世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第9弾となる今回は、ラピエール、スオーミー、3T、クランクブラザーズをピックアップ。



ラピエール:プロが実戦投入するオールラウンドロードXelius SL、MTBエンデューロレースマシンSpicy

ラピエール Xelius SL Specialラピエール Xelius SL Special
ホイールはAXライトネス製だホイールはAXライトネス製だ eeブレーキなど軽量パーツがアセンブルされているeeブレーキなど軽量パーツがアセンブルされている


自転車大国フランスのバイクメーカー"ラピエール"からユーロバイクでは非常に多くのモデルが発表となった。気になるのはやはりモデルチェンジとなったオールラウンドロードXelius SLだろう。このバイクは、ラピエールがサポートするグルパマFDJのティボー・ピノらが先行して使用していたモデルであり、多くのサイクリングファンから注目を集めていた1台だ。

外見に劇的な変化はもたらされていないが、各部のディティールを煮詰めることでバイクとしての性能を向上させるアップデートが施されている。オールラウンダーとしてヒルクライムの性能だけではなく、エアロダイナミクスの要素を取り入れたことがポイント。具体的には、ヘッドチューブ、ダウンチューブ、フォークブレードがより空力性能に優れるデザインに。加えてダウンチューブとホイールの距離を近づけることで、空気の乱流を抑えている。

Xelius SLにはディスクブレーキモデルも揃うXelius SLにはディスクブレーキモデルも揃う
XeliusにはE-BIKEモデルも用意されているXeliusにはE-BIKEモデルも用意されている ユニットやバッテリーはフレーム内部にビルトインされているユニットやバッテリーはフレーム内部にビルトインされている


ユーロバイクで展示されていたXelius SLラインアップの中で目を引くモデルは「Xelius SL Special」と名付けられた完成車。注目ポイントはスラムRED eTap、EEブレーキ、AXライトネスのホイール、ステム、ハンドルと軽量パーツを搭載することで、Mサイズで5.145kgという軽量性を追求したいサイクリスト垂涎の重量に仕上げられている点。他にもXelius SLはディスクブレーキモデルやE-BIKEモデルが用意されている。

また、ユーロバイクブースでの中心となっていたのはZestyとSpicyというモデルチェンジした新型MTB。Zestyはオールマウンテンカテゴリーに分類されるバイクであり、バックカントリーのトレイル等に最適な1台だという。Spicyはエンデューロ競技用のバイク。リアショックをトップチューブとのリンクから、チェーンステーに接続するタイプに変更されている。ラピエールがEWSに参戦するライダーのために開発したモデルだけあり、高い戦闘力に期待できるだろう。

MTBエンデューロのレース用にフルモデルチェンジを果たしたSpicyMTBエンデューロのレース用にフルモデルチェンジを果たしたSpicy
ハードテールE-MTBのOVERVOLTにはヤマハ製ユニット搭載モデルも用意されているハードテールE-MTBのOVERVOLTにはヤマハ製ユニット搭載モデルも用意されている E-BIKE本場のバイクにヤマハのユニットが採用されているE-BIKE本場のバイクにヤマハのユニットが採用されている


ラピエールのE-BIKEラインアップは、ライフスタイルバイクやE-MTBを中心に非常に充実した展開となっている。ハードテールE-MTBのOVERVOLTは2019年モデルでインテグレーテッドデザインとなる。搭載される電動アシストユニットは、ボッシュやシマノ、ヤマハ。長らく電動アシストを開発していたという理由からヤマハも採用しているのだとか。



スオーミー:新型ロードレース用ヘルメット「GLIDER」登場

新型ロードレース用ヘルメット「GLIDER」新型ロードレース用ヘルメット「GLIDER」
スオーミーのスタッフと新モデルGLIDERとともにスオーミーのスタッフと新モデルGLIDERとともに
プロコンチネンタルチームのコフィディス、シクロクロス世界選手権の3連覇を果たしたワウト・ファンアールトが着用するスオーミーのヘルメット。数多くの選手が着用するオールラウンドモデルのGUNWINDや、TIMELESS、SFERAといったロードモデルから、MTB用フルフェイスJUMPER、MTBエンデューロ用SCRAMBLERまで数多くの製品を揃えるブランドだ。

今回のユーロバイクで発表されたのは新型ロードヘルメットGLIDER。グライダーというネーミングの通り、空力性能を追求したモデルとして風洞実験を経て開発されたハイパフォーマンスモデルだ。シェルはTT用ヘルメットのように滑らかな曲線、尻すぼみ形状となっているため、優れたエアロダイナミクスを期待できるだろう。空気を取り込むためのベンチレーションホールも前頭部と頭頂部、側頭部に用意されており、オールラウンドヘルメットとして様々なシチュエーションで活躍するヘルメットに仕上げられている。

このGLIDERは既にコフィディスの選手たちがツール・ド・フランスで着用しており、エアロダイナミクスと通気性の両立を果たしていることを証明している。また、コフィディスの選手たちはGUNWINDとGLIDERを選手によって使い分けている模様。



3T:エアロロードSTRADAにフロントダブル対応バージョン登場

エアロロードSTRADAのフロントダブル対応バージョン「STRADA DUE」エアロロードSTRADAのフロントダブル対応バージョン「STRADA DUE」
エアロダイナミクスを追求するデザインとなっているエアロダイナミクスを追求するデザインとなっている 展示車にはTHMカーボンが製作するパーツが搭載されていた展示車にはTHMカーボンが製作するパーツが搭載されていた


グラベルロードEXPLOROで自転車開発に乗り出したコンポーネントメーカー3T。2018年シーズンにはフロントシングルコンポーネント専用ロードバイク「STRADA」をプロコンチネンタルチームのアクアブルースポートに供給し、レースの最前線で戦ってきた。

STRADAは、エアロダイナミクスを徹底的に追求した形状とされており、ハイスピードを得意とするバイク。フロントシングルでレースに勝てるのかという不安も押しのけ、シーズン開幕直後1月のヘラルド・サンツアーでステージ優勝。バイクの性能とフロントシングルでも戦えることを証明した。

そんなSTRADAにフロントダブルに対応したSTRADA DUEがリリースされる。対応するのはカンパニョーロEPS、シマノDi2、スラムRED eTAPという電動変速機のみ。STRADAは変速システムが注目されがちだが、このバイクで最も重要なポイントは幅広タイヤにマッチするエアロロードであることと3Tは主張する。STRADA DUEも既にプロレースに投入されており、選手たちは状況によって使い分けている。ホビーサイクリストにとってもSTRADAのエアロ性能を堪能するための選択肢が増えたことは喜ばしいことだろう。

3T Torno。カーボンのアーム、スパイダー、アクスルを採用している3T Torno。カーボンのアーム、スパイダー、アクスルを採用している
そして、3Tはアーム、スパイダー、アクスルがカーボン製のクランク「Torno」を発表。このクランクはエアロダイナミクスを追求したフロントシングル専用モデルだ。カーボン部分は3Tと姉妹企業にあたるTHMカーボンによるテクノロジーが使われており、アームとアクスル、スパイダー部分の重量が330gとされている。チェーンリング部分はフロントシングルに一日の長があるウルフトゥースによるもので、チェーン落ちのリスクを低減した。チェーンリングの重量は36Tで79g、44Tで110g。



クランクブラザーズ:ダニー・マッカスキル版のSTAMP7、E-MTB向け新型ホイール

Stamp7のダニー・マッカスキルモデルが展示されていたStamp7のダニー・マッカスキルモデルが展示されていた
クランクブラザーズからは様々な新製品が登場。春先に発表されたMTB DH世界王者ロイック・ブルーニとのコラボペダルと共に、世界的に有名なトライアルライダーのダニー・マッカスキルとの新しいコラボモデルが並べられていた。ベースとなるペダルはMTBエンデューロ用に開発されたStamp 7。アルミボディを最大限に肉抜き加工を施すことで、軽量化と泥詰まりのリスクを軽減しているモデルだ。

また、E-MTB用に開発したホイール「LITHIUM 27.5+」もリリースする。ツインペア・スポークテクノロジーと、2.0ストレートゲージスポークを採用することで、電動アシストの強大なパワーを受け止める強度を実現。バイクのラインアップが充実するE-MTB。パーツブランドから続々とハイスペックなプロダクトがリリースされており、それらを装着することでE-MTBの魅力を引き出してくれるはずだ。

E-MTB向け新型ホイール「LITHIUM 27.5+」E-MTB向け新型ホイール「LITHIUM 27.5+」


text&photo:Gakuto Fujiwara
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