2018/11/12(月) - 11:48
約40kmに渡るアタック合戦の後に形成された10人の逃げ集団。メイン集団との差は8分以上まで開いたが、終盤は3分未満まで縮まった。しかし差がゼロになることなくフィニッシュ。アラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が、引退レースを自ら花道に仕立てた。
30回記念のツール・ド・おきなわにふさわしく、朝から青空が広がり、夏の日差しが照りつけた1日となった11月11日(日)。UCI1.2クラスのレースとなる男子チャンピオンレースは、夜も開けきらぬ朝6時45分にスタートした。
今年の男子チャンピオンレースには、国内10チーム、海外8チームの計18チームが出場。アジア、ヨーロッパ、オセアニアの8つの国と地域から出場チームが集まった。コースは沖縄県北部の名護市をスタートし、沖縄本島北端を廻って名護市にフィニッシュするおなじみの210kmだ。
リアルスタートが切られるとアタック合戦が始まり、逃げと吸収が何度も繰り返される。10人の逃げが容認されたのは、スタートから30分以上経ってからだった。メンバーは以下の通り。
畑中勇介(チーム右京)
下島将輝(那須ブラーゼン)
中田拓也(シマノレーシング)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
新城雄大(キナンサイクリングチーム)
アラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
フォレディ・オヴェット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト)
フェン・チュン・カイ(台北ナショナルチーム)
ルイス・レイナウ(チームサンダーランド・NRW p/b SKSジャーマニー)
デルク・アベル・ベッカーリン(WTCアムステル)
メイン集団のコントロールはチームサンダーランド・NRW p/b SKSジャーマニーからチームブリヂストンサイクリングにスイッチ。愛三工業レーシングチームと鹿屋体育大学が1人ずつ出して加勢するが、差は最大8分30秒まで開く。
1回目の山岳賞は畑中が先頭通過。その後も逃げ集団は崩れることなく進み、2回目の山岳賞へ。それまで8分前後だったメイン集団との差は、この登りで一気に4分まで縮まる。下り切って名護に戻る海岸線の道路に出ると、逃げを追うメイン集団の動きが活性化。およそ半数以下の30人ほどまで絞り込まれる。一方逃げ集団からは、下島と新城が脱落して8人に。それでも3分以上の差を維持して逃げ続ける。
150km付近に差し掛かり、メイン集団から増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す。これに岡篤志、鈴木龍(以上宇都宮ブリッツェン)、ロビー・ハッカー(チーム右京)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)が続き、5人の追走集団が形成される。そこからさらに岡が飛び出し、増田と鈴木が追いついて宇都宮ブリッツェンがチームTTのようにして追走。逃げる8人との差を一時3分未満まで縮める。しかしレース終盤になってもペースが崩れない逃げ集団を追い切れない。
残り20km、羽地ダムへの登りでマランゴーニ、フェン、オヴェット、ベッカーリンの4人が先行。小野寺と畑中が続くがついては行けず、勝負は4人に絞られる。
残り5km、通称「イオン坂」でフェンがアタックするが、後続を振り切るまでには至らない。その後方から加速したマランゴーニが一気に前に出て差を広げる。この動きで勝負は決まった。
「今日は素晴らしいレースになった。これが人生最後のレースになるから、良い結果を出すことに集中してきた。レース序盤に決まった逃げは良いメンバーに恵まれたし、その中のベストな4人で最後に抜け出し、残り5kmで完璧なアタックが決まった。全てがうまくいったね。まるで映画か夢を見ているようだったよ。レース10日前に沖縄入りしたけれど、いい人ばかりで多くのエネルギーをもらった。その力が今日の勝利につながったと思う」と、レースを振り返るマランゴーニ。
本当に引退するの?と問うと「そうだね。色々考えたけれど、ここでレースキャリアを終えることに後悔はないし、次の人生の準備を始めるには全てが『カンペキ』な時期だと思っているよ」と語った。
女子国際レース 與那嶺恵理が6年ぶりに優勝
女子国際レースは、沖縄本島北端をスタートして名護にフィニッシュする100km。與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)金子広美(イナーメ信濃山形・バイクサンド・R×L)、ジップ・バン・デン・ボス(WTC de アムステル)の3人が終盤までに残る。最後は與那嶺と金子でのスプリント勝負となり、與那嶺が優勝。初出場の2012年以来、2度目のおきなわ優勝を決めた。
與那嶺恵理 コメント
「『学校坂』でアタックして1人になったのでこのまま最後まで行こうかと思いました。でも思ったよりタイム差が開かなかったので、羽地の先もまだ長いし消耗するので、それなら一度追いつかれてもう一度アタックすれば行けると考えて後続集団に戻りました。最後はオランダの選手(ボス)が残っていたら違う方法を考えないと勝てませんでしたが、金子さんとのスプリントになったので冷静に行きました。
来年は新しいチームで全てゼロからスタートになりますが、東京オリンピックの出場枠がかかる年でもあるので、それを意識してこれからのオフシーズンを過ごします。今日は勝つことが第一でしたけれど、登りの感覚とか、平坦の踏む感覚とか、良いフィーリングを確認出来ました。来年に向けて長期スパンでのダイエットと筋トレの効果も確認できたし、何よりレースを楽しめたのが良かったです」
ジュニア国際はリザルト審議中につき、確定次第レポートを追記します。
30回記念のツール・ド・おきなわにふさわしく、朝から青空が広がり、夏の日差しが照りつけた1日となった11月11日(日)。UCI1.2クラスのレースとなる男子チャンピオンレースは、夜も開けきらぬ朝6時45分にスタートした。
今年の男子チャンピオンレースには、国内10チーム、海外8チームの計18チームが出場。アジア、ヨーロッパ、オセアニアの8つの国と地域から出場チームが集まった。コースは沖縄県北部の名護市をスタートし、沖縄本島北端を廻って名護市にフィニッシュするおなじみの210kmだ。
リアルスタートが切られるとアタック合戦が始まり、逃げと吸収が何度も繰り返される。10人の逃げが容認されたのは、スタートから30分以上経ってからだった。メンバーは以下の通り。
畑中勇介(チーム右京)
下島将輝(那須ブラーゼン)
中田拓也(シマノレーシング)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
新城雄大(キナンサイクリングチーム)
アラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
フォレディ・オヴェット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト)
フェン・チュン・カイ(台北ナショナルチーム)
ルイス・レイナウ(チームサンダーランド・NRW p/b SKSジャーマニー)
デルク・アベル・ベッカーリン(WTCアムステル)
メイン集団のコントロールはチームサンダーランド・NRW p/b SKSジャーマニーからチームブリヂストンサイクリングにスイッチ。愛三工業レーシングチームと鹿屋体育大学が1人ずつ出して加勢するが、差は最大8分30秒まで開く。
1回目の山岳賞は畑中が先頭通過。その後も逃げ集団は崩れることなく進み、2回目の山岳賞へ。それまで8分前後だったメイン集団との差は、この登りで一気に4分まで縮まる。下り切って名護に戻る海岸線の道路に出ると、逃げを追うメイン集団の動きが活性化。およそ半数以下の30人ほどまで絞り込まれる。一方逃げ集団からは、下島と新城が脱落して8人に。それでも3分以上の差を維持して逃げ続ける。
150km付近に差し掛かり、メイン集団から増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す。これに岡篤志、鈴木龍(以上宇都宮ブリッツェン)、ロビー・ハッカー(チーム右京)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)が続き、5人の追走集団が形成される。そこからさらに岡が飛び出し、増田と鈴木が追いついて宇都宮ブリッツェンがチームTTのようにして追走。逃げる8人との差を一時3分未満まで縮める。しかしレース終盤になってもペースが崩れない逃げ集団を追い切れない。
残り20km、羽地ダムへの登りでマランゴーニ、フェン、オヴェット、ベッカーリンの4人が先行。小野寺と畑中が続くがついては行けず、勝負は4人に絞られる。
残り5km、通称「イオン坂」でフェンがアタックするが、後続を振り切るまでには至らない。その後方から加速したマランゴーニが一気に前に出て差を広げる。この動きで勝負は決まった。
「今日は素晴らしいレースになった。これが人生最後のレースになるから、良い結果を出すことに集中してきた。レース序盤に決まった逃げは良いメンバーに恵まれたし、その中のベストな4人で最後に抜け出し、残り5kmで完璧なアタックが決まった。全てがうまくいったね。まるで映画か夢を見ているようだったよ。レース10日前に沖縄入りしたけれど、いい人ばかりで多くのエネルギーをもらった。その力が今日の勝利につながったと思う」と、レースを振り返るマランゴーニ。
本当に引退するの?と問うと「そうだね。色々考えたけれど、ここでレースキャリアを終えることに後悔はないし、次の人生の準備を始めるには全てが『カンペキ』な時期だと思っているよ」と語った。
女子国際レース 與那嶺恵理が6年ぶりに優勝
女子国際レースは、沖縄本島北端をスタートして名護にフィニッシュする100km。與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)金子広美(イナーメ信濃山形・バイクサンド・R×L)、ジップ・バン・デン・ボス(WTC de アムステル)の3人が終盤までに残る。最後は與那嶺と金子でのスプリント勝負となり、與那嶺が優勝。初出場の2012年以来、2度目のおきなわ優勝を決めた。
與那嶺恵理 コメント
「『学校坂』でアタックして1人になったのでこのまま最後まで行こうかと思いました。でも思ったよりタイム差が開かなかったので、羽地の先もまだ長いし消耗するので、それなら一度追いつかれてもう一度アタックすれば行けると考えて後続集団に戻りました。最後はオランダの選手(ボス)が残っていたら違う方法を考えないと勝てませんでしたが、金子さんとのスプリントになったので冷静に行きました。
来年は新しいチームで全てゼロからスタートになりますが、東京オリンピックの出場枠がかかる年でもあるので、それを意識してこれからのオフシーズンを過ごします。今日は勝つことが第一でしたけれど、登りの感覚とか、平坦の踏む感覚とか、良いフィーリングを確認出来ました。来年に向けて長期スパンでのダイエットと筋トレの効果も確認できたし、何よりレースを楽しめたのが良かったです」
ジュニア国際はリザルト審議中につき、確定次第レポートを追記します。
チャンピオンロードレース 結果(210km)
1位 | アラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | 5時間5分4秒 |
2位 | フレディ・オヴェット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト) | +19秒 |
3位 | フェン・チュンカイ | |
4位 | デルク・アベル・ベッカーリン(WTC de アムステル) | +50秒 |
5位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | +1分29秒 |
6位 | 畑中勇介(チーム右京) | +1分31秒 |
7位 | 中田拓也(シマノレーシングチーム) | +2分50秒 |
8位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | |
9位 | ルイス・レイナウ(チームサワーランド) | |
10位 | 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) |
女子国際レース 結果(100km)
1位 | 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) | 3時間11分15秒 |
2位 | 金子広美(イナーメ信濃山形) | +2秒 |
3位 | ジップ・ヴァン・デン・ボス(WTC de アムステル) | +1分6秒 |
4位 | リォン・ウィンイー(HKSIプロサイクリング) | +3分54秒 |
5位 | 米田和美(MOPS) | |
6位 | 西加南子(LUMINARIA) | +10分52秒 |
7位 | 渡部春雅(駒澤大学高校) | +12分42秒 |
8位 | 藤村祥子(MOPS) | +12分48秒 |
9位 | アレックス・マーティン・ウォレス(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー) | +14分8秒 |
10位 | 盛永母映(F(t)麒麟山Racing) | +14分11秒 |
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