2010/03/17(水) - 10:50
3月17日に開催されたティレーノ〜アドリアティコ第7ステージは、ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)がボーナスタイムを獲得して逆転総合首位に立つ劇的な展開。最後の集団スプリントはエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が制した。
ティレーノ〜アドリアティコ最終日は、恒例となったアドリア海沿いのサンベネデット・デル・トロントで行なわれる平坦ステージ。レース後半にはド平坦な10kmの周回コースを7周する。
前日までの山岳ステージで総合成績は決すると思われたが、総合首位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)と総合2位ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)のタイム差は僅かに2秒。レース後半のスプリントポイントで総合争いは加熱することになる。
レースはビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)が序盤に飛び出し、100kmに渡って単独エスケープ。しかし後半のサンベネデット・デル・トロント周回コースに入ると吸収された。
周回コースで繰り広げられたのが、ボーナスタイム(1位3秒・2位2秒・3位1秒)をかけた争いだ。ゴール40km手前のスプリントポイントはスカルポーニのチームメイトであるフランチェスコ・ジナンニ(イタリア)が先頭通過したが、ライバルのガルゼッリが3番手通過でボーナスタイム1秒獲得。この時点で総合タイム差1秒。
続くゴール20km手前のスプリントポイントでもアンドローニ・ジョカトーリとアックア・エ・サポーネによるバトルが繰り広げられ、アンドローニ勢がトップ2通過。しかしガルゼッリは辛くも3番手通過を果たし、更にボーナスタイムを1秒加算。総合タイムでスカルポーニと並んだガルゼッリが、ステージ成績の規定によって総合首位に立った。
ここからはスプリンターチームによる最終決戦に向けたペースアップがスタート。集団一つのまま最終周回に突入した。
サクソバンクやチームスカイが積極的に牽引するメイン集団の中程で走っていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は、ラスト8kmで激しくクラッシュ。カヴェンディッシュは怪我無くレースに復帰したが、ステージ優勝のラストチャンスを逃した。
メイン集団は完全にスプリントをリードするチームが現れないままゴールスプリントへ。ラスト300mでクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)に牽かれて集団先頭に出たエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)が、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)らを押さえ込んで勝利。歓喜のガッツポーズでゴールに飛び込んだ。
「今日は良いカタチでスプリントに持ち込めた。大集団でのスプリントは得意じゃないんだ。でも今日は上手く行った」。昨年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾り、トップレーサーの仲間入りを果たしたボアッソンが再びイタリアでその力を示した。
当然ボアッソンはミラノ〜サンレモでも注目を集まる存在。ボアッソンは「ミラノ〜サンレモはかなり距離の長いレースだ。とてもタフなレースになるだろう。コンディションは完璧ではないけど上々と言ったところ。出来る限りの走りを見せたい」と語った。ボアッソンはこれがシーズン3勝目。チームスカイはこれが7勝目だ。
ボーナスタイムが明暗を分けた総合争いは、ガルゼッリが総合首位に。頭脳的な走りで逆転総合優勝に輝いた。大会初制覇を達成したガルゼッリは「本当に信じられない出来事だ。まだ信じられない。まるで映画のワンシーンのよう。失うものは何も無かった。2回ステージ2位に入っていたことが幸いしたよ。今日は総合逆転のために力を尽くしてくれたパオリーニに感謝したい」と語っている。ジロ・デ・イタリアでは2000年以来2度目の総合優勝を目指す。
「今日はステファノ(ガルゼッリ)と彼のチームは素晴らしかった。2つのチャンスを逃すこと無く勝ち取ったんだから。残念ながらガルゼッリは僕よりも速かった」と語るのは、大会連覇の夢破れ、総合2位でレースを終えたスカルポーニ。表彰台ではガルゼッリになだめられる光景も見られた。
アンドローニ・ジョカトーリはジロ主催者RCSスポルトにその存在を大きくアピールすることに成功。アルカンシェルのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が総合3位に入ったため、プロコンチネンタルチームの選手が総合トップ3を独占する結果に。
ティレーノ〜アドリアティコ2010第7ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 3h52'36"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア)
5位 マッティア・ガヴァッツィ( イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
6位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
7位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
8位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
9位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
10位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) 30h51'36"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +12"
4位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +22"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +27"
6位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +33"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +42"
9位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ) +1'04"
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +1'07"
ポイント賞
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
山岳賞
ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
ランプレ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ティレーノ〜アドリアティコ最終日は、恒例となったアドリア海沿いのサンベネデット・デル・トロントで行なわれる平坦ステージ。レース後半にはド平坦な10kmの周回コースを7周する。
前日までの山岳ステージで総合成績は決すると思われたが、総合首位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)と総合2位ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)のタイム差は僅かに2秒。レース後半のスプリントポイントで総合争いは加熱することになる。
レースはビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)が序盤に飛び出し、100kmに渡って単独エスケープ。しかし後半のサンベネデット・デル・トロント周回コースに入ると吸収された。
周回コースで繰り広げられたのが、ボーナスタイム(1位3秒・2位2秒・3位1秒)をかけた争いだ。ゴール40km手前のスプリントポイントはスカルポーニのチームメイトであるフランチェスコ・ジナンニ(イタリア)が先頭通過したが、ライバルのガルゼッリが3番手通過でボーナスタイム1秒獲得。この時点で総合タイム差1秒。
続くゴール20km手前のスプリントポイントでもアンドローニ・ジョカトーリとアックア・エ・サポーネによるバトルが繰り広げられ、アンドローニ勢がトップ2通過。しかしガルゼッリは辛くも3番手通過を果たし、更にボーナスタイムを1秒加算。総合タイムでスカルポーニと並んだガルゼッリが、ステージ成績の規定によって総合首位に立った。
ここからはスプリンターチームによる最終決戦に向けたペースアップがスタート。集団一つのまま最終周回に突入した。
サクソバンクやチームスカイが積極的に牽引するメイン集団の中程で走っていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は、ラスト8kmで激しくクラッシュ。カヴェンディッシュは怪我無くレースに復帰したが、ステージ優勝のラストチャンスを逃した。
メイン集団は完全にスプリントをリードするチームが現れないままゴールスプリントへ。ラスト300mでクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)に牽かれて集団先頭に出たエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)が、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)らを押さえ込んで勝利。歓喜のガッツポーズでゴールに飛び込んだ。
「今日は良いカタチでスプリントに持ち込めた。大集団でのスプリントは得意じゃないんだ。でも今日は上手く行った」。昨年のジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾り、トップレーサーの仲間入りを果たしたボアッソンが再びイタリアでその力を示した。
当然ボアッソンはミラノ〜サンレモでも注目を集まる存在。ボアッソンは「ミラノ〜サンレモはかなり距離の長いレースだ。とてもタフなレースになるだろう。コンディションは完璧ではないけど上々と言ったところ。出来る限りの走りを見せたい」と語った。ボアッソンはこれがシーズン3勝目。チームスカイはこれが7勝目だ。
ボーナスタイムが明暗を分けた総合争いは、ガルゼッリが総合首位に。頭脳的な走りで逆転総合優勝に輝いた。大会初制覇を達成したガルゼッリは「本当に信じられない出来事だ。まだ信じられない。まるで映画のワンシーンのよう。失うものは何も無かった。2回ステージ2位に入っていたことが幸いしたよ。今日は総合逆転のために力を尽くしてくれたパオリーニに感謝したい」と語っている。ジロ・デ・イタリアでは2000年以来2度目の総合優勝を目指す。
「今日はステファノ(ガルゼッリ)と彼のチームは素晴らしかった。2つのチャンスを逃すこと無く勝ち取ったんだから。残念ながらガルゼッリは僕よりも速かった」と語るのは、大会連覇の夢破れ、総合2位でレースを終えたスカルポーニ。表彰台ではガルゼッリになだめられる光景も見られた。
アンドローニ・ジョカトーリはジロ主催者RCSスポルトにその存在を大きくアピールすることに成功。アルカンシェルのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が総合3位に入ったため、プロコンチネンタルチームの選手が総合トップ3を独占する結果に。
ティレーノ〜アドリアティコ2010第7ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) 3h52'36"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア)
5位 マッティア・ガヴァッツィ( イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
6位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
7位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
8位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
9位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
10位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) 30h51'36"
2位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +12"
4位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +22"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +27"
6位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) +33"
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +42"
9位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ) +1'04"
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ) +1'07"
ポイント賞
ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
山岳賞
ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
ランプレ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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