2018/12/15(土) - 18:53
UCIレース2連戦の宇都宮シクロクロス初日。フランス王者スティーブ・シェネル(フランス、チームシャザル・キャニオン)が独走勝利を飾り、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が日本人最高位となる3位を射止めた。松本璃奈(TEAM SCOTT)が圧勝した女子レースの模様と共にレポートします。
男子エリート:ワールドカッパーの走りを披露したスティーブ・シェネルが独走勝利
大雪の全日本選手権から1週間、栃木県宇都宮市の「道の駅うつのみや ろまんちっく村」特設コースは暖かな冬晴れ。フランスとスペイン、そしてオーストラリアからの招待選手を迎え、2日間に渡る宇都宮シクロクロスが開幕した。
普段よりも少し早い、12時半スタートの男子エリートレースに出場したのは48名。号砲と同時に一昨年のU23世界選手権銀メダリストで、昨年大会を圧勝したフェリペ・オルツ(スペイン、DELIKIA - GINESTAR)が飛び出し、ここにフランス王者の威信を背負うスティーブ・シェネル(フランス、チームシャザル・キャニオン)が食らいつく。コーナーを抜けるたびに爆発的な加速を続ける2人は半周回を待たずして後続を突き放した。
3位グループを形作ったのは国内勢だった。全日本王者に輝いたばかりの前田公平と、全日本選手権でのミスを払拭したい織田聖(共に弱虫ペダルサイクリングチーム)、地元応援団の声援を受ける小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、そして沢田時(チームブリヂストンサイクイング)の4名が抜け出し、数秒差でオーストラリア王者のクリス・ジョンジェワード(オーストラリア、Flanders JBLOOD CX team)や横山航太(シマノレーシング)、更に野辺山に続きアメリカから参戦したケヴィン・ブラッドフォードらが続く展開に。
UCIランキング15位(オルツ)と16位(シェネル)という抜きん出た実力を示すように飛ばす二人だったが、2周目に入ると突如、メカトラブルに見舞われたオルツが脱落してしまう。スペアバイクに乗り換えて先頭復帰を目指したが、その時先頭を逃げるシェネルは30秒差。織田や小坂を猛烈な勢いでパスし、一時食らいついた前田をも振り切って2位にまで戻るも、焦りがスリップダウンなどミスを生んだことで勝負あり。オルツの位置を確認しつつ、超パワフルかつスムーズな走りで逃げる先頭シェネルとの差は最後まで埋まらなかった。
後続ではまず沢田が、続いて小坂が遅れ、弱虫ペダルの二人が3位パックを組み上げる。すると「今日は思うように走れなくて細かいミスが続いてしまった」という前田がキャンバー区間のスリップダウンで脱落。「気づいたら僕一人になっていたので、”これは行くしかない”と感じて一気にペースを上げました」と言う織田が単独3位となり先を急いだ。
テクニカルなキャンバーの折り返しや登り返しのあるコースを、観客をどよめかせるほどスムーズかつパワフルに走りきったシェネルが宇都宮初日に勝利。フィニッシュ後にはスタッフ全員の労を労い、2位で終えたライバルのオルツ、前々日に共にトークショーの舞台に立った3位の織田を笑顔で迎えた。
フランスチャンピオンジャージに宇都宮シクロクロスチャンピオンジャージを重ね着したシェネルは、表彰式でライバルの予期せぬ遅れを残念がった。「まだ時差ぼけが抜けていなくてタフだったけれど、それはオルツも同じ。彼とはフィジカル的に同レベルなのでメカトラブルが勝敗を分けてしまった。残念だったけど、明日は良い勝負をして、その上でもう一度勝ちたい」とさらに意気込む。今シーズン欧州でも勝ち星が無く、最重要視している1月のフランス選手権連覇に向け勝つイメージをつけたかったと言い、オルツと翌日のリベンジマッチを誓い合った。
またこの男子エリートで、落車で遅れた前田はジョンジェワード、そして小坂をゴールスプリントで下して4位入賞。7位は沢田で、9位は横山。10位に中里仁(Speedvagen Family Racing)が滑り込み、最終完走者は14位の松本駿(TEAM SCOTT)だった。
女子エリート:全日本女子王者、松本璃奈(TEAM SCOTT)が圧勝
男子レースの前に開催された女子エリートに出場したのは、関東勢を中心にした16名。前全日本女子王者の今井美穂(CO2 Bicycle)がスタートダッシュを決めるも、コース序盤の砂セクション、そして4段キャンバーで新女王となったばかりの松本璃奈(TEAM SCOTT)が先頭に立った。
男子エリート選手の多くが降車を強いられる4段キャンバーを乗車でクリアし、コーナーの立ち上がりの度にパワフルにペダリングする松本の走りは2位以下とレベルが違っていた。「レース中ずっと楽しくて、あのくらいの登りなら(出身である)MTBでは普通なので問題なかった」という松本と、2位以下の差は広がるばかり。最終的に1分のリードを築いた松本がUCIマキノ、全日本選手権、宇都宮とUCIポイント付与レースで3連勝を飾った。
「ここ最近レースが楽しいんです。前まで追いかけ続けるだけでそんな感覚はなかったけれど、今は応援してくれる皆に応えられる走りができるようになりました」と、笑顔を見せながらスピードコースを走りきった18歳の松本は言う。遅れた今井は2位を守り、3位は中盤から追い上げてきた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入った。
AJOCCカテゴリーレースも大盛況
男子エリート:ワールドカッパーの走りを披露したスティーブ・シェネルが独走勝利
大雪の全日本選手権から1週間、栃木県宇都宮市の「道の駅うつのみや ろまんちっく村」特設コースは暖かな冬晴れ。フランスとスペイン、そしてオーストラリアからの招待選手を迎え、2日間に渡る宇都宮シクロクロスが開幕した。
普段よりも少し早い、12時半スタートの男子エリートレースに出場したのは48名。号砲と同時に一昨年のU23世界選手権銀メダリストで、昨年大会を圧勝したフェリペ・オルツ(スペイン、DELIKIA - GINESTAR)が飛び出し、ここにフランス王者の威信を背負うスティーブ・シェネル(フランス、チームシャザル・キャニオン)が食らいつく。コーナーを抜けるたびに爆発的な加速を続ける2人は半周回を待たずして後続を突き放した。
3位グループを形作ったのは国内勢だった。全日本王者に輝いたばかりの前田公平と、全日本選手権でのミスを払拭したい織田聖(共に弱虫ペダルサイクリングチーム)、地元応援団の声援を受ける小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、そして沢田時(チームブリヂストンサイクイング)の4名が抜け出し、数秒差でオーストラリア王者のクリス・ジョンジェワード(オーストラリア、Flanders JBLOOD CX team)や横山航太(シマノレーシング)、更に野辺山に続きアメリカから参戦したケヴィン・ブラッドフォードらが続く展開に。
UCIランキング15位(オルツ)と16位(シェネル)という抜きん出た実力を示すように飛ばす二人だったが、2周目に入ると突如、メカトラブルに見舞われたオルツが脱落してしまう。スペアバイクに乗り換えて先頭復帰を目指したが、その時先頭を逃げるシェネルは30秒差。織田や小坂を猛烈な勢いでパスし、一時食らいついた前田をも振り切って2位にまで戻るも、焦りがスリップダウンなどミスを生んだことで勝負あり。オルツの位置を確認しつつ、超パワフルかつスムーズな走りで逃げる先頭シェネルとの差は最後まで埋まらなかった。
後続ではまず沢田が、続いて小坂が遅れ、弱虫ペダルの二人が3位パックを組み上げる。すると「今日は思うように走れなくて細かいミスが続いてしまった」という前田がキャンバー区間のスリップダウンで脱落。「気づいたら僕一人になっていたので、”これは行くしかない”と感じて一気にペースを上げました」と言う織田が単独3位となり先を急いだ。
テクニカルなキャンバーの折り返しや登り返しのあるコースを、観客をどよめかせるほどスムーズかつパワフルに走りきったシェネルが宇都宮初日に勝利。フィニッシュ後にはスタッフ全員の労を労い、2位で終えたライバルのオルツ、前々日に共にトークショーの舞台に立った3位の織田を笑顔で迎えた。
フランスチャンピオンジャージに宇都宮シクロクロスチャンピオンジャージを重ね着したシェネルは、表彰式でライバルの予期せぬ遅れを残念がった。「まだ時差ぼけが抜けていなくてタフだったけれど、それはオルツも同じ。彼とはフィジカル的に同レベルなのでメカトラブルが勝敗を分けてしまった。残念だったけど、明日は良い勝負をして、その上でもう一度勝ちたい」とさらに意気込む。今シーズン欧州でも勝ち星が無く、最重要視している1月のフランス選手権連覇に向け勝つイメージをつけたかったと言い、オルツと翌日のリベンジマッチを誓い合った。
またこの男子エリートで、落車で遅れた前田はジョンジェワード、そして小坂をゴールスプリントで下して4位入賞。7位は沢田で、9位は横山。10位に中里仁(Speedvagen Family Racing)が滑り込み、最終完走者は14位の松本駿(TEAM SCOTT)だった。
女子エリート:全日本女子王者、松本璃奈(TEAM SCOTT)が圧勝
男子レースの前に開催された女子エリートに出場したのは、関東勢を中心にした16名。前全日本女子王者の今井美穂(CO2 Bicycle)がスタートダッシュを決めるも、コース序盤の砂セクション、そして4段キャンバーで新女王となったばかりの松本璃奈(TEAM SCOTT)が先頭に立った。
男子エリート選手の多くが降車を強いられる4段キャンバーを乗車でクリアし、コーナーの立ち上がりの度にパワフルにペダリングする松本の走りは2位以下とレベルが違っていた。「レース中ずっと楽しくて、あのくらいの登りなら(出身である)MTBでは普通なので問題なかった」という松本と、2位以下の差は広がるばかり。最終的に1分のリードを築いた松本がUCIマキノ、全日本選手権、宇都宮とUCIポイント付与レースで3連勝を飾った。
「ここ最近レースが楽しいんです。前まで追いかけ続けるだけでそんな感覚はなかったけれど、今は応援してくれる皆に応えられる走りができるようになりました」と、笑顔を見せながらスピードコースを走りきった18歳の松本は言う。遅れた今井は2位を守り、3位は中盤から追い上げてきた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が入った。
AJOCCカテゴリーレースも大盛況
男子エリート結果
1位 | スティーブ・シェネル(フランス、チームシャザル・キャニオン) | 57’04” |
2位 | フェリペ・オルツ(スペイン、DELIKIA - GINESTAR) | 57’33” |
3位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 58’48” |
4位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 59’00” |
5位 | クリス・ジョンジェワード(オーストラリア、Flanders JBLOOD CX team) | 59’01” |
6位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) | 59’05” |
7位 | 沢田時(チームブリヂストンサイクイング) | 59’15” |
8位 | ケヴィン・ブラッドフォード(アメリカ) | 1h01’08” |
9位 | 横山航太(シマノレーシング) | 1h01’47” |
10位 | 中里仁(Speedvagen Family Racing) | 1h02’01” |
女子エリート結果
1位 | 松本璃奈(TEAM SCOTT) | 44’46” |
2位 | 今井美穂(CO2 Bicycle) | 45’16” |
3位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 45’35” |
4位 | 西山みゆき(東洋フレーム) | 46’46” |
5位 | 西形舞(TRCパナマレッズ) | 46’49” |
6位 | 川崎 路子(PAX PROJECT) | 48’20” |
7位 | 林口幸恵(Live GARDEN Bicistelle) | 48’30” |
8位 | 大岩明子(ブラウ・ブリッツェン) | 48’47” |
9位 | 橋口陽子(AX Cyclocross Team) | 49’19” |
10位 | 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) | 50’29” |
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
photo:Makoto.AYANO
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