2位で総合首位を守ったログリッチェは「もちろんステージ優勝を狙っていた。初めての登りだったのでフィニッシュの手前がどんなレイアウトなのか分かっていなかったけど、いずれにしてもバルベルデが最強だった。何よりもユンボ・ヴィズマが超強力なチーム力を見せるけることができて嬉しいよ。このまま集中力を絶やさずに最後まで走りぬきたい」とコメント。ジュベルハフィート決戦を終えて総合2位バルベルデとのタイム差は14秒。この日好走した22歳のゴデュが31秒差の総合3位に浮上し、ヤングライダー賞ジャージを手にしている。
UAEツアー2019第3ステージ結果
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 4:44:50 |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:04 |
5位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:12 |
6位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:33 |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:35 |
9位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) | |
11位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
12位 | ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) | |
13位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:44 |
14位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
15位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:56 |
16位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
25位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:17 |
60位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:07:55 |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 9:38:05 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:14 |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:31 |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:39 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:47 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:54 |
7位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:57 |
8位 | ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) | 0:01:05 |
9位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:07 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:08 |
ポイント賞
1位 | ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 26pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 20pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 20pts |
ヤングライダー賞
1位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 9:38:36 |
2位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:36 |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:52 |
text:Kei Tsuji
photo:RCS Sport
photo:RCS Sport
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