2018/09/06(木) - 08:34
断続的なアップダウンが組み込まれた大会最長207.8kmコースで行われたブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ。強力な逃げグループの中から抜け出したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)が独走で自身通算ステージ3勝目を飾った。
ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスと比べると、ステージ全長が平均的に短いのが特徴のブエルタ・ア・エスパーニャ。207.8kmで行われる第11ステージが2018年大会の最長ステージ。登りと下りしかないようなレイアウトで、カスティーリャ・イ・レオン州からガリシア州に向かう行程には2級山岳トリベス峠(全長10.5km/平均4.6%)を含む合計4つのカテゴリー山岳が設定されている。
シル川に沿った急峻な渓谷『リベイラサクラ』を走るステージ終盤は2016年大会第6ステージと共通。ワインの産地として知られる崖に沿ったコースはアップダウンの連続で、断続的にワインディングが続く。「今大会最も厳しいステージかもしれない」と選手が声を揃える獲得標高差3,700mのアップダウンコースは高速な展開で幕開けた。
すでに総合で大きく遅れているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)や『逃げ屋』トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らが逃げに挑んでは引き戻され、再びアタック。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)、さらにはミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)までもが逃げに乗ろうとメイン集団を飛び出したが、断続的なアタックはいずれも失敗に終わる。
最初の2時間の平均スピードが48km/hを超えるハイペースによって、前半からメイン集団から脱落する選手が続出した。中切れによって一時的に遅れたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は長時間の追走の末にメイン集団に戻ったが、ステージ優勝者ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、ゲオルク・プライドラー(オーストリア、グルパマFDJ)がレースを去っている。
ようやく逃げグループが形成されたのはレース開始から100km以上走ってから。総合16位/2分33秒遅れのティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)やティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)といった強力な面子を含む16チーム19名の選手たちが徐々にメイン集団を引き離し始めた。
レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマFDJ)の献身的な引きによって逃げグループのリードが4分台に乗ったため、暫定的なマイヨロホはピノに移行する。メイン集団の牽引を担ったのはマイヨロホ擁するミッチェルトン・スコットではなくモビスター。ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)を逃げに乗せながらも、スペインチームが少しずつ逃げグループとの間合いを詰めた。
139km地点の2級山岳トリベス峠をモレマ先頭で通過した逃げグループからは、総合成績を視野に少しでも先行したいピノがアタックし、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)がこの動きに反応する。ピノが引き戻されると今度はモレマがカウンター。しばらく独走したモレマにはピノやマイカら11名が追いついた。
逃げグループに常時3名のメンバー(トゥーンス、ロッシュ、デマルキ)を残したBMCレーシングはその後も数の利を生かしたレースを展開した。最後の3級山岳ミラドル・デ・カベソアスでアタックしたヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)にロッシュが反応し、後方のカウンターアタックに乗じたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)が単独で先頭レストレポ&ロッシュにジョイン。登りでハイペースを刻んだデマルキが独走に持ち込んだ。
下り区間でレストレポが追いついたため先頭は2人。追走グループに1分、モビスターが牽引するメイン集団に3分のリードを保ったまま残り10kmを駆け抜ける。降り始めた強い雨に打たれながら、残り5kmから始まった高低差80mほどの登りでデマルキが再びレストレポをふるい落とした。
雨に濡れたテクニカルなコーナーを抜け、デマルキがジャージのジッパーを閉める余裕を持って独走フィニッシュ。28秒遅れでレストレポが入り、最終的に11名がメイン集団から逃げ切ることに成功している。
メイン集団では、デマルキがレストレポを引き離した最後の登りでEFエデュケーションファースト・ドラパックがペースアップ。マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)がアタックを仕掛けたものの決定的なリードは奪えず、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)を除く総合上位陣が競り合いながらフィニッシュへ。メイン集団はデマルキから2分02秒遅れでフィニッシュした。
「今日は序盤からずっとアタックの応酬で、決定的に見える動きばかりだった。1秒も気が抜けないような展開。でもその度に先頭は一つに戻って、諦めずに自分も勝負しようと決めたんだ。逃げグループの中にディラン(トゥーンス)とニコ(ロッシュ)の2人が入っていたことも大きかった。自分が先行している時も彼らが後ろでチェックしてくれていると自信を持っていた」。今シーズン限りでチーム名が消えるBMCレーシングに今大会2勝目をもたらしたデマルキは語る。デマルキにとってこれがキャリア4勝目。そのうち3勝がブエルタのステージ優勝だ(2014年、2015年、2018年)。
「もし(レストレポとの)スプリント勝負に持ち込まれていれば間違いなく2位だった。だから最後の登りを全開で走って彼を千切るしか方法はなかった。正直言うと絶好調とは言えない状態だけど、頭を使って勝ったんだ。5時間におよぶファイト。運が味方したことも大きいけど、とにかく今まで手にした勝利の中で最もハードなものだった」とデマルキはタフな1日を振り返る。レストレポを引き離した際、デマルキは3分30秒にわたって平均400Wを出力している(体重65kg)。ステージ全体(4時間52分)の平均出力は285W。平均心拍は146bpm、最大心拍は176bpmだった。
結果的にピノはメイン集団のライバルたちから13秒(タイム差12秒+ボーナスタイム1秒)しか稼ぐことができず、総合順位は16位のまま変動はなし。ライバルたちから8秒を失って総合4位から6位に順位を落としたエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を除いて総合トップ10の情勢に変動は起こらず、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から1秒差でマイヨロホを守っている。
ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスと比べると、ステージ全長が平均的に短いのが特徴のブエルタ・ア・エスパーニャ。207.8kmで行われる第11ステージが2018年大会の最長ステージ。登りと下りしかないようなレイアウトで、カスティーリャ・イ・レオン州からガリシア州に向かう行程には2級山岳トリベス峠(全長10.5km/平均4.6%)を含む合計4つのカテゴリー山岳が設定されている。
シル川に沿った急峻な渓谷『リベイラサクラ』を走るステージ終盤は2016年大会第6ステージと共通。ワインの産地として知られる崖に沿ったコースはアップダウンの連続で、断続的にワインディングが続く。「今大会最も厳しいステージかもしれない」と選手が声を揃える獲得標高差3,700mのアップダウンコースは高速な展開で幕開けた。
すでに総合で大きく遅れているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)や『逃げ屋』トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らが逃げに挑んでは引き戻され、再びアタック。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)、さらにはミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)までもが逃げに乗ろうとメイン集団を飛び出したが、断続的なアタックはいずれも失敗に終わる。
最初の2時間の平均スピードが48km/hを超えるハイペースによって、前半からメイン集団から脱落する選手が続出した。中切れによって一時的に遅れたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)は長時間の追走の末にメイン集団に戻ったが、ステージ優勝者ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、ゲオルク・プライドラー(オーストリア、グルパマFDJ)がレースを去っている。
ようやく逃げグループが形成されたのはレース開始から100km以上走ってから。総合16位/2分33秒遅れのティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)やティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)といった強力な面子を含む16チーム19名の選手たちが徐々にメイン集団を引き離し始めた。
レオ・ヴァンサン(フランス、グルパマFDJ)の献身的な引きによって逃げグループのリードが4分台に乗ったため、暫定的なマイヨロホはピノに移行する。メイン集団の牽引を担ったのはマイヨロホ擁するミッチェルトン・スコットではなくモビスター。ウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター)を逃げに乗せながらも、スペインチームが少しずつ逃げグループとの間合いを詰めた。
139km地点の2級山岳トリベス峠をモレマ先頭で通過した逃げグループからは、総合成績を視野に少しでも先行したいピノがアタックし、ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング)がこの動きに反応する。ピノが引き戻されると今度はモレマがカウンター。しばらく独走したモレマにはピノやマイカら11名が追いついた。
逃げグループに常時3名のメンバー(トゥーンス、ロッシュ、デマルキ)を残したBMCレーシングはその後も数の利を生かしたレースを展開した。最後の3級山岳ミラドル・デ・カベソアスでアタックしたヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)にロッシュが反応し、後方のカウンターアタックに乗じたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)が単独で先頭レストレポ&ロッシュにジョイン。登りでハイペースを刻んだデマルキが独走に持ち込んだ。
下り区間でレストレポが追いついたため先頭は2人。追走グループに1分、モビスターが牽引するメイン集団に3分のリードを保ったまま残り10kmを駆け抜ける。降り始めた強い雨に打たれながら、残り5kmから始まった高低差80mほどの登りでデマルキが再びレストレポをふるい落とした。
雨に濡れたテクニカルなコーナーを抜け、デマルキがジャージのジッパーを閉める余裕を持って独走フィニッシュ。28秒遅れでレストレポが入り、最終的に11名がメイン集団から逃げ切ることに成功している。
メイン集団では、デマルキがレストレポを引き離した最後の登りでEFエデュケーションファースト・ドラパックがペースアップ。マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)がアタックを仕掛けたものの決定的なリードは奪えず、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)を除く総合上位陣が競り合いながらフィニッシュへ。メイン集団はデマルキから2分02秒遅れでフィニッシュした。
「今日は序盤からずっとアタックの応酬で、決定的に見える動きばかりだった。1秒も気が抜けないような展開。でもその度に先頭は一つに戻って、諦めずに自分も勝負しようと決めたんだ。逃げグループの中にディラン(トゥーンス)とニコ(ロッシュ)の2人が入っていたことも大きかった。自分が先行している時も彼らが後ろでチェックしてくれていると自信を持っていた」。今シーズン限りでチーム名が消えるBMCレーシングに今大会2勝目をもたらしたデマルキは語る。デマルキにとってこれがキャリア4勝目。そのうち3勝がブエルタのステージ優勝だ(2014年、2015年、2018年)。
「もし(レストレポとの)スプリント勝負に持ち込まれていれば間違いなく2位だった。だから最後の登りを全開で走って彼を千切るしか方法はなかった。正直言うと絶好調とは言えない状態だけど、頭を使って勝ったんだ。5時間におよぶファイト。運が味方したことも大きいけど、とにかく今まで手にした勝利の中で最もハードなものだった」とデマルキはタフな1日を振り返る。レストレポを引き離した際、デマルキは3分30秒にわたって平均400Wを出力している(体重65kg)。ステージ全体(4時間52分)の平均出力は285W。平均心拍は146bpm、最大心拍は176bpmだった。
結果的にピノはメイン集団のライバルたちから13秒(タイム差12秒+ボーナスタイム1秒)しか稼ぐことができず、総合順位は16位のまま変動はなし。ライバルたちから8秒を失って総合4位から6位に順位を落としたエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を除いて総合トップ10の情勢に変動は起こらず、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から1秒差でマイヨロホを守っている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第11ステージ
1位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) | 4:52:38 |
2位 | ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:28 |
3位 | フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:59 |
4位 | ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:24 |
5位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 0:01:45 |
6位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:46 |
7位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | 0:01:48 |
9位 | セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) | 0:01:50 |
10位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | |
12位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:02:02 |
13位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
14位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
15位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
16位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
17位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
18位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
20位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
22位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
23位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | |
28位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:10 |
敢闘賞 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 45:57:40 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:01 |
3位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:14 |
4位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:17 |
5位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:24 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:27 |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:32 |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:43 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:00:47 |
ポイント賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 85pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 83pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 66pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 60pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 33pts |
3位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 30pts |
複合賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 10pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 24pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 35pts |
チーム総合成績
1位 | ロットNLユンボ | 137:53:57 |
2位 | モビスター | 0:00:55 |
3位 | バーレーン・メリダ | 0:06:14 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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