2018/10/09(火) - 18:03
10月8日、体育の日に行われた茨城シクロクロス第2戦取手ステージ(UCI2)で弱虫ペダルサイクリングチームが男女エリートUCIレース連勝。織田聖と唐見実世子がそれぞれ全日本チャンピオンを下した。
女子エリート:後続を引き離す独走で唐見実世子が優勝
合計12戦で争われるJCX(ジャパンシクロクロス)シリーズが開幕した。シリーズ第1戦はUCI(国際自転車競技連盟)登録レースとなった茨城シクロクロス第2戦取手ステージ。茨城県取手市の小貝川リバーサイドパークが舞台となる。
小貝川の河川敷を利用した一周2.5kmコースはほぼフラットで、その大半は草地。そこに巡航スピードが40km/hを超える長い舗装路や、土が露出した林間セクションが組み合わされる。午前中にかけて降った雨によって一時的に路面がマッドコンディションとなったが、UCI女子エリート&男子エリートレースが行われる頃には路面はほぼドライに。ヨーロッパ遠征中の竹之内悠を除く国内トップ選手たちが5分45秒前後のラップタイム、平均スピードにして25km/hを超えるハイスピードレースを展開した。
11時25分にスタートしたUCI女子エリートは、得意のスタートダッシュを見せた全日本チャンピオンの今井美穂(CO2bicycle)がレースを引っ張る。すでにオーストラリアでシーズンインを済ませている今井が序盤からリードしたものの、2周目に入ると唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)がここに追いついた。
ロード世界選手権に日本代表として出場し、前日のJプロツアー最終戦「南魚沼ロードレース」で独走勝利を飾ってからこのJCXシリーズ初戦に挑んでいた唐見。その唐見が舗装路や平坦区間を先頭固定で走り続けると、やがてそのペースに対応できず今井が脱落。最終的に唐見が今井に45秒差をつけて独走勝利した。追いすがる西形舞(TRC Panama Reds)や宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)を振り切り、序盤から単独で3番手のポジションを走り続けた西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が表彰台に上っている。
「コーナーが上手い今井選手に前に出られてしまうと危ないと思い、どこで仕掛けるのかどこでミスして離れるのか、ドキドキしながら走っていました。中盤に今井選手がミスしたタイミングで一気に踏んで、そこで差がつきました」と、得意の取手コースで3年連続優勝を飾った唐見は語る。「テクニカルな区間が少ないので、シクロクロスの中では一番自分に合っているコースだと思います。これからも今日のようなコースで自分の持ち味が発揮出来るように、そして苦手なコースでは他の選手と戦えるようにしていきたいです」。
男子エリート:最終コーナーで先頭へ躍り出た織田聖がマッチスプリントを制す
気温が23度ほどまで上がった12時50分、81名出走のUCI男子エリートがスタート。担ぎポイントがないため、暑さの影響で多くの選手がボトルを装備してのスタートとなる。
女子レースと同様に全日本チャンピオンが序盤からレースを作り、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に食らいつく形で徐々に先頭パックが形成される。丸山厚(チームリドレー)や織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、中里仁(Speedvagen Family Racing)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、小坂正則(スワコレーシングチーム)、重田兼吾(TeamCUORE)らが全日本チャンピオンに連なる形で1周目を終えた。
先頭グループにセレクションをかけたのは、2人を揃える弱虫ペダルサイクリングチームだった。ジャンプセクションで毎周回飛ぶ前田と織田に小坂光が続き、追いすがる中里や斎藤らを振り切って先頭は3名に。合田正之(AX cyclocross team)や宮津旭(PAXPROJECT)が合流して追走グループが人数を増やす中、先頭では弱虫ペダルサイクリングチームの2人vs全日本チャンピオンという構図となる。
前田と織田がアタックを繰り返したが、その度に小坂光が反応したため3名パックは崩れない。やがて前田が脱落したため先頭は織田と小坂光の一騎打ちに。それぞれ得意なセクションで攻撃を仕掛けたが決まらずに、勝負は2人によるスプリント勝負となる。小坂光が先頭で最後のシケインを越えたが、残り200mに位置するヘアピンコーナーで織田が先頭を奪い返す。そこからフィニッシュラインまで全開で踏んだ織田が先着した。
「レース中盤に3人になってから(前田)公平君が前を引いてくれて、自分は後ろで休むことができました。(小坂光と)2人になってから公平君を待つことも考えたんですが、勝つために前で逃げることを選択しました。最後のヘアピンコーナーは、通常であればアウトから入るんですが、勝負が決まるポイントだと思って試走の段階でインから入る練習をしていた。インに突っ込んでこじ開けて前に出て、そこを抜けてスプリントしました」と、U23全日本チャンピオンの19歳は語る。
織田は前日のJプロツアー最終戦「南魚沼ロードレース」を9位で終えている。ロードレースでスピードを磨く織田のシーズンは、2週間後のジャパンカップオープンレースを境にシクロクロスに切り替わる。「昨日のレースの疲労で身体の反応は悪かったんですが勝ててよかった。ウォーミングアップの時点で一番軽いギアをくるくる回すことしかできなかったんです。中国のUCIレースも良い形で終えることができましたし、去年よりもレベルアップしていることを感じています。JCXレースでもUCIレースでも勝つのは初めて。これで満足せずに全日本選手権でタイトルを取りたい」。全日本選手権では現在のところエリートではなくU23カテゴリーに出場する予定だ。
スプリントで敗れた小坂光は「出来るだけ彼ら(弱虫ペダルサイクリングチーム)のアタックに反応して、状況的に引かなくてもいいところは引かず、カウンターアタックも仕掛けたんですが決まらなかった。(織田)聖と2人になってからは彼との勝負に集中しました。最後までもつれた場合は、シケインを越えてからが勝負だと思っていました。最後のヘアピンコーナーでイン側に入られ、そこから巻き返せなかった」とコメント。「今日は聖が一番強かった。中国のUCIレースで彼の強さを感じていたんですが、今日もやっぱり強かったですね。シーズン最大の目標は全日本選手権連覇。昨年よりシーズンインの段階で調子は低いので、ここから上げていきたい」。
女子エリート:後続を引き離す独走で唐見実世子が優勝
合計12戦で争われるJCX(ジャパンシクロクロス)シリーズが開幕した。シリーズ第1戦はUCI(国際自転車競技連盟)登録レースとなった茨城シクロクロス第2戦取手ステージ。茨城県取手市の小貝川リバーサイドパークが舞台となる。
小貝川の河川敷を利用した一周2.5kmコースはほぼフラットで、その大半は草地。そこに巡航スピードが40km/hを超える長い舗装路や、土が露出した林間セクションが組み合わされる。午前中にかけて降った雨によって一時的に路面がマッドコンディションとなったが、UCI女子エリート&男子エリートレースが行われる頃には路面はほぼドライに。ヨーロッパ遠征中の竹之内悠を除く国内トップ選手たちが5分45秒前後のラップタイム、平均スピードにして25km/hを超えるハイスピードレースを展開した。
11時25分にスタートしたUCI女子エリートは、得意のスタートダッシュを見せた全日本チャンピオンの今井美穂(CO2bicycle)がレースを引っ張る。すでにオーストラリアでシーズンインを済ませている今井が序盤からリードしたものの、2周目に入ると唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)がここに追いついた。
ロード世界選手権に日本代表として出場し、前日のJプロツアー最終戦「南魚沼ロードレース」で独走勝利を飾ってからこのJCXシリーズ初戦に挑んでいた唐見。その唐見が舗装路や平坦区間を先頭固定で走り続けると、やがてそのペースに対応できず今井が脱落。最終的に唐見が今井に45秒差をつけて独走勝利した。追いすがる西形舞(TRC Panama Reds)や宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)を振り切り、序盤から単独で3番手のポジションを走り続けた西山みゆき(Toyo Frame Field Model)が表彰台に上っている。
「コーナーが上手い今井選手に前に出られてしまうと危ないと思い、どこで仕掛けるのかどこでミスして離れるのか、ドキドキしながら走っていました。中盤に今井選手がミスしたタイミングで一気に踏んで、そこで差がつきました」と、得意の取手コースで3年連続優勝を飾った唐見は語る。「テクニカルな区間が少ないので、シクロクロスの中では一番自分に合っているコースだと思います。これからも今日のようなコースで自分の持ち味が発揮出来るように、そして苦手なコースでは他の選手と戦えるようにしていきたいです」。
男子エリート:最終コーナーで先頭へ躍り出た織田聖がマッチスプリントを制す
気温が23度ほどまで上がった12時50分、81名出走のUCI男子エリートがスタート。担ぎポイントがないため、暑さの影響で多くの選手がボトルを装備してのスタートとなる。
女子レースと同様に全日本チャンピオンが序盤からレースを作り、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に食らいつく形で徐々に先頭パックが形成される。丸山厚(チームリドレー)や織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、中里仁(Speedvagen Family Racing)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、小坂正則(スワコレーシングチーム)、重田兼吾(TeamCUORE)らが全日本チャンピオンに連なる形で1周目を終えた。
先頭グループにセレクションをかけたのは、2人を揃える弱虫ペダルサイクリングチームだった。ジャンプセクションで毎周回飛ぶ前田と織田に小坂光が続き、追いすがる中里や斎藤らを振り切って先頭は3名に。合田正之(AX cyclocross team)や宮津旭(PAXPROJECT)が合流して追走グループが人数を増やす中、先頭では弱虫ペダルサイクリングチームの2人vs全日本チャンピオンという構図となる。
前田と織田がアタックを繰り返したが、その度に小坂光が反応したため3名パックは崩れない。やがて前田が脱落したため先頭は織田と小坂光の一騎打ちに。それぞれ得意なセクションで攻撃を仕掛けたが決まらずに、勝負は2人によるスプリント勝負となる。小坂光が先頭で最後のシケインを越えたが、残り200mに位置するヘアピンコーナーで織田が先頭を奪い返す。そこからフィニッシュラインまで全開で踏んだ織田が先着した。
「レース中盤に3人になってから(前田)公平君が前を引いてくれて、自分は後ろで休むことができました。(小坂光と)2人になってから公平君を待つことも考えたんですが、勝つために前で逃げることを選択しました。最後のヘアピンコーナーは、通常であればアウトから入るんですが、勝負が決まるポイントだと思って試走の段階でインから入る練習をしていた。インに突っ込んでこじ開けて前に出て、そこを抜けてスプリントしました」と、U23全日本チャンピオンの19歳は語る。
織田は前日のJプロツアー最終戦「南魚沼ロードレース」を9位で終えている。ロードレースでスピードを磨く織田のシーズンは、2週間後のジャパンカップオープンレースを境にシクロクロスに切り替わる。「昨日のレースの疲労で身体の反応は悪かったんですが勝ててよかった。ウォーミングアップの時点で一番軽いギアをくるくる回すことしかできなかったんです。中国のUCIレースも良い形で終えることができましたし、去年よりもレベルアップしていることを感じています。JCXレースでもUCIレースでも勝つのは初めて。これで満足せずに全日本選手権でタイトルを取りたい」。全日本選手権では現在のところエリートではなくU23カテゴリーに出場する予定だ。
スプリントで敗れた小坂光は「出来るだけ彼ら(弱虫ペダルサイクリングチーム)のアタックに反応して、状況的に引かなくてもいいところは引かず、カウンターアタックも仕掛けたんですが決まらなかった。(織田)聖と2人になってからは彼との勝負に集中しました。最後までもつれた場合は、シケインを越えてからが勝負だと思っていました。最後のヘアピンコーナーでイン側に入られ、そこから巻き返せなかった」とコメント。「今日は聖が一番強かった。中国のUCIレースで彼の強さを感じていたんですが、今日もやっぱり強かったですね。シーズン最大の目標は全日本選手権連覇。昨年よりシーズンインの段階で調子は低いので、ここから上げていきたい」。
UCI男子エリート
UCI女子エリート
C2
C3
C4A
C4B
CL2+3
CM1
CM2
CM3
CJ
U17
U15
text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Makoto Ayano
photo:Kei Tsuji, Makoto Ayano
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