2018/08/30(木) - 10:35
25名の大きな逃げ集団が形成され、その中の19名が逃げ切ったブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ。「宝くじを買わない限り、1等を当てることは不可能」と語るステージ優勝者サイモン・クラークや2位のバウケ・モレマ、マイヨロホを獲得したルディ・モラールらのコメントを紹介します。
ステージ優勝 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
最後にステージ優勝してからずいぶんと長い時間がかかってしまった。今日は調子が良かったものの、逃げグループの人数が多くて協力体制を築けず。逃げグループからアタックがかかり続けたけど誰も飛び出せなかった。だから勝ち逃げが生まれるのは下り区間だと思っていた。下りで補給を取る選手が多いのでペースが緩む。だからそこでギャップを広げることができる。
監督から無線を通して後ろから3名が迫ってきていることを知らされた。でも後続についてはあまり気にしていなかった。『もし追いついてきたら追いついてきたまで。今はこの2人(デマルキとモレマ)との勝負に集中しよう』と自分に言い聞かせた。15歳から打ち込んでいたトラックレースの経験が最後は生きたよ。デマルキが速いことは知っていたし、モレマがアタックした時は脚が攣っていた。長時間逃げていたデマルキが消耗していることを願っていた。そんな状況で勝つには、氷のように冷静になる必要があった。
今シーズンはハードワークに見合った成績を残せていない。だからこそ今日はチームに勝利をもたらすことができて本当に良かった。宝くじを買わない限り、1等を当てることは不可能なんだ。
ステージ2位&敢闘賞 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ツール・ド・フランスでも後半10日間は毎日逃げを狙っていたし、今日のように逃げに乗ってアグレッシブに展開するレースが好き。ブエルタでは総合成績ではなくステージ優勝にフォーカスしている。今日はとても惜しかったし、残り2週間半で次のチャンスが巡ってくるはず。
序盤からずっと調子が良くて、何としても逃げに乗りたいと思っていた。獲得標高差が2,500mを超えるアップダウンコースだったけど、ラスト20kmは下り基調だったので逃げが決まりやすいレイアウト。最後の2級山岳でアタックして独走に持ち込みたかったけど、タイミングの悪いパンクで動けなかった。先頭3名は協調体制を築けていたものの、さすがにフィニッシュ手前では誰も引かなくなった。
クラークはとても速かった。残り5kmで自分がアタックした時もすぐに反応したし、デマルキのアタックにも即座に追いついた。個人的には、後続が追いついて、他の2人が焦って早めに仕掛ける展開を望んでいたけど、そのギャンブルは成功しなかった。
ステージ3位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)
スプリンターになりたいと思う時もある。今日は早めのスプリントで勝負に挑んだけど、クラークとモレマのほうが速くて強かった。自分がステージ優勝するには逃げに乗るしかない。でも今日はすべてのアタックに反応できていたクラークには敵わなかった。
序盤は大小様々な逃げが生まれては吸収されるクレイジーな展開だった。大きな逃げ集団では誰も力を使いたがらない。だから少人数の逃げを作り出したかった。失うものはなにもないので、終盤に向けて独走して様子を見ると後ろから2人(モレマとクラーク)が合流。結果的に彼らのほうが速かったけど、悪くないチャレンジだったと思う。
ステージ4位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)
逃げグループの中から断続的にアタックがかかる展開で、すべての動きに反応するのは不可能だった。調子は良かったけど、ステージ優勝につながる決定的な動きを逃してしまった。先頭3名を追って2級山岳でカウンターアタックすると2名(モラールとデティエ)が合流。頂上に着いた時点で1分遅れだったので、下りとその後の平坦区間で追走したけど届かなかった。まだ大会1週目なので再びチャンスが巡ってくることを願っているよ。
ステージ6位&マイヨロホ ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ステージ優勝が目標だったけど、レッドジャージを獲得することができてとにかく嬉しい。メイン集団とのタイム差が縮まらなかったので、後半は総合リーダーになることだけを考えていた。『リーダージャージを着るチャンスがあるんだ』と自分に言い聞かせて走り、フィニッシュラインを切った時は信じられない気分だった。
グランツールのリーダージャージは大きな意味を持つ。とてもユニークで特別な経験。様々な感情が溢れてくるし、キャリアの中で一つのマイルストーンになる。明日から3日間は比較的イージーなので、日曜日まで首位を守れると思う。
ステージ23位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
作戦はレースの展開に左右する。今日は危険度の低い逃げを容認して、状況をコントロールしながら走る良い展開だった。もちろんレッドジャージを失うのは複雑な心境だけど、チームのパフォーマンスは素晴らしいし、これが正しい方法だった。3週間の戦いを考えると、今日はチームの力を温存できたと思う。
総合成績からステージ優勝に目標をスイッチするのは簡単。でも仮に総合を狙わないとしても、世界選手権への準備も含めて3週間のペース配分はとても大事。今シーズンはとても多くのレースをこなしてきたので、このブエルタで何をすべきか、何ができるか、何をすべきでないかを考えないといけない。とにかく今日は力を温存できて良かった。日曜日のラ・コバティーリャは総合争いにおいて重要なポイント。自分が総合争いに残れるかがそこで分かると思う。
ステージ95位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
昨日までよりずっと調子が良かったので、逃げ向きのステージだったしアタックした。でも自分が動くとライバルたちがすかさず反応。逃してもらえなかった。
text:Kei Tsuji
ステージ優勝 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
最後にステージ優勝してからずいぶんと長い時間がかかってしまった。今日は調子が良かったものの、逃げグループの人数が多くて協力体制を築けず。逃げグループからアタックがかかり続けたけど誰も飛び出せなかった。だから勝ち逃げが生まれるのは下り区間だと思っていた。下りで補給を取る選手が多いのでペースが緩む。だからそこでギャップを広げることができる。
監督から無線を通して後ろから3名が迫ってきていることを知らされた。でも後続についてはあまり気にしていなかった。『もし追いついてきたら追いついてきたまで。今はこの2人(デマルキとモレマ)との勝負に集中しよう』と自分に言い聞かせた。15歳から打ち込んでいたトラックレースの経験が最後は生きたよ。デマルキが速いことは知っていたし、モレマがアタックした時は脚が攣っていた。長時間逃げていたデマルキが消耗していることを願っていた。そんな状況で勝つには、氷のように冷静になる必要があった。
今シーズンはハードワークに見合った成績を残せていない。だからこそ今日はチームに勝利をもたらすことができて本当に良かった。宝くじを買わない限り、1等を当てることは不可能なんだ。
ステージ2位&敢闘賞 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ツール・ド・フランスでも後半10日間は毎日逃げを狙っていたし、今日のように逃げに乗ってアグレッシブに展開するレースが好き。ブエルタでは総合成績ではなくステージ優勝にフォーカスしている。今日はとても惜しかったし、残り2週間半で次のチャンスが巡ってくるはず。
序盤からずっと調子が良くて、何としても逃げに乗りたいと思っていた。獲得標高差が2,500mを超えるアップダウンコースだったけど、ラスト20kmは下り基調だったので逃げが決まりやすいレイアウト。最後の2級山岳でアタックして独走に持ち込みたかったけど、タイミングの悪いパンクで動けなかった。先頭3名は協調体制を築けていたものの、さすがにフィニッシュ手前では誰も引かなくなった。
クラークはとても速かった。残り5kmで自分がアタックした時もすぐに反応したし、デマルキのアタックにも即座に追いついた。個人的には、後続が追いついて、他の2人が焦って早めに仕掛ける展開を望んでいたけど、そのギャンブルは成功しなかった。
ステージ3位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)
スプリンターになりたいと思う時もある。今日は早めのスプリントで勝負に挑んだけど、クラークとモレマのほうが速くて強かった。自分がステージ優勝するには逃げに乗るしかない。でも今日はすべてのアタックに反応できていたクラークには敵わなかった。
序盤は大小様々な逃げが生まれては吸収されるクレイジーな展開だった。大きな逃げ集団では誰も力を使いたがらない。だから少人数の逃げを作り出したかった。失うものはなにもないので、終盤に向けて独走して様子を見ると後ろから2人(モレマとクラーク)が合流。結果的に彼らのほうが速かったけど、悪くないチャレンジだったと思う。
ステージ4位 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)
逃げグループの中から断続的にアタックがかかる展開で、すべての動きに反応するのは不可能だった。調子は良かったけど、ステージ優勝につながる決定的な動きを逃してしまった。先頭3名を追って2級山岳でカウンターアタックすると2名(モラールとデティエ)が合流。頂上に着いた時点で1分遅れだったので、下りとその後の平坦区間で追走したけど届かなかった。まだ大会1週目なので再びチャンスが巡ってくることを願っているよ。
ステージ6位&マイヨロホ ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)
ステージ優勝が目標だったけど、レッドジャージを獲得することができてとにかく嬉しい。メイン集団とのタイム差が縮まらなかったので、後半は総合リーダーになることだけを考えていた。『リーダージャージを着るチャンスがあるんだ』と自分に言い聞かせて走り、フィニッシュラインを切った時は信じられない気分だった。
グランツールのリーダージャージは大きな意味を持つ。とてもユニークで特別な経験。様々な感情が溢れてくるし、キャリアの中で一つのマイルストーンになる。明日から3日間は比較的イージーなので、日曜日まで首位を守れると思う。
ステージ23位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
作戦はレースの展開に左右する。今日は危険度の低い逃げを容認して、状況をコントロールしながら走る良い展開だった。もちろんレッドジャージを失うのは複雑な心境だけど、チームのパフォーマンスは素晴らしいし、これが正しい方法だった。3週間の戦いを考えると、今日はチームの力を温存できたと思う。
総合成績からステージ優勝に目標をスイッチするのは簡単。でも仮に総合を狙わないとしても、世界選手権への準備も含めて3週間のペース配分はとても大事。今シーズンはとても多くのレースをこなしてきたので、このブエルタで何をすべきか、何ができるか、何をすべきでないかを考えないといけない。とにかく今日は力を温存できて良かった。日曜日のラ・コバティーリャは総合争いにおいて重要なポイント。自分が総合争いに残れるかがそこで分かると思う。
ステージ95位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
昨日までよりずっと調子が良かったので、逃げ向きのステージだったしアタックした。でも自分が動くとライバルたちがすかさず反応。逃してもらえなかった。
text:Kei Tsuji
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