2010/03/22(月) - 07:12
3月22日から28日までの1週間に渡って、スペイン・カタルーニャ地方を舞台に第90回ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャが開催される。今年は開催時期が5月から3月に変更。サストレ(スペイン)やバッソ(イタリア)、シュレク兄弟(ルクセンブルク)、メンショフ(ロシア)ら、豪華なオールラウンダーが揃った。
ブエルタよりも歴史のあるスペインナンバー2のステージレース
1911年に第1回大会が開催されたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(カタルーニャ一周)は、世界でも有数の歴史を持つ1週間のステージレース。その歴史はブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも古く、ツール・ド・フランス(1903年〜)とジロ・デ・イタリア(1909年〜)に次ぐ伝統を誇る。
例年ジロ・デ・イタリアと同時期の5月下旬〜6月上旬に開催され、ツール・ド・フランスへの準備レースとして重宝された。
しかし今年はツアー・オブ・カリフォルニアが2月から5月に開催時期を移した影響で、このカタルーニャが3月開催に変更。例年以上に豪華なメンバーがカタルーニャに集結する。
カタルーニャ地方の山岳地帯を走るだけに、連日起伏に富んだコースが用意されている。登場する超級山岳は一つ。比較的難易度の低いカテゴリー山岳が多く設定されている印象だ。
今年もレースはリョレット・デ・マールでの個人タイムトライアルで動き出す。距離が3.6kmと短いため、TTスペシャリストだけではなく、短距離独走力に長けたスプリンターにもチャンスがあるだろう。第2ステージは前半に1級山岳が設定されているものの、ゴール地点バニョレスの平坦周回コースはスプリンター向き。
第3ステージは標高のある2級山岳と3つと大会唯一の超級山岳を越え、ラ・セウ・ドゥルジェイにゴールする。超級山岳ペドラフォルカ峠は登坂距離が10.6kmで平均勾配は5.3%。上りで絞られた小集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
大会最長の209kmで行なわれる第4ステージは、後半に2級山岳パウメレス峠(登坂距離8.6km・平均勾配5.6%)を含む周回コースを2周。最後のパウメレス峠通過はゴールの20km手前であり、総合を狙った激しいアタック合戦が繰り広げられるはず。ラスト14km地点で2級山岳ラ・フィグエラ峠を突破する第5ステージは、ゴール前の300mが平均6%の上り。総合争いの行方は、この3山岳ステージで決定するはずだ。
カタルーニャ州の州都バルセロナにゴールする第6ステージも終盤にかけて3級山岳を含む細かなアップダウンを繰り返す周回コースが登場。短い上りでアタックが連発するクラシックレースの様なレース展開が予想される。
今年も最終日はF1スペインGPが開催されるシルクイート・デ・カタルーニャ(カタロニア・サーキット)にゴールする平坦ステージ。山岳を生き抜いたスプリンターたちが最後の闘いを繰り広げ、1042kmのレースが幕を下ろす。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2010日程
3月22日(月)第1ステージ リョレット・デ・マール 3.6km(個人TT)
3月23日(火)第2ステージ サルト〜バニョレス 182.6km
3月24日(水)第3ステージ ラ・バル・デン・バス〜ラ・セウ・ドゥルジェイ 185.9km
3月25日(木)第4ステージ オリアナ〜アスコ 209.7km
3月26日(金)第5ステージ アスコ〜カバセス 181.2km
3月27日(土)第6ステージ エル・ベンドレル〜バルセロナ 161.9km
3月28日(日)第7ステージ シルクイート・デ・カタルーニャ 117.8km
グランツールを見据える豪華なオールラウンダーが集結
深い歴史を有するステージレースだけに、優勝者リストには数々のレジェンドが名前を連ねている。
70年代にはフェリーチェ・ジモンディ(イタリア)やフランチェスコ・モゼール(イタリア)。90年代に入るとミゲール・インドゥライン(スペイン)やクラウディオ・キアプッチ(イタリア)らが大会制覇を達成している。そしてもちろんエディ・メルクス(ベルギー)の名前も。
昨年の総合優勝者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)は欠場するが、今年はそれを補って余りある豪華なメンバーが揃った。得にグランツールでの活躍が期待されるオールラウンダーが、調整レースとして挙って出場する。
地元スペイン勢から先に挙げよう。バルベルデに代わってケースデパーニュのエースを務めるのはルイスレオン・サンチェス(スペイン)。連覇を狙ったパリ〜ニースでは総合3位に入り、今シーズンすでに2勝。タイムトライアルも得意とすることから、序盤ステージからレースをリードする存在になるだろう。
元チームメイトのダニエル・モレーノ(オメガファーマ・ロット)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は、それぞれ外国チームを率いての参戦。ロドリゲスは2007年大会覇者のウラディミール・カルペツ(ロシア)のアシストに回ることも考えられる。
2008年のツール・ド・フランス覇者カルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)はまだ今シーズン大きな動きを見せておらず、ジロ・デ・イタリアに向けてこのカタルーニャでコンディションを出しておきたいところだ。
他にもオスカル・ペレイロ(アスタナ)やエセキエル・モスケラ(シャコベオ・ガリシア)、イゴール・アントン(エウスカルテル)を始め、外国勢を迎え撃つスペイン人選手の層は厚い。
アンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)は2人揃って出場する。両者ともに今シーズンは低迷気味で、まだ結果は残せていない。本格始動する春のクラシックシーズンを前に、どれだけコンディションを上げることが出来るか。弟アンディはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ連覇が懸かっている。
2006年のジロ・デ・イタリア覇者イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)を従えての出場。今シーズンすでに12勝を飾っているリクイガスの勢いはスペインでも継続するか。
普段ランス・アームストロング(アメリカ)のアシストに回るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)は、初日の個人タイムトライアルの優勝候補。アメリカ人初の総合優勝は達成なるか。ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やアイマル・スベルディア(スペイン)とのタッグは強力だ。
スペインレースと相性が良く、ブエルタ・ア・エスパーニャで過去2度総合優勝しているデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)も要チェック。他にもクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)やクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が総合上位に絡んでくるだろう。
ティレーノ〜アドリアティコやパリ〜ニースと比べると、参加スプリンターの人数は少なめ。それだけにマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)の今シーズン1勝目に期待が集まる。昨シーズン23勝を飾ったカヴェンディッシュだが、今シーズンはコンディションが上がらずに0勝。ここで結果を残し、グランツールに向けて勢いづきたい。
カヴェンディッシュに対抗するのはフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)やロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)らだ。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ブエルタよりも歴史のあるスペインナンバー2のステージレース
1911年に第1回大会が開催されたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(カタルーニャ一周)は、世界でも有数の歴史を持つ1週間のステージレース。その歴史はブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも古く、ツール・ド・フランス(1903年〜)とジロ・デ・イタリア(1909年〜)に次ぐ伝統を誇る。
例年ジロ・デ・イタリアと同時期の5月下旬〜6月上旬に開催され、ツール・ド・フランスへの準備レースとして重宝された。
しかし今年はツアー・オブ・カリフォルニアが2月から5月に開催時期を移した影響で、このカタルーニャが3月開催に変更。例年以上に豪華なメンバーがカタルーニャに集結する。
カタルーニャ地方の山岳地帯を走るだけに、連日起伏に富んだコースが用意されている。登場する超級山岳は一つ。比較的難易度の低いカテゴリー山岳が多く設定されている印象だ。
今年もレースはリョレット・デ・マールでの個人タイムトライアルで動き出す。距離が3.6kmと短いため、TTスペシャリストだけではなく、短距離独走力に長けたスプリンターにもチャンスがあるだろう。第2ステージは前半に1級山岳が設定されているものの、ゴール地点バニョレスの平坦周回コースはスプリンター向き。
第3ステージは標高のある2級山岳と3つと大会唯一の超級山岳を越え、ラ・セウ・ドゥルジェイにゴールする。超級山岳ペドラフォルカ峠は登坂距離が10.6kmで平均勾配は5.3%。上りで絞られた小集団によるスプリント勝負に持ち込まれるだろう。
大会最長の209kmで行なわれる第4ステージは、後半に2級山岳パウメレス峠(登坂距離8.6km・平均勾配5.6%)を含む周回コースを2周。最後のパウメレス峠通過はゴールの20km手前であり、総合を狙った激しいアタック合戦が繰り広げられるはず。ラスト14km地点で2級山岳ラ・フィグエラ峠を突破する第5ステージは、ゴール前の300mが平均6%の上り。総合争いの行方は、この3山岳ステージで決定するはずだ。
カタルーニャ州の州都バルセロナにゴールする第6ステージも終盤にかけて3級山岳を含む細かなアップダウンを繰り返す周回コースが登場。短い上りでアタックが連発するクラシックレースの様なレース展開が予想される。
今年も最終日はF1スペインGPが開催されるシルクイート・デ・カタルーニャ(カタロニア・サーキット)にゴールする平坦ステージ。山岳を生き抜いたスプリンターたちが最後の闘いを繰り広げ、1042kmのレースが幕を下ろす。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2010日程
3月22日(月)第1ステージ リョレット・デ・マール 3.6km(個人TT)
3月23日(火)第2ステージ サルト〜バニョレス 182.6km
3月24日(水)第3ステージ ラ・バル・デン・バス〜ラ・セウ・ドゥルジェイ 185.9km
3月25日(木)第4ステージ オリアナ〜アスコ 209.7km
3月26日(金)第5ステージ アスコ〜カバセス 181.2km
3月27日(土)第6ステージ エル・ベンドレル〜バルセロナ 161.9km
3月28日(日)第7ステージ シルクイート・デ・カタルーニャ 117.8km
グランツールを見据える豪華なオールラウンダーが集結
深い歴史を有するステージレースだけに、優勝者リストには数々のレジェンドが名前を連ねている。
70年代にはフェリーチェ・ジモンディ(イタリア)やフランチェスコ・モゼール(イタリア)。90年代に入るとミゲール・インドゥライン(スペイン)やクラウディオ・キアプッチ(イタリア)らが大会制覇を達成している。そしてもちろんエディ・メルクス(ベルギー)の名前も。
昨年の総合優勝者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)は欠場するが、今年はそれを補って余りある豪華なメンバーが揃った。得にグランツールでの活躍が期待されるオールラウンダーが、調整レースとして挙って出場する。
地元スペイン勢から先に挙げよう。バルベルデに代わってケースデパーニュのエースを務めるのはルイスレオン・サンチェス(スペイン)。連覇を狙ったパリ〜ニースでは総合3位に入り、今シーズンすでに2勝。タイムトライアルも得意とすることから、序盤ステージからレースをリードする存在になるだろう。
元チームメイトのダニエル・モレーノ(オメガファーマ・ロット)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は、それぞれ外国チームを率いての参戦。ロドリゲスは2007年大会覇者のウラディミール・カルペツ(ロシア)のアシストに回ることも考えられる。
2008年のツール・ド・フランス覇者カルロス・サストレ(サーヴェロ・テストチーム)はまだ今シーズン大きな動きを見せておらず、ジロ・デ・イタリアに向けてこのカタルーニャでコンディションを出しておきたいところだ。
他にもオスカル・ペレイロ(アスタナ)やエセキエル・モスケラ(シャコベオ・ガリシア)、イゴール・アントン(エウスカルテル)を始め、外国勢を迎え撃つスペイン人選手の層は厚い。
アンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)は2人揃って出場する。両者ともに今シーズンは低迷気味で、まだ結果は残せていない。本格始動する春のクラシックシーズンを前に、どれだけコンディションを上げることが出来るか。弟アンディはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ連覇が懸かっている。
2006年のジロ・デ・イタリア覇者イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)を従えての出場。今シーズンすでに12勝を飾っているリクイガスの勢いはスペインでも継続するか。
普段ランス・アームストロング(アメリカ)のアシストに回るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)は、初日の個人タイムトライアルの優勝候補。アメリカ人初の総合優勝は達成なるか。ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やアイマル・スベルディア(スペイン)とのタッグは強力だ。
スペインレースと相性が良く、ブエルタ・ア・エスパーニャで過去2度総合優勝しているデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)も要チェック。他にもクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)やクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が総合上位に絡んでくるだろう。
ティレーノ〜アドリアティコやパリ〜ニースと比べると、参加スプリンターの人数は少なめ。それだけにマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)の今シーズン1勝目に期待が集まる。昨シーズン23勝を飾ったカヴェンディッシュだが、今シーズンはコンディションが上がらずに0勝。ここで結果を残し、グランツールに向けて勢いづきたい。
カヴェンディッシュに対抗するのはフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)やロベルト・フェルスター(ドイツ、チームミルラム)、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)らだ。
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos