2018/12/25(火) - 09:41
マヴィックより今夏登場したロードシューズのフラッグシップモデル「Cosmic Ultimate SL」をインプレッション。フィッティングシステムとアッパー構造を一新し、より軽く快適性を増したレーシングシューズに仕上がる。
革新的なロードUSTによってチューブレス旋風を巻き起こしたフレンチブランド、マヴィック。ホイールだけでなくフットウェアやアパレルにも力を入れる中で、今年大きなトピックとなったのが「Cosmic Ultimate」シューズのフルモデルチェンジだろう。ロードシューズのフラッグシップモデルとして新たに「Cosmic Ultimate SL」として生まれ変わった今作は、レーススペックの性能はそのままに、より軽量性と快適性を重視した作りとなっているのが特徴だ。
従来はダイヤルクロージャーを2個配し、かつアッパーにもカーボン配合の補強フレームを採用することで剛性とホールド力の強化を図り、パワーロスを限りなく軽減するよう設計されていた。しかし今作は足先のフィット感を高めるためフィッティング機構はよりシンプルに。かつ今まで以上に柔軟性の高いアッパーとすることでしなやかな履き心地を獲得している。
マヴィックシューズとして初めてフィッティングクロージャーにBOAダイヤルを採用。アッパーには斜めに大きくスリットを入れ、1本のワイヤーが左右均等に締め込んでいくことで包み込むような装着感を実現している。他社のハイエンドシューズにも度々採用される「IP1」ダイヤルを用いており、締める緩むの両方向に微調整が可能なほか、上方向に引き上げるだけで簡単にリリースされ脱ぎ履きもしやすい。
新開発の「エルゴサラウンド」アッパーにも注目。超軽量メッシュをメイン素材とし新しいオーバーラップ構造を取り入れることで、圧迫感のないフィット感と、より柔らかく軽く通気性の高い履き心地を生み出すことに成功している。加えてアッパーにはTPUフレームをレーザー圧着させており、足先のサポート力やアッパー剛性にも配慮は忘れない。
人間工学に基づいたエルゴノミックデザインも大きな特徴。踵はホールド感を重視したヒールカップ形状としつつも、つま先部分は自由度を高めた丸みのあるトゥボックスデザインとすることで、パワーを発揮しやすい構造となっている。また足首付近を低く設計したロープロファイルカラーによって可動域を広げ、ペダリング時のストレスを軽減するよう工夫している。
エナジーフルカーボンSLRソールは従来モデルから構造を見直しており、プロライダーのパワーを受け止める優れた剛性はそのままに、10gの軽量化も果たした。ベンチレーションホールもソールの広い範囲に渡って配されており、足裏のムレを防いでくれるだろう。スタックハイトはわずか6.5mmと低く、よりダイレクトで効率的なペダリングに貢献してくれるはず。
サイドにはMAVICロゴが大きくあしらわれたデザインで、マヴィックのニュートラルサポートカーを彷彿とさせるルックスに。コーポレートカラーのイエローとともに、ブラック、ホワイトの計3カラー展開だ。サイズは24~29cmまでの0.5cm刻みで用意される。価格は50,000円(税抜)。
今回、Cosmic Ultimate SLシューズを日常的に愛用している「サイクルポイント オーベスト」の西谷店長にお話を伺った。西谷さんは今年のツール・ド・おきなわ市民210kmもこのシューズで参戦、38位という好成績を収めている。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「従来のフラッグシップシューズとは一線を画す快適性」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
足を入れてクロージャーを締めた段階で、すでに今まで履いてきたシューズたちとは全く異なる履き心地に驚かされます。足首付近は締まって固定されているのに、つま先部分はほぼフリー。シューズの中で指がグーチョキパーできるくらいに余裕のあるフィット感なんです。つま先の形状がややワイドになったのもありますが、サイズが大きいとかそういう事ではなく、アッパーの作りやフィッティングの設計がそうさせているのがこのシューズの大きな特徴ですね。
圧迫感がないのでとにかくノンストレスな履き心地です。ふわっと包まれているような感覚で、一日中履いていても疲れたり痛みが出たりということが全く無いですね。快適性という点で今のシューズに悩みを抱えている人は真っ先に試してもらいたいほどです。メッシュ素材をメインとしたアッパーは夏場の通気性も抜群ですし、突起の少ないシンプルでエアロなデザインとなっているので、この時期シューズカバーが着脱しやすい点もポイントですね。
ただソフトな足当たりだけに、特にレーサーなどキツく締め込んでシューズを足に密着させるような履き心地を好む人には求めているものが違うかもしれません。つま先を動かそうと思えば、シューズの中でいくらでも動かせてしまいますから。ワイヤーをいくら締め込んでも足首付近しか固定されないので、例えば激しく上下にペダリングしてしまうと中でつま先が浮くような感覚になります。上手くペダリングしてあげれば問題はありません。
今までのマヴィックシューズを知る人であれば、全く方向性の違う履き心地に変わって戸惑うと思いますが、慣れてしまえばこの履き心地の良さはクセになるはず。手で持ってみても断トツに軽いと感じますし、カーボンソールも十分な硬さですのでレーシングシューズとしても申し分ありません。
丸一日ライドをしていると、どうしても足先が疲れて休憩のタイミングなどでクロージャーを緩める人もいると思います。ただこのシューズはそんなことをする必要が一切ない。ロードで長距離を走るには快適性が重要な要素なのだと改めて気付かされましたし、つま先部分が締まっていなくても不便しないのだと新たな発見にもなりました。個人的には非常に気に入っていますし、足当たりの良さでは万人が好感触を抱いてくれるだろうシューズだと思いますね。
マヴィック Cosmic Ultimate SL
カラー:イエローマヴィック、ブラック、ホワイト
サイズ:24.0~29.0cm(0.5cm刻み)
重量:実測190g(27.0cm)
パワー伝達インデックス:100
ソール:エナジーフルカーボンSLR
スタックハイト:6.5mm
ダイヤル:BOA IP1
付属品:メッシュケース
価格:50,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。過去にはツール・ド・おきなわ市民200kmや、ジャパンカップオープンレースなどの国内ビックレースにて優勝を経験。2016年にはニセコクラシック年代別優勝も果たし、今なお衰えを知らない”最速店長”の一人である。
サイクルポイント オーベストFacebook
革新的なロードUSTによってチューブレス旋風を巻き起こしたフレンチブランド、マヴィック。ホイールだけでなくフットウェアやアパレルにも力を入れる中で、今年大きなトピックとなったのが「Cosmic Ultimate」シューズのフルモデルチェンジだろう。ロードシューズのフラッグシップモデルとして新たに「Cosmic Ultimate SL」として生まれ変わった今作は、レーススペックの性能はそのままに、より軽量性と快適性を重視した作りとなっているのが特徴だ。
従来はダイヤルクロージャーを2個配し、かつアッパーにもカーボン配合の補強フレームを採用することで剛性とホールド力の強化を図り、パワーロスを限りなく軽減するよう設計されていた。しかし今作は足先のフィット感を高めるためフィッティング機構はよりシンプルに。かつ今まで以上に柔軟性の高いアッパーとすることでしなやかな履き心地を獲得している。
マヴィックシューズとして初めてフィッティングクロージャーにBOAダイヤルを採用。アッパーには斜めに大きくスリットを入れ、1本のワイヤーが左右均等に締め込んでいくことで包み込むような装着感を実現している。他社のハイエンドシューズにも度々採用される「IP1」ダイヤルを用いており、締める緩むの両方向に微調整が可能なほか、上方向に引き上げるだけで簡単にリリースされ脱ぎ履きもしやすい。
新開発の「エルゴサラウンド」アッパーにも注目。超軽量メッシュをメイン素材とし新しいオーバーラップ構造を取り入れることで、圧迫感のないフィット感と、より柔らかく軽く通気性の高い履き心地を生み出すことに成功している。加えてアッパーにはTPUフレームをレーザー圧着させており、足先のサポート力やアッパー剛性にも配慮は忘れない。
人間工学に基づいたエルゴノミックデザインも大きな特徴。踵はホールド感を重視したヒールカップ形状としつつも、つま先部分は自由度を高めた丸みのあるトゥボックスデザインとすることで、パワーを発揮しやすい構造となっている。また足首付近を低く設計したロープロファイルカラーによって可動域を広げ、ペダリング時のストレスを軽減するよう工夫している。
エナジーフルカーボンSLRソールは従来モデルから構造を見直しており、プロライダーのパワーを受け止める優れた剛性はそのままに、10gの軽量化も果たした。ベンチレーションホールもソールの広い範囲に渡って配されており、足裏のムレを防いでくれるだろう。スタックハイトはわずか6.5mmと低く、よりダイレクトで効率的なペダリングに貢献してくれるはず。
サイドにはMAVICロゴが大きくあしらわれたデザインで、マヴィックのニュートラルサポートカーを彷彿とさせるルックスに。コーポレートカラーのイエローとともに、ブラック、ホワイトの計3カラー展開だ。サイズは24~29cmまでの0.5cm刻みで用意される。価格は50,000円(税抜)。
今回、Cosmic Ultimate SLシューズを日常的に愛用している「サイクルポイント オーベスト」の西谷店長にお話を伺った。西谷さんは今年のツール・ド・おきなわ市民210kmもこのシューズで参戦、38位という好成績を収めている。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「従来のフラッグシップシューズとは一線を画す快適性」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
足を入れてクロージャーを締めた段階で、すでに今まで履いてきたシューズたちとは全く異なる履き心地に驚かされます。足首付近は締まって固定されているのに、つま先部分はほぼフリー。シューズの中で指がグーチョキパーできるくらいに余裕のあるフィット感なんです。つま先の形状がややワイドになったのもありますが、サイズが大きいとかそういう事ではなく、アッパーの作りやフィッティングの設計がそうさせているのがこのシューズの大きな特徴ですね。
圧迫感がないのでとにかくノンストレスな履き心地です。ふわっと包まれているような感覚で、一日中履いていても疲れたり痛みが出たりということが全く無いですね。快適性という点で今のシューズに悩みを抱えている人は真っ先に試してもらいたいほどです。メッシュ素材をメインとしたアッパーは夏場の通気性も抜群ですし、突起の少ないシンプルでエアロなデザインとなっているので、この時期シューズカバーが着脱しやすい点もポイントですね。
ただソフトな足当たりだけに、特にレーサーなどキツく締め込んでシューズを足に密着させるような履き心地を好む人には求めているものが違うかもしれません。つま先を動かそうと思えば、シューズの中でいくらでも動かせてしまいますから。ワイヤーをいくら締め込んでも足首付近しか固定されないので、例えば激しく上下にペダリングしてしまうと中でつま先が浮くような感覚になります。上手くペダリングしてあげれば問題はありません。
今までのマヴィックシューズを知る人であれば、全く方向性の違う履き心地に変わって戸惑うと思いますが、慣れてしまえばこの履き心地の良さはクセになるはず。手で持ってみても断トツに軽いと感じますし、カーボンソールも十分な硬さですのでレーシングシューズとしても申し分ありません。
丸一日ライドをしていると、どうしても足先が疲れて休憩のタイミングなどでクロージャーを緩める人もいると思います。ただこのシューズはそんなことをする必要が一切ない。ロードで長距離を走るには快適性が重要な要素なのだと改めて気付かされましたし、つま先部分が締まっていなくても不便しないのだと新たな発見にもなりました。個人的には非常に気に入っていますし、足当たりの良さでは万人が好感触を抱いてくれるだろうシューズだと思いますね。
マヴィック Cosmic Ultimate SL
カラー:イエローマヴィック、ブラック、ホワイト
サイズ:24.0~29.0cm(0.5cm刻み)
重量:実測190g(27.0cm)
パワー伝達インデックス:100
ソール:エナジーフルカーボンSLR
スタックハイト:6.5mm
ダイヤル:BOA IP1
付属品:メッシュケース
価格:50,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。過去にはツール・ド・おきなわ市民200kmや、ジャパンカップオープンレースなどの国内ビックレースにて優勝を経験。2016年にはニセコクラシック年代別優勝も果たし、今なお衰えを知らない”最速店長”の一人である。
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